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こんにちは、英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私がその魅力を語る番組です。
おすすめのドラマや映画の紹介、見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。
前回は、アガサ・クリスティ原作の映画、『ねじれた家』をご紹介しました。ちょっとお詫びと訂正があります。
番組の中で、被害者のレオニダス氏の2人の息子の兄と弟を逆にしてご紹介してしまいました。正解は、長男はフィリップ、次男はロジャーです。申し訳ありませんでした。
今日は、映画の舞台となっていたレオニダス氏の邸宅のロケ地についてです。
映画を見ていると、まるで一つのお屋敷の中で登場人物が生活しているように感じるのですが、こちらでもいろいろなお屋敷が本当にうまく組み合わされているのです。
例えば、外観はミンディ・マナーという邸宅が使われています。
映画のプロダクションデザイナーの方のインタビュー記事によると、支配的なレオニダス氏が息子や孫たちを閉じ込めているように感じる家を探していたんだそうです。
大小で高い塔がたくさんあって、威厳があって近寄りがたいような雰囲気がたっぷりでした。
初めて映画を見たときに、この建物が出てきて、うわーっと思っちゃったんですよね。
なんか素敵とか、行ってみたいっていうのとはちょっと違う感じでした。
フレンチゴシックというスタイルなんですが、確かにイギリスのゴシックとは少し違うような印象です。
このミンディマナーには、条件に合う部屋が2つしかなかったので、他の邸宅を探したそうです。
今日はその中の1つ、ヒューエンディマナーをご紹介します。
こちらの場所は、歴史的にも映画の物語とも通じるようなエピソードがあるんです。
例えば、第二次世界大戦中に、コードネームヒルサイドとして空軍の極秘秘密地図作成の基地として使われていました。
1941年から45年の間に、ここで100万枚以上の手書きの地図が制作されていました。
でも秘密基地であるので、使用が終わって以前の持ち主の元に戻った時には、戦時中の痕跡は全くなく、それから数年後に今のナショナルトラストへ寄贈されています。
1560年後、ナショナルトラストでボランティアをしている方と訪問客が偶然出会ったことで、この事実が判明したんだそうです。
映画の中で、レオニタス氏の2番目の奥さんブレンダーの部屋となっていた場所では地図制作が行われていて、当時の写真も残されています。
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旧エンデンマナーは、ロンドンから車や電車で1時間ほど北西部のバッキンガムシャーという場所にあります。
私はかつてこのバッキンガムシャーにある大学で勉強していました。
でも、この屋敷については全く知りませんでした。とても残念です。
この土地はかつて王室の領地だったり、様々な人の手に渡って、1860年代に今の姿の建物に変えたのがベンジャミン・ディズレーリです。
ベンジャミン・ディズレーリは、ビクトリア女王の下で2度首相をした人物です。
もともと作家として活動していたのですが、政治に興味を持って国会議員となり、やがて首相になります。
イギリス帝国主義推進で、特にインドにおけるイギリスの影響力を強化したり、国内の社会改革に大きな影響を与えた人です。
ここからは、その旧エンデンマナーの映画に使われた部屋を見ていきます。
3300冊の本が置かれているという図書室は、映画の中ではソフィアのお父さんのフィリップの書斎でした。
暖炉の上に掛けられているのは、本来は所有者だった首相のベンジャミンの肖像画ですが、映画の中では印象派の画家・土画の絵になっていました。
この絵は多分、パリのオルセイ美術館にあるエトワールという絵です。
エトワールというのは、パリオペラ座の主役を踊るダンサーの中の、さらに最高位のダンサーに与えられる称号です。
スポットライトが当てられたダンサーが踊っている絵です。
フィリップと探偵のチャールズが話している最中に、ソフィアが絵の傾きを直すんですよね。とても意味ありげでした。
また別の時には、こちらの部屋でジョセフィンがエトワールと同じようなポーズをしようと頑張っていたシーンもありました。
書斎と隣り合わせにあるのが、フィリップの奥さんマグダの部屋です。
豪華なカーテン、鳥の羽根、金がたっぷりと使われて、シックな壁紙の色と美しい天井装飾、本当にきれいな部屋でした。
マグダの衣装やヘアスタイルにもぴったりの雰囲気の部屋だったんですよね。完成度が高すぎです。
この部屋の暖炉の上に飾られていたのが、ベンジャミン夫人の肖像画でした。
ジョセフィンの部屋もあります。イエローベッドルームが使われています。
黄色のかわいらしい天外ベッドのある部屋でした。
大きなドールハウスもあって、かわいい子供部屋になっていたんですが、
ジョセフィンはこの部屋で、自分が観察した家族のドロドロしたことをせいせいと書き綴っているという不気味な部屋でもあったんですよね。
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さらに、前にもちょっと話しましたけど、ブレンダの部屋もこの邸宅です。
映画用に、1950年代のアメリカンカラーとイギリスの邸宅をミックスさせるようにデザインされたそうです。
それが、鮮やかなピンクの壁紙です。
マグダの部屋と同じように、こちらにも自分の大きな写真が飾られていました。
他にも、どの部屋かわからなかったんですけど、ユースティスの部屋もこちらにあるそうです。
どの部屋もキャストの食料とか性格なんかも考慮してデザインされ、そして衣装などとのバランスが取られています。
映画の撮影だけに使うなんてもったいないぐらいでしたね。
ドラマや映画のセットの部屋に住んでみたいという願望があるので、どこかに残してほしいなといつも思っています。
今日は、ねじれた家のロケ地、ユーエンデイマナーについてご紹介しました。
ユーエンデイマナーのインスタグラムでは、部屋の写真もいくつか見ることができるので、概要欄にリンクを貼っておきます。
次回はドラマ、ベルグレービアです。楽しみに。