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こんにちは、英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私がその魅力を語る番組です。
おすすめのドラマや映画の紹介、見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。
前回は、2020年のドラマ、「ベルグレービア 秘密だらけの邸宅街」をご紹介しました。
このドラマ、続編もあるので、この副題の秘密だらけの邸宅街というのも、ちゃんと言わないといけないですね。
でも、この日本の副題、ちょっと私、あんまり好きじゃないんですよね。
今回、ドラマの中で登場する貴族のタイトルや名前の呼び方について、少し取り上げたいと思っています。
というのも、ベルグレービアを見ていたら、名前にすごく混乱したんですね。
その理由は、6話のストーリー展開が早いことと、登場する人物たちがしっかりと紹介されていることなんです。
ダウントンアビーなどでも、多くの人が出てきたんですけど、それはセリフの中でチラリと軽く触れられていることだけで終わることが多かったんです。
でも、ベルグレービアでは、一度しか登場しないような人も、しっかりと自己紹介されていたり、他の人が紹介したりするものですから、
そのため、流してみることが難しくて、混乱してしまうんじゃないのかなと思いました。
ここで、複雑な貴族の呼び方や名前について、ドラマで出てきた実際の場面で少し説明してみたいと思います。
物語の第2話で、アントレンチャード夫人が王立植物園Qガーデンを訪れます。
ここで彼女が出会うのが、ジョセフ・パクストンという実在した上演家であり、建築家です。
彼が間に入って、アンと2人の貴族を紹介するという場面があります。
まず、パクストンは貴族の男性と女性に向かって、「Your Grace and Your Ladyship。」と呼びかけます。
そして、2人にアントレンチャード夫人を紹介。その後、「Duke of Devonshire and Lady Brockenhurst。」と言うんです。
デボンシャー皇爵と、ブロッケンハースト夫人ということですよね。
ここでも、すでに2つも出てきてややこしいのですが、
パクストンにとってデボンシャー皇爵は雇い主でもあるため、このような呼びかけをします。
皇爵に対しては、「Your Grace。」という形称を使います。
これは、皇爵や皇爵夫人に対して使う呼びかけです。
イギリスの貴族の称号には5つあって、皇爵がそのトップに位置します。
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その下には、日本語では漢字の違う皇爵、そして伯爵、子爵、男爵と続きます。
なので、先ほどのYour Graceというのは、このトップの皇爵にだけしか使われないんですね。
伯爵夫人にはYour Ladyshipと呼びかけます。
さて、このデボンシャーやブロッケンハーストというのは、貴族の称号に由来する名前です。
これらは土地の名前であることも多いですよね。
実際の名字はまた別にあります。
デボンシャー皇爵の場合はキャベンディッシュです。
ブロッケンハースト伯爵夫人はベラシスです。
これも混乱する原因の一つです。
次にもう一つ別の例を見てみます。
こちらは親子の場合です。
レイディ・マリア・グレイという女性が登場しました。
彼女はテンプルモア伯爵家の霊長ですが、まだ結婚していないのでレイディ・マリア・グレイとかレイディ・マリアと呼ばれます。
レイディ・グレイとは呼ばれないんです。
彼女のお母さんはテンプルモア伯爵夫人で、名前はコリン・グレイです。
親しい人は彼女をコリンと呼びます。
でも使用人の前であったり、彼女に対して使用人に指示する際にはレイディ・テンプルモアと呼びます。
こういったのは慣れてしまえばどうてことないのかもしれないんですけど、
この使い分けをちゃんとしておかないとマナーがない人だと思われてしまいます。
女性は結婚すると名字が変わるだけでなく尺位も変わることがあります。
男性でも父親から尺位を相続すると呼び方が変わりますよね。
使用人たちもこれをちゃんと覚えて使い分けないといけない。これは大変だなと思いました。
ベルグレイビアではこのような細かい部分が理解できるように自己紹介する場面がたくさん出てきたり、
セリフの中でさりげなく説明が出てくるので何度も見ていると少しずつわかってくると思います。
しかしご安心を、こんなことをきちっと覚えなくてもドラマは十分楽しめます。
知っているともっと楽しめるんじゃないかなと思って今回ご紹介しました。
今日はドラマの中に出てくる貴族の複雑な名前の呼び方についてお話ししました。
次回はベルグレイビアの続編、新たなる秘密です。楽しみに。