ところで、南口さん。最近の法廷ものとか、弁護士扱ったり裁判扱ってるもので、
いやー、ちょっとこれ物足りんなーってなってることあります?
弁護士ものとか、法廷もので、特に刑事のやつですね。刑事弁護とか。
いいドラマはいっぱいありますもんね。
刑事事件ね。
これって、そうなんですよ。時代に切り込んでる、これ面白いっていうやつあるんですけど。
あるね。いっぱいあるね。
そうだとして、そこで盛り上がっているのは、全くやってないのに、
やったことになりそうになって、大変でしたとか、
事件自体がでっち上げで、全くありませんでしたとか、
そういうやつが多いと思うんですよね。
つまり、真っ白、この人は何一つも悪いことしてないのに、
こんなことになってしまいました。っていうのが、なんとなくまだ多い気がするんですよ。
確かに。事実無根の冤罪、あなたが犯人じゃないんでしょう、みたいなやつで、
冤罪についてってやつが多いですね。
そうなんです。
ってことは、あれもしかして不満があるってことは、
両刑冤罪、やった人に対する両刑冤罪に対する熱い思いとかが、今日聞けるってことですかね。
だってね、この人がやった人であるかいなかっていうのは、確かにめちゃくちゃ大切な話ですよね。もちろん。
そうですね。
とても大切ですけど、やったんだけどそんなつもりじゃなかったとか、
やったんですけど、これはいろいろな事情があって、
もう本当大変やったんです、みたいなこともすごい大事なことじゃないですか。
現実としては、そういう弁護しないといけない時もあるでしょうしね。
もちろん、むしろそっちの方が多いんじゃないですかね。
そんななんか、全くそんな事件自体で打ち上げですとか、
全く関係ないのに犯人にうっかりなりましたっていうのばっかりが起きてたら、
それはそれで大問題なので、すごくそこが気になりますね。
私としては。
ということはですよ、今日はまさにそういう論点は取り上げていこうと思うんですけど、
特にアメリカの死刑裁判で採用されている、
その人が事実審としてはもう犯人というか実行したっていうことを、
一応裁判で決めた後に、
じゃあその人に適した寮刑って何かっていう視点に光を当てて、
特にですよ、原刑だけを専門に行う、
ミチゲーションスペシャリストっていう原刑専門家っていうのがいるんですけど、
これの話をしながら、日本の死刑制度について、
ちゃんともっといろいろ調べた方がいいんじゃないかっていう視点から考えてみたいと思います。
丸ちゃん教授の罪な話、市民のための犯罪学。
刑事政策犯罪学を専門とする立証大学教授で、
一般社団法人刑事司法未来の丸山康弘です。
同じく刑事司法未来の南口文です。
このトーク番組は、一般社団法人刑事司法未来が送る、
これまでとは異なった視点から、罪と罰を考えるものです。
ニュースでは聞けない、犯罪学刑事政策の話について、
分かりやすく解説をしていきます。
お堅いテーマですが、なるべく親しみやすい形でお伝えできればと思います。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
これまで第9回と10回で、死刑制度についてお話をしていただきましたね。
伝説の神回ですね。
そこでは、死刑というのが実際どういう刑罰なのかということですとか、
その死刑制度が海外、とりわけアメリカですよね。
アメリカではどうなっているのかなどを知った上で、
日本の死刑制度について、その在り方を考えてもらいたいということでお話をしてきましたね。
今日はまた次なる視点を教えていただけるということでよろしいでしょうか。
そうです。今日はちょっと違った視点。
死刑という判決を下すにあたって、裁判の手続きがどういうものであるべきかみたいな話を考えていきたいんですけど、
ちなみに死刑、確定後の話ね。確定後にその人に執行すべきかどうかみたいな問題点とか、
アメリカでは確定後、執行までにどんな問題点があるかみたいなのは、
