1. 近藤淳也のアンノウンラジオ
  2. #26 イタリアンシェフであり唐..

今回のゲストはUNKNOWN KYOTOのレストラン「sin -dining bar-」のシェフ大野さんです。

小学校時代からあった料理への興味 / 波乱万丈なイタリアンレストランでの下積みとからあげ屋への転職 / 古巣への復帰と独立


【ホスト】 近藤淳也 株式会社OND代表取締役社長、株式会社はてな取締役、UNKNOWN KYOTO支配人、NPO法人滋賀一周トレイル代表理事。トレイルランナー。ときどきカメラマン。 2001年に「はてなブログ」「はてなブックマーク」などを運営する株式会社はてなを創業、2011年にマザーズにて上場。その後2017年に株式会社ONDを設立し、現在もITの第一線で働く。 ⁠⁠⁠https://ond-inc.com/⁠⁠⁠

【UNKNOWN KYOTOについて】 築100年を超える元遊郭建築を改装し、仕事もできて暮らせる宿に。コワーキングやオフィスを併設することで、宿泊として来られる方と京都を拠点に働く方が交わる場所になっています。 1泊の観光目的の利用だけではなく、3泊〜1ヶ月以上の長期滞在される方にも好評いただいています。⁠ ⁠⁠https://unknown.kyoto/⁠⁠⁠

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Table of Contents

大野晋のプロフィールと料理店の紹介
近藤淳也
近藤淳也のアンノウンラジオ
大野晋
こんにちは。こんにちは。
近藤淳也
今日は大野晋さんにお越しいただきました。
よろしくお願いします。お願いします。
大野さん、ついに満を辞しての登場ということですけれども、
アンノウン京都のレストラン、シンさんのシェフで、店長さん。
なんて言うのですか?
今お一人でお店全部やっているレストランの大野さんです。
大野晋
よろしくお願いします。よろしくお願いします。
近藤淳也
そしてアシスタントは、今日は牛島さんに来てもらいました。
お願いします。
じゃあ、大野さんの回ですけれども、
ちょっと簡単な自己紹介をまずお願いしたいでしょうか。
大野晋
わかりました。
京都生まれ、京都育ちの、今年41歳になります。
ずっと京都で飲食店で仕事をしてきて、
ちょうど3年半ぐらい前になるんですね、もう。
で、アンノウンさんの開業の時に声をかけていただいて、
レストランの方で、そこから今までずっとやってきている感じですね。
過去はイタリアンのお店と唐揚げ専門店とで修行してました。
大野さんのお店のシンさんは、まずお昼が今定食っていうみたいな。
定食丼ぶりですね。
近藤淳也
ランチが食べれて、夜はイタリアンのレストランだって言ってる感じですね。
お店がシンダイニングバーです。
唐揚げの名物定食とイタリアンパスタのメニュー紹介
近藤淳也
っていうお名前で。
Googleマップで検索すると、なかなかの高評価の値が。
大野晋
そこは僕はあんまり気にせずに。
近藤淳也
そうですか。
名物は何ですかね、唐揚げですか。
大野晋
唐揚げですね。
やっぱりもう昼はもちろん定食で唐揚げ食べれますし、
夜は夜で単品で、名前がちょっと違って、
一応イタリアンのお店っていうふうにやってるんで、
ポロフリットっていうちょっとイタリア語にして。
物自体は全く一緒なんですけど。
ポロフリットっていうのはイタリア語で唐揚げなんですか。
ポロっていうのが鶏肉、
で、フリットっていうのが揚げ物みたいな感じなので。
僕もちょっと不確かなまま使ってたんですけど、
これもイタリア人のお客様が来てくれあったときに、
合ってるって聞いたら、合ってるって言ったので。
大丈夫でした。
一応こう聞いたんで。
聞けば聞けば。
あ、そうなんすね。
それで全然いけると言われたので。
近藤淳也
まあね、唐揚げのいろいろメニューがありますし、
他も定食も結構ね、割とボリュームがあって。
大野晋
そうですね。
やっぱりお腹いっぱいになってもらって、
あまり時間がかからずに提供できるっていうのがベストかなと思うので。
値段に関してはね、最近も物価の高騰もあって、
なかなかすごく抑えて提供するっていうのは難しくなってきてるかなとは思うんですけど、
それでも変わらずに来ていただけるお客様が多いので、
喜んでいただいてるのかなとは思いますね。
近藤淳也
そうですね。全然リーズナフルだと思いますし。
そうですか。
まあね、800円、900円とかで割としっかりした定食食べれて、
すごく重宝させてもらってますし。
だいたいね、唐揚げ以外のメニューもおいしいんで、いつも迷うんですけど。
個人的にはもう職場の横においしい定食屋さんがあるっていうのは、
かなり何も迷わずに扉を開けて、ちょっととにかく食べようかみたいになるんですけど、いつも。
大野晋
そうですね。周りにもあんまり競争相手というか、
フラッと入れるお昼食べれるとこっていうのがないのかなっていうのもありますし、
どうしても茶色いメニュー、揚げ物とかが多くはなるんですけど、
そういうのが好まれるのかなと思いますし。
大野晋
茶色いメニューっていうのにな。
メニュー、写真載せてるんですけど、
お世辞にもすごいカラフルやなとは言えるような感じではないんですけど。
確かに茶色系多いか。
揚げ物やったり。
揚げ物とかカレーもあるし。
カレーとかハンバーグとか。
色取り豊かとはとてもじゃないけど言えない。
近藤淳也
茶色系か。
なるほど、色で考えたことなかった。
大野晋
でもお客さんに聞いてると、
やっぱりお昼はそういう揚げ物系とかがっつりしたのを気にせず食べれるって言ってくれたよね。
夜ちょっと抑えたはる人とかでも、
その分お昼ちょっと揚げ物どうしても食べたいとかいう人が多いので、
まあまあいいのかなと思うんですね。
近藤淳也
僕も個人的には唐揚げ系とか、あとはルーローハンとかね。
大野晋
そうですね。
カレーとか、その辺のヘビーローテーションとか。
何でも作りはんなってイメージです。
牛島悠紀
ジャンルが幅広いっていうか。
近藤淳也
ここでなんかあれですよね、近所で建築現場とかが始まると、
大野晋
そういう人しか来てません。
近藤淳也
やっぱそれがっつり系食べたいみたいな感じですかね。
大野晋
そうですね、ご飯もおかずも両方お盛りにしてくれて。
お盛りは無料なんでしたっけ?
お盛りは、昔はご飯はお盛り無料やったんですけど、
先ほども言ったように、物価がちょっと、
仕入れ材料費がちょっと加算できてるので、
ご飯のお盛りもちょっとプラス50円とか、
おかずのお盛りも200円、物によってはプラス300円っていう風にさせてもらってて、
その辺だけちょっと。
ただまあ、でも大盛りにしなくてもお腹いっぱいになるんじゃないかなとは思うので。
牛島悠紀
結構ご飯があるから。
近藤淳也
結構女性の方はね、ちょっとご飯少なめで。
大野晋
そうですね、女性はご飯少なめって言われる人が多い。
近藤淳也
最近パーセンテージ指定する人結構多い。
大野晋
慣れてきて、60パーでとか。
ご飯7割とか言われる。
牛島悠紀
刻むなーみたいな。
感覚が色々。
近藤淳也
そして夜はイタリアンですけど、
イタリアンの方の名物というかおすすめは何か?
