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2022-06-03 24:58

モナ・リザの受難とアーティストにしか出来ない仕事【第81号音声版】 #81

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モナ・リザにクリーム付きケーキを投げつけた男が現れました.犯人は「芸術家は地球のことを考えろ!」と叫んだそうです.今週はそんなモナ・リザの受難と,芸術家がどのようにして地球環境に貢献しているのか,貢献していくのかをお話しします.

ニュースレターはこちらから👉 https://steam.theletter.jp/posts/fcfc3240-e293-11ec-bb2d-a3e33ed47c8a

 

 

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[音楽]
市ですおはようございますこのポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースれた
音声版ですスティームニュースでは科学技術工学アート数学に関する話題をお届けしています
スティームニュースはスティームボート乗組員のご協力でお送りしています
[音楽]
改めまして市ですこのエピソードは2022年6月2日に収録しています
このエピソードではスティームニュース第81号からモナリザの柔軟というテーマでお送りしていきます
[音楽]
今週レオナルドダ・ビンチの名画モナリザにクリーム付きのケーキが投げつけられた事件がありました
報道なんかでご覧になった方もおられるかもしれません
ありゃーやっちゃったかーという感じですよね
幸いモナリザはガラスで保護されていたため無傷でした
モナリザにケーキを投げつけた犯人はカツラと口紅で変装し
車椅子に乗った初老の女性に踏んしていました
彼は36歳の男性だったんですね
なんかこうB級映画みたいな筋書きですね
というわけでですねこのエピソードでは名画モナリザについてお話をしていきたいと思います
[音楽]
絵画モナリザが描かれたのは1503年から1506年と考えられています
描いたのは万能の人と呼ばれた画家イタリアのレオナルドダ・ビンチです
モナリザはパリのルーブル美術館のガラスケースの中に展示されています
ヨーロッパの美術館というとガラスケースなしで展示されていることが多いイメージですが
モナリザに関しては厳重な警戒がされています
というのもモナリザは1911年8月21日にルーブル美術館から盗まれているためです
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この時はフランスの詩人、業務アポリネールと友人であった画家パブロ・ピカソも容疑者として警察に連行されています
後に事件と無関係とされて釈放されるのですが
まあとばっちりもいいところですよね
事件発生から2年後にイタリア人ヴィンチェンツ・ペルッチャがモナリザ盗難の真犯人としてイタリア国内で逮捕されました
彼は自宅アパートにモナリザを置いていたのですが
ついにフィレンツェのギャラリーに売却を持ちかけ発覚します
彼の言い分はこうです
モナリザはイタリア人レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたものだから
イタリアにあるべきだと
泥棒なりの正義感なのかもとも思ったのですが
僕のイタリアの友人に聞いてみたところ
真のイタリア人は再びラ・ジョ・コンダを描くのだそうです
このラ・ジョ・コンダというのはモナリザのイタリアでの呼び方ですね
モナリザを描いたレオナルド・ダ・ヴィンチはイタリアの人ですが
彼自身はモナリザをフランスに持ち込んでいるんですね
そしてそのままフランスで亡くなっています
モナリザはレオナルドの弟子サライが相続するのですが
これをフランス王のフランソワ一世が買い取っているため
モナリザの合法的な持ち主はフランスということになります
イタリア政府は突然帰国したモナリザを
ルーブル美術館へ返却しなければなかったのですが
返却前にしっかりイタリア中を巡回させて展示をしています
またペルッジャを逮捕はしたんですが6ヶ月で釈放してるんですね