第24回のデッドマンウォーキングについてひたすら我々が語るという回があるので、
そっちを聞いてください。確定後の執行までの間の問題点はそちらで語っているので、
24回目を聞くということですね。
そちらはぜひ聞いていただきたいですね。
死刑判決が出るにあたっての裁判上の手続きっていうと、
まず一番大切なのって、冤罪を出さないっていうことかなというふうに思うんですけれども、
そのあたりですか。
そうなんですよね。で、冤罪って、実はいろんなパターンの冤罪があるんですよね。
冒頭でね、南口さんもちょっと気になるんだって、最近の、最近のっていうかずっとなんでしょうけど、日本のドラマとか映画って、
完全にやってない犯人が巻き込まれたらどうするんだっていうような冤罪。
これもね、もちろんむちゃむちゃ大事で、完全に事実無根の人が巻き込まれたらどうするんだって、これすごくすごく大事な点なんですけど、
それは冤罪のパターンで言うと、一つでしかなくて、事実があったか、やったのは自分じゃありませんとかっていうパターンですね。
っていうこの、仮にこれを①とするとですよ。まだあと二パターンありまして、②③とあるんですね。
で、次②が、やったとしてですよ。あった事実が何罪に該当するか。
で、この人確かにこういう事件を起こしてしまって、人が亡くなってしまったって時に、この人が死んだのは自分の被告人の行為によるかもしれんけど、
例えば殺すつもりはなかったんですとか、揉めてた結果刺さってしまったんですとか、死ぬとは思いませんでしたっていうので、結果亡くなってしまったっていうパターンがあったりしますよね。
そうすると、本当にそういう状態なんだったら、障害致死とか、別の罪状がついて、別の料刑が出るわけですよ。
例えばね、亡くなったといっても、殺人で行ってしまうと、死刑とか無期があったりするけど、障害致死だと普通に有期な後勤刑というか自由刑ですよね。
で、これで大きな違いが出てくる。やったのはこの人なんだけど、適用された罪状が違ったっていう、これも冤罪っちゃ冤罪なんですね。
これを②とすると、もう一つ、その罪に該当するとして、例えばこれ殺人を起こしましたって言ったときに、じゃあどのような刑罰が適切かっていうときの、これも冤罪の一部であって、
例えばですね、同じ人数の殺人を犯して全家全歴が同じなんだけど、死刑になる人とならない人がいますよね。
となってくると、じゃあこの人に適切な寮刑ってなんだろうかっていう寮刑冤罪的な問題もあって、一口に冤罪って言っても、いろんなパターン、少なくとも今日今言ったのは3パターンあるぞということなんです。
それぞれのプロセスで、冤罪ってここで言ってる3パターンの冤罪があり得るので、それぞれどれも起こさない必要があると思うんですよね。
確かに冤罪って聞くと、今のでいくとパターン、位置がやっぱり浮かびますよね。
そうですね。
私じゃなかったんですっていう、だけどどう考えても何罪に実際なるのかとか、刑罰としてそれでいいのかっていうのも大事というか、すごい大きい問題ですよね。
なので、特にそこまで実際の事件で犯人逮捕されましたというところだけがすごいニュースとかでフューチャーされて、それが本当に犯人じゃない時っていうのがさっきの①のパターンなんですけど、仮にその人がそういう事件に関わってたとして、
じゃあこんな悪いやつがとか、報道のあり方を見て逮捕された時点でこの殺人犯がとかって、この犯人性だけをなんか重視するようなことになっちゃうと、じゃあ実際起きたのがどうなのかっていうところがちょっと曇っちゃって、本来その場で起きていたであろうことよりも重たい認定がされたりとか、
うーん、なるほど。そして今のが要は判決出た後の話ですよね。一審が出た後も自動的に次の裁判が始まる。で、判決の時も多分ありますよね。