大野晋
そうですね、やっぱりパスタを食べていただけたら嬉しいなっていうのがあって、
作るのも僕自身楽しいですし、
おいしいもの作れるっていう自信がある程度あるので、
そうですね、パスタ。
メニューも一番パスタが種類多いんじゃないですかね。
十何種類とかちょっとあるので、
ベーシックなカルゴナーラとか、ペペロンチーノとか、ハラビアタとか、
ある程度誰もが知ってるようなメニューから、
ちょっと独自でやってるちょっと変わったメニューも色々とあるので、
あとは、慣れてこられたらトマトソースって書いてあるけど、クリームソースにしてほしいとか。
慣れてこられたら。
そういうのも言っていただけたら対応できるときはするので、
注文の難しさ
大野晋
それとしてもお客様が多かったり、バタバタしてるときやと難しいときとかはあるんですけど、
タイミング伺って、今いけそうやなみたいなときに言ってくれあったら。
近藤淳也
たまにいますね、すごいマニアックな注文してる方。
そうですね。
そんなメニューあったときみたいな。
大野晋
これにこれ入れてとか、これとこれでやってとか言われて、
平然とわかりました、いけますよって言ってますけど、
作ったことないしどうしようかなとか。
近藤淳也
そういう場合もあるんですか。
大野晋
ありますあります。
味の保証はできないよみたいなことですか。
でもある程度のレベルには持っていけるっていう自信があるので、
さすがにそれはっていうのは、いくことをかわすようにはしてるんですけど。
さすがに。
近藤淳也
そうなんですね。
大野晋
それでもいいねってなったら、
ほな、知らんけどいいって言って全然いかまへんってなるんで、
近藤淳也
そういうときは。
大野晋
そうなんですか。
前、その1周年のときですかね、
唐揚げでスパゲッティしてって言われて。
近藤淳也
唐揚げでスパゲッティ。
大野晋
そうですね、唐揚げ揚げてスパゲッティと、
そのときはたぶん海苔とわさびとちょっと和風だしみたいなのをちょっと使って、
2人前ぐらい作ってカウンターでバンって出して、
めっちゃおいしいなとは思ったんですけど、
感想聞くにあったんで、出すだけ出して、
違うテーブルに僕に逃げました。
でもおいしかったら出てもらえて。
ほんとですか。
はい。
近藤淳也
それはじゃあ唐揚げ以外のその味付けはもう大野さんが自分でその瞬間アレンジして、
海苔とかつけようかみたいな。
大野晋
そうですそうです。
近藤淳也
したんですか。
大野晋
唐揚げもスパゲッティも。
牛島悠紀
ちゃんと和風に持っていかんのがすごいなと思って。
私たぶんごまかしてミートソースとかで変に肉がかぶって、
上にポコって唐揚げ乗ってるぐらいの感じしか思いつけない。
大野晋
唐揚げの味がたぶん和風、洋風より和風な感じ、醤油味付けてるので、
そっちのほうが合うかなとか。
絶対素晴らしい。
なるほどね。
こうやってるのが楽しくなってくると、やっぱそういうのが出てきますね。
料理人の繊細さ
牛島悠紀
逆にこう、そういう無理難題じゃないけど、挑戦してくるようなこと言われると燃えるんですか?
大野晋
それはその時の本当に自分のテンションであったりとか、その辺がちょっとかかってくるかなって思いますね。
なるほど。
自分の中でこう、やっぱこう。
近藤淳也
余裕があれば。
大野晋
そうですね、余裕があるのと、ランナーズハイみたいな感じですかね。
料理人でも僕はあると思ってて、すごい忙しいけど、ばっちりはまってる時ってだいぶハイになるんですよ、僕はですけど。
牛島悠紀
なるほど。
大野晋
その時は何言われても、なんかなんぼでも濃いやんみたいな感じになる。
近藤淳也
じゃあ逆に忙しくても、そのモードに入っていると、なんでもいこいよっていう感じなんですか?
大野晋
そうですね、ゾーンみたいな感じです。
近藤淳也
そうなんですか。
大野晋
多分それに入るのは、僕はそれに入るのはなかなか難しくて、結構繊細なところがあって。
一個でもかけると、一気に落ちちゃうんですよ、僕。
近藤淳也
加点じゃなくて減点みたいな感じなんですか?なんか引っかかりが一個マイナスがあると。
大野晋
忙しいと、その次の手、その次の手っていうのを全部こう考えながらやるんですけど、それが一個かけ違えてたり、何かタイミングずれたりとか、
自分のミスで、ちょっとずれたってなると、スターンって、もうそのゾーンから抜け出してしまって、あーもういいやってなる時があります。
牛島悠紀
結構完璧。
大野晋
そうなんですよ、それが。
近藤淳也
あーなるほど。
でも僕もちょっとそういったことがある。
なんか似てる気がします。
たまに、なんかあーミスったみたいな。
なんかあの、どっか行く時とかさ、ちょっと道間違えたりとかするとめっちゃ落ち込んでます。
大野晋
あーそう、そういう感じで。
近藤淳也
なんか道間違いだけはしないぞみたいな、なんか変なプライドがあって、もうそれにするとなんか全て、全てが終わった。
牛島悠紀
自分の得意分野で。
近藤淳也
そうそう、得意分野で。
牛島悠紀
自信があるからこそ、ちょっと失敗する。
近藤淳也
でも横から見たらね、ちょっと道間違えるなんて、そんなの普通やしみたいな人たぶんいっぱいいるんやろうなって思うんですけど、
何か取り返しつかへんみたいな。
牛島悠紀
気にしすぎじゃない?みたいな。
近藤淳也
あーでも大野さんもそういうとこある。
大野さんも本当に些細なことをですね、使ってるトングを元に戻す時にちゃんと戻らなかったりとか。
牛島悠紀
そんなことでも。
料理の手順とか以外の部分でもあるんですか?
大野晋
そうですね、もう本当に、容量の良さと手の速さっていうのはちょっと自信があるんですけど、そこでミスるとやっぱりへこむんですね。
自分の自信のあるところで、だから一緒ですよね。
道間違いのあるところでなんかちょんぼすると。
牛島悠紀
置き間違えたみたいな。
大野晋
そうですね、とか、何かこう取る時に手が引っかかって何かをカシャってひっくり返すとか。
牛島悠紀
あーなるほど。
近藤淳也
そういうのを許せないみたいな。
大野晋
何かこぼしたらもう無理ですね。もう嫌ってなる。
私も多分もうズタズタすると思うから、こぼしまくって。
牛島悠紀
ご飯炊き忘れたとかね、もう。
食べられないですね、もう。
大野晋
あーそういう感じなんですね。
手際のよさとミス
牛島悠紀
手際がね、むちゃくちゃすごいなっていつも思ってます。
近藤淳也
そうそう、手際。
牛島悠紀
何品作れるんですか?
近藤淳也
あれなんか、だって同時にいろんなことやるんですよね。
なんかその、忘れててその麺が伸びすぎたとかならないですか?
大野晋
その対策できる、たとえばその麺茹ですぎないように必ずタイマーかけるとか、
オーブンで焼いてるものも絶対何かしらタイマーかけるとか、
何かが、そのタイマーが鳴ると何やったかなっていうのは一通り頭で入っているんで。
近藤淳也
じゃあ全然そういうのはミスしたことは?
大野晋
いやでもたまにありますよ。
何か焦げ臭いなって思ったら、何かパンが真っ黒になってたりとか。
近藤淳也
大野さんもさすがにそれはあるんですか?
大野晋
ありますあります。
近藤淳也
いや、だってね、今もう厨房一人でずっとされててね、同時に何個も一緒に作られてて。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
どうやってるんやろうっていつも見てて思いますけど。
大野晋
まあまあできるだけそういうのがないようにミスするとやっぱ時間のロスと、
自分の気持ちのダウンにもなるので。
牛島悠紀
ごめんなさい。
近藤淳也
オリジナルメニューのリクエストは北尾さんとか?
大野晋
はいはい。
北尾さん?
ひがしさんですかね。
近藤淳也
ひがしさんか。
だいぶ色々、何か食材持ってきたりしてました?
大野晋
一番最初、何かお肉をいただいたか何かで、生肉やったんで、これどうしようもないんですけど、
ちょっと焼いてもらっていいですか?っていうところから始まって、
それで、ちょうどコロナでお客さんも全然いないときやったので、
ちょっとこんなん、何かない何かないみたいなんで。
近藤淳也
肉自産できあった?
大野晋
はじめはそうですね。
近藤淳也
で、どうなったんですか?
大野晋
塩コショウして焼いたりとか、タレみたいなもあったんで、それつけて焼いたりとか、
近藤淳也
なんか部位が違うかったんで、その場で食べ比べしたって。
大野晋
そっからですね、そっからその、例えば夏場にちょっと冷たいパスタやってほしいとか。
なんか、そうっすね、つまみのなんかとか。
近藤淳也
だってなんか大野さんの裏メニューってアプリができましたよね。
大野晋
できましたね。
あれはそうだ、ひがしさんが作ってましたっけ?
近藤淳也
北尾さんが作ってたのは何やったっけ?
大野晋
いや、北尾さんは分かんないっすね。ひがしさんじゃないですか。
あ、そうか。
近藤淳也
なんかあの時期、なんかそのアプリ作りが流行って、
なんかその、いわゆるアンノウンにマンスリー滞在してた方々がね、
なんかいろいろアプリを作り始めて、みんな、なんかそのノーコードでアプリが作れるっていうのがあって。
で、なんか気づいたら大野さんの裏メニューみたいなアプリができていて。
大野晋
あれはひがしさんが。
ひがしさんが。
はい。
近藤淳也
いや、すごかったですね、あれね。
大野晋
そうですね、リゾットとかもやりましたね、それも。
牛島悠紀
はい。
近藤淳也
何それ、そんなあるの?
