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次が、集荷と言ってはいけないんですよね。
そうですね。運送屋が荷物を集めることを集荷って言うんですよね。全然間違いないんです。
さっきの話、運送業が仏像を集めに回るのは、言ってしまえば集荷なんですよね。日本語で言えば。
正しいですけども、さっき言ったように、うちの仏像は荷物なんて言われるっていうことになってしまうので、
実際には集荷っていう言葉はなるべく使わないように、借り出しとか釈養とかっていうような言葉で言うことが多いんですね。
さっきの話に戻りますけども、展覧会企画で作品を輸送することが99%と先ほど言いました。
例えばお寺の仏像を借りてきて、東京博物館で並べて展覧会をする。
例えばどっかの個人に借りてきてっていうのが多いので、借り出しというような言葉を使います。
やってることは集荷なんです。まさに荷物をトラックに積んでるっていうことを見ると。
ただ、そう言ってしまうと、特に個人のコレクターさんが、「集荷に来ました。あ、みかんはないよ。うちの花宝はあるけど。」みたいになるので、
自分は絶対使いません。
宝物をお借りするぐらいのことですよね。
まさにそうやと思います。個人でも花宝ですよね。
運ぶものから全部。
そしてお借りして、梱包。梱包は梱包でいいんですよね。包みとか言うのかな。
梱包。借り出しがあって梱包ってところだと思うんですけども、
このあたりで一番大切な、徳田さんが考えることっていうのはなんでしょうか。
スキルを生んぬんの前かなっていう気もちょっとしますが。
先ほど言ったとおり、心のこもってるものをどう運ぶかっていうことで、
確かに壊さないとか気をつけないっていうのはもちろんなんですけども、
まずね、持ってる方の満足されるようなことをしたいなと。何を望んだらいいのかなと。
いろんなニーズがあるんですけども。
例えば1分でできることを10分かかってやる。それがニーズならそうすると。
たぶん一般の、たとえば普通の酒を売ってる集会だったら、
玄関先でチャッと進んでチャッと持っていくのが、
いかんせん美術品を運ぶときには逆に、
あんまりさっきの弾傘の前回りを、あんまりスマートさを追求するとダメな。
それはそのときの雰囲気を見てやりますし。
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まず持ってる方が満足されるように、一番に考えますね。
まずその覚えというか、そこのところからっていうことを今伺いましたけど、
その上で、やはり僕ら知らない人間からすると、
実際どういうふうに梱包してるのかとか、
写真だったり、技術的なところを伺いたいんですけども、どんな感じなんですかね。
これはね、京都の佐賀の釈迦堂という作業地の。
これが梱包前です。
これは、ポッドキャストを聞いてる方にも解説すると、木の…。
木製のわけに、基本的に仏像も木なんですよね。
木の仏像というのは、お寺の中に漆器も含んでるし、
そういったことで漆器まで一緒に閉じ込めるようなことを考えて、
通気性の紙とか綿とかで梱包をしております、中の方。
今この木の枠見えてますけども、実際にはこのまま移送するんじゃなくて、
この枠ごと大きな、もう一個頑丈な箱に入れて運ぶということです。
この木の枠っていうのは、これ仏像?
仏像です。
仏像の大きさに合わせて組んでるんですかね。
そうですね。基本的にワンオフです。特注これ用なので、それに合わせて作っております。
この写真、右下側のほうは、これも木の箱?
木の箱ですね。
銀色に見えるのは木の箱?
あれはね、基本的に中の漆器、目の前にある箱なんですけども。
今ここにもありますね。
アルミ?
アルミの融着したシートが貼ってあって、
要は正直ね、ある意味で作ればいいんですね。
ある意味でジュラルミンで作ればいいと思うけど、
この箱をジュラルミンで作ったらコストがたぶん10倍、20倍すると思うので。
まあ木製が多いんです。実際問題は1回限りなので、まあ木製です。
ただし木製だったら空気の流通がするので、
ということでこういった融着する銀紙みたいなのを貼って、
それで空気の流通をなくそうと。
この中に先ほど言った仏像本来の湿度も封じ込めてるし、
この箱の中で湿度をコントロールしようと。
だから湿度調整器材は入っております。
ちなみに仏像の最適な湿度とかって何かあるんですか?
たとえば小屋さんってことなんですかね、山の上。
小屋さんの湿度は90%ぐらいですかね。
そんなあるんですか。
で普通の、たぶんここの缶は55%ですか。
まあ一般的に55%ぐらいなんですよ。博物館、美術館、最適な。
お寺は高いです。小屋さんは山の上なので特別に高いですけども、
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一般的に高いので、高いからこの中もなるべく高く持ってきますけども、
持ってきて博物館で55%になるのは、
博物館もいくら焚いても60%ぐらいしかならないみたいなんですね。
それはもうしょうがないので、徐々に徐々にシーズニングっていって、
徐々に徐々に湿度を下げていって、
急に下げると木造がひび割れとかしてしまうので、
特にそういうのがないようにと思ってるんですけども。
やっぱり効率とかスピードとは逆に対極なところですよね。
効率的にやりたいところはあっても。
そうですね。もう目的は一つ、現状維持。それだけですよね。
現状維持が目的って、なかなか普通の仕事とはちょっと違いますよね。
ただ、リスクはありますよね。持つんだから、
例えば外れるかな、痛むかな、多少迫略するかなとはあるんですけども、
目指すは現状維持。