じゃあ先にそっちの話をすると、例えば、そもそもABAって日本で言うと日弁連みたいな、アメリカ法律家協会ってABAっていうのがあったりするんですけど、ここでも死刑事件の弁護人の専任と任務のためのガイドラインって特別なガイドラインがあって、ここで刑事弁護するためにまずチーム性を採用しないといけないとか、いろんなこう決まってるんですよ、基準が。
で、さらにそこには死刑事件を扱う資格のある経験者があってとか、で、弁護士は絶対つける。で、インベスティゲーターっていう調査員ですね。この人は事実関係調べる人ですね。要は事件の事実を調べるのに警察とか検察とかの捜査機関が調べてくる証拠ってありますよね。
で、そうじゃなくて弁護側も出す証拠。これはそういう状態じゃなくて、こういうものからこれが言えますよっていう、もともとそれこそ警察官やってましたとか、捜査関係で働いてた人が弁護側のチームに、もう今はそういう仕事をしてますっていうので、調査する人、事実環境を調査して、そもそもここで言うと丸一の冤罪に近いやつですよね。そういう事実はありませんでしたとか、
これは全然違ったことが立証できますっていう事実を調べる調査員っていう人もいて、これも絶対入れないといけないっていうのが決まってます。そのガイドラインで。
で、今日テーマにしてるのは丸二丸さんとかになってくるわけでしょ。そうすると、そういう調査員の人もいますがそうじゃなくて、じゃあその人にこの料系がこれが正しいのかってこと。さらにこの人はやったことはこれなんだけど、じゃあこの人に適正な刑罰ってなんだろうってところを証拠を持って語るべきだっていう人たちがいて、これが今日のテーマのミチゲーションスペシャリスト、原型専門家っていう人たちも加わらないといけないと。これがもうガイドラインで入ってます。
その、ちょっと他にもきっとスーパーデュープロセスの話で聞いておくべきことあるんだと思うんですけど、やっぱりその原型専門家が気になって仕方がないわけですよね。
なるほど。じゃあ、ペペペペペっとデュープロセスで言われてるようなこと言っていきましょうか。
そうですね。ちょっと。
はい。そうしましょうか。
そうですね。短めにその他スーパーデュープロセスを言っていただければ。
例えばね、日本の裁判員裁判って、死刑扱うようになって裁判員裁判あるんですけど、これ全員一致じゃなくてもやれたりするわけですよね。
ああ、そうですね。
死刑判決出すときってね。
はい。
これはさすがにアメリカでこれやるときは全員一致が前提だとか。
ああ、はい。
あとさっきの児童上層も普通に最高裁行くだけじゃなくて、いろいろこう、例えば人身保護請求状、ヘイビアスコーパス状を求めることができて、
これで刑事事件だけじゃなくてそういう身柄が抑えられてる人に対してもっと適正なことが行われてるかっていう観点からもこうやってったりとかするので、
そうすると最高なんか9段階まで裁判やってるみたいなことも起きてきたりするし、
さらに言うと一審でノットギルティーで出た場合ですね、これ日本と全然違うのは検察官拘束しない、できないんですよね。
ああ、なるほど。
日本だと例えば第一審で地方裁判所で死刑が争われて無罪って出た場合に検察官がそれはちょっと不服ですって言って拘束して、
高等裁判所で逆転、ひっくり返って有罪になって死刑っていうことがあったりするんですよね。
はい。
だけどこのアメリカの場合だと一審で無罪が出た場合はもうこれ検察官拘束無しなんで、そのまま無罪になるっていうことになっていく。
もう全然制度的に言うと全然違ったりしますね。
ってことですよね。本当に全然違うんだなっていうのが分かりすぎてびっくりしてるんですけど、この辺でどうしても気になる本日のテーマの原型専門家。
ああ、そうでしょうね。
これはなんか日本ではって言えないぐらいに違うイメージで私受けてるんですけど、どういうことなのかを説明してもらっていいですか。
ミチゲーションスペシャリストがどんな人かってことですか。
そうですそうです。
そもそも前提としてさっきのね、この裁判の僕がちょっと飛ばして先に原型専門家の話してたんですけど、
