今回は、NASAの将来ミッション、2026年に打ち上げようとしている、
ブラックホールをツールとして使っていく、そんな研究、ちょっと面白いね、ユニークな研究なので、
こちら紹介していくとともに、日本がどうやってそこに関わっていくのか、そのあたりについてもお話ししておりますので、
ぜひ最後までお付き合いください。
2023年11月24日、始まりました、佐々木亮の宇宙話。
このチャンネルでは、1日10分、宇宙時間をテーマに、天文学で博士号を取得した専門家の亮が、毎日最新の宇宙トピックをお届けしております。
本日でエピソードが、1141話目を迎えております。
こんなにエピソード数ありますけど、基本的には1話完結でお話ししておりますので、気になるトピック、気になるタイトルからぜひ聞いていただけたら嬉しいなと思っております。
前回は、リスナーの方からいただいた質問を軸にですね、ブラックホールでノーベル賞が受賞された、そんな研究のお話ですね。
具体的には、僕たちのいる天の川銀河の中心にブラックホールがあることをどうやって示したのか、そういう研究の話させていただいてます。
で、その前は、その天の川銀河の中心にいるブラックホール、太陽の重さの400万倍ぐらいの大きさがあるんですけど、
そのブラックホールが限界ギリギリのスピードでぐるぐるーっと回ってる、そんなお話をしておりますので、
まあですね、過去のやつ、遡りながら色々聞いていただけたら嬉しいなと思っております。 そんなこんなで、今回お話しするのはどんなエピソードにしようかなと思ったんですけど、
ブラックホールを使って、将来のミッション、こんなのが展開される予定だよっていう話をさせていただきたいと思います。
ブラックホールを使ってってどういうことなんだろうってね。 なので、なんかブラックホール自体の研究っていうよりは、ブラックホールをツールとして使うみたいな、
結構面白い角度の研究なので、こちら紹介していきたいと思います。 今回紹介するのは、2026年に一応打ち上げを予定している
NASAが進めている大型基幹計画である ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡、通称ローマン望遠鏡と呼ばれるミッションのお話です。
どうですか、皆さん聞き覚えあるなっていう人とないなっていう人がそれぞれいると思うんですけど、
ポッドキャストでお話ししたのは多分初めてになるのかな。 そうですね。ただ結構注目度が高くて、いろんな宇宙系のメディアでは多分紹介されていたりするんだと思います。
NASAが中心に進めているとはいえ、 JAXAもそこに技術提供という形で参加しているので、結構日本側の期待値も高い。
そんなミッションになってますね。 このナンシー・グレイス・ローマン望遠鏡、ローマン望遠鏡って今回は略していこうかなと思うんですけど、
2026年に打ち上げが予定されていて、光景、大きさですね、これが2.4メートルの大型の宇宙望遠鏡です。
宇宙望遠鏡っていう名前をつけているぐらいなので、基本的には宇宙に飛ばすと。
人工衛星として宇宙に飛ばして、そこからいろんな天体を見ていくっていうような、そういうイメージになってます。
これ面白いのは、ハップル宇宙望遠鏡の上位互換っていう感じですね。 世の中ではよく、ハップル宇宙望遠鏡の後継機というか、
それのアップグレードバージョンは、ジェームスウェップだっていう話をよくされるんですけど、
確かにジェームスウェップはハップルよりもより遠くを見れる、深い宇宙を見れる、そういう特徴があります。
それにメインのミッション自体は、宇宙で一番最初にできた星を発見する、ファーストスターを見るっていう、そういう研究なんですよね。
なので、深くまで見れる能力っていうのが必要になってくるんですけど、
そのジェームスウェップ宇宙望遠鏡、ハップルの後継プロジェクトだってなんとなく言われてはいるもののですね、
実は光の種類が違ったりとかで、正確にこのハップルの後継機かって言えるとなかなか難しい、そんな状態なんですよね。
それに対して今回ローマンっていうのは、ローマン宇宙望遠鏡は比較的そのハップルの上位互換というふうに言ってもいいぐらいの存在になっています。
