1. ラジオ美術館
  2. vol.8-4「緊張感との戦いを経..
2012-03-28 13:38

vol.8-4「緊張感との戦いを経て」

作品を無事に搬入した後には、展示作業も担当します。終始緊張を強いられる作業と想像してしまいますが、その恐怖はどうやって克服しているのでしょうか。最後にはエジプトでの研修など、最近の活動についても伺いました。











MP3ファイル



サマリー

美術品の輸送や展示の重要性について、徳田さんの経験が語られています。特に、展示時に求められる専門性や緊張感との向き合い方、さらに仕事のやりがいについて深く掘り下げています。エジプトでのプロジェクトを通じて、梱包技術や文化の違いについて学んでいる様子が描かれています。この経験を通じて、日本の技術を伝える中で直面する課題や得られる教訓が語られています。

美術品輸送と展示の重要性
無事に積んで、また搬入して展示、そして搬出っていうステップがあると思うんですけども、やはり今回ね、徳田さんとこういうインタビューさせていただいた機会をいただいて、やっぱり思ったのが、
運ぶだけじゃなくて、展示っていうのもすごく重要な部分なんだなと思ったんですけど、この展示のあたりはどのくらいまで専門性を求められているんですか?
正直言うと展示も100%やります。
100%ですか?
運送業なんですけども、展示業も100%やります。
というのが、美術品輸送というのは、普通貨物はドワドワとか、玄関から玄関を運ぶ、玄関まで運びますっていう貨物輸送はあると思うんですけども、
美術にかけると、ウォールトゥウォールって言うんですね。
壁にかかってる作品を取り外して、どっかの美術館の壁にかけるっていうところまでが一貫輸送と言われてるんですね。
だからまず、かかってる状態を見ました。
で、おろして、専門家がする店も点検をしました。
で、我々が継ぎました。
車に着きました。
で、どことか走ってきて、横浜美術館に着きました。
展示会場まで運びました。
で、開けて、大丈夫か見えます。
大丈夫だったら壁にかけます。
壁にかける方法、やっぱりかけ方もあるので。
もちろんスタンダードなかけ方はあると思うんですけども、
やっぱりこんなの人に見せるんで。
そうですね。ただやればいいっていうもんじゃないですかね。
ただそこに置いたらいい。
ただそこにじゃなくて、人が見やすいようにとか、
逆に展覧会のコンセプトに合うような展示方法をもちろん一緒に考えるし、
そういう指導も受けながら、
学園生さんのイメージつけてるようになるように展示もするし、
あと、例えば光を当てるとか。
そうですね。光も結構大事ですよね。
あと、よくキャプション、名札ですけども、名札も見やすいようにとか、
どこに置いたら見やすいのとか、どの高さが見やすいのとか。
全部100%やってるってことか。
そうですね。そこまでが、そのウォールトゥウォールの中に入ってる。
当然、今一連の海外から国内から運ぶ運送のところから展示っていう話がありましたけど、
展示だけ、例えば横浜美術館もそうだと思いますけど、
展示外みたいなものってあると思うんですけど、館内だけの。
それだけでのそういうお仕事もあるんですか。
そうですね。そういった仕事も多いですね。
展示業務の緊張感
多いですか。
よくあります。
例えばここの横浜美術館の常設展っていうのは、
すべて美術館の所蔵品だと思います。
預かってるものはあるかもしれないけど、
基本的にここの収蔵庫、蔵に入ってるものを、
ここの展示室で飾るっていう仕事もさせてもらってます。
大型館は多いですね。
小さな館で自分らでっていうとこももちろんあるんですけども、
大きな館は、輸送といえば何の輸送かな。
廊下を運ぶのが輸送かなって感じがするんですけども。
すべてそういう意味ではそうですよね、輸送ですよね。
なるほど。
今この反日本展示・反室、そして初めてさっきのこの画像、
もう一回変能のときにこういう写真があるってことですよね。
そうですね。同じことをしてます。
そこの最後の最後まで、本当気が抜けないですよね。
そうですね。本当にそうですね。
こういうのやったら、意外と後半端ですけども、
国内でしたら、収めて壁にかけるまでは気が抜けないというか、
そこまでは責任なんで、それが終わって初めて終わったって感じはしますね。
そうですね。しかもましてや海外となると、業務的には海外の場合はここでおしまいですけど、
でもやっぱり愛着はあるから、本当に無事に着いたから心配ですよね。
だからこのときのクーリー、例えば日本から来てたクーリーに後でどうやったみたいな。