もうじゃあ、来るたびにあのひがしさんは、
今日はこれいけますかみたいな感じで。
大野晋
そうですね、なんかその時は本当にもうお客さん全然やったので、
手がずっと空いてた状態だったんで。
僕もなんか言われるやろうなっていうので、ちょっと用意してた時とかもやりましたし。
はいはい。
近藤淳也
いやー。
大野晋
ありましたね、そういえば。
近藤淳也
面白かったですね。
大野晋
まあでもそれも勉強になりました。
近藤淳也
あ、そうですか。
はい。
でも最近はちょっとそこまでは。
大野晋
そうですね、なかなか。
余裕がないって感じですか?
近藤淳也
はい。
どうなんですか、ああいうのは。
でも、面白い?その余裕があれば。
大野晋
そうですね、ものがあったりすると、
ものがあって余裕があれば、
そうですね、楽しくできますね。
やっぱりやってみて新しい発見とかもありますし、
これは合うんやなとか、逆にこれは合わへんのかとか、
ありますし。
僕はもう普段、これとこれが合うとか、
これ組み合わせたらどうなるかなっていうのはあんまりちょっと考えるときがないので、
やっぱそういうことを言われると、
今までの経験と知識で考えるっていう作業をするので、
なんかそれが新鮮やったり。
近藤淳也
へー。
はい。
大野晋
でもやっぱこう、
みんな、要はるんですけど、
頑張って頑張って考えたやつより、
ぽろっと思いついてパパッとやったときのほうが、
ええものが作れたり、おいしいのが作れたり、
なんかお客さんにそっちのほうが好評やったり、
少しこう作業して何日もかけて完成しましたってやつより、
ついでに作ったこっちのほうがバカ売れするとか。
あるんですか、それは。
ありますね、当然。
へー。
近藤淳也
なるほど。
大野晋
ありますね、ほんまに。
牛島悠紀
なんかそのときのインスピレーションみたいなんで、
大野晋
パッと出てきたやつが、
牛島悠紀
なんかパンって当たるみたいな感じ。
大野晋
そうですね。
なんかちょっと複雑な気持ちになりますけど。
異業種への影響
大野晋
一生懸命作ったのがいたり。
牛島悠紀
こっちめっちゃあったのにみたいな、逆のほうが。
大野晋
ありますね、そっちのほうが。
近藤淳也
それは大野さんだけじゃなくて、
そういう料理業界全体であるってことですか。
大野晋
そうですね、料理業界でもありますし、
全然関係ないところでも結構聞きますし。
近藤淳也
関係ないというのは。
大野晋
なんかその、どういうんですかね。
常連さんで、
料理とは関係ない仕事をしたある人がいるんですけど、
会社自体の仕組みとかっていうのを、
いろいろ考えて、
こうがいいかな、ああがいいかなとか思ってやって、
いざ実際やってみたらなかなか合わへんのに、
急に思いついたことをふわっと言ってみたら、
それめっちゃいいですねって言ってばっちりはまったりとか。
牛島悠紀
それはめっちゃわかりますね。
私もありますね。
なんかデザインとかをやってるんですけど、
もう全然眠れへんぐらい考えてやったやつを1案作ったのと、
その後に本当に、
もう1案ぐらい出そうかなと思って、
1時間ぐらいでぺぺって作ったやつを出したら、
後が通るみたいな。
本当によくでもあるんですよ、それ。
なんかこうあるんでしょうね。
確かに。
大野晋
何かリラックスした瞬間に、
牛島悠紀
出るもののほうが素直にいいのが出てくるみたいな。
いいかもね。
近藤淳也
でもリノベーションとかもちょっとそういうのあるかもと思って、
安能京都は古い建物のリノベーションですけど、
そのリノベーションってめちゃくちゃ制約多いじゃないですか。
要はもともとの建物があって、
基本はその建物壊さないんで、
変えれるとこってすごい少ないじゃないですか。
で、一方で新築の建物って、
もう自由自在で何でも作れますっていう、
めちゃくちゃ自由なんやけど、
意外とリノベーションの建物が面白かったりするであると思うんですよ。
なんか結構オシャレやったりとか、
なんかすごいいてて楽しい。
だからすごい制約多いはずやのに、
なんかリノベーションの建物面白いっていう。
何ていうんですか、
やっぱ来た玉どうやって打つかみたいな、
結構素材が結構あって、
料理人の始まり
近藤淳也
やることが限られてる中で工夫、
パッと工夫するやつのほうが、
大野晋
意外と面白いみたいなのがあるんかなっていうのは、
近藤淳也
似てるかもしれないですけど。
大野晋
そうですね。
そうですね、食材持ち込まれて、
これで何かしてって言われてる人は似てるかもしれない。
そうですよね。
牛島悠紀
確かに。
すごいな。
大野晋
なるほどな。
近藤淳也
え、なんかどんなお客さんが嬉しいですか?
どんなお客さんが嬉しい?
大野晋
最近楽しくなりました?
最近…
そうですね、でもやっぱり常連さんと、
なんかワイワイ喋りながらやってるのが、
いい意味で仕事をしてるっていう感覚を忘れちゃうので、
すごい楽しくその時間を過ごしてるかなって思いますね。
近藤淳也
なるほど、なるほど。
じゃあカウンターとかに座って、
大野晋
ちょっと喋りながら食べてくれる常連さんとかが、
近藤淳也
やっぱり大野さん的にはこう…
大野晋
そうですね、はい。
でもこれもわがままなんですけど、
それが1日に何組もおられると、
ちょっとこうあっち行ってることやってなきゃいけないので。
牛島悠紀
そうですね。
大野晋
それはそれで、はい。
牛島悠紀
まあね、一応レストランだからね。
大野晋
そうですね、はい。
バーッとかで楽しいみたいな。
近藤淳也
まあ確かに料理作り続けないといけないから。
大野晋
ずーっと喋り続けてるみたいな。
そうですね、はい。
近藤淳也
そうですね。
そうか。
じゃあ適度に喋り合いてみたいな。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
人がいてくれると心の支えになるみたいな感じなんですか?
大野晋
僕は喋るの好きで、
どうしてもこう時間が経つとのめり込んで熱中しちゃうので、
他のお客さんをこう置きっぱなしにしちゃうって感じになるときもあるので、
そこがちょっとこう自分のコントロールですね。
喋りたい。
この人ともうちょっと喋って楽しみたいっていうのと、
やっぱこう他のお客さんも何本料理か全部出て、出終わって、
あとゆっくりしてやるときにやったとしても、
近藤淳也
やっぱちょっと気にかけたほうがダメですし。
大野晋
僕が気ぃついたら集中しすぎてたっていうのはあります。
近藤淳也
全然そんなね、ちゃんとっていうか、
そんなずっと喋って何もしてないみたいな、
あんま見たことないですけどね、大野さんの様子みたいな。
牛島悠紀
だから適度にお話しされて、
基本はずっとこうね、集中して喋るイメージ。
大野晋
そうですね。
オーダーがあるとやっぱりそっちをどうしても優先、
どうしてもというか、もちろん優先にしますし、
何もなくて、
近藤淳也
ジョーレンさんが育ったら、やっぱ喋りますし。
やっぱでもそうなんや。
そういう喋りたいっていうのがやっぱあるんですね。
大野晋
ありません。やっぱしかも今どうしても一人なんで、
喋る人もいないので、
やっぱジョーレンさん喋れるお客様が来てくれると、
話したくなりますね。
なるほど、なるほど。
近藤淳也
これいいこと聞いた。
大野晋
これ聞いた人はかぶらないようにしつつ、
近藤淳也
大野さんにたまに喋りかけて、
たまにこの肉ちょっと料理してくれる。
牛島悠紀
それは肉持ち込むの早いと思うんですよ。
困るかもしれない。
大野晋
僕自身もね、癖が強いんで、タイミングがこうね、あると思うんですね。
牛島悠紀
そうかなと思って、持ち込んだらあかんかなって思っちゃいます。
大野晋
今日機嫌よさそうやなって思ったら。
近藤淳也
じゃあちょっと大野さんの料理人人生を聞いていきましょうか。
どんなふうに始まったんですか?
大野晋
そうですね、料理人を始めた、
まずそもそも小さい時に、
母親が台所に立ってる、
母親が台所で一緒に立ってるっていうのがなんか好きで、
なんかやりたい、なんかやりたいって言って、
何をしたかは覚えてないですけど、
なんかそういうことをしてたなっていうのは記憶にあって。
何歳ぐらいですか?