この量刑判断の時に徹底して調べて証拠を出せるってこととか、そもそも手厚い費用補助で無制限で調べていいよとか、原型専門家は絶対雇わないとガイドライン上ダメだよってことになってくるので、
っていう前提があるってことから言いますけど、この原型専門家の人たち何をするかっていうとその量刑、この人が仮に犯人だとして、これを事実としてこれをやった。
じゃあさっきの冒頭でもちょっと言ったんですけど、なんか善かがあって武器を使って計画殺人で被害者の数が一緒だとかって似たような事例がたくさんあるにもかかわらず、
ある人は死刑になって、ある人は無期懲役になって、ある人は懲役30年になってバラバラになってくること自体が、これが量刑上の公平性とかが争われたのがあるっていうのがこれ9回目10回目とかに話しましたよね。
その時はほら山口さんがブラックマン犯人のことブラックマンさんがって言ったあの回ですけど伝説のね。
そうですね。
っていうあの時にそもそも公平性がって話になってた思い出して、もしくはまた聞いていただきたいんですけど、みたいにあの量刑を決めるところでも証拠がいるだろうって話になってくるわけですよ。
でそれを調べていくのに例えばまあいろんなことを調べるんですけど、
ミティゲーションスペシャリスト、原刑専門家って例えばですよ何世代にも遡ってって、被告人の生活歴とかに関するすべての情報を収集するとするんですよね。
この両親で育った幼少期はこれで、その時の学校での生活はこうで、その時の先生はこういう人たちで、友達にはこういうふうな状態で育ってたっていうのをもちろん調べるんだけど、
さらにその両親の両親がこういう状態で育ってるこういう地域の人たちでこういう育て方で育った人の子供から生まれた子供がこの被告人だからとかって、すごい調査しまくると。
こういうことはなんかねこのソーシャルワークとかこう勉強してミティゲーションスペシャリストの人たちはやっていく。
ちなみにね、じゃあこの被告人の幼少期を教えてください。はいはいとかって答える人ばっかりでもないでしょ。それは当たり前ですけど。
いや、そりゃそうだと思うんですよね。
これをね、そういう話を聞き出すまでやっぱ時間もかかれば、その聞き出す人の能力でなんか関係性を築いていって、こういう話を聞かせてくださいっていうのも時間かけて丁寧にやって何度もあってっていうのを作り上げていく。
で、こういう状態でこの人はこういうふうに育ったんで、この時の行動はこういうことが起きてしまったんだってことを徹底して調べる人ですね。これが原型専門家。
それはつまりそのなぜこのような結果が起きてしまったのかとか、この人がなぜこういうことをするに至ったのかっていうことをすごく深く掘り下げて明らかにしたいっていうことなんですよね。
そうですね。だから具体的に言うと精神疾患があるのかとか、もしくはそこに影響のあるような別の疾患があるのかとか、知的障害があるんだろうかとかっていう本人の資質ももちろん見ますし、あとは子供の時の精神的とか身体的虐待とか、あとはネグレクトがどうだったんだとか、移住してきてそこではなじめなかったんだとか、
その犯行を行った時が年齢はいくつぐらいだったんだとか、それが許容を受けてたんじゃないかとか、その行動の関与の程度ですね、複数で共犯関係でやってた時はどれぐらいの強度で関わってたのかとか、もちろん前科前歴とかそういうことを全部調べて、
あとは施設収容することでどうだったか、これからどういうことが起きるかとか、将来はどういう介入していくことがこの人の危険性を左右するかとか、こういうことも全部含めてやりますね。
どんな人だったのかとか、どんなご家族だったのかとか、そういうのも含めてこの人のことをものすごく考えようっていうシステムになってるってことですよね。
これね、例えば今原型専門家っていうので試験案件をやるって言ってるから聞き慣れない人もおそらく南口さんも、そんな日本で可能かマジかっていうふうなちょっと、南口さんでさえちょっとえーって思って聞かれると思うんだけど、