モナリザはフランスのものとはいえ
イタリア人、イタリア政府、泥棒ペルッジャに多少は同情していたんじゃないでしょうか
実はこの盗難によってモナリザは一気に有名になりました
第二次世界大戦中は戦火を避けるためにフランス国内を転々とさせられるんですが
ある時モナリザに恋をしたと主張する男によって
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モナリザはカミソリの刃で切り取られ盗まれそうになったことがあります
それ以降ガラスケースに収められることになりました
1956年にはガラスケースに石が投げつけられ
割れたガラスによって顔料がわずかに剥がれるという事件も起きています
モナリザは日本にも来ています
東京国立博物館に貸し出された1974年
モナリザを収めた防弾ガラスケースに足の不自由な女性が赤いスプレーを吹きかけています
これ博物館の対応が悪かったためという理由なんだそうですが
スプレーあらかじめ用意していたんでしょうね
2009年にはロシア人女性がルーブル美術館のミュージアムショップで購入したティーカップを
モナリザの防弾ガラスケースに投げつけています
この女性はフランス市民権を認められなかったからと主張しています
モナリザも大変な目にあってきてますね
この2回のケース、日本でかけられた赤スプレーと
それからフランスでティーカップを投げつけられた事件では
モナリザは無傷だったようです
そして2022年5月29日、今度はクリームケーキが投げつけられました
こちらもね、無傷だったんですけれども
こう考えてみるとクリームケーキは一番可愛らしい被害だったかもしれませんね
モナリザのモデルとなった女性が特定されたのは2005年でした
書かれてからおよそ500年が経過していたんですね
モナリザのモナは私の貴婦人を意味する
イタリア語のマートンナの省略形「モナ」なわけです
つまりモナリザは私の貴婦人リザという意味なんですね
この貴婦人リザさんは誰かという疑問は誰しもが持つところです
結論を言うとフィレンツェ出身のイタリア人
リザ・デル・ジョコンドという女性です
2005年にモナリザがリザ・デル・ジョコンドであるという決定的な証拠が見つかりました
ドイツのハイデルベルク大学が1477年に出版された
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キケロ全集の余白に1503年10月という書き込みを見つけたんですね
この書き込みはフィレンツェの役人アゴスティのベスプッチのもので続けて
レオナルドがリザ・デル・ジョコンドの肖像画を制作している最中であると書かれていたんです
キケロは紀元前106年生まれのローマの政治家哲学者ですから
ベスプッチはなかなかの古典好きだったのかもしれません
日本でも有名な空腹は最高の調味料という言葉もキケロ全集に記されています
それはさておきモナリザの推定制作年代に1503年が含まれること
およびフィレンツェのリザ・デル・ジョコンドが記録から1479年生まれ1542年死亡とわかっていることなどから
モナリザのモデルがリザ・デル・ジョコンドで間違いないとみられています
リザは1495年に15歳でフランチェスコ・ディ・バルトロメオ・ディ・ザ・ノービ・デル・ジョコンドと結婚しています
1503年リザが24歳の頃夫フランチェスコは家を購入しています
おそらくこの時フランチェスコが私の貴婦人リザの肖像画をレオナルド・ダ・ビンチに依頼したんでしょうね
そしてモナリザを家に飾るつもりだったんだと僕は思います
ただレオナルドはモナリザ制作中にフィレンツェ共和国政府から急ぎのそして高額な仕事の依頼を受け
モナリザを後回しにしてしまいます
また何事にも完璧な仕事を求めたレオナルドはモナリザに何度も手を入れ
旅をする時には持ち歩いたほどでしたからなかなか完成させられなかったんでしょう
結局レオナルドはフランチェスコから代金を受け取らずモナリザも納品しませんでした
スティーブ・ジョブズは本物の芸術家は出荷すると発言しましたが世界一有名な芸術作品モナリザは実は出荷されなかったんですね
レオナルド・ダ・ビンチは生涯モナリザと共に旅をし最後の旅となったフランスでモナリザと共に隠ししています
12:05
レオナルドの死後1518年にフランス王は一世が買い上げたモナリザはフランス王室の所有物として宮殿に保管されていました
