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こんばんは、若奈です。
このポッドキャストは、毎週一つの短歌を取り上げて、短歌のセカイの楽しみ方をお話ししています。
毎週金曜、夜8時に配信しています。
1週間の終わりの息抜きになったら嬉しいです。
今回は、若さゆえのヒリヒリした恋の短歌をご紹介します。
大人の方は、世界に二人きりみたいに錯覚した若かりし時の恋の記憶を思い出しながら聴いてください。
短歌4拍子説と、声に出して読みたくなる短歌の秘密についてもお話しします。
僕たちは、いずれ腐っていく皮膚を撫でたりしながら恋をしていた。
今日は、はつたにむいさんの、僕たちはいずれ腐っていく皮膚を撫でたりしながら恋をしていたをご紹介します。
この短歌は、花はあそこにいたって会いたいよという、はつたにむいさんの歌集に掲載されている短歌です。
以前、43回目のポッドキャストで、もう同じ歌集に載っているはつたにさんの短歌をご紹介しました。
その時は、どこででも生きてはいける地域のゴミ袋を買えば愛してるスペシャルという短歌です。
今回はですね、僕たちはいずれ腐っていく皮膚を撫でたりしながら恋をしていたという短歌です。
はつたにむいさんの短歌で、今回この花はあそこにいたって会いたいよという歌集を通して読んでみて思ったのが、
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口に出したくなる、声に出して読みたくなる短歌だなというふうに思いました。
しかも読むことで寂しさとか苦しさが紛れるような短歌だなと思ったんですけど、
声に出すことでちょっと救われるというか、もやもやしてうつうつとした気持ちが晴れるような感じですね。
たぶんはつたにさんの短歌が、そういう気持ち、みんなのもやもやした、しかも青春のもやもやというか、
そういうのを代弁して短歌を読んでくれているのかなと思いました。
そういう若い青いもやもやをすごくきれいな形で短歌にされているので、
はつたにさんの短歌を声に出して読むことで、そういうもやもやが浄化されるっていう感じがしましたね。
歌集のタイトルが花は泡、そこに至って会いたいよっていうタイトルなんですけど、
花は泡って言っている泡みたいに、きれいに気持ちが消えていくというか、きれいに悩みが消えていくような、そんな感じがしました。
今回の短歌は、すごく若い子なんていうんですかね、若いからこそちょっと痛々しいような短歌だなって思ったんですけど、
恋をしていたって過去形なので、たぶん終わった恋なんですよね。
いずれ腐っていく皮膚を撫でたりしながらっていう、若い二人なのにいずれ腐っていくっていう、
年をとって老いてしまうことへの恐怖とか、若さがなくなることへの抵抗とか、そういうのをすごく感じるし、
怖くて抵抗しているからこそ、その老いを感じるからこそ、この短歌の主体、この短歌の登場人物が、登場人物の若さが際立つって思ったんですね。
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老いを感じるからこそ若さを感じるっていう話なんか前にもしたなと思ったんですけど、
47回目のポッドキャストの時に、コウノミサコさんの、「これは会話なのだと思う。純々にダメになる花を摘み取る時に。」っていう短歌をご紹介したんですけど、
その時もなんか同じような話をしてましたね。なんかこれもそのダメになる花っていう、その綺麗なものが老いる姿を想像するからこそ、綺麗な時の思い出が際立つというか、若さが際立つっていうのはあるのかなーって思いました。
なんか確かに、若い時って老いることの怖さとか、なんか若さを失いたくないとかね、なんか若くなくなったらもうダメなのかなーみたいな、そういう気持ちってありましたね。
でもね、すごく不思議なんですけど、歳をとるほどにそういう気持ちって消えていくんですよね。
だから、うん、ほんと不思議ですよ。
あの、女子高生とかってほんとにね、そういう時ってなんかこう、今、今何ですか?なんかラストJKとかって言うんですよね。
なんかもう、ラストとか言うとほんとに、女子高生じゃなくなっちゃったら終わっちゃうみたいな、そういう気持ちがあるんでしょうけど。
いやー、ほんと歳とるのは楽しいですけどね。
まあ、これからどんどん体がね、動かなくなっていくと、それはそれで、なんか辛いこともあるかもしれないですけど、
意外とね、そんなに、うん、今はそこまで、歳をとることへの抵抗っていうのはないですね。
だからその若い時ほど、わからなくて怖くなってるっていうのはあるのかなーって思いました。
でね、なんか皮膚を撫でたりするっていうのも、なんかほんとにそういう恋の仕方。
で、私はこの単価を見た時にイメージとして、すごく狭いワンルームみたいなところで、
あの、ほんとにあれですよ、シャランキューのシングルベッドの歌の世界みたいな感じで、狭いところで、
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愛し合うみたいな、なんかそういう感じがして、
なんかそういう感じ、愛し方も若さゆえみたいな感じがしますね。
なんかその、ほんとに世界で2人だけみたいな感覚とかって、
なんか、確かに昔ってそういう感覚あったんですよね。
ほんとにこの人しかいない、お互いしかいないみたいな、
世界に2人ぼっちになったような感覚?
