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2023-11-16 18:02

#8 私の授業の具体例(後半) | TanaRadio黎明期

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TanaRadio黎明期では,TanaRadioの公開配信が始まった2024年2月以前に,ある大学教員のコミュニティ(MOSTコミュニティ)内限定で配信していた時期のTanaRadioのエピソードを(一部)編集して公開します。日付は,実際に限定公開した日付をつけています。

内容:
・(冒頭部分省略)
・「科学と技術の社会史」の授業紹介(後半)

#TanaRadio黎明期

サマリー

このエピソードでは、近代科学の誕生について議論され、古代や中世の学問との違いや、学問のあり方がどのように変化したかが説明されています。また、フランシス・ベーコンの影響や科学の未来についても考察されています。さらに、ベーコンが自然を研究することによって人間の力がどのように増大し、それによって生じている問題についても考察されています。質疑応答の時間や授業の進行方法についても触れられています。

近代科学の誕生の理解
TanaRadio 第8回始めたいと思います。
今日はですね、前回第7回の続きで、私の授業のですね、ミーティングと言っている、普通に言う授業なんですけれども、教室で行う授業の紹介の後半を行いたいと思います。
前半ではですね、私はまず、今日のミーティングで行うことを簡単に話した後、前週コメントシートの紹介ということで、オンラインサービスのLearnWiz Oneというツールを使って、学生たちにお互いに、他の受講者がですね、提出した課題を読み合って、
いいなと思うものがあれば、いいねボタンを押してですね、それで、最後、いいねがたくさんついたものの上位いくつかを教員が読み上げてコメントするという、その部分まで紹介したところです。
ミーティングの後半は、今週の学習の導入と、それから質疑応答、これがメインなんですけれども、その今週の学習の導入というのは、どんなふうにやるのかということを、実際の授業の録音をお聞きいただきまして、ご紹介したいと思います。
では始めます。
——今週のテーマはですね、「近代科学の誕生」というものなんですけれども、いよいよルネサンスの後の時代、世紀で言いますと、16世紀、17世紀あたりの話になります。
この近代科学の誕生というタイトルなんですけれども、これ何なのかってピンとこない人もいるかもしれませんので、ちょっと言っておきますと、ここでいう近代科学というのは、私たちが普通、科学と呼んでいるもののことです。
ですので、科学の誕生と言ってもいいですね。
ですけれども、なんでわざわざ近代科学というふうに言っているかというと、それはこの授業では、近代よりも前の学問、科学のことを扱っているからです。
古代・中世を通して学問というものはそれなりにありましたね。
ですがそれは近代科学とはかなり違うものです。
今日の目から見たら、間違っているとしか言えないようなものもたくさんあります。
けれども、古代・中世の学者たちは、それを正しいものとして考えてきた。
例えばその典型例が、天文学の転動説ですね。
地球が静止していて、天体の方が地球の周りを回っているという考え方。
今日では間違っていると言われるでしょうが、しかしそれが正しいものと長らく考えられてきた。
それが今週学ぶ近代科学の誕生の時期に、今日と同じような考え方に変わっていくわけです。
つまり地動説の考え方が正しいというふうに変わっていく。
これは天文学だけではなくて、さまざまな分野で、今日正しいと思われているような考え方に変わっていきます。
ですので、今日の私たちが学んでいる科学の源流はこの辺にあるということができるわけです。
その私たちが科学と考えているもの、正しいものと考えているものがどういうふうにして生まれてきたのかということを今週学んでもらいます。
ただどういうふうにしてということは、詳しく議論すると大変なので、
その理由ですね、なぜ科学革命が起こったのかということについてはここではあまり議論しません。
それは先週ですね、学んでもらったイタリア・ルネサンス期の背景というものが大きいということだけここでは言っておきたいと思います。
そういう時代の変化の中で生まれてきたわけですよね。
アリストテレスの世界観
ここでは革命自体、つまりどういう変化があったのかということに注目したいと思います。
近代科学というのはどういうものだったのか。
だったというのはいいんですね。今はそうなんですが、どういうものなのか。
