ZEN大学とミネルヴァ大学日本拠点
ZEN大学とミネルヴァ大学の刺激に期待するというテーマで少し語ってみたいと思います。
ZEN大学というのは、ドワンゴと日本財団が協力して設置を計画している大学ですが、
つい最近、文科省の審議会がこの大学の設置認可を「可」とする答申を出したようですので、
そのうち文科省が認可をし、正式に来年の4月開学されると思います。
この大学は、ドワンゴが関わっていることからわかるように、オンラインで授業を提供する、
基本的にはオンデマンドのビデオを観ることで授業を受けるという形になるようですが、
その他にもライブのオンラインの授業もあるだろうし、また対面の授業、それから授業以外の様々な課外活動も用意されているようです。
その様々な活動に関しては、日本財団が行っている様々な活動、そこが活用されるようですね。
この大学については、前から注目していまして、オンラインで学士号が取得できる、
そういう大学、これは今の時代に是非とも必要な大学だろうと思っていまして注目してきたのですが、
特にこの日本財団と関わっているというところがまたもう一つ注目点ですね。
最近知ったのですけれども、日本財団は、アメリカにありますミネルヴァ大学というところと包括連携協定を結んだと、
これが今年の4月だったそうですけれども、そういう情報をつい最近知りまして、
このミネルヴァ大学というのも私は前から注目していました。
この大学も授業はオンラインで行うということなんですけれども、
特にこの大学がユニークなのは、キャンパスを持たずにですね、世界中にさまざまな拠点を設けて学生が移動しながら学ぶという、そういう形なんですね。
そのために授業はオンラインで受けると、世界中のどこにいてもオンラインで授業を受けることができる。
他方で世界各地でいろんな体験をすると、そういう大学でして、日本にはその拠点というのがなかったんですけれども、いよいよ日本にも拠点ができるということなんですね。
これが日本財団が関わってそれが作られるそうなんですけれども、
来年の秋を予定しているそうですけどね。
大学教育の新しい形
ですから来年は 、春にZEN大学が開学し、秋にミネルヴァ大学の日本拠点がスタートするということで、どちらにも日本財団が関わっているという、そういうことなんですね。
これは本当に今までの大学とは違う、今までの一般的な日本の大学とは違う大学が生まれる、あるいはその大学の拠点が日本にできるということで、
しかも日本財団が両方に関わっているわけですから、ZEN大学とミネルヴァ大学の何らかの連携もおそらく起こるだろうと思うんですね。
ですので、これはますます面白い展開になるんじゃないかなというふうに思っているんです。
オンライン、特にオンデマンドの授業を受けるだけで勉強するというのだと、その勉強の質はそんなに高くないというふうに多くの人は考えるんじゃないかと思うんですね。
これはなんとなくイメージとしては放送大学の授業、これはオンデマンドってわけではないんですけれども、テレビとかラジオとかで観たり聴いたりできる、ああいった授業ですね。
画面越しに先生が何か話しているのを聞く、あんなのを聴いたって勉強にならないんじゃないかというふうに思ってしまうわけですが、放送大学ももちろん今インターネット使ってましてだいぶ変わってきているのではないかと思うんですが、
特に若者に人気のあるニコニコ動画とかニコニコ生放送とかそういったことを運営しているドワンゴがかかっていますから、そこはきっと若者にも楽しめる仕掛けを作っていくだろうと思うし、
単に楽しむだけではなくて、そこに何らかの深い学びが生じるような、そういうことも起こっていくんじゃないかと思うんです。
ただ、ドワンゴはもともと教育というものにずっとかかわってきたわけではないところですので、教育的観点からそれをうまく活かせるようになるには少し時間がかかるんじゃないかと思います。
最初は目新しさとか、あるいは学費の安さとか、そういうところで注目されることが多いかなと思うんですけれども、でもこのやり方はですね、うまくやれば本当に教育効果が上がるやり方だと私は思うんですね。
しかも日本財団が関わっていろんな体験の場を設け、しかもアメリカの大学とも関わっていくということになりますとですね、これはもう本当に他の日本の大学はですね、うかうかしていられないと言いましょうか、
ちょっと見劣りしてしまうようなそういうところも出てくるかもしれませんね。
ですから、さまざまな形でオンライン授業というものは多くの大学に取り入れられていくだろうと思います。
そのオンライン授業というのは単にオンラインでやるということが重要なわけではなくて、ミネルヴァ大学でもそうですが、オンラインにすることで自由になった時間と場所、これをどううまく使うかということが問題なわけですね。
そこまでちゃんとやらなければ、結局今まであった通信制の大学と大差ないことになってしまいまして、やっぱり通学制の大学の方がいいねという話になってしまうんですけど、
そのオンラインで自由になった部分を最大限に利用しますと、絶対に今までの通学制の大学よりはいいものになるだろうと私は思います。
ですから、今の通学制の大学も単に今まで通り教室で授業をやるのではなくて、どんどんオンラインの授業、特にオンデマンドの授業を増やしていって、その分自由になった時間と場所を、既にある施設を有効活用してですね、
カリキュラムも変えて、できるだけ自由化してですね、多様な学びに対応できるようにしていく必要があるだろうなというふうに思います。
ただ、自由っていうのはですね、難しいもので、自由にやってくださいって若者に言ってもですね、困ってしまう人が多いんじゃないかと思うんですね。
それで、いわゆる面倒見のいい大学っていうんでしょうか。大学生にもなってっていう感じはするんですけれども、本当に細かいところまで面倒を見る、そういうことが今行われてますけれども、そこをですね、やっぱりうまくやらないといけないですね。
学生の主体性、自主性を最大限に活かす形で、やりすぎないっていうのが大事だと思いますね。ですが、全くやらないのも良くないので、その加減っていうのがとても難しいかと思うんですけれども。
ZEN大学はですね、そういうサポートのためのスタッフをたくさん用意するという計画のようでして、クラス・コーチでしたかね、生活面でのサポート、それからアカデミック・アドバイザーですかね、授業に関する様々な相談に乗る人。
そしてキャリアですね、就職その他、キャリア形成に関わるアドバイザーとかですね、いろんなアドバイザーがサポートする体制を作っているようですので、決して学生がビデオだけ与えられて放っておかれるという、そういう形にはしないということのようですが。
どうなるでしょうか、これうまくいけばですね、本当に良い大学になるんじゃないかなと思いますし、他の大学もその良いところを取り入れてやっていく必要があるかなというふうに思いますね。
ということで、私は普通の通学制の大学の教員をやってますが、来年生まれる大学と、それからミネルヴァ大学の日本拠点の刺激というものが、日本の既存の大学にどのような影響を与えるか楽しみに見守っていきたいと思いますし、
またもちろん他人事のように言っている場合じゃなくて、私も自分の勤める大学でより良い教育ができるように、この新しい動きをしっかりと見て、いろいろ学ばせてもらいたいなというふうに思っています。ということで、それではまた。