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2024-05-16 13:17

80 ブログ | NHKBS「“原爆の父” オッペンハイマー」感想

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2024年5月14日と5月15日に放送されたBS世界のドキュメンタリー「“原爆の父” オッペンハイマー」の感想です。映画『オッペンハイマー』の解説のような内容で,この映画を観た人にも,これから観る人にもお勧めです。

2024.5.14(火) - “原爆の父” オッペンハイマー 前編 核開発への道

2024.5.15(水) - “原爆の父” オッペンハイマー 後編 私は死に神となった

原題:To End All War: Oppenheimer & the Atomic Bomb(アメリカ 2023年)

参考:79 情報 | NHKBSでオッペンハイマーのドキュメンタリー

#テレビ #BS世界のドキュメンタリー #オッペンハイマー

サマリー

NHKで放送されたオッペンハイマーのドキュメンタリー番組について述べます。番組は2024年5月14日と5月15日の2夜連続で放送されており、原爆の父として栄誉を得たオッペンハイマーの人生と、彼が原爆についてどのように考えていたのかが描かれています。

お勧めです
NHKで放送されましたオッペンハイマーのドキュメンタリー番組を見ましたので、その感想を述べてみたいと思います。
このドキュメンタリーは、2024年5月14日と5月15日の2夜連続で、NHK『BS世界のドキュメンタリー』という番組で放送されたものです。
これはアメリカで放送されたテレビ番組らしいですが、原題は "To End All War: Oppenheimer & the Atomic Bomb" というもので訳しますと、「すべての戦争を終わらせるために:オッペンハイマーと原爆」というような意味だと思います。
アメリカNBCテレビで、昨年2023年の7月9日に放送されたというふうにネットで調べたらば出ていました。
つまり昨年、映画『オッペンハイマー』がアメリカで公開される10日ぐらい前にテレビで放送されたというもので、言ってみればこの映画の前提知識を知らしめるための予習テレビのような、そういう意味合いがあったかと思います。
確かにこの番組を見た後に映画を見ますと、非常によく内容が理解できるそのようなテレビ番組だったと思います。
日本ではこれを後から見る形になりましたが、映画を見ただけでは今一つよくわからなかったという人も、この番組を見ますと非常に中身がよく理解できるそういうものになっていると思います。
ですので、これを見た後にもう一度映画を見ると、さらに理解が深まって、しかもそのドキュメンタリーと劇映画という違いがありますので、最初に見た時と違った面白さが感じられるのではないかなというふうに思いました。
私も機会があればもう一度映画を見に行きたいなというふうに思っているぐらいです。
さてこの番組ですが、もともとは一続きの90分ぐらいの番組でして、前半と後半で日本では分けて放送していますが、前半は日本でのタイトルは「核開発への道」となっていまして、
トリニティの最初の核実験、これが始まるまでの話が書かれています。
そして後半は日本のタイトルは、「私は死神となった」というタイトルですが、トリニティの実験でそのものすごい爆発を見て、オッペンハイマーは『バガヴァッド・ギーター』の一節を思い出して、そこに死神という言葉が出てくるわけですけれども。
それ以降、一方では原爆の父ということでその栄誉を称えられ、しかしアメリカの赤狩りの中でその栄誉が剥奪されて、ソ連のスパイというふうにされてしまう。
晩年は非常に一種の廃人のような状態で過ごしたという話なんですけれども。
その中で映画でもメインに取り上げられていました、戦後、セキュリティ・クリアランスというのでしょうか、機密情報へのアクセスの資格を剥奪されるということにつながった聴聞会の話も出てきます。
そこでオッペンハイマーとストローズの対立というものもこの番組の中では触れられています。
ということで、本当に中身が映画の解説のような内容になっていまして、おそらくそういうつもりで作ったのかなというふうにも思われるんですが、実際このドキュメンタリーの中でノーラン監督も出てきます。
またその他、オッペンハイマーのドキュメンタリー番組を作ったジョン・エルスという方がいるんですけど、そういう方も出てきますし、また多くの歴史家も当時の説明をするために登場します。