何歳ぐらいですかね、本当にそれこそ、
顔がやっと台所から出るぐらいのときじゃないですかね。
小学生とか、軽学年とか。
近藤淳也
そうですね。
やっぱり興味あったんですね。
大野晋
何ですかね、今思えばそういえばそんなことしてたなって思いますね。
手伝ったりとか。
そうですね、今思えばようやらせてくれたなと思いますし、
そんなにね、小さい子に触らすとか、もしや包丁を待たすとかっていうのは、
そっからなんかこうちょっと興味があったのかなって今思えば思うんですけど、
一番のそのきっかけっていうのは、
二つありますね、要素っていうのは。
一つは中学校のときにすごい仲のいい友達に出会えて、
その彼のお父さんがイタリアンのオーナーシェフをされてるっていうのを聞いて、
中学2年生のときにその友達が、急に2週間ぐらいですかね、
学校休もって言い出して、しかもテスト前やったんですよ。
なんで?って聞いたら、いや、ちょっとイタリア行ってくる。
高校時代の経験
牛島悠紀
なにそのかっこいいのって思いながら。
大野晋
なんで?って聞いたら、いや、あの親父が行くし、ちょっと連れてってくれるって言うから行ってくる。
そうなんやっていうのが頭にあって、
いや、イタリアってなんかかっこいいって思ったんですよね、そのとき。
何思ったか、僕もテスト前やのに、そのイタリアっていうのが頭からずっと離れなくて、
テスト勉強してやった後に、夜に当時NHKでイタリア語会話みたいなのやってたんですよ。
それを見て、単語メモってイタリア語を覚えようとしてたんですよ。
近藤淳也
中学校2年生?
大野晋
中学校2年生です。
なんかすごいイタリアっていうのにすごい惹かれて、
で、なんかそれがずっと頭の中にあって、
何もなく高校進学して、
僕、勉強が好きじゃなかったので、大学行って勉強したくないなっていうのがずっとあって、
で、高校3年間で何かやりたいこと見つけようと思ったんですね。
で、中学も高校もクラブをサッカー部入ってサッカーやってたんですけど、
一つの雑誌を毎月見てたんですけど、その中の、何月後とかはちょっと忘れたんですけど、
一つにそのイタリア代表が試合前はパスタを食べる、そのエネルギー補給としてって書いてあって、
その中学校の当時のイタリアの憧れと、その時のイタリアの代表はパスタを食べるっていうのが多分つながったんですよね。
またやっぱりかっこいいなって思って、で、パスタ食べたい。
イタリア代表も強かったので、単純な発想ですよね。
強い人らがやってると同じことすれば、勝てるんじゃないかっていうのがいいな考えで。
で、それで母親に試合前の朝、昼ご飯ですよね、パスタ作ってって言ったら、
めんどくさいから自分ですしって言われて。
で、そこで普通やとそれやったらいいわってなったのが、やっぱりその憧れがあったせいやと思うんですけど、
じゃあやろうって思ってやったんですね。そっから本屋さん行って、本買って。
近藤淳也
まず本屋なんや。
大野晋
そうですね。
で、見ると白ワインがいるとか、当時僕が全然そんな触れたことのない食材がいろいろ書いてあるって、
これじゃできないなっていうのを思って、その中からできるやつ何かないかなって探して、
一番最初に作ったのがカルボナーラですね。
で、やっぱり全然美味しくなくて、味がないというか。
牛島悠紀
今思えばその茹で汁に塩入れてなかったりとか、味の調節で塩コショウしてないとか。
大野晋
そうですね。それで美味しくないなと思って、もっと美味しく作れるようになりたいって思って、
なんかいろいろこうやっていくうちに楽しくなっていって、
大学行くより料理かなって思って。
それで、それが高2の時ですね。
高2の春ぐらいですかね。
料理したいかもって思って、そこでやっぱりその中学校の友達の親さんがイタリアンやってる。
イタリアンやりたいって思うようになって、
高2の秋ですね、専門学校を調べだして、
それで大阪のほうに専門学校があるのを知って、
僕はイタリアンしかやりたくないって決めてたので、
調理師学校行くと和食やったり中華やったり、いろんなことも学べたり、
料理学校への進路決定
大野晋
衛生面とか、いろんなも学んで調理師免許をもらえるっていう学校があったんですけど、
免許はいるのかなとかっていう疑問やったり、
和食は特にしたいと今は思わないしなっていうのがあって、
その学校説明会っていうのにすぐ申し込んで行って、
思ったこと全部言ったら、でもイタリアンやりたいって言うんやったら、
イタリアンとフレンチだけしかやらないコースがありますよっていうのを聞いて、
で、その調理師免許っていうのは持ってても損しないけど、
将来自分で店をするときに免許がないとダメっていうルールはないから、なくても大丈夫。
お店やりたいんだったら、保健所行って講習1日受けて合格したら、
お店できる権利というかっていうのはもらえるから、免許なくても大丈夫っていうのを聞いて、
もうそれでその日に決断ですよね。
もうここに行くって決めて。
で、家帰って親にこうこうこうやったし、ここ行きたいって言って、
で、親も今思えばすごいありがたいですね。
買ったって言って、もう何も聞かずにOK出してくれて。
近藤淳也
すごい。結構早い時期にもうじゃあ割と一直線の感じですよね。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
ちなみにそのサッカーの前に食べてたパスタはおいしくなったんですか?
大野晋
おいしくならなかったです。
近藤淳也
ならなかったんですか?
大野晋
ならなかったですね。
カルボナーラとアラビアータをやったんですけど、
カルボナーラは数回しましたね。
で、アラビアータやった時に、
なんでかわかんないですけど、
にんにくと唐辛子炒めてトマトホールをぶち込んだんですよ、フライパンに。
その時にすごいその熱気と多分唐辛子の辛味要素っていうんですかね、
ふわっと上がってきたのを思いっきり吸い込んだんですよね。
で、喉と鼻がやられたのか、
翌日すごい風邪っぽくなって、めちゃくちゃ熱出たんですよ。
多分関係ないと思うんですけど、
僕の中で当時はそのせいやっていうのがあって、
なんかそっからちょっとトラウマになって、
なんかあんまり作らなくなったって思いますね。
近藤淳也
そうなんですか。
じゃあ特にサッカーのパフォーマンスが。
上がったところで。
大野晋
それで一気に上がったりとか。
近藤淳也
そうなんですか。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
でも本買ってやろうっていうのが、なんかやっぱ向き合い方がね、ちょっとやっぱり。
なんか親にやり方聞いてちゃちゃっと作ってみたいな。
大野晋
なんか親がパスタを作ってたっていうのがあんまりなかったので、
当時インターネットとかもそんなもん調べるのもなかったですし、
周りに料理してる人なんかいないですし、
なんか本屋があったし、本屋行ってっていう感じでしたね。
近藤淳也
なるほど。
じゃあその料理学校に行くって言って、
大野晋
ご両親はどうぞって感じだったんですか。
分かったって言ってくれましたね。
どうやったら入学できるのかっていうのを今度調べて、
簡単に言うと早いもん勝ちみたいな感じだったんですよ。
で、学校の先生からその推薦書みたいなのだけ書いてもらって、
受付開始の日に出したらほぼ間違いなく入学できるって言われて、
近藤淳也
で、出したら内定みたいなのが届いてっていう流れでそのまま行きましたね。
大野晋
なるほど。
学校の先生はめっちゃ反対されましたよね。
そうですか、高校の先生に。
高校のサッカー部の顧問と他のいろんな教科を教えていただいた先生方。
担任の先生だけはすごい僕の味方じゃないですけど、
立場に考えてくれて、
最後手紙くれたんですけど、
自分の信じた道を進めなさいって目指せ一流シェフって書いてくれました。
牛島悠紀
いい担任の先生や。
近藤淳也
そういう信じてくれた人は嬉しいですね。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
じゃあ、あんまりその料理学校に住むっていうのが高校でもいなかったところですか、他には。
大野晋
そうですね、他も後で聞けば一人いたらしいんですけど、
これ自分で言うのもあれなんですけど、僕結構成績良い方やったんですよ。
そして推薦とかで大学行けるっていうのがあって、
当時その和世田とか明治で関関道立も一人ずつ行けたんで、
そんだけ取ってるんやったらどこでも行けるし、大学行ったらって言われて。
牛島悠紀
それで反対されたっていう。
大野晋
で、サッカー部の顧問の先生がうちに電話かけてきて、うちの母親に大学教に説得していいですかって言ったらしいんですけど、
母親はいいですけど、たぶん聞かない数字残ってる。
近藤淳也
そこまで信頼してくれたんですね、でも。
その親がどうっていうよりは、本人が決めるってことですよね、その言い方はね。
専門学校での学びと就職
大野晋
ただやっぱり親ももしかしたらもったいないなって思ったり、大学行ってくれたなって思ってたかもしれないですけど、
そこは本人がそれやりたいって言ってるからやらせてくれたのかなっていうのは、
当時はそんな何もね、子供なんで分かってないですけど、今思えば、
まあ親が思い描いた通りには僕、行ってないやろうなと思うんで。
今ですか?