例えばね、でもここで今まで話してきたやつで言えば刑事事件に関わる人の公正支援計画とか、ソーシャルワーカーがどんだけ大事かみたいな話今までしてきましたよね。
で、例えば説当を繰り返す人がなぜ説当を行うのかっていう時に、どんな刑罰がこの人には適切なんだろうかとか、高齢者でやっぱり社会での受け皿なくて食べ物なくてこういうことをしたっていう人に対してはどんなふうな刑罰なのか、もしくはその人が再犯しないような何か方法があるのかってことも、
例えばソーシャルワーカーの人が関わって一緒に公正支援計画考えたりとかっていうのはあるわけじゃないですか。日本でもちょっとずつね。
そうですね。
で、これを例えば死刑事件においてやってて、で、この人が何で犯罪するに至ったのかもやるし、じゃあこの人に適切な刑罰って何なんだろうっていうのも調査していくっていうのがこの人たちですよね。
確かに日本の刑事裁判で同じことを全くしていないかって言ったら、それはもちろんそうではないと思ってて。
はい。
その被告人の方のこれまでの性育歴ですとか、この人の事情とか、この人どんな人なのかとか一生懸命弁護団が調べてですよ。
一生懸命出してる証拠として法廷に出してることは実際にありますし、知ってるんですけど、そこにすごく弁護団のご苦労があるなと思うのが、今日話聞いててやっぱ違うなと思ったんですよね。
その証拠を出すにも何でも出せるっていう保証があるわけではもちろんないし、その費用のことはどうするんでしょうかっていう話もありますし、これをつけなければならないってなっているわけではないから、すごく努力をされている弁護さんたちがいらっしゃるのは分かってるんだけれども、その方たちの頑張りに頼りしているというか。
そうですね。
だからそこがすごく違うなと思って、今伺いました。
だってね、それこそ今南口さんの問題意識からすると、プロの法律家の人たちって、この案件に対してどう法解釈を当ててって適切な何罪で何にするのかっていうと、むしろ先の冤罪の②に近いところで戦いたいにもかかわらず、
③の冤罪って言ったら、ひたすら犯罪報道が繰り返されたりすると、その事件の結果の悲惨さから悪魔のような扱われ方をしている犯人像っていうか、犯人性だけがむちゃむちゃ高まってて、そこを戦うのって、もちろんそれが上々的に語るのが得意な弁護さんもいらっしゃいますけど、
ただ法律で戦っていくっていう本当のポイントは、①だったり②だったりするわけですよ、さっきの冤罪で言うとね。
そうですね、確かに。
ですると③の部分はやっぱりそれ専門のプロがいて、もう悪魔のように描かれているこの人に、さっきの2世代遡って被告人のライフヒストリー語ったりとか、むちゃむちゃ本人の問題も出し、周りからどういう影響を受けてこの人がこういうふうに育っていったかっていうので、
もちろんね、売信員とか日本でいうと裁判員が、完全にそんなそういうことが起きたんだって分かりきらなかったとしても、そういう伝わりきれてなかった個人的な事情とか報道されてない部分に光を当てて、やった結果大きいし許されない犯罪なんだが、
この人がこういう人だったんだなって、悪魔化されてたやつを人間化していくみたいな活動が原型専門家の役割だって言われてたりしますよね、アメリカでも。
なんか、そうやってアメリカの制度を聞くとね、むしろそりゃそうだよねって思うんですよ。
だって、人を国家の命令で殺すってことじゃないですか、死刑って。
だから、行える調査は全部する。それで、どうしても死んでいただくしかないという場合だけやりましょうっていうのって、そりゃそうよねって思うんですよね。
ただ、先ほどの話の中でも日本では違うんですよねっていうところがいっぱい出てきたと思うんですよ。
で、ちょっと最後に日本だとこうだよ、ポイントのところだけもう一回触れていただいていいですか?
