あー、やっぱり火事ですか。
ええ。日本の都市部は特に家が密集していますから、敷地いっぱいに建物を建ててしまうと、火災が起きた時に町全体があっという間に火の海になってしまいます。
それは怖いですね。
ですから、防災や衛生の観点から敷地には一定の空きスペースを強制的に作らせているんです。
なるほど。あのピザの箱の余白は、町を火災から守るための防波堤だったんですね。
そういうことです。
でも、この憲兵率には、おまけというか制限が少し緩くなる特例があるって聞きました。
試験でもよく出るところですよね。
はい。ここはよく出ます。重要な緩和特例が主に2つあるんです。
2つ。
これらを満たすと、パーセンテージがプラスされます。
1つ目は、過渡地緩和と呼ばれるものです。
過渡、つまり道と道の過渡っこにある土地ですね。
はい。特定の条件を満たした過渡地にある敷地の場合、指定された憲兵率にプラス10%のおまけがつきます。
プラス10%。それは理にかなってますね。
道路の過渡にある土地なら、2方向が道に面しているから風通しも良いし、火事の時も逃げ道が多い。
だから少し余分に建物を大きくしても安全だろうと。
その通りです。よく理解されていますね。
そして2つ目の緩和特例が、防火地域内の耐火建築物とに対する緩和です。
はい。これも条件を満たせば、憲兵率にプラス10%されます。
なるほど。火事に強い頑丈な建物を建てるなら、少し敷地を広く使ってもいいよという理屈ですね。
ええ、そういうことです。
ここからが実に面白いところなんですが、
試験で最も狙われる品質ポイントは、ある特定の場所でこの特例を使った時に起きる現象なんですよね。
はい。よくご存知ですね。
指定憲兵率が10分の8、つまり80%の地域で、かつ防火地域内の耐火建築物を建てる場合、
はい。
これ、憲兵率の制限が無し、つまり100%になるって本当ですか?
本当です。制限無し、100%になります。
えっと、それって敷地いっぱいに建物を建てていい、ピザの箱の端から端まで四角いピザを焼いていいってことになっちゃいますよね?
そうなりますね。でも、全体像に結びつけると、なぜこの制限撤廃という特例が存在するのかがよくわかるんです。
ほう、全体像ですか?
指定憲兵率が10分の8という地域は、主に駅前などの人が密集する商業地域なんです。
はいはい、ビルが立ち並んでいるような場所ですね。
そういった場所で一度火災が起きると、大惨事になってしまいます。
ですから国としては、ディベロッパーや土地の所有者に対して、とにかく火災に強い建物を建ててほしいと強く願っているわけです。
でも、耐火建築物って普通の建物よりめちゃくちゃコストがかかりますよね?
ええ、多額の費用がかかります。だからこそインセンティブが必要なんです。
インセンティブですか?
もしあなたが、この密集地でコストをかけてでも、火事に強い頑丈な耐火建築物を建ててくれるなら、ご褒美として憲兵率の制限をなくしますよと。
リベロッパーとしては、その分居住用の部屋として売ったり貸したりできる面積が減っちゃいますよね。
その通りです。マンションを建設する側は、当然、利益を最大化したいと考えます。
まあ、ビジネスですからね。
限られた要積率の中で利益を出そうとすれば、お金を生まない教養の廊下や階段を極端に狭く、細く作ろうとするインセンティブが働いてしまうんです。
わあ、それは嫌ですね。人がすれ違うのも、やっとのような薄暗くて狭い廊下ばかりのマンション。
しかも、万が一火災や地震が起きたらどうなりますか?
ああ、狭いと逃げられないじゃないですか。
そう、単に不便なだけでなく、安全性や居住環境が著しく悪化します。
狭い階段では住民がスムーズに避難できず、パニックになり大惨事に直結します。
確かに。
そうした事態を防ぐため、法律は、教養の廊下や階段はどれだけ広く作っても要積率の計算には入れませんよ、ノーカウントでいいですよ、という特例を設けたのです。
なるほど。人間の少しでも履歴を出したいという真理を逆手にとって、じゃあ、廊下はカウントしないから思いっきり広くて安全なものを作ってね、と誘導しているわけですね。
そういう事です。
これは見事な設計です。リスナーのあなたも、次にマンションのエントランスや廊下を歩く時は、このノーカウントの法則を実感してみてくださいね。
要積率の特例として、この教養廊下階段は延べ面積に参入しないという知識は本当によく試験に出ますから、はっきりと記憶に定着させておいてください。
さて、要積率の特例で廊下はノーカウントだと分かりました。よし、これで居住スペースを最大限大きくして巨大なビルを建てるぞ、と思いきや。
思いきや。
実はそう簡単にはいかないんですよね。
はい。要積率には建物の外部環境から強制的にかけられる非常に厳しい制限の罠が潜んでいるんです。
罠ですか。
ええ。それが全面道路幅員による制限と呼ばれるものです。
全面道路ってことは、建物の目の前を通っている道路のことですよね。
そうです。建物の目の前を通っている道路の幅が狭い場合、都市計画で本来指定されている要積率よりもさらに厳しい制限がかけられてしまうというルールなんです。
厳しい制限が。
具体的には、全面道路の幅が12メートル未満の場合にこのルールが発動します。
12メートル未満というと、かなり広い道以外は全部当てはまっちゃうじゃないですか。住居区外の道路なんてだいたい4メートルから6メートルくらいが多いですよね。
その通りです。ほとんどの住宅街が当てはまります。この場合、もともと定められている指定要積率と、もう一つ別の計算式で出した数値を比較しなければなりません。
別の計算式。ゆっくり確認しましょう。
その計算式とは、全面道路幅員に法定常数をかけた数値です。
道路の幅に法定常数をかける。
そして、この2つを比較して、より厳しい方、つまり小さい方の数字が強制的に適用されるんです。