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そんなところでですね、今、日本画に転校されてっていうところで、少しお話を伺えたので、今度、絵画ということについて、今ちょうどお話し出たので、いろいろお聞きしたいと思うんですけども、
やはり、松井さんというと、その痛みだったり、恐怖だったり、狂気。僕らが一般的な人が、どちらかというと少し目を逸らしたいという、そういうテーマになぜフィーチャーって言っていいのかわからないですけども、
するのか、そしてそのどんな部分に魅力や美しさって言ってるのかわからないですけど、感じているのかって、この辺のところから伺っていきたいなと。
そもそも、研究しようというテーマっていうのは、例えばここに画集がありますけど、視覚で感じられるものって共有できますよね。
これは視覚医だとか、画集だとか、松井冬子展のカタログだとか、そういうことって、すぐに視覚で共有できますよね。
でも、こう、つねった時の自分の痛みっていうのは、やっぱり共有することはできない。その孤独な感覚であって、
その痛みっていう感覚、個人が持っている痛みっていう感覚を、視覚を通じて共有できるんじゃないかっていうのが、そもそも私の研究の段です。
この辺っていうのは、ちょっとなかなかうまく言い表せないと思いますけど、日本画を転校された時からずっと追ってるテーマなのか、その辺っていうのは。
その辺はやっぱり、日本、呼び込むときは、まだ基本、絵を描くっていうことの基本を学ぶ場所で、もう本当にデッサンばっかりやってるんです。
で、東京芸大に入った時に、初めてその日本画の絵の具を使って制作していくっていう段階に入るんですね。
なので、ちょっとまず芸大に入って、まず絵の具とか画材に慣れる時間があって、あとテーマを自分で考え抜く。
それがやっぱり、私は4年間かかって、東京芸大の学部の卒業制作である、この世界中の子と友達になれるという作品で、
自分がやりたいことの方向性っていうのがやっと見えてきた。で、その4年間の間っていうのは、本当にもういろんなものを描いていったので、
とても今の、今ある作品群とはもう考えられないような、とっぴな作品ばかり描いてました。
それとインタビューとしては、ぜひ、例えばどんなものを他にも描いたのかっていうのは、ちょっと話せる範囲で。
三沢 はい、要するに勉強する、学ぶっていうのは、真似るっていう言葉から来ているもので、例えばアウトサイダーアート、それを自分の中で描けるだろうかって言って、
そういう、例えばそのデッサン力がない、美術的な教育を受けてない人の描く絵画っていうのを真似して描いてみる。
それから、要するに、まあそういうのも、あとは、なんかフェミニスト、完全にフェミニスト的な考え方で、ピンクのビキニパンツと着た黄色のネックレスでラブって書いてあるネックレスをして、にかって笑ってる女の子を描いてみたりとか、もうそれを、それを芸大の好評会に出したらもう失笑です。全然先生からも、えーみたいな。
痛みっていうところとか、病っていうところにある程度、まあ自然と絞りついたところあると思うんですけども、そこに美しさというか魅力というか、その辺っていうのはやっぱり感じるというか。
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たとえばその花が満開か七分咲きのときって、だいたい世の皆さんは美しいと、たとえばボタン満開よりちょっと前ぐらいかな。あのぐらいがやっぱり皆さん美しいと思われる常識的な範囲だと思うんですけど、
その常識的なその考え方の範囲をとにかく取っ払って、本当の美しさとは何なのか、自分が美しいと感じる瞬間は何なのかっていうふうに追い求めていくと、そのその七分咲きのなんかこうふわっと出てくるような瞬間だけではなくて、それがぼとぼとと落ちてただれていくような瞬間も、
結構美しいんだなっていうふうに実感がわくるから、何に美しいかと思うことっていうのは本当に個人的な感覚と言いますか、だと思います。
皆さんも知りたいと思うんですけども、どんな環境、時間、場所で、当然アトリエが軸だと思うんですけども、その絵は生まれているのかっていう。
あの、私が自宅とアトリエは全然別の場所にあるんですけど、歩いて5分ぐらいの近いです。結構すごい近いところにあるんですけど、アトリエは何丁ぐらいかな、ちょっと何丁かは思い出せないんですけど、そうですね、朝起きて大体10時ぐらいにアトリエに着いて、結構考えたりとかしてる時間がすごく長くて、
夜になるとものすごい集中するんですね。一番集中する時間っていうのが、やっぱり夜の11時ぐらいから2時ぐらいまで、その4時間がもうマックス、あっという間に過ぎる4時間で、その前後は結構、一応描いてはいるんですけど、一番集中するのはやっぱり11時から2時。
それが松井雄彦のゴールデンタイムみたいな。
大体そういう感じなんじゃないでしょうかね。
そうなんですかね。
アイデアが生まれる瞬間っていうのは、結構もう生み出そう、生み出そうと思ってもう頑張って頑張って、もう考える時って大抵出てこなくて、やっぱりリラックスしてる時とか、すごい考え抜いたけど出なかった、もうダメだって思った時に結構出てきたり。