いやいや、いろんな大きな決断の時に、
こいつどういう決断すんねんっていう感じの子供やったらなと思いますけど、
それを何も言わずに、「そうか、分かった。頑張るや。」って言ってくれた親っていうのは、
僕は今になってむちゃくちゃ感謝してますね。
牛島悠紀
すごい。
大野晋
いい話やな。
で、その専門学校も1年間、1年間だけやったんですけど、
本当にフレンチとイタリアン、フレンチ7割、イタリアン3割ぐらいだったんですかね。
牛島悠紀
フレンチの方が7割。
大野晋
そうですね。フランス料理が結構メインでやってるとかやったんで、
それにどうせやったら西洋料理なんで、イタリアンも今人気やし、一緒に学びましょうみたいなんで。
そんな感じやったんですね。
本当に専門学校と違くて、実技的な時間がほんまり8割9割の学校で、
先生が作ってんの見て、要点やったり注意点とかをメモって、
次自分たちで同じようなものを作るとか、
なんかそんなばっかりやってたので、それで1年ですね。
でも僕はその時に就職先っていうのは、その友達の親父のお店っていうのをもう決めてたので、
決めたんですかね。
で、もう進路指導室行って、求人来てないか探すんですけど、やっぱ来てなくて、
そこはもう友人がいるっていう強いそのコネがあるので、
ちょっと親父に求人出してって言ってって言って、
それでかわかんないですけど、その年初めて僕が就職したかったところから求人が来て、
で、僕は友達に言ってたんで、ここに行きたいねって言って、
そしたらその友達が教室バーって走ってきて、
大野君どこどこから求人来てるよって教えてくれて、
で、そのままその日の放課後に指導室行って、求人見て、
で、いろいろ調べて、で、電話して、
会社訪問の予定つけて、っていう流れでもうぼーっと行きました。
近藤淳也
え、そうやってやっぱ学校通したほうがいいんですか?
大野晋
そうですね、一応形式上通したほうがいいのかなとは思いますね。
近藤淳也
でも大野さんが言ったから求人が来たかどうかわからないんですか?
大野晋
それはわかんないです、わかんないです。
近藤淳也
今でも?
大野晋
聞いてないです。
近藤淳也
あ、そうなんですか。
でもそのお友達のお父さんがされてる、
イタレ料理屋さんに就職されてた。
大野晋
そうですね、はい。
会社訪問行った日に、
料理人としての転機
大野晋
じゃあいついつからとりあえずバイトとして入りやっていうふうに言われて。
近藤淳也
なるほど、じゃあ1年なんですね、その専門学校は。
大野晋
そうですね、1年で、1年終わったらもう1年行くとか、
なんかそういうのを決められるんですけど、
入学をした時にもう2年行きますとかっていうのは決めれないみたいで。
近藤淳也
じゃあもう19とか20とかで実地というか、
実際のお店に入られて、
大野晋
そうですね。
もうシェフを始められたっていうことですか?
1年目はサービスをやってたので、
あまり食材に触れる機会っていうのはなかったですけど。
近藤淳也
すごいな、早い。
大野晋
そうですね、19、20になる年ですね。
近藤淳也
ちなみにそのお友達はそのお店で働いてたんですか?
大野晋
当時は全く料理に興味なくて、福祉の専門学行ってましたよね。
そこは3年ぐらい、3年か4年間の学校やったんですけど、
途中で辞めて、やっぱり親父の背中を見てきたのが、
自分もやりたいってなったみたいで。
で、親父の店には入らず、
その親父さんの紹介で東京のなかなか入れないレストランで、
1発目修行してます。
近藤淳也
そうですか。
じゃあ今も料理人?
大野晋
そうですね、今は、その後京都帰ってきて、
イタリア修行行って、3年半ぐらい行ってましたかね。
で、京都帰ってきて、今は自分の店を河原町、丸田町でやってますね。
近藤淳也
そうなんですか。
牛島悠紀
あそこの知り合いの方がやってる?
大野晋
そうです。
近藤淳也
河原町、丸田町。
大野晋
丸田町、ちょっと上がったところにある。
近藤淳也
そうなんや。じゃあお父さんの店とは別に店を構えて、
で、イタリアなんや。
また本でイタリア行ったんや。
大野晋
そうです。
近藤淳也
イタリア行くんやな。
大野晋
お父さんは北イタリアの本で修行されてて、
で、友達自体は、やっぱり違うのを学びたいからって言って、
南の方をメインに行ってましたね。
近藤淳也
彼とは今でも孝子ともに、なんですかね、仲良くしてて。
大野晋
同じような職場なので、
だいたい一言二言言えば、
どういう状況でどういう景色なのかっていうのがお互い分かりますし、
思う気持ちとかも似てますし、
同級生で友達っていうのもあるんで、
なんか一番の理解者かなと思いますね。
近藤淳也
そうですよね。だいぶ長いし。
大野晋
そうですね。もう30年ぐらいになりますね。
面白いな。
たまにまだに飲みに行ったり、月に1回、2回とか。
そうなんですね。
近藤淳也
いいですね、でもそういう同じような道を。
そうですね。
友達がいるっていうのは一人じゃないっていうか。
大野晋
そうですね。
一緒の職場で働いた時期もあったんですけど、
やっぱりその友達やからって言って、
何も言わずに分かり合えるところと、
友達やからなんかあった時でもちょっと言いにくいところっていうのがあって、
なんかこのまま一緒にやるのは、
友達のこの関係に影響するかもしれんと思って、
僕はちょっとやめたほうがいいなって思って。
近藤淳也
そうですか。
で、じゃあそのお友達のお父さんのお店で、
そこは何年ぐらい?
大野晋
そこは初め5年間いましたね。
結構すごいですね。
サービス1年やって、厨房入って4年ぐらいですかね。
すごいね、5年。
近藤淳也
どうでした?そこは。
大野晋
いや、今覚えればもう地獄って言ってあれですけど。
いや、もうきつかったですね、相当。
今同じことせいって言われたら無理ですね。
近藤淳也
そう、体力的なことですか?
大野晋
体力も気持ちもいろいろ無理ですね、多分。
若かって何もわからないから、
下積み時代の厳しい労働環境
大野晋
必死になって先輩についていって、
遅れないように邪魔者扱いされないようにっていう思いで、
ずっとやってたっていうのがありますね。
下積み時代かな、感じがする。
牛島悠紀
そういう世界なんですね。
大野晋
そうですね、今は多分それじゃ通用しないと思うんですけど。
近藤淳也
今と違うんですか?
大野晋
と思いますね、今聞いてると、
やっぱそれじゃなかなか若い子は続かないっていう人が多いので。
近藤淳也
どういうこと?どなられるみたいなことですか?
大野晋
どなられるのはもちろんありましたし、
環境的にも、環境ってか高速時間とか、
でもすごい長いですし、
その割にって言う方があるかもしれないですけど、
もらえるお給料も全然少ないですし、
そうですね、そういう労働環境っていうのがやっぱり良くない。
でもやっぱりその中で、
自分は勉強させてもらってる、
勉強して技術付けさせてもらってるのに、
お金いただいてるっていう気持ちと、
いつか自分でのし上がってやるっていう気持ちがないと、
近藤淳也
やっぱその当時はやっていけなかったのかなって思いますね。
でもそこが今あれですね、大野さんの力の基礎になってるというか。
大野晋
そうなの?
今思えばやっぱりそれがあったからこそ今の自分がありますし、
バレがなかったらと思いますね。
もうちょっと優しい職場でやってたら、
いろんなことに耐えれてなかったのかなと思いますし。
当時はもう逃げたくて知らなかったですけど、今はもう感謝です。
そうなんですか?