たぶん確か光の種類もおおむね同じぐらいになっていて、しかも能力が直接比較されているっていうのもあるんですよね。
ハップル宙望遠鏡っていうのは、と同等の光を見る能力、そして物を分解する能力っていうのをローマンは持っています。
同等だったら別に上げなくてもいいんじゃないかっていう、そういう見方をする人もいると思うんですけど、注目してほしいのはその能力ですね。
その能力自体はハップルと同じなんだけど、一個特筆すべき点があって、これが視野。
視野、つまり一度に見える範囲がものすごくでかいと。
ハップル宇宙望遠鏡の今回200倍の視野を兼ねそらえているのがこのローマン宇宙望遠鏡なんですよね。
これができることによって何が変わるのか。
簡単に言うと、広い宇宙を見れるとそれだけレアな現象を捉えやすくなるっていうそういう性質があります。
レアな現象、どういうことでしょうか。
宇宙空間ではたまに爆発が起きたりとか、いきなり閃光みたいなのが光がバーって出たりとか、そういったものが発生するんですよ。
そういうのって基本的には予測が不可能で突発的な現象だというようなところで、なかなかそういう現象っていうのを統計的に掴むっていうのが難しかったりするんですよね。
しかもこれ難しいのが広い範囲をカバーしようとすると、それだけ深く見る能力っていうのが下がっていくっていうような一種、そういうトレードオフがあるんですよ。
そのトレードオフのせいで突発天体に対する研究っていうのは、結構一定進んでいるもののなかなか深くまで見れないっていう、そんな状況がありました。
しかし今回はこの技術発展のおかげで何が起きたかっていうと、ハップル中望遠鏡の目の良さっていうのをそのままキープしながら200倍の広さを見ることができる。
つまり、ハップルで見つけていたような聴診性爆発とか、ハップルが見れたはずの聴診性爆発とか、それこそ僕が研究していて、ポッドキャストでも何度も話している光勢フレア、太陽の表面で起こる爆発現象みたいなやつですね。
そういうのが、ハップルが見つけるよりも200倍見つけやすくなると。宇宙をやっている人間の数字の感覚っていう話をこの間したんですけど、200倍っていうとすごい変わったなって言える。
基本的に天文の研究をやっている人は、10倍より大きくないとなかなかその数字の性質を認めてくれないっていう、そういうシビアな人間たちなんですよね。
なので、200倍って言われると相当いい能力ですね、みたいな。で、この能力こそがローマン望遠鏡の主力装置にあたるものになってきます。
で、これは一体どういうことをしていくのかっていうと、大量の遠方の銀河の形状だったり明るさっていうのの測定をすることができる。
まずそれが一つですね。で、あとはその突発天体である超新星爆発とかっていうのを大量に観測することで、宇宙空間にあるダークエネルギー宇宙論っていうものをどんどん検証することができると。
加えて重力マイクロレンズ効果っていうものを使ってですね、従来発見が困難であった冷たい境外惑星っていうのを発見すること。ここにかなり期待が寄せられていると。
ここでブラックホールが出てきます。マイクロレンズとかそういった重力レンズと呼ばれる効果。これはブラックホールが手前にあって、そのブラックホールが虫眼鏡みたいな役割をして遠くの宇宙っていうのが見えるようになるっていう。
なんとも、ブラックホール自体の研究をするんじゃなくて、ブラックホールを手段として捉えていくっていうような、その目線での深めの研究っていうところなんですよね。これが今後どんどん出てくると。
このローマン望遠鏡で使われていく。つまりブラックホールの分布だったり、それがどういう性質かっていうのも一定その重力レンズ効果っていうのを通して明らかになっていくし、ただそのブラックホールの性質を解き明かすだけじゃなくて、ブラックホール自体の発見もどんどん増えていくだろうというところが期待されていて、このローマン望遠鏡はメインで調べてみると、
メインでブラックホールの話ってそんなに出てこないんですよ。だけど、今このブラックホール特集をやってるし、ブラックホールの理解が進んでいるからこそ、こういうブラックホールの活用の仕方があるっていう目線は宇宙話のリスナーのみんなには結構見といてほしかったなと思って、このエピソードで紹介させていただいたというような感じですね。