で、私、家からアトリエの間にものすごく待たされる信号があるんですよ。もう3分か4分、5分で行けるところが、もうそこで10分になっちゃうぐらいのすごい長い信号があって、そこで朝僕信号待ちしてる時にきらめいた。結構そういう。
じゃあその信号が役に立ってるってことは。
そうですそうです。おかげさまで信号に感謝で。
これも一概に言い慣れてますけど、一つの絵を描くのに、じゃあこう定義しましょう。構想とか、構想期間って言うとそれこそ何年ってこともひょっとしたらあると思うんですけど、後でお聞きしますが、下図を描くとかを除いて、本番のものを描くのっていうのはどのくらいの期間なんでしょうか。
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例えば上層の持続って結構ちっちゃいですね。このぐらいの作品ですごく小さいですよね。
例えば絵の具のパレットありますよね。水彩のパレット、絵の具がもう敷き詰められていて、水をつけてちょっと描くとか油絵みたいにチューブでバーっと出してこうザーっと描く。
こういう描き方だったら結構もう1週間ぐらいで描けちゃったりとか可能性もある。ちょっと作品によって全然違うんですけど、日本画の場合はやっぱりもう絵の具を作るところから入らなきゃいけないんですよ。本当にもうめんどくさいっていうか大変な作業があって。
ニカワっていうボンドのような岩絵の具を、岩絵の具って日本画の絵の具で、例えばラピスラズリとか宝石の石がありますね。あれを粉々に砕いて砂とかパウダー状にしたものをニカワっていうジェルをちょっと混ぜて水を足してそれで描いて。
水彩なので画面を立てて描くことができないんですね。なので寝かして描くんですけど、そのニカワを作るのにまず3000本ニカワって棒状のもともとジェルになるんですけど、棒状のものがあってそれを煮込んで1時間か2時間ぐらい。
煮込むんですか?
そこから入るんですよ。1時間か2時間ぐらい煮込んで。
例えばゴフンっていう白い絵の具。日本画で使う白い絵の具っていうのはまた手間がかかって。ゴフンって貝殻から取れた白い粉になるものなんですけど、それを乳鉢でずっと吸ってできるだけ細かく吸って。
そこにニカワを入れて混ぜて団子状にして100回叩いて潰してお湯を入れて冷めるまで待ってそのお湯を吸っててまた赤子を撫でるようにずっと撫でて溶くみたいな。
一体何時間かかるの?みたいな。そういうことなので、日本画は本当に時間がかかってしまうんですよ、どうしても。ただその代わり保存はとてもいいというか、1000年以上も持ってますから。
千年?
そうですね。
私もちょうど今その質問をお聞きしたかったと思ったんですけど、ある意味描くという行為の前からも大変なんですね。
そうですね。でもその間って描く順序を頭の中でシミュレーションしてるので、結構静かでいい時間ではあるんですね。
ちょっと瞑想みたいなところがある。
あんまりボケとして今日何食べようかなとかそういう感じじゃなくて、この線のまず表側から描いたほうがいいか裏側から描いたほうがいいか。
この絵の具の上にこの絵の具を乗せたらちょっと粒子が荒くてうまく定着しないなとか、この色とこの色はうまく合わないとかそれも当然なんですけど、
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絵の具を乗せる段階の層をシミュレーションしながら、次はあの絵の具を作ってこの絵の具を作ってということを考えながらやってます。
今のその絵の具を岩絵の具でしたっけ。
その解くっていうのはもうこれはやっぱり常識なんですか?
なんかもう最初からできちゃってるものとかってあるんですか?
絵の具自体は結構市販で売られているのは、
例えば大きな石があってそれを砕いて、コーヒー用の砂糖、そんなに大きくないけどコーヒー用の砂糖ぐらいの大きさの粒のものが3番とか、
3番から13番、白って書いて白って読むんですけど、
一番細かいお化粧品のパウダーのようなものというふうに考えていただくといいんですけど、
例えばラピスラズリってすごい綺麗な群青色だとこんな感じの青だったりするんですけど、
それが3番っていう細かい絵の具で、だんだん細かくしていくので色が薄くなっていくんですよ。
13番、白になってくると本当にこんな感じの水色になっていく。
なので粒子の粗さと色の組み合わせと定着の率を考えないといけないので結構科学みたいな感じです。
すごいですね、そうか。
油絵のチューブ出してこの色とこの色混ぜてできましたみたいな、そういう感じでは。
そうするとかなり緻密というか。
計画が必要ですね。
描くときの精神状態、当然集中していると思うんですけども、完全に入り込んでいるのか、
一歩俯瞰して優待離脱しているような自分がいるのかっていう、この辺っていうのは。
描いているときは、基本は画面の全体を想像しながら細部を描いていく。
この全体像に見合った細部なのかっていうことを考えながら描いています。
これは結構元からある程度。
それはもうでも訓練ですね。
予備校の時からのどうやって描いていくかっていうのを全体を考えながら細部を描く。
それは結構ポイントですよね。
はい、そうですね。