若い世代のコミュニケーションの難しさ
大野晋
感謝しかないですね。
近藤淳也
今は感謝しかない。
これどっちがいいのかまた微妙なとこですよね。
大野晋
そうですね。
牛島悠紀
でもやっぱり若い時じゃないと、そういう経験ってできないですね。
大野晋
そうですね。
牛島悠紀
なんかやっぱりね、ある程度歳って人に怒られるのとかってちょっと嫌になるじゃないですか。
若い時にどんどん怒られて足を置いてもらって、
大野晋
そうですね。
牛島悠紀
っていうのが、なんかすごい理想的な感じで。
大野晋
僕はそれがいい方に転んだかなとは思いますけど、
それが例えばトラウマになって、業界自体嫌やってる人もたぶん中にはいると思うので、
それがいいのか悪いのか、
残ってる人はそういう経験して残ってるんで、
そういう経験っていうのを話すと、
やっぱりそういうのがないとあかんのかなって思われると思うんですけど、
やっぱりいい影響ばかりではないかなとは思いますね。
そうですね。
近藤淳也
まあ確かに最近の傾向でいくと、それやってたらもう若い人は誰も残らないみたいな。
牛島悠紀
よく知ってる気がしますね。
大野晋
なんかね、まあ若い人があって決めつけるのはあれかもしれないけど、なかなか時代的にね。
たまになんかちょっと全然怒ってるつもりないんだけど、場を凍らせる時。
牛島悠紀
あれ?今のはちょっと。
突然が気づけなあかんみたいな時代が。
近藤淳也
そうですね。
大野晋
時代ですよね。
今は時代ですね。
現代における怒りとコミュニケーションの在り方
大野晋
なんで合わせなあかんねんって思ってた時もありますけど、
やっぱりそう今は流れを読んで、
若い子にはそういうふうな接し方をしないとあかんのかなっていうのをやっぱり感じてきてますし。
牛島悠紀
なんかこうね、ちょっと若い時って、
怒られるっていうのもあるけど、ちょっと観光的にもなったりしません?なんとなく。
近藤淳也
しますします。夜2時になったりとかね。
全然なんもできない。
牛島悠紀
今思うと、もうすげえダサいなとか思うけど、
やっぱりそういうコミュニケーションってすごいあったのかなと思うんですよ。
年上の人にすんごい怒られるし、
それはもうなんか、やっぱり今になったらあの時怒られといてよかったっていうのもあるし、
その時に顔を出せた自分もいるしみたいなんで、
なんかやっぱりこう、そのコミュニケーションで自分が成長していけるのかなみたいな。
それ今なんかやりにくい時代なのかなみたいな。
怒られたらやめちゃうとか、なんか怒ったらあかんのかなとか。
大野晋
そう、なんか怒るってのがあかんみたいですね。
牛島悠紀
もう今後なんか言ってこーへんとか、そういう感じの時代なのかな。
大野晋
店自体、会社自体が怒るとかっていうのをするなって言ってるところもあるって最近聞いたんですよ。
例えば何か昨日の夜にやりっぱなしで帰ったスタッフが行ったら、
次の日来た時に、お前昨日これやりっぱなしで最後までちゃんとやらんと帰ったやろって言ったら、
あーもうめんどくさい、もういい、もういい、もういい、みたいな言う人がいて、
いやちょっと待てよって、お前それはあかんやろって言ってたら上の人が来て、
お前もう言うなって言われる。
近藤淳也
言うこと自体がダメです。
大野晋
それを見たやつが、ほなもうやったらいいやんってなるみたいですよ。
その、ちょっと待って。
どうなってんの?
近藤淳也
言い方として、たとえばその感情的に強めに怒るとかしない方がいいっていうのはまだわかるんですけど、
その事実として、ちゃんと片付けしてから帰りましょうねっていうのは、なんか言った方がいいじゃないですか。
大野晋
それはどうしたらいいんですか?
わかんない、そこは。
牛島悠紀
やり遂げるっていう。
大野晋
それは、いや別に怒らなくてもなんていうのかな、そのやり方は教えたいですよね。
それができるようになってほしい。
聞いたんですけど、厳しく言ったんじゃないのって言ったら、
いやいや、普通に昨日出てたし、それは片付けて帰らなあかんで、みたいな感じで言ったら、
言われた方が、いやもうめんどくさいめんどくさい、もういい。
言われるのがいいやんって。
牛島悠紀
めんどくさいっていうのを言っちゃうっていうか態度に出しちゃうんですね。
大野晋
そうです、はい。
わー。
僕若いときそんなもう、何も言えないぐらい叩きのめされてますから。
牛島悠紀
言い返す。
大野晋
みんなこう通ってきてる道なんで、こう言ったらこう言い返すっていうのがわかってるんですよね。
だからそれが言えないぐらい言われるんですよ、さっき。
牛島悠紀
あ、なるほどなるほど、もう言ってくれやろうなって思うところも、
大野晋
もうすいませんしかない。
牛島悠紀
認められる。
大野晋
認めざるを得ない環境。
近藤淳也
なるほど。
どっちもどっちっていうか、なんか、なんだろうな、
まあ伝えるべきことを伝えるプロトコルは欲しいですけどね、
なんかまずい、怒らなくてもいいけど、
料理人のキャリアと繋がり
大野晋
とはいえその入ったままの状態でいきなり100%なんてことはもちろんないんだから、
近藤淳也
何かね、これはこういうふうにやった方がいいよっていうのを共有しながら、
だんだん仕事を得てもらうっていうのがないと成長もないからね。
大野晋
大事ね。
近藤淳也
ねー、なるほど。
まあまあ、
大野晋
まあ当時そんな感じだった。
とにかくそういう感じだった。
近藤淳也
ちなみにその料理の作り方教えてくれるんですか、それは。
大野晋
料理の作り方はそうですね、
レシピ、グラムとかその分量とか、
その焼き時間とか決まってるもんに関しては細かく教えていただいてます。
そのデザートとかはやっぱりすごい繊細なので、
数グラム違うだけでちょっと違うものができたりとかするので、
それはちゃんと教えていただいて、
やり方も初めと2回目ぐらいは教えてくれますし、
あとはもう自分で考えて、
パスタの作り方とかを教えてもらったことはないですかね。
あ、そうなんですか。
はい。
牛島悠紀
え、もうそれは自分で盗めというか、
大野晋
そうですね、お前見てたやろっていう感じです。
近藤淳也
俺の背中を見て学べみたいな感じですか。
大野晋
でもほんまに見てないとやっていけないんで、
そこで多分上の人も試してるんでしょうね。
お前これできるやろみたいなの言われて、
いや、やったことないのでできないって言ったら、
あんまそんなもんなんよ、ほんまもういろいろ。
近藤淳也
要はやる気あったら見て学んでるだろうっていうのをもう無言で。
それも今もそうなんですか。
大野晋
今多分ないと思います。
教えてもらってないんで、できないですで終わると思います。
牛島悠紀
ちゃんと目の前でこうするんだよって教えてあげないといけない。
近藤淳也
なるほど、時代やんかな。
料理の学び方
大野晋
だから僕のときは本当に取って行ってましたね、仕事を。
自分の仕事を終わらして、やります、やりますって言って。
見て真似してやっていくってことですね。
分からんとこだけ教えてくださいって言ったら教えてくれる人と、
分からんと選んでいいよって言われる人と、
それでちゃんとできるんやでっていうのを見せていって、
ちょっとずつ認めてもらって、ほらこれやっといてって言われるようになったら、
勝ち負けじゃないですけど、よしよしみたいな感じですね。
牛島悠紀
そっちの方がかっこいいなって思っちゃいました。
大野晋
当時はそうですね、一つのポジションの助手についてて、
腰たんたんとそこを狙って、
で、上の人がかわれって言われたときに、僕の方ができるっていうのをアピールするって感じですかね。
近藤淳也
その場でせるってこと?
うわー面白い。それはそれで面白いですね。
ちょっと根性漫画みたいな。
大野晋
なんか、サッカーやってたんで、やっぱりかぶるところがあって、
選手交代に入った人が活躍し続けたらいつか、たぶん先発になるみたいな感じで。
牛島悠紀
すごいですね、全部経験が…
大野晋
それで来ましたね。
僕はなんかそれで来たって感覚はありますね。
なんかこう、しゃあなしに、一いいんから次ほなお前やろうか、次やろうかで上がってきたより、
近藤淳也
自分で取ってきたっていう感覚はありませんか。
ちなみにこの辺の話は、石川さん、エンジョイワークスの石川さんの会で、
彼も料理の専門学校行って、
大野晋
そうなんですか。
近藤淳也
そうなんですよ。今は不動産の会社で仕事してますけど、
ちょうどここでラジオ撮ったときに聞いていったら、料理人の勉強して、最初にアメリカに行ってるんですよ。
フロリダのディズニーワールドのレストランで最初の就職をしていて、
アメリカの新人研修っていうか、新人ってどんなふうに鍛えられるんですかみたいな話したら、
全員でみんなで歌いながら料理作ってましたみたいなこと言ってて、
大野晋
また全然違うからちゃうすぎて。
近藤淳也
で、怒るとかないのとか言ったら、怒るのはもうアメリカでは、ちょっと時代も違うと思いますけど、
大野晋
もう全然その会社としてアウトなんでみたいな感じで、
近藤淳也
なんかその怒った人が切られるかなんかっていうので、全然もちろんそんなのなくて、
みんなで歌って、みんなで料理作ってて、めちゃくちゃ楽しかったですって。
大野晋
全然違いますね。
近藤淳也
初めて就職したレストランでの会見の違いがかなり面白かった。
大野晋
何やら重みの違いというか。
そういうとこもあるんじゃないですかね。楽しくしましょうっていうのは。
近藤淳也
面白かった。それが最初の就職で、そしたら日本に帰ってきて広告代理店に入るんですよ。
それで仕事しながら歌ってたら、
コラって職場で歌うなって怒られたら、
牛島悠紀
あんまりいないですね。
近藤淳也
会社って歌ったらあかんねんってそのとき思いました。
言ってて。だいぶ面白かったですけどね。
大野晋
面白い経験してますね。
仕事の転機と縁
大野晋
そうそうそう。
近藤淳也
そんな話もありましたけど。
牛島悠紀
真逆の。
近藤淳也
で、じゃあそれで仕事取りながら作るようになって、
5年やって出たきっかけとかは?