よかったみたいな。
よく言うのはね、これはヨーロッパの梱包より、同じにして返すんですけども基本的に。
ただし同じじゃ悔しいので、日本流の梱包に直して。
っていうのは責任持てないですからね。
そのままで壊れへんって、絶対壊れへんってそのままでいいと思うんですけども、
ちょっとこれやばいんちゃう?
洋服着たけども、これダメだよねってなると、
もちろん了解を得ますけども、
自分たちの責任を受けるような梱包をしないと。
壊れてもいいから包んでとか言われたら、もうしたくないですからね。
だからその辺はきっちりとやってます。
そんなんで評価をいいなーみたいな言われたこともあるんですね。
嬉しいですね。
最後にもう少しだけお聞かせいただきたいんですけども、
やはり今の話にかかってもですね、やっぱりほんのちょっとの失敗も。
普通の仕事だったら、失敗しても次があるようだと思うんですけども、
なかなか特にそういうふうにはいかない仕事だと思うんですけども、
そういう世界の中でね、やっぱりその恐怖っていうのは、
いつになっても慣れることってないんじゃないかなって思うんですけど、
そういう恐怖とか緊張感っていうのは、実際どう戦うというか。
例えばね、本当に恐怖でした。ずっと。
ほんまにもう辞めたいぐらい。
でもね、結局それは準備って言うんですか?
調査準備。
あーやっぱりそこですか。
もうそれしかないんですよね。
本当にやってみるとわからないので。
例えば机の上で考えるときはすごいビビっておりました。
ビビりっぱなしでした。電話とかでね。
でも、ビビってたけど、いざ今日これをつつぶってやったら、
そんなんこっちがビビった顔を見せられへんし。
確かに心配になりますよね、それこそ。
任せて安心みたいな。大丈夫、これで行くから。
これで行けますからって、すごいビビりながらビクビクでしたけどね。
できたら見てみーみたいなね。できてから言いましたね。
そうか、じゃあ実際ビビってるときはあったってことですね。
ありますあります。もう多いですね。
本当にそんな大きいもんじゃなくても、
小さな、たとえばお茶碗でも本当にどうなってるのかなと思う。
それは大丈夫と思ってやってますけども、
やっぱり100%ではないので、99.9%ぐらいは思ってますけども。
あとはちょっと不安は何にせもありますよね。
なかなか一概には言えないですけど、
精神状態とか集中力って関係あると思うので、
その辺、そうやって普段忙しいので、
しょっちゅう悟り開いてるような状態じゃないと思うんですけど、
少なくても当日は、シンプルに考えるとすごく早く検知に行くとか、
そういうゆとりを持つように心がけてたりとかってありますか?
さっきの話に戻るけども、完璧な準備をしたら、あとは何も考えないと。
もうやることはやったし、あとは設計図書けたし、そのとおりやるよみたいな。
設計図書き終わるまではビビってるけども、できたらもうあとは。
だから当日はけっこうノンホンとしてるかもしれない。
仕事の醍醐味
あーある意味。そっかそっか。
やっぱりそこの準備のところで全力注いで、もちろんあとはそのままにしたくて。
あとはそのレールに乗ってそのままっていうのが。
最後になんですけども、この仕事も31年やられてきて、そして今更新の育成もされていて、
改めてなんですけども、この仕事の一番の醍醐味っていうのを徳田さんご自身の言葉で語っていただけると嬉しいんですが。
いろいろありますが、まずですけども、
みなさま、一般の人がお金を払って見るだけのものを、ただで触れるっていうのは。
そっか、触れるんですねしかも。
ペタペタって言われなきゃいけないでしょうけど。
最近でこれはいいなと思ったことは、ルーブル美術館展だったかな。
すごい混んでる美術館展でした。
普通は行かないんです。展示したらもう絶対行かない。
どこにあるのか何があるのかわかってるので、見ても面白くないから見にはいかないんですけども。
なんかの表紙に見て、すごい人やと思って、まあそれはそれでおしまい。
片付ける日、初日です。二日目はだめですよ、絵が減ってまうから。
初日に、とあるこれから片付けますよと。
5つぐらい部屋があったらどこかでやろうって話になって、
何かのタイミングで、自分が一人で、そんだけ混んでる部屋が一人になったんですね。
とある美術館の一部屋にルーブルの絵がいっぱいあって、一人で。
すごいなあ、これ一人か足切りか。
たぶん何分もそこでじっくり見て、これは幸せだろうなあ、これって優雅なんちゃうの?
なるほど。普通の人とは確かに違う時間、空間を過ごされてるんですね。
今最後にお聞きしましたが、肝心なことをお聞きするのを忘れるところでした。