わかりました。それ今すごい大事なところで、結局ね、僕も常々思うのが、仮に死刑賛成でも適当に別にこの人を死刑にしちゃったらいいやんっていう死刑の賛成論じゃって、
いないとは言わないけど、少なくとも死刑賛成の人も徹底して調べ尽くして、この制度が完全に保証された上でこれが維持されてて、死刑もあるだろうなっていう人たちの賛成の人が多いって考えてるんですけど、
そうするときにみなみぐさんが聞いてくれたみたいに、じゃあ日本の制度として裁判手続きとして、死刑についてスーパーデュープロセスしましょうみたいな特別な手続き設定は特にないですし、
さらにさっきもちょっと言ったんですけど、全員一致じゃなくても死刑になるとか、あとは児童上層自体がなかったりとか、そうなるとさっきの本人が孤独の中でもう取り下げますとか、それで確定しちゃいますみたいなこともあってくるから、
そうすると弁護士会とか弁護士個人個人もね、いろいろ努力はされてるんだけど、そういう制度的な補強の仕組みがないから、そうすると個人とか弁護士会単体でごとに頑張られても結構そこは限界があるっていうのがあるので、
やっぱり仮に賛成であっても、じゃあそれを維持するだけの制度を整えてる上でのことなのかとかっていうのをちゃんと賛成派も考えた方がいいというのが常々思っているということですね。
さてここで犯罪学をもっと身近に感じてもらうために、犯罪学の観点から円溜めを見ていきたいと思います。
はい、今日おすすめしたいのは堀川慶子さんの死刑の基準と裁かれた命です。
死刑の基準と裁かれた命はどちらも死刑判決が出て、それが確定し、死刑が執行された方をめぐるノンフィクションです。
まず死刑の基準は、死刑の判断基準として紹介されることもある長山基準がどのように生まれたのか、それは果たして基準なのか。
長山紀夫さんの裁判とお手紙をもとに迫った一冊です。第32回公断者ノンフィクション賞を受賞されています。
そして裁かれた命は、警察でも検察でも手がかからなかったと言われて、裁判も一審は2回の後半で死刑判決が出たという強盗殺人でお一人の方を死亡させた22歳の青年が事件後に出会う周囲の人々との交流から変わっていく様子と
その反省を紐解いていく一冊です。こちらは新庁のドキュメント賞を受賞されています。
この2冊なんですけれども、今日お話しした冤罪の3種類の中で、②の実際に行った行為がどういう犯罪にあたるのかというのと
③の刑罰として死刑が適切なのかということが、それって具体的にどういうことなのっていうのが描かれています。
それぞれ犯人がこの人だっていうのは間違いないんですよね。
そうなんです。犯人はこの人なんだけど、じゃあ死刑の基準では4名の方がお亡くなりになった事件について
死刑が相応しいのか本当に死刑しかないのかっていう3番のところが争われていて
裁かれた命の方は殺意があったのかなかったのかが争点になっていて、
要はこれが殺人罪なのかどうかっていうのがポイントになるようなところです。
両者とも、被告人の性育歴がすごく劣悪な環境で、とてもご苦労があられて、
そのことが両刑に影響するのかっていうようなことも描かれています。
この堀川恵子さんの作品って、今日取り上げたのはこの2冊だったんですけど、
全てにおいて緻密な調査が行われていて、ジャーナリストって言っていいのかどうかっていうところもありますけど、
ここまでやっぱり緻密に積み上げて調査して構想していくっていうプロの仕事が毎回どの作品でも見れるので、
すごいおすすめで、これ結構僕、うちの母親も大ファンなんですよ。
堀川恵子さん、何回か会ったことあるんですけど、今日会ってきたよとか言ったら、うわーって言うんですよね。
いや、わかります。
この前、せっかくなんで会えた時にサインもらって、ちゃんと母に渡しましたよ、僕は。
本当に、これもちろん死刑について考えていくきっかけにしていただきたくてご紹介してるんですけど、
例えばなんですけど、裁かれた命の方はですね、忘れられた死刑事件、あんまりいろんなことわからないところから始まるんですよ。
で、その死刑になってしまったご本人のことを堀川さんが調べていくんですけど、
そこで登場する人物のいわゆる群像劇がすごい濃いんですよ。
そもそもそのご本人から手紙を受け取った担当検事が出てきたりとか、
一審では全然十分な弁護を受けられてなかったんだけれど、
二審からすごく熱心に弁護をする方が元裁判官の弁護士さんだったりとか、
あと同級生とか、行方不明になってた兄弟とか。
今、丸山さんおっしゃったように、本当に短い裁判で死刑になってしまったこの方の反省を堀川さんが調べて、
紐解いていくお話としてもすごくドキドキしながら読み進めるんですよね。
本当にこんなこと私が言うようなことじゃないんですけど、物語としての力がめちゃくちゃ強いので、
多分ドキュメントは苦手ですという方でも興味深く読めるお話になっていると思うんです。
堀川さん、死刑四部作、あとは境界誌っていうのと。
これもいいやつですね。
いい本です。これ境界誌が主役なんですけど。
そして長山の寮さんでもう一冊、封印された鑑定記録っていうのもあるので、ぜひお読みいただきたいと思います。
おすすめです。