大野晋
そうですね。ちょっと当時、職場の人と人間関係があんまうまくいかなくなって、
で、もう仕事行くのが嫌になって、
そうですね。それで、
もうなんかその、このお店にいるのが嫌じゃなくて、
もうこの業界自体はやめとろうって思ったんですよ。
で、当時近くに、
まあその、やめてから働くようになるんですけど、
あの、商店街にからやげ屋さんがあって、
そこの店長さんが、僕の3つ上の男性の方で、
で、店長さんの妹さんが僕と同い年で、
で、何回か行ってるうちに仲良くなって、
一緒に飲みに行ったり、ご飯食べに行ったりとかするようになってて、
で、今実はこうこうこうなんですっていう相談をしたときに、
なんか背中を押してもらえたというか、
で、まあ辞める決断をして辞めますって言って、
で、その後にまあ相談してたんで、
あの、いついつに辞めるようになりましたって言って、
で、相談に乗ってもらってありがとうございますって言って、
で、その時は、ああそうかって、まあまあどうなるかわからんけど頑張りやって言ってくれはったんですけど、
まあ1週間ぐらい経ってから、あのメールで、
次働くとこないんやったら、決まってないんやったら、うちで一緒にやらへんかって誘っていただいて、
で、なんかそのと、その時そのレストランで働いてるのがすごい楽しくなくて、
唐揚げ屋さんでのキャリア
大野晋
もう嫌嫌でしかなかったので、
で、そのあらややさんで働いてる2人を見ると、
すごい楽しそうに、ずっといつも笑ってたように思えたので、
楽しく仕事してんなって、こういう職場で一回働いてみたいなって思って、
で、お願いしますって言って、はい。
そのカレー屋で働くようになったんですけど、はい。
近藤淳也
だいぶイタリアンからまたね、
大野晋
そうですね。
近藤淳也
経路も違うというか、そこは全然もう良かったんですか?イタリアンじゃなくても。
大野晋
そうですね、はい。何も僕は考えてなかったですね。
まあ勢いもあったのかなと思うし。
近藤淳也
まあそれよりやっぱりそういう笑いがある職場とかの方が大事っていうことだったんで。
大野晋
そうですね、楽しそうに、はい。
えー。
なんか楽しく働きたいっていうのがその時は強かったんで、はい。
そうですね。で、そっから、えっとまあ新しいお店出したり、
お店移動になったりとか繰り返して7年ぐらいいましたかね。
近藤淳也
7年?
大野晋
はい。
牛島悠紀
えぇー。
近藤淳也
唐揚げ屋さん7年?
大野晋
はい。
近藤淳也
その時にも。
大野晋
イタリアンより長かったです。
へぇー。
でも7年の方が短く感じました。
近藤淳也
あ、そうですか。
はい。
実際楽しかった?
大野晋
楽しかったですね、はい。
で、それまでちょっと、僕あんまりこう、お客さんと喋るっていうのがなかったんですよ。
不愛想だったりし、その接客しててもあんまり笑顔が出なかったんですけど、
その唐揚げ屋さんで、1日も100人、200人と接客してる時になんかいろいろ感じるのがあって、
人と喋るのってこんな楽しいことないなっていうのがあって。
へぇー。
近藤淳也
はい。
唐揚げ屋さんって、だからあんまり広くないっていうか、
狭いですよね。
もうカウンターのみみたいな感じ?
大野晋
えっと、いやもうテイクアウトだけあったので、
まあ言ったらあのたこ焼き屋さんみたいな感じですよね。
近藤淳也
あー、もうその、なんていうの窓口から買うのみ。
大野晋
はい、そうです。
近藤淳也
で、じゃあ厨房とその接客がもう一緒っていうか。
大野晋
そうですそうです、はい。
唐揚げ店の前に並んでて、お客さんがじゃあこれなんこと、これなんこと、これとみたいなのを言われて、
で、そっからもう一度揚げ直して、で、お会計して、パック詰めして、ありがとうございました。
まあだいたい1人に対して3分から長くても5分ぐらいの間ですかね。
で、その間にこう待ってるだけだと変な空気になるんで、
なんかこう、いろんなたわいもないこと喋ったり、よく見る人やったら仲良くなって、いろんな話もしましたし。
近藤淳也
1人ですか、お店は。
大野晋
1人、まあ2人、アルバイトがいて2人の時もありましたし、もう暇な時はずっと1人でやったりもしてましたし、はい。
近藤淳也
そうなんですね、それは喋りますね。
っていうか喋らざるを得ないですね。
大野晋
そうですね、はい。
人と接することの楽しさ
近藤淳也
それでそのお喋りが楽しいって目覚めたんですか。
大野晋
そうですね、なんかそれまではこうやっぱり自分の言ってることが正しいとか、自分はこう思ったらこうみたいなところがあって、
何か一見は見れたら、いやそれは違うやろっていう感覚がずっとあったんですけど、
なんかそんだけ喋ってると、なんかちゃうなと思って、やっぱりそれ、人それぞれいろんな考え方があって、間違ってる、合ってるとかないんやなとか。
近藤淳也
へえ。
大野晋
自分からはこう見えてたけど、確かにそう言われてみればそう思うこともあるかとか。
へえ。
なんかそういうのを感じれるようになりましたかね。
で、そっからこう、いろんな人の話を聞くのが楽しいなって思うようになりましたね。
へえ。
面白い。
それがなかったら、今の新ダイニングバーのカウンターがあるっていう状況で仕事するっていうのはすごい嫌やったらなって思いますね。
近藤淳也
へえ。
大野晋
そうですか。
近藤淳也
なるほど。
大野晋
喋らなあかんし。
そうですね。
近藤淳也
へえ。
大野晋
すごいな。
近藤淳也
すごい生かされてますね。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
全部生かされてます。
しかもね、それ意図して倉庫に行ったっていうよりは、なんか、まあでも意図したんかな。
なんか結局そういう、ちょっと環境を変えたかったみたいなのあったんですよね。
大野晋
そうですね。
近藤淳也
笑顔の職場とか、そういう人と接するみたいな。
大野晋
はい。
近藤淳也
へえ。
大野晋
今、新でやってるのは、今まで経験したのが結構ギュッと詰まってるなとは思いますね。
すごい。
そうですね。
その、出してる料理にしても。
ですよね。
はい、昼から揚げとかそういうのやってますし、夜はイタリアンで行ってますし。
で、カウンターもあって、お客さんともしゃべりますし。
牛島悠紀
全部生かされてますね。
そうですね。
すごいですね。
近藤淳也
から、あ、うそ。
牛島悠紀
いや、その、今の唐揚げはその時の仕様。
近藤淳也
僕も同じこと言ってる。
牛島悠紀
いやいやいや。
近藤淳也
唐揚げはおいしいのはそのおかげですよねっていう。
大野晋
そうですね。
あの、なんかどういうふうに味付けして、どういうふうに揚げたりとかしたら、おいしくなるんやなっていうのが学べたかなと思うし。
レシピはそのままじゃないですけど、一応チェーン展開してたとこやったので、本部から降りてくる調味料。
詳しく何が入ってんのか知らされてないのとかあったんで。
そこは真似できないですし。
でも、こういう味やったらこれとこれ入れたらいいんじゃないかなみたいなのは、昔料理やってたとこからの経験でたぶん引っ張ってこれたんかなと思いますし。
近藤淳也
今やね、唐揚げグランプリで金賞取りましたもんね、真の唐揚げはね。
牛島悠紀
だって唐揚げ目当てで気張る人もいるぐらいですもんね。
大野晋
そうですね。
牛島悠紀
おいしいですよね、めっちゃめちゃ。
近藤淳也
それにしても聞いててちょっと不思議っていうかまだわからないのは、料理の作り方っていうのは教わってるような教わってないような感じがするんですよ。
要するに決まったものを分量通り作るのは教わればできるかなと思うんですけど、結局そこから今出されてる唐揚げって大野さんが味付け自分で考えたと思うんですけど、
料理人になるきっかけと学び方
近藤淳也
そのやり方ってなんか教われないじゃないですか、ないレシピを自分で考案するとか、こうしたらもっとこうなるかもみたいな、
