今回から新テーマ!
ほんのれん vol.17「スマホ中毒?」です。
スマホやデジタルデバイスの登場によって、できるようになったことは?できなくなったことは?
知らず知らずのうちに依存しがちなスマホやデジタルデバイスと、私たちはどう付き合っていけばいいのだろう。
脳科学や心理学や歴史など、多様な観点から考えていきます。
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<今月のEditor’s Note>
スマホ・サイボーグ
2024年の世界の統計レポートによると、16歳から64歳の インターネットユーザーは、1日平均6時間40分をスクリーンタイムに費やしているそうだ。年間で約101日に相当し、成人 期の17年以上をスマホを眺めている計算になる。
これをどう見るか。一瞬ゾッとするのだが、今や私たちは 24時間365日スマホと一緒にいるわけで、「ヒトとスマホの深 い仲」は、こんな数字では語れそうにない。
なにせスケジュールも、目的地へのルートも、家族の思い出も、財布も、気晴らしも、 絶対に晒せないような超個人情報も、すべてスマホの中なのだ。スマホは便利なツールを超えて、私たちの脳や心と一体化しているのかもしれない。
歴史をふり返ると、人類はさまざまな発明を繰り返し、そのたびに自分たちをもアップデートしてきた。認知科学者アンディ・クラークは、ヒトが道具を自らの一部として取り込んでいく特性を「人間は生まれながらのサイボーグだ」と言った。
スマホによってヒトはどう変わるのか。何を得て、何を失う のか。危険性はどこに潜んでいるのか。5冊の本で、問題を あぶり出してみたい。
(編集長・仁禮洋子)
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▼エピソード目次
・今月のテーマは「スマホ中毒」
・「中毒」と「依存」はどう違う?
・addictionの語源は「奴隷」
・「ネット依存症判断テスト」やってみよう!
・スマホで見ちゃうのは何? YouTube?ゲーム?メルカリ?
・一気にわかる依存症の歴史『僕らはそれに抵抗できない』より
・1万3000年前にも依存症患者がいた!?
・粘土板にアヘン調合法を刻んだサマリア人
・フロイトはなぜコカイン依存症になったのか?
・コカ・コーラは南北戦争が生んだ
▼「スマホ中毒?」を考える「ほんのれん」旬感本はこちらの5冊!
(1)『スマホを捨てたい子どもたち ─ 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』山極寿一(著)ポプラ社 2020
(2)『ATTENTION SPAN (アテンション・スパン) ─ デジタル時代の「集中力」の科学』グロリア・マーク(著) 依田卓巳(訳)日本経済新聞出版 2024
(3)『僕らはそれに抵抗できない ─「依存症ビジネス」のつくられかた』アダム・オルター(著)上原裕美子(訳)ダイヤモンド社 2019
(4)『習慣と脳の科学─どうしても変えられないのはどうしてか』
ラッセル・A・ポルドラック(著) 神谷之康(監訳) 児島修(訳)
みすず書房 2023
(5)『人類を変えた7つの発明史 ─ 火からAIまで技術革新と歩んだホモ・サピエンスの20万年』Rootport(著)KADOKAWA 2024
▼登場した本
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン (著), 久山葉子 (翻訳)新潮社 2020
『スティーブ・ジョブズ』ヤマザキ マリ (著), ウォルター・アイザックソン (原著)講談社 2013
『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』マイケル・ボンド (著), 竹内和世 (訳)白揚社 2022
『フォークの歯はなぜ四本になったか』ヘンリー・ペトロスキー (著), 忠平美幸 (訳)平凡社 2010