1789年から始まるフランス革命でモナリザは国民のものとしてルーブル美術館へ移されるのですが
革命の狭間でナポレオンボナパルト、ナポレオン一世ですね
彼が皇帝になった時にはチュイルリー宮殿の彼の寝室にモナリザが飾られました
そういえばモナリザ泥棒のヴィンチェンソ・ペルッチャもモナリザと一緒に寝た男と言えるかもしれません
実は僕も一晩だけなんですけれどもパブロ・ピカソの大作の前で寝たことがあるんですね
とても贅沢な一夜でした
モナリザにクリーム付きのケーキを投げつけた男は美術館のスタッフに連行される際に
芸術家は地球のことを考えろと叫んだそうです
まさかレオナルドに行ったわけではないでしょうからこれは芸術家全体に向けて発せられた言葉だったんでしょうね
いや芸術家は農機を守れって言うんだったらわかるんですけれども
地球のことを考えろっていうのはどういう意味なんでしょうかね
確かに芸術家、これ英語ではアーティストですけれども
アーティストという言葉はアートつまり人工物を作る人なので
人工物のことしか頭にないというふうに解釈できなくはないんですが
僕はむしろ芸術家ほど地球のことを考えている人種も少ないんじゃないかなと思っています
このポッドキャストいつもは前半はこのsteamニュースの原稿を多少アレンジを加えながら
こんな風に読み上げていて後半割とアドリブでトークを入れているんですけれども
今回はですねスケジュールの都合で原稿がここまでしか書けてないんですね
収録日2022年6月2日と申し上げたんですが、今日木曜日ですね
steamニュースは金曜日の朝配信をしているので
いつもは木曜日の夜に大体ニュースレター書き上げて収録して予約して
15:03
金曜日の朝ちょっとニュースレター手を入れて配信ということにしているんですけれども
今回はですね木曜の夜にスケジュールが入っていて
木曜の朝に収録をしているんです
だいたい木曜日に原稿書き終えるので
普段とは順番が逆で先に収録をしています
まあというですね内輪話はこの辺にしておいて
なので僕まだ頭の中で整理できてない話をこの後続けていこうと思っているんですけれども
何の話かというと芸術家は地球のことを考えているんだぞということをですね
ちょっと思いの丈をもうこのままアドリブで話し続けたいと思っています
たまにはこんな回もいいかなと思ってどうかご容赦ください
このクリームケーキ男地球のことを考えろって叫んだのこれ英語で叫んだそうなんですね
報道によるとペンクオブディアー叫んだそうなので
地球のこと考えろこれ語訳ではないんですが
言いたかったのは地球環境のことを考えろという意味だと思うんですね
で僕はまあレオナルドダ・ヴィンチに代表されるような芸術家とりわけ画家というのは
この地球環境のことめちゃくちゃ考えた人たち考える人たちだと思うんです
というのは芸術家というのは観察するという目を持っているからなんですね
観察しなければ絵は描けません
それは自然が対象だったり人間が対象だったり動物が対象だったりあるいは
うちのある心自分に向ける心あるいは他者の心に向ける目だったりもするかもしれないんですけれども
とにかく観察するというこれ環境のことを考える第一歩ですよね
そして観察した上で表現するもちろん自分の頭の中で何かプロセスを経て表現していく
表現するということはテレパシーで他の人に伝わるって思うんじゃなくて
中に思う人もいるかもしれないけれども
その絵にしていくわけですよね形にしていくわけですよね
その時には絵の具を使うあるいは別の材料を使う地球の素材を使うわけですよね
例えばレオナルドダ・ヴィンチは遠くのものがなぜ青く見えるんだろうということから
空気に色があるんじゃないかということを考えたりとか
青を表現するための顔料を調合してみたりとかいろんなことを考えていって
これもちろん彼が生きた時代16世紀ですから産業革命以前ですから
18:03
現在の環境問題とは全く異なる文脈ではあるんですが
地球のことをちゃんと考えているし彼はそれを残したいと思ったわけですよ
ここから僕が一番言いたいことを言います
アーティストは地球環境を守ることができるし
アーティストにしかできない仕事があると思うんですね
おそらくインパクトの最も大きい環境汚染というと
放射性廃棄物なんじゃないかなと思います