それはどうやったらできるようになったんですか、なんか不思議なんですよ、どこで教わるものなのかでしょう。
大野晋
唐揚げ自体に関してだけじゃないですけど、いろんな料理はやっぱ自分が作ってきた経験と先輩が作ってあるのを見てる、
あとは違うレストランにご飯食べに行ったときにメニューを見る、実際に頼んでみたのを食べてみるとか、
あとは見えるところやったら、あんな風にして作ってあんじゃなっていうのを見るっていうのが多分意図してないところの頭のどっかに常に多分あって、
多分そっからこう引っ張ってきてできるんじゃないかなって思うんですけど、
それはもうじゃあ普段から結構観察してるっていうことなんですね。
職業病みたいなもんじゃないですかね、多分。
それが嫌になるときもありますね、でも。
単純に楽しめないんですよ、ご飯食べに行くとか。
イタリアあんまり食べに行かない、勉強したくないって聞こえるかもしれないですけど。
気になってしまうね。
そっかそっか、いつ買ったはにゃろうとか。
やっぱ分からんもんは分からないじゃないですか、食べてみて、これこうしてんやな、
世間の人のイメージって料理人って誰かがつけるの食べたら、
これ多分これ入れてこういうふうに作ってやってんやなとかって分かるやろって思われてると思うんですけど、
分かんない人もいるんで、それを僕はなんか食べても分からんタイプなんで、
分からなあかんよなって思っちゃうんですよね。
何入ってんのか分からへんって思うのが、なんかちょっと嫌やなって思って、
時があるんですよ、自分の気持ちの中で。
自分はプロなのに、分からない自分がちょっと許せない。
真面目やな。
昔もそれがあって、食べに行くのが嫌っていうのがありました。
全然関係ないジャンルばっかり食べたりとか。
最近は何も思わなくなりましたし、純粋に楽しめるようになったんで。
でもそう思えたほうが、頭に残ってるというか。
近藤淳也
そうですよね。それだけにしてるってことですもんね。
そんだけこう、いろんな他の人がやってるやつとかを見始めたのは、料理人になってからですか?
作り方の自由度について
近藤淳也
昔から興味があったんですか?
大野晋
いや、昔はなかったですね。やっぱり料理人になって、
いろんな先輩にご飯を買って連れて行ってもらったりとか、
昨日ここ行ってきましたって言ったら、どんなやつだった?
他にこんなん使ってたとか、どういうふうなやり方してあったとか、
先輩がグイグイ聞いてきてるんで、そういうところを見るんやと思って。
近藤淳也
どんどん人のやり方を吸収しようとする人とかがいるんですね。
大野晋
せっかく食べに行くんやから、勉強してこなあかんでって言われて、そうなんやって思って。
近藤淳也
なんかその、僕全然すいません、料理しないんで、ほんとに素人質問なんですけど、
料理の作り方っていうのは、なんていうんですかね、全然まとまってるものじゃないんですか?
ありとある作り方があるっていうか、言ったらおいしくないのも含めたらどんだけでもあるじゃないですか、作り方なんて。
そのうち、まあまあ、それなりに味になるようなものの作り方っていうのは、
どっかに本とかで体系だって納められてるのか、
いや、そんなのはほんとに代表例だけで、ほとんどレストランとかで出てるレシピは、
大野晋
全部違って、どこにも調べても出てこないみたいなものがほとんどなんですか?
いや、今、たぶんレストランとかでやってるのは、専門書とか見たらたぶん出てると思うんですけど、
いろんなことやってると、なんとなく共通してることとかは出てくると思いますし、
あとは細かいところは、自分次第でやったり、やってる人がちょっとずつアレンジしてるとかっていうのがあるんで、
どう言いたいんですかね、
作り方がこれしかないっていうのはないと思ってて、
これとこれとこれを入れないと、この料理名は歌えないですよっていうのがあっても、
いろんな作り方があると思ってて、
で、その中でじゃあどうするねって言ったら、こういうふうな作り方したら、
違う状態のものが出来上がるとかっていうのはダメだと思うんですけど、
作り方ってほんとに人それぞれなので、ある程度ベースがあった上で、
大野晋
そうですね、だから決まった作り方っていうのは、
近藤淳也
デザートはあると思うんですけど、
大野晋
そうなんですか、どうして?
多分、デザート作りってほんとに分量数1グラム違うと違うものが出来るとか言われると思うんですけど、
僕はそれ以上に、手順とコツさえちゃんとしてたらそれなりのものが作れるって思ってて、
ただそこを間違えると、ほんとに別のものが出来ちゃう。
デザートに関しては、2パターンある作り方もあったり、
大野晋
物によってはこういう作り方も出来るし、こういう作り方も出来るっていうのはあると思うんですけど、
だいたいもうほぼほぼみんな決まってるっていうのはベースのもの。
例えばスポンジケーキっていうのはこういう風に作るとか、
っていうのはあるんじゃない?僕も詳しく学んでないので、
ある程度あるんじゃないかなと思います。料理よりは。
牛島悠紀
確かにそう、そんな気がします。
近藤淳也
それに比べて、じゃあ料理は割ともっと自由っていうか、
大野晋
そうですね。
近藤淳也
いろいろアレンジが効きやすいっていう。
大野晋
途中に修正も出来るんで、料理は。
近藤淳也
なるほどな。
レシピのウェブサイトや動画の活用
大野晋
お菓子の方も長年やってる人がしたら、いやいやお菓子もそんな感じじゃないって言われるかもしれないですけど、
僕の今のイメージでしたら、お菓子の方が結構バチッとはめていかないと、
思ったんが作れないんじゃないかなと思いますね。
近藤淳也
ちなみに最近、最近っていうかちょっとだいぶ前からですけど、
レシピのウェブサイト、インターネット上にレシピサイトみたいなのがあって、みんなが投稿できたりとか、
最近だったらYouTubeで料理動画みたいなのあげてる人とかいっぱいいますけど、
ああいうのは、何かそういうバリエーションを広げてるんですか?見たりします?
大野晋
見ます見ます。
見るんですか?
見ますし、何が入ってるのかと、作り方だけ見て、
あとは自分でやるときは感覚ですね。こうやったらこっち先やるなとか。
近藤淳也
それはプロの方じゃなくて一般の方のやつとかも見るんですか?
大野晋
見ます見ます。
近藤淳也
見るんですね。
大野晋
何か新しいのないかなとか。
あとはレシピ見なくても写真だけ見るとか。
牛島悠紀
これ使ってんやみたいな。
大野晋
そうですね。
牛島悠紀
これをこうアレンジしてんのか。
近藤淳也
やっぱ見るんや。
参考になります?
大野晋
なりますね。
近藤淳也
そうですか。そこの分野はAIはまだ使われない?
大野晋
僕使ってないです。
近藤淳也
チャットGPTに聞くと新しいレシピを考えてくれるとかそういうのはないですね?
大野晋
ないですね。
インスタの写真見たりとか、そのぐらいはしますけど。
自己満足な料理と自己評価
近藤淳也
面白いな、料理の世界。
大野晋
僕の師匠さん、友達の親父さんがポロッと言って貼ったのがすごい印象的で、
俺は作り方見えへんって言われたんですよ。
分量と写真。写真も見えへんって言いましたね。
分量だけ見ると。
写真と作り方見るともう先入観バーン入っちゃうって言われて、
材料見たら、ある程度経験あるやつが見たらなんとなく分かると。
それで自分なりに作ったらええねん。
それが美味しかったらいいって言ったって。
確かにその通りやなと思って。
なんかこう見てしまったら、あれ?なんか違うものできたって。
これじゃないねんなって思っちゃうと思うんで。
でも自分が作って美味しかったんだ、それはそれでいいと思うんで。
近藤淳也
美味しいかどうかはじゃあ一回食べてみて、やっぱり舌で決めるってことなんですか?
舌は大事ですね、じゃあ。
大野晋
そうですね、はい。
近藤淳也
それは…
大野晋
それが悪かったらもうどうしよう。