これをですね、まずは理論面、さまざまな自然科学の理論に着目してその変化を見ていきます。
今、天文学の話をしましたが、天文学だけではなくて、古日でいう物理学の分野でも大きな変化が起こりました。
その話をしていきます。
それからもう一つは、そういう理論の話、細かい理論の話ではなくて、科学のあり方自体、学問のあり方自体が大きく変わったという話をしたいと思います。
例えば、学問というものは何のために行われるのか。学者は何のために研究をするのか。
あるいは学生は何のために学問を学ぶのか。そういった話です。
社会にとって学問とはどういうものなのかというような話も含まれます。
そういう学問のあり方自体もこの時代に大きく変わってくるんですね。
そしてその変化は今日につながっています。
理論的に今日につながっているのと同じように、科学のあり方自体も私たちが今当たり前に考えていることが、ちょうどこの頃、大体16、17世紀あたりに生まれてきているんですね。
ですから今週第6週から学ぶこと以降のことは、私たちが科学と考えているものが歴史的にどういうふうにできてきたのかということを詳しく学んでいく、そういう授業になると思います。
細かい話はビデオを見てもらうことで学んでもらいますが、大体どんなことを学ぶかトピックをちょっと見て確認しておきます。
まず先ほど言った理論が大きく変わったっていう話なんですけども、
今日正しいと思われている天文学あるいは物理学は皆さんはもうすでに中学・高校である程度学んでます。
また大学でも学んでますね。
ですからその話をここではしません。
それはもう知っているということを前提にして話を進めます。
皆さんが知らないことは何なのかというと、近代以前の学問においてはこの世界をどう理解していたのかということです。
その理解の仕方は古代のアリストテレスによって大体定式化されていました。
そのアリストテレスの考え方が古代・中世を通してずっと正しいものと考えられてきたので、ここではそのアリストテレス的な世界観というものを学んでもらいます。
今日の科学から見ればおかしいんですよ。
今日の科学から見れば間違っていると言わざるを得ないんですが、でもそれだけを見るとそれなりに合理的に自然を説明しています。
ですので、千年以上も正しいと学者たちはそれを信じてきたわけですよね。
そのかつての古代・中世の学問が近代的なものに変わっていったということ。
これが非常に大きな変化なので、その変化を実感してもらいたいなというふうに思ったわけです。
それからもう一つ、その学問のあり方については、17世紀の学者であるフランシス・ベーコンという人がいます。
もしかしたら名前を聞いたことがあるかもしれませんが、
イギリスの法律家なんですけれども、でも学問のほうでも非常に重要な仕事をしたベーコンが、ある本の中で新しい学問のあり方についていろいろ書きました。
その考え方が当時もそうだし、それ以降も学者たちに非常に大きな影響を与えて、今日の私たちの学問観を形作っています。
ですので、そのベーコンによる学問の革新の話を少し長めにしたいというふうに思っています。
科学の未来についての議論
それから最後のビデオはミニレッスンビデオで、今回は誤解を招きにくい意見を書くコツということで、3つのコツを皆さんに紹介しています。
再来週、次週にですね、ディスカッションするときに、自分の意見をわかりやすく、誤解を招きにくいように書いてもらうため、活用してもらえればというふうに思います。——
はい、こんな感じでですね、講義ビデオの内容について簡単に導入を行うんですね。
その後、講義ビデオを見て感じたこと、その他をですね、書いてもらう課題が出るんですね。
コメントシートというふうに呼んでいますが、その設問についての説明が続きます。
では、聞いてください。
——では最後ですが、コメントシートの設問の説明をします。
設問1はいつも通りで、設問2の方はこのような問いかけをしています。
「近代科学の誕生に関する講義ビデオを視聴した受講者の間で、これからの科学のあり方について議論したところ、次のような意見が出されたとします。
ということで、ここでは先ほど言った科学のあり方というものがテーマになっているんですが、
その科学のあり方もですね、これまでの科学のあり方ではなくて、これからの科学のあり方です。
つまり、ベーコン以来の近代的な科学のあり方に対して、それでいいのかということがここで問題にされているというふうに考えてください。
ちょっと紹介しますと、『ベーコンによる学問の革新によって、確かに科学は高度に発展し、人間は自然を利用するための大きな力を手に入れた。
ベーコンの思想と人間の力
しかし、その巨大な力によって環境破壊を始め、さまざまな問題が発生し、人類は危機に直面している。
