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2025-02-05 09:56

heldio #200. keep - kept - kept のナゾ

#英語史 #英語学習 #英語教育 #動詞活用
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サマリー

今回のエピソードでは、動詞の不規則変化の一例として「keep-kept-kept」が取り上げられます。特に、音の短縮化や母音の変化について詳しく解説され、他の動詞との類似性も紹介されます。

keep-kept-keptの概要
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、keep-kept-kept のナゾという疑問です。
昨日の放送では、もう一つの不規則動詞 read-read-read のナゾに迫ったわけなんですが、それと似た話題ですね。
動詞の不規則変化の話題なんですけれども、今回は keep-kept-kept というものですね。
この2つ、read-read-read の場合と keep-kept-kept の場合では、だいぶ違うように見えるかもしれませんが、
実は背景にある音の変化は共通しているものがあるんですね。
今回の keep-kept-kept では keep という原形の形で長い母音が出てますね。
それに対して、過去形、過去分詞形では kept ですから、短い音になってますね。
つまり、いに対してえという活用です。
これは昨日の read-read-read と全く一緒です。
関連しているんです。
この keep の場合なんですけれども、もともと文字通り k-e-e-p と書きますので、
ケーパンのような、ケープです。
それに動詞語尾の an みたいなのをつけたんですが、ケーパンのような、こんな形だったんですね。
これに、規則通りに d をつけるわけです。
実際にこれが無声化して t の音になるわけなんですが、
kept という形ですね。
つまり本来であれば keep に t をつけた形で kept のようになるはずなんですね。
ところが短くなったわけです。
この kept という長い母音が短くなって kept という具合なんですね。
つまり過去形、過去分詞形で起こったことは、もともとの長い a が短化した、短い音になったっていうことなんですね。
ちなみに原型の方のケーパンは、後に大母音推移という変化によって a が e になりましたので、
現代では keep というふうに発音して、結果として keep, kept, kept となっていますが、
ポイントは原型では長かった母音が、過去形、過去分詞形では短くなるということなんですね。
音の変化のメカニズム
これが read, read, read と共通であるということなんですが、
さあ、何でかっていうことなんですね。
音の変化、短くなるっていう変化が起こったわけですが、
こういった変化のなぜっていうのは、必ずしも綺麗に説明できないことも多いわけなんですけれども、
特徴はあるんですね。
何かというと、
ケーパンという keep というところに t がついたんですよね。
過去分詞と過去形の語尾として、詩音の t がきます。
そうすると b と t がくっついて put という発音になりますね。
2つ詩音が続くことになります。
英語史で起こったことは、この古英語の後期からですね、中英語の初期という、
この時代の変わり目なんですけれども、このぐらいの時代にですね、
2つ詩音が続く場合には、その前の母音が長母音だった場合ですね、
これが単化するというような音の変化の傾向がですね、非常に多く見られたんです。
そうすると keep というふうに、
2つの詩音が続くことになりますので、過去形、過去分詞形はですね、
これに伴って keep の a という長い母音が短くなって kept となったっていうことなんですね。
で、類例を挙げますと、動詞のいわゆる不規則活用と不規則変化と呼ばれているものから例を挙げますと、
似ているものは feel, felt, felt ですね。
それから sleep, slept, slept もこのタイプですよね。
e, e, e というタイプです。
それから dream, dreamt, dreamt ですね。
これは主にイギリスでの活用で、
アメリカ英語が一般では普通に ed をつけて dream, dreamed, dreamed ということも多いと思いますが、
イギリスでは dream, dreamt, dreamt というように、
いわば keep, kept, kept のタイプに属するということになります。
いずれも語幹の形、動詞の語幹の形は詩音で終わってますね。
feel, sleep, dream ですね。
こうした詩音で終わるものに直接、
過去、過去分詞形の語尾である key が接続したときに、
詩音が2つ重なることになるということで、
もともと長かったはずの母音がですね、短くなるという具合ですね。
これが後期小英語から初期中英語にかけて起こった変化ということなんですね。
一応名前がついていまして、
こういう変化に名前がついてないと気持ち悪いという人のためにですね、
と言っておきますと、詩音群毎一短化。
詩音群毎一短化ということで、
英語では shortening before consonant clusters ですね。
関連する例と影響
こんな風に言うことがあります。
さあ、動詞の活用だけではなくてですね、
これはまあ色々と他の単語にも影響をしていまして、
例えばですね、5に対して5ですね、
5番目のは fifth という風に母音が短くなっているのが分かると思います。
5の部分は i ですから、
長母音とは言わず、これは二重母音と言いますが、つまり二拍です。
二拍ですね。
i っていう部分。
それが fifth っていう風に、
という単母音になっています。
一拍の音になっています。
これやはりですね、長かったものがどうも短くなっているという印象を受けますね。
fifth だけではなくて 15 とか 50 と時も同じですね。
i という短い音になっています。
これは 5 の場合は v で終わっていて、
音としてはですね、次に何も来ていません。
ところが何番目のという意味の設備字ですね、
th をつけると fifth という風に、
f と th サウンド、
二つの子音ですね。
二つの子音が接続することになっちゃうので、
前の母音、本来長かったんです。
fifth のように長かったんですが、
短くなって fifth ですね。
15 の場合も一緒です。
fifteen という風にteen、
t で始まる語尾がつくわけですから、
f と t が重なっちゃうことになります。
fifteen だったものが fifteen という風に、
語尾が短くなったってわけです。
他にはですね、形容詞とその派生名詞という関係でも、
ちょこちょここの単価が現れてきますね。
例えば wise、賢いっていう意味ですが、
wise ですね。
ズで終わっています。
そして y っていうのに、
長い母音、二重母音ですね。
二拍の母音が来ていますが、
これに名詞語尾の dom っていうのをつけるとですね、
wisdom だったはずが、
ズとズが重なって二重詞になりますので、
前の母音が短くなり wisdom、
wisdom ってなるわけです。
wise に対して wisdom。
それから th をつけて、
中小名詞をつくるっていうものについては、
deep に対して depth。
deep、depth という関係もありますね。
それから wide、
広い、幅広いってことです。
これに対して with、with というふうに、
dth というふうに、
二つの詩音が続いてしまうので、
前の with っていう本来長かったものが with。
with というふうに、
短くなっている。
ということなんですね。
もう一つ面白い例はですね、
goose が長です。
goose。
こうした動物にですね、
後ろに ling という l-i-n-g ですね。
これをつけると、
ちっちゃいって意味になりますね。
例えばアヒル、ダックですが、
duckling っていうと、
アヒルの子ということになりますね。
同じように goose に ling をつけるとですね、
goose ling と、
ストレートに考えれば、
そうなりそうなところなんですが、
goose の s と ling の l ですね。
これで二つ詩音が続くことになっちゃいますね。
なので、もともとの goose という、
長い母音を持ってたんですが、
これが縮まって、
少し母音の音色も変わりましたが、
gozzling、gozzling というふうに、
短い音で読まれるようになっている。
探すとこのような関係は、
実は非常に多く存在します。
それを今回はたまたまですね、
有名な Keep Kept Kept で説明してみました。
それではまた。
09:56

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