日本もたくさん出しています
これ何がインパクトが大きいかというとその持続実感ですね
何をもって汚染というかという議論はあるかもしれないんですが
生態系に対する影響が暴露された時に
生態系に対する影響が大きいという意味では
放射性廃棄物これ下手したら10万年ぐらいですね
影響を与え続けるんですね
ちゃんと隔離しておかないと
でも10万年間隔離することってできますか
10万年間立ち入り禁止って言い続けることできますか
だって我々でも200年前の文章江戸時代の文章って読めないですよね
夏目漱石以前の文章ってほぼ読めないと思うんですね
もちろん研究者であればもう時代を遡って読んでいくことはできるんですが
それでも文字が残されている時代までじゃないですか
エジプトであるとかメソポタミアであるとか
遡っても5000年6000年ぐらいまでですよね
10万年前っていうのはもちろん文字は残っていないし
我々はそこで何を語られていたのかということを読み解くこともできないわけですよね
ヒントになるのは文字を持つことが遅かった民族でも
神話の形であったりとか伝説の形であったりとか
文字に登場する前から語り継がれていたものっていうのがあるわけですよね
それは句伝で人の記憶とそれから言葉によるコミュニケーションで
世代を超えて残されていったということなんですけれども
どんな話が残ったかというと当然それは美しい話なんですよね
その一家政の話じゃなくて強く心に残るものが残っていったわけですね
もう一つストーリーがあります
惑星探査機パイオニア10号が宇宙人へ向けてメッセージを送っているんですね
これ詳しくはスティームニュースメールでお送りしているニュースレターの方に書かせていただいているんですけれども
21:01
この宇宙人へのお手紙もちろん英語で書くわけにもいかないですし日本語で書くわけにもいきません
宇宙人だから地球語がわからないんですね
まあいやわかるかもしれないけどわからない前提でお手紙を書いたわけですね
その時に使われたのが絵なんですね
この絵を発想したのはアメリカの宇宙物理学者カール・セーガン博士なんですけれども
実際に絵を描かれたのはセーガン博士の最初の奥さんでアーティストの方です
このメッセージが宇宙人に届くのは何十万年先なのか何百万年先なのかはわかりませんし
どんな文明が読むのかもわかりません
そんな中で太陽の位置であるとかそこに住んでいる人間の様子であるとかを伝えるために工夫を凝らした手紙なんですね
これおそらくは時期から見ても東京オリンピック1回目の東京オリンピックの後に発想されているので
おそらくはその東京オリンピックで使われたピクトグラムというね絵文字絵言葉をヒントにしたと思うんですね
最初の東京オリンピックでそのスポーツ競技の種目を表すのに
英語で書かないと欧米圏の人はわからないけれども英語で書いちゃうと日本人にはわからない
かといって日本語で書くあるいは漢字で書くと日本人東アジア人には読めても欧米圏では文字の形すらわからない
これなんて読むかもわからないそこで発明されたのがピクトグラムですね
今ではパソコンとかスマホとかに出てくるアイコンなんかにも活かされていますけれども
その走りだと言われていますピクトグラム
こういったことで文化を超えて時代を超えてメッセージを伝えるということこれ環境を守るということともつながるしすごく大事な道具になると思うんですね
そこには普遍性と美しさというものが絶対に必要になってくるわけです
宇宙人がねその美しさを共有してくれるかどうかはわかりませんけれども
例えば10万年後の人類ひょっとしたら今と美しさを共有してくれるかもしれない
それを想像できるのは想像というのはイマジネーションとクリエーションの両方ですけれども
両方できるのは僕はアーティストの仕事だと思うんです
だからアーティストは地球のことを考える仕事だと僕は思っています
あら時間なっちゃいました今回も聞いてくださってありがとうございました
また次のエピソードでお会いしましょう
24:01
いちでした
おやすみなさい
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それではご視聴ありがとうございました
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