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2023-11-18 12:42

#9 私塾にあこがれる | TanaRadio黎明期

TanaRadio黎明期では,TanaRadioの公開配信が始まった2024年2月以前に,ある大学教員のコミュニティ(MOSTコミュニティ)内限定で配信していた時期のTanaRadioのエピソードを(一部)編集して公開します。日付は,実際に限定公開した日付をつけています。

内容:(一部省略済み)
・ラジオがきっかけで行った小さな授業改善
・私塾にあこがれる

参考:齋藤孝・梅田望夫『私塾のすすめ——ここから創造が生まれる』ちくま新書,2008(引用はp.44)

#TanaRadio黎明期 #私塾 #齋藤孝 #梅田望夫 #私塾のすすめ
 

サマリー

このエピソードでは、私塾への憧れやその可能性について語られています。特に、ネット上での私塾の実現に対する期待や過去の私塾の例が取り上げられています。

私塾への憧れ
前々回と前回の配信で、私は自分の授業の具体例を録音を聞きいただきながら紹介しました。
この配信を作る過程で、私は最近の授業をもう一度聞き直したのですが、それで感じたことがありました。
それは私の声があまりにも気合が入りすぎていて、非常に強い、あるいは圧を感じる、そういうようなものになっていたということです。
私は家で妻と話すときに、よく声が大きいというふうに言って怒られます。
近くに座って話しているのだから、もっと小さな声でと言われるのですが、もともと声が大きいと言いますか、教室で講義をするときの話し方が身についてしまっていて、どうしてもそのようなものになってしまうようです。
特に教室に行きますと、そしてまた多くの学生を前に教壇に立ちますと、どうしても力が入ってしまいまして、声がとても強い感じになってしまうんですね。
このようになってしまったのは、私が今からもう30年以上前でしょうか、大学に初めて就職したときに、その赴任した大学、福岡教育大学と言うんですが、そこでは教室にマイクがありませんでした。
ですので、100人ぐらいの学生に対して、地声で声を届けなければならなかったわけです。
ですので、どうしても声を張り上げるような、そういう話し方が身についてしまいました。
新しく赴任した現在の勤務先東京電気大学では、すべての教室にマイクが備えられていまして、マイクを使って講義をしているのですが、どうしても昔の癖が出て、マイクがあっても力が入った声でしゃべってしまうということになっています。
それで、どうしたらば、そんなに力まずに普通にしゃべれるのだろうかと考えまして、座ってしゃべることにしました。
私は基本的にいつも立ってしゃべるのですが、座ってしゃべりますと、お腹にそんなに力が入りませんので、大きな声は出せませんし、声に力も入りません。
ですから、ちょうどいいわけで、今もこのラジオで話しているときは座ってしゃべっているのですが、こんな感じでしゃべってみることにしました。
昨日と本日、合計4クラスで授業をやりましたけれども、前に比べますとだいぶ穏やかな、静かな話し方になっているのではないかなと思いまして、
これをしばらく続けてみようと思いました。
ということで、TanaRadio第9回始めたいと思います。
今回はですね、テーマを「私塾にあこがれる」というものにしました。
これまでですね、どちらかというとネガティブと言いましょうか、私が行っている授業の不満のようなものを並べ立てまして、どうも後ろ向きな感じがしますので、
今度はこういう授業、こういう教育の場、学びの場を作ってみたいという夢みたいな話を話していこうかなというふうに思うんですね。
私、今、長らくそうですけれども、今も感じているのは非常に私塾にあこがれているということです。
この私塾というのは江戸時代にあったような私塾でして、
例えば蘭学塾であるとか、あるいは幕末、勤皇の志士が集った松下尊塾も私塾ですが、そんなイメージでして、
この私塾、いろんな私塾がありましたけれども、特に志を同じくして若者が切磋琢磨するような場所、
そしてまたそこの塾のリーダーは非常に強い志を持って新しいことに挑戦している、そういうイメージですね。
そういう私塾にとても憧れます。
こういう私塾へのあこがれというものは、私が2010年頃に読んだんですけれども、
ちくま新書の『私塾のすすめ』という本がありまして、これは2008年に出版されているんですが、
この本を読んで特に私塾というものに注目するようになりました。
この本は齋藤孝さんと梅田望夫さんの2人が対談している、それを本にしたものなんですけれども、
そこでは私塾というものが現代ではネット上に作ることができるという話が出ています。
ネット上の私塾の可能性
特に梅田さんは当時ブログにアメリカ・シリコンバレーの様々な新しい動向を書いてとても注目されていた人のようですが、
そういうことがベースとなって私塾の可能性、特にウェブ上での私塾の可能性を厚く語っています。
この本の中で梅田さんが言っているところ、とても印象に残る言葉がありますので、それを読んで紹介したいと思います。
「ネットというのはいろいろ危険なこともあるから、ちゃんとガイドしてあげないといけないのですが、
志を持った良き大人、ある志向性を持った大人が、自分はこういう関心を持った人間なんだよということをウェブ上に立ち上げて広く示していく。
科学でも、数学でも、文学でも、そういう志向性の共同体がネット上にたくさんできたら、子どもでも本当に自分の関心のあることをやっている大人の人たちの集まりに参加することができる。
ネットでまずつながり、そしてリアルに発展していく。
誰もがネット上で、志向性を同じくする若い人を集めて私塾を開くことができるイメージです。
それはウェブ時代たる現代ならではの素晴らしい可能性だと思うんです」。
こんな風に語っているんですね。
まさに私がやりたいなと思っているのは、ここに書かれているような私塾であり、
しかも多くの人がそれを見つけて関わってくることができるネット上の私塾というものなんですね。
これができればいいなと思っているわけです。
これを読んだ時は、まだ遠い世界の話のようにも思っていたんですけれども、
今となりますと、この本が書かれてから17年、15年も経っていますけれども、
ネットでこういった私塾的なものを実現するというのは、当時はブログぐらいしかありませんでしたが、
今は動画でも音声でも、あるいはリアルタイムのライブの集まりでも何でも可能になりました。
ですので、こういったことが本当にやりやすくなった時代だろうと思いますし、
すでにもうそういう私塾的なものはたくさん存在しているのではないかと思うんですね。
例えば私の身近なところで言いますと、⋯⋯(中略)。
こういう私塾的なものを、私も何かやってみたいなというふうにずっと思っていまして、
どういう形でやればいいのか、なかなかまだ考えもまとまらず、一歩を踏み出せないでいるという状況です。
この私塾的なもの、本当はこれが大学の中でできるといいと思うんですね。
先ほど紹介しました本の対談をしている齋藤孝さんは、大学の先生なんですけれども、
大学でそういう私塾的なものを実現しているというふうにおっしゃっていましたが、
やっぱりなかなか制約が多くて、私が大学の中でそれをやるのはかなり難しいかなというふうに思っているんですね。
ですけれども、大学と全く関係なくやるというのも、何となくもったいない感じもしますし、
その外と中とうまくつなげるような、何かうまいやり方があればいいなというふうに思っているところです。
ということで、今回はなかなか実現できていないけれども、いつか実現したいなと思っている私塾についてお話ししてみました。
それではまた。
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