なんか恋に落ちるとね。
なんかそういうのが、この単価からは感じられて、
だからすごく若い恋っていう、痛々しいような若い恋っていうイメージがあります。
なんか不思議ですよね。
こうやってその、今ね、自分がそういう実生活では恋の仕方って変わってきたけど、
こういう単価を見ることで、
なんかその、昔の恋の記憶が蘇ったりとか、
そういう感情をありありと思い出したりするのって、
すごく不思議な感じだなーって思いました。
はい、それでですね、あとはね、
この歌集の解説、山田渡さんっていう歌人の方が解説を書いているんですけど、
そこでね、初谷さんの単価の特徴みたいなことが書いてあるんですけど、
リズムがね、特徴的っていう風に書かれてて、
だからそのなんか声に出して読みたくなるような単価なのかなーって思いました。
山田さんは、解説の中で面白いなーって思ったのが、
現代単価って、単価は57577だけど、
現代単価ってそこまで細かく音を区切らなくて、
4拍5小節とか、4拍6小節の単価っていうのが、
現代単価ではかなり浸透しているっていう風に書いてあるんですね。
私、本当にこういう専門用語的な言葉が出るとですね、
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途端に意味がよくわからなくなっちゃうんですけど、
なんであんまりこの4拍子ってどうやって数えてるのっていうのが、
ちょっとよくわかんないんですけど、
確かにその区切りが57577って切れてないんですよね。
区がまたがったりしてるところもあったりするので、
例えば区がまたがってるっていうのは、
今回の単価だと、僕たちはいずれ腐っていく皮膚をっていう、
そこかなーって思ったんですけど、
普通に57577で区切ると、いずれ腐っていく皮膚をなんですけど、
意味がずっとつながっていくじゃないですか。
腐っていく皮膚って一語なので、区がまたがってますよね、文章が。
多分そこでそのくまたぎとかを考えると、
単価を切る部分が57577じゃなくて、
もっと切れるところが少なくなりますよね。
多分そういうことを言ってるのかなーって思ったんですけど、
そういう4拍子、単価が4拍子になるっていうのが多くなってきてるらしくて、
初谷さんは4拍子を作るのがすごくリズムがいいっていうふうに解説の中で書かれてました。
私はそういうのを知らずに、無意識で口に出してみたくなる単価だなとか、
実際読んでみてもすごく読んでいて気持ちのいい単価なんですけど、
その裏にはこういうふうなテクニックがあるっていうことだそうです。
はい、いかがでしたでしょうか。
今回は初谷無意さんの、
僕たちはいずれ腐っていく皮膚を撫でたりしながら恋をしていた、
をご紹介しました。
単価の世界の歩き方は毎週金曜夜8時に配信しています。
また来週金曜夜にお会いしましょう。
それではおやすみなさい。