今後のお仕事の目標とか抱負っていうところでもですね、
先ほどエジプトの話が少し出ましたが、最後にそのあたりもお話しいただけるとうれしいなと思います。
エジプトでの梱包技術
エジプトで、今そういうプロジェクトにちょっと入ってまして、
エジプト人の養成っていうのをやらせてもらって、
我々は、輸送のための梱包技術を日本流で教えてます。
それこそ先ほどの道具とか。
そうですね、同じこと。この壺は日本の壺です。
向こうこんな壺たぶん時期なんかないのかな。あっても形が違う。
準備体操をしました。
まず、準備体操を教えました。
ラジオ体操みたいな。
向こうはそんな文化ないんですけども、
まず準備体操をして、自分の体を守ろうというところから、
これ何を教えてるかというと、これです。
さっきの紙ですね。
ちょうちょ結びを教えてる。
ちょうちょ結びそこはエジプトの人は知らない?
うーんとね、あんまり意識はしてないけど、
向こうは包むっていうのは、例えば包むのは包むんですけど、
包んだらテープでグルグルって巻いておしまい。
梱包って、はい梱包。
ほどくでどうするのって、勝手でビューって切ってほどく。
でも本来、われわれは、ほどくときにもほどきやすいように、
例えば結ぶならちょうちょ結びとか、団子結びって言うんですか。
してしまうとほどけないじゃん。
さっきも何度も言ったけど、かしかりなんで、
包んだらほどくのは絶対もう。
包んだらほどいておしまいなんで、
誰がほどくかは別にして、ほどくことをもちろん想定してやってます。
そんなこともあって、向こうでちょうちょ結びを教えてる風景ですね。
文化の違いと学び
そこから教えるんですね。
で、実際に異物の梱包。
これエジプト人で、向こうの博物館の修理スタッフ。
だから実際に梱包する人ではないというか、
梱包がメインの人じゃないですけど、修理をしたり。
ただ館内で輸送されるので、展示も将来されるということなので、
そういったハンドリングもやりますし、梱包もするということで。
で実際に、あんなちっちゃいものばっかりじゃないですよね。
逆に石ばっかりですよ向こう。
石ですね。
だからこういう機械を使う。
これは機械を使う、重たいものを使うスタッフなんですけども、
男性ばっかりなんですけども。
次はこういうクレーンを使う。
安全に。
向こうも多分多少は使うんですけども、
向こうの人は安全とか考えないんですね。
人の安全も考えないし、作品の安全をまず考えないんですよね。
たくさんあるので壊れてもいいらしい、多少。
そういうか。
ほんまにほんまに。
びっくりしました。
向こうのすごい偉いさんが日本に来て、日本でも研修をしたんですけども、
我々これから10万点運ぶという話が……いいですか?
はい、せっかくなのでもうちょっと。
エジプトに新しい博物館ができるんですね。
今作りかけてるんですけども。
それに10万点運ぶというのは決まってて、
そのために梱包の仕方を教えてっていうことなんですね。
保存・修復も含めていろんな。
で、10万点運ぶときに、2通3なら何パーセント大丈夫?って言われたときに、
いやいや100パーセント大丈夫だよって。
10万でも100万でも100パーセント壊さないよって。
うそー。
10万円だよって。
たぶんね、わかんないよ。
アラビア語なんで。
でも雰囲気はそんなん。
うちは90パーぐらいでいいよって。
いいよって。
90パーならOKみたいな。
だから10万円のうち1個壊れてもええって話。
それなら簡単ですよね。
それならやる気もなくなりますけども。
逆にね。
そんな文化のところに、我々は今言ってるのは100パーセントを求めて、
もちろん作品も素晴らしい、人も素晴らしい。
向こうの人の文法練習をやらせてもらっております。
もちろんこれがメインじゃなくて、
私言いましたように、社内教育がメインなので、
社員全員が自分と同じように教育できるようになってもらうように頑張るようには指導しております。
そんな中でですね、今海外で国内で指導を続けていく徳田さんの話があって、
皆さんもぜひですね、これから美術品を見るときに視点がひとつまた目の前の絵だけじゃなくて、
そこまでにはいろんな苦労があったかなっていうのを、
たぶんより一層理解を深めていただいたと思いますので、
そうした形でまた見ていただければと思います。
ということでここまでお届けしてきましたラジオ美術館。
今日はゲストにですね、日本ツーン株式会社の徳田秀政さんをお迎えしてお話を伺いました。
徳田さんどうもありがとうございました。
13:38

コメント

スクロール