ですので、劇映画では実際の登場人物がいろんな話をしたり演技をしたりして示すところをこのドキュメンタリーは過去の写真や映像、そしてそれを解説する歴史家や当事者、そういった人たちの発言で番組としているわけですね。
映画の中では出てこないということで批判もある被爆者も、この番組の中では出てきまして、被爆から間もない時期に録影された非常に生々しい被爆者の傷を録影しているそういうフィルムも出てきますし、
また被爆者の方が当時を証言するそういう場面も出てきます。
ですので、このオッペンハイマーという人をさらにオッペンハイマー自身の視点からだけではなくて様々な視点から理解するという意味ではこのドキュメンタリー番組というのは非常に良くできていて、
この番組を見て、映画を見て、さらにこのオッペンハイマーがたどった人生、そしてその後の現在の世界の状況などについて考える上でとても参考になるそういう番組だったなというふうに思うわけです。
少し残念なのは、これがBSで放送されたということで、NHKのオンラインサイト、NHK+というのがありますけれども、そこでは地上波の見逃し配信が行われていまして、1週間くらい見ることができるんです。
それからBSのも含めて、NHKオンデマンドというサイトがありまして、ここではお金を払えば過去の番組も見ることができるというふうになっているんですが、そのどちらでもこの番組再放送というのでしょうか、動画を見ることができない状態になっています。
BS世界のドキュメンタリーという番組は、よく再放送が行われていますので、またいつか再放送が行われるということはあるかもしれませんけれども、今のところまだその予定は公表されていません。
ですので、新聞のテレビ欄などを見て、この番組の再放送があったらば、今回の放送を見逃した人は見ることができると思います。
本当にこれは、映画を観ていない人にもお勧めできるいい番組だと思いますし、映画を観た人、あるいはこれから観ようと思っている人が観てもとてもいい内容だと思いますので、ここでお勧めしておきたいと思います。
すべての戦争を終わらせるための原爆
それから最後にですね、ちょっと私感じたことなんですけれども、この番組でですね、英語のタイトルがですね、「To End All War( 全ての戦争を終わらせるために)」というタイトルがついているんですね。
この番組の特徴はですね、オッペンハイマーが原爆によって全ての戦争を終わらせることができるというふうに考えていたのではないかということをですね、前面に出している番組だということですね。
で、なぜこれを強調したのか。それも番組を見るとだいたいわかるんですが、それは一方でオッペンハイマーは日本に原爆を投下することを支持し、また戦後もそのことについて謝罪などはしていないんですね。
つまり、日本に原爆を落とすということについてオッペンハイマーは落とす前も落とした後もそれは正しかったというふうに多分考えていたと思うんです。
しかし一方で被爆者たちに対する同情というんでしょうか、すまないことをしたというそういう感情も持っているんですね。
自分たちは正しいことをしたんだからということで被害について目を背けるというわけではなくて、十分そこは非常に悲惨な状況を招いてしまったということに対する後悔の念もあるわけです。
この二つがどうやって両立するのかということが問題になるわけですね。
そこで出てくる一つの考え方が、この広島・長崎は最後の悲劇としたいと。
つまり広島・長崎によってしっかりと悲惨な状況を生み出すことによって、それを見た世界の人々がもう戦争なんてこれからはできないんだというふうに思ってですね。
もう世界から戦争がなくなる、そういうことを考えていたのではないかと。
だからこそ、そこではですね、戦争を終わらせたい、戦争をもう二度としてはいけないんだというふうに思うほど悲惨なことが起こる必要があったというふうに考えていたのではないかということがですね、この番組の一つのメッセージというか、一つのオッペンハイマーに対する見方として描かれているような気がしました。
このことはあまりノーラン監督の映画の中では出てこなかったように思います。
このことについてはですね、オッペンハイマーはそういうふうに考えていたということは多分あり得ると思うし、そういうつもりだったんだろうとは思うんですけれどもね。
でもそのことがどれだけ重要なことなのかということは、ちょっと私まだ判断しかねているところがあります。
でも資料的にも、オッペンハイマーがそういうことを考えていただろうということを裏付けるようなものはありますし、本気でそう思っていたのかなというふうにも思うんですが、ちょっとこれについてはもう少し考えてみたいなというふうに思っています。
それではまた。
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