人間の力が大きくなりすぎると、人間はそれをコントロールできなくなるので、無制限に人間の力を大きくすることには反対だ』という意見です。
これは講義を聞いてもらわないとちょっとピンとこない内容だと思うんですが、先取りして説明しておきますと、ベーコンはですね、学問というものを人間の力を大きくするためのものというふうに考えたんですね。
自然を研究することによって、人間はそれまでにない力を得ることができる。
その知識というのは力となる。
その力は技術という形で発揮されるんだと思いますけれども、新しい技術を生み出すために、その自然に関する新しい知識が利用される。
どんどんどんどんいろんなことができるようになりました。
ベーコンの時代、17世紀に比べて私たちは本当にいろんなことができるようになった。
当時の人たちが知ったらばですね、魔法じゃないかというふうに思われるようなことを私たちは簡単にすることができますよね。
そうやって人間の力は大きくなっていったわけですが、ある意味で豊かにもなっていたわけですけれども。
でもその一方でですね、いろんな問題が起こっているわけですよね。
当時にはなかったような問題がいろいろ起こっている。
場合によっては人類が絶滅してしまうかもしれない。
それぐらいの危機感を持っている人もいるだろうと思います。
この人はですね、その原因はというと、やはりこれは人間の力が大きくなりすぎたからではないか。
人間がですね、その力を持て余してしまって、コントロールできなくなって、破滅の方向へと進んでいるのではないか。
だからこの辺でその力をもうセーブしないといけない。
制限していく必要があるのではないか。
こういう意見を言っているんですが、それに対して皆さんは同意しますか、しませんかということで意見を書いてもらいたいと思います。——
授業の進行と質疑応答
はい、ということでですね、一通り教材についての説明が終わりました。
最後はですね、質疑応答ということで、何でもいいから聞きたいことを聞いてくださいというふうに言って質問を受け付けるんですけれども、
でもなかなか質問が出てこないというのが私の悩みでもあるんですが、その部分をでは聞いてください。
——最後にいつも通り質疑応答の時間なんです。
質問はLearnWz Oneの質問コーナーに書いてもらうことになっていますけれども、まだ質問は書かれていないようですね。
毎回お願いしていますが、何でも結構ですので、今からでもいいですから、ぜひLearnWiz Oneに質問あるいはコメントを書いてもらえればというふうに思います。
最後、締め切りの確認です。
いつも通りですが、今週のコメントシートの締め切り、本日から6日後の23時59分です。
念のため言っておきますが、授業は2週間後です。学園祭を挟んでですね、来週休みになりますけれども、
でもコメントシートの締め切りは、それに伴って1週間伸びるというわけではありませんので、この点気をつけてください。
それから第7週、再来週の授業はですね、またディスカッションの週となりまして、2回目のディスカッションをやりたいと思います。
クラスブログの方に論点を前日までにはですね、掲載しておきたいと思いますので、あらかじめ見ておいて、自分の考えをまとめてくるといいかと思います。
はい、ではここから皆さんの個人学習の時間にしたいと思います。いつも通り各自の判断で行動してもらいたいと思います。——
はい、ということでミーティングの時間終わりました。
この後個人学習の時間で、出席者の半分ぐらいは荷物をまとめて退室していますが、残りの半分ぐらいはそのまま教室に残って、
講義ビデオですね、自分のパソコン、パソコンみんな持ってきてますから、パソコンを使って聞いている。
授業の感じとしてはもう基本的にシーンと何も物音がしないまま静かに時間が過ぎていくという、そういう感じなんですね。
この回ミーティングはだいたい40分で終わりましたので、残り60分、1時間はそんな感じで、学生は講義ビデオを見ている、私は特に何もすることがなく待機しているという、そういう感じで授業が終わります。
何度も言っていますが、こういう授業、授業としてはちゃんと成り立っているしうまくいっているようには思うんですが、これでいいのかなという気持ちが常にありまして、
もっと何とかならないかなというふうに、日ごろモヤモヤしているということなんですね。
ということで今日はですね、前回に引き続き、私の具体的な授業について録音をお聞きいただきながら紹介してきました。
それでは今日はこのへんで、ではまた。
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