あ、建物を建てる目的じゃないからですね。でも、なぜ青空駐車場なら自由に土地をいじってもいいんでしょうか?
それはですね、街のインフラへの影響度が全く違うからなんです。建物を建てれば、電気とか水道、下水、あとは永続的な人の出入りが発生しますよね。
ああ、確かに。
でも、青空駐車場なら、もしその街の計画が変わったとしても、比較的簡単に元の状態とか別の用途に戻すことができますよね。
はいはい、アスファルトを剥がせばいいだけですからね。
そうなんです。街に対する後戻りできない物理的なインパクトが少ないため、厳しい開発許可の対象からは外されているんですよ。
非常に論理的ですね。では、定義の中にもう一つあった特定工作物についてお聞きしたいです。
これは建物ではないけれど、街へのインパクトが大きいから開発行為の対象になるということですよね?
ええ、その通りです。
具体的にはどんなものがあるんですか?
特定工作物には大きく分けて2つの種類があるんですけど、その分類の理由がすごく合理的なんです。
まず、第一種特定工作物ですね。
第一種、はい。
これにはコンクリートプラントとかアスファルトプラントなどの製造施設、あとはゴルフコースなんかが含まれます。
これらはですね、周辺の環境を激変させる施設なんですよ。
ちょっと待ってください。工場はわかりますけど、ゴルフコースって緑豊かだし、むしろ環境に良さそうに見えますけどね。
ああ、そう思いがちですよね。でも実はゴルフコースの建設って、自然環境に最も負荷をかける工事の一つなんです。
え、そうなんですか?
はい。広大な山を削って地形を根本から変えちゃいますし、芝生を維持するために体上の農薬とか水を使いますからね。
一度作ってしまえば、元の自然な山林に戻すことはほぼ不可能です。
なるほど。見た目は緑でも人工的な環境なんですね。
ええ。だからこそ、第一種特定工作物に指定されているものは、環境への影響が致命的であるため、面積不満で常に開発行為の対象になるんです。
面積不満ということは、100平米の小さなコンクリート工場だろうと許可が必要になるってことですか?
その通りです。規模にかかわらず、存在自体がリスクだからですね。
わかりやすいですね。では、第二種はどうでしょうか?
第二種特定工作物はですね、野球場とか転球場、つまりテニスコートですね。あとは遊園地、動物園、大きな保園なんかが該当します。
結構人が集まるレジャー施設みたいな感じですね。
はい。これらは人が集まる施設ですけど、工場とかゴルフ場みたいに直接的に環境を汚染したり地形を破壊したりするわけじゃありません。
確かにテニスコートで環境破壊ってイメージはないですね。
ええ。でも巨大な施設になれば話は別ですよね。大量の車が押し寄せて周辺の道路が大渋滞したり騒音も発生したりします。
ここがポイントなんです。これを全体像と結びつけると、開発許可という制度の根本的な意味が見えてきます。
と言いますと?
開発者は申請の段階で、ここにこういう用途のこういう建物を建てますという緻密な計画書を提出して、それに基づいて町への影響を審査され、許可をもらっているんですよね?
はい。厳しい審査を通ってますね。
ですから、工事が完了した後は、予定建築物以外の建築は原則不可となるんです。
予定建築物以外はダメなんですね?
ええ。例えば、環境に配慮した低層の共同住宅を建てますと言って許可をもらったのに、いざ土地が完成したら、勝手に巨大なパチンコ店や商業ビルを建てることは当然許されないわけです。
申請書と違うものを作ったら、そもそも最初の厳しい審査の意味が全くなくなってしまいますからね。
でも、例えば数年が経過して、その町のニーズが変わってしまった場合はどうするんですか?
共同住宅よりも1戸建ての住宅が求められるようになったとか、その土地はずっと空き地にしなければならないのでしょうか?
すごく良い視点です。都市は生き物ですから、公直化したルールはかえって町の発展を阻害しちゃうんですよね。
はい。
そのため、きちんと例外が用意されています。
知事が個別に用途の変更を許可した場合や、その土地に用途地域と呼ばれる建物のルールが既に定められていて、
変更しようとする建物がその用途地域の制限内にすっぽりと収まっている場合は、予定と異なる建物を建築することができるんです。
なるほど。町のルールから逸脱しない範囲であれば、変更は許容されるという柔軟性も持ち合わせているんですね。
ええ、そういうことです。
つまり、これらは何を意味するのでしょうか?
ここまで、開発許可制度という広大なテーマをあなたと一緒に旅してきました。
そもそも開発行為とは、単に土を動かすことではなく、町に影響を与える工事であるという定義。
千平米や三千平米といった区域ごとの論理的なボーダーライン。
病院が例外にならない理由や、農家の牛がが市外科区域では許可が必要になるという、町を守るための緻密なロジック。
はい。
さらに、工事が始まった後の完了広告の前と後で変わる建築制限。
一連のプロセスが、私たちの安全で快適な生活を守るために、いかに深く考え抜かれて設計されているかが理解できたと思います。
膨大な知識でしたが、あなた自身のペースでその裏にあるなぜをしっかりと吸収できたはずです。
ここで重要な疑問が浮かびます。
ソース資料にも記載されていましたが、開発許可が必要な工事を意図的に無許可でこっそり行ってしまった場合、50万円以下の罰金というペナルティーが課されます。
50万円ですか?
はい。でも、不動産開発というのは、時に数億円、数十億円の利益を生む巨大ビジネスですよね。