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自民党総裁選が終わるとすぐに衆議院選挙がありますね.今週は衆議院における議員定数や,アメリカ合衆国下院の議員定数の分配を例に,我々が絶対的に公平と思っている「四捨五入」ルールを疑ってみます.是非選挙にも関心を持って,投票にも行ってくださいね.(ニュースレター本文

毎週金曜日朝7時にアート,リベラルアーツと科学技術に関するニュースレター『STEAM NEWS』を発行しています.YouTube,ポッドキャストでまとめもお送りしています.詳しくは STEAM.fm を御覧ください.

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市ですこんばんは
このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
Steamニュースの音声版です
Steamニュースでは毎週科学、工学、技術、アート、数学に関する話題をお届けしています
今週のテーマは「死者誤入を疑え 国会の議席配分にまつわる数学」です
このポッドキャストはSteamボートのりくみーの皆さんの力添えでお送りしております
改めまして市ですこんばんは
東京オリンピック、パラリンピックもあり選挙のシーズンがやってきました
衆議院の任期が2021年10月21日までであることから
第49回の衆議院議員選挙が近いうちに行われることは確実になってきました
今週はそんな国会、あるいはアメリカの場合だと議会と呼んでおりますが
その定数配分に関するお話をさせていただこうと思っています
日本の衆議院の場合なんですが、現行の定数が465人
日本の人口が1億2530万人ですから
人口100万人あたりに換算すると衆議院議員の数は3.7人
100万人あたり3.7人ということになります
アメリカが州国の場合は衆議院ではなくて会員になるんですけれども
100万人あたり1.4人となるのでそれよりは大きな数値にはなります
ただしこのOECD官名国の中ではですね
下から2番目というか日米がワーストを争っている状態で
例えばイギリスは100万人あたり10.4人
ドイツは100万人あたり7.5人となっています
とはいえですね、衆議院の定数をドイツとかイギリス並みにしようとすると
1000人とかになってしまうのでこれはさすがに何も決められなくなってしまうので
500人前後というのが限界なんじゃないかなとは思います
日本もアメリカも人口が多いということなんでしょうね
衆議院465議席のうち289議席が小選挙区制で争われます
小選挙区はご存知の通り地域ごとに分割された選挙区になります
ロバート・エイ・ハインラインのSF小説「月は無慈悲の女王」では
地域ごとではなくて例えば年齢ごとの選挙区なんかも提案されているんですけれども
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今のところ選挙区といえば地理的区分になります
衆議院の残りの176議席は北海道・東北・北関東・南関東・東京・北陸新越・東海・近畿・中国・四国・九州と
おひなわの11選挙区に分けて比例代表制で争われます
今週の話はこの衆議院の定数を各地域にどのように配分するかについてです
小選挙区の方は議員定数が1になるように区割りの方を調整するので比例代表の方で考えてみたいと思います
現在の衆議院比例代表制の区割りでは北海道8位、東北13位、北関東19位、南関東22位、東京17位、北陸新越11位、
東海21位、近畿28位、中国11位、四国6位、九州・沖縄20位になっています
一方ですね2020年9月1日の有権者数が発表になっていまして
これ読み上げていくと結構なことになるんですけれども一応念のためお伝えしておきます
北海道4514898人、東北7436971人、
北関東11834554人、南関東13657015人、
東京1152429人、北陸新越6114363人、
東海1236034人、近畿17159657人、
中国6102625人、四国3205495人、
九州・沖縄11905965人となります
これがどういうことかというと東京はですね比例代表選の議席数の9.7%を確保しているのに対して
有権者数は全国の10.9%もいるということなんですね
一方四国は議席数の3.4%を確保しているところ有権者数は全国の3%しかいないということになります
つまり四国の有権者の方が東京の有権者よりも1.3倍ほど強い票を持っているということになります
小選挙区制の方はもっとひどい状態で議席数1に対して鳥取区の有権者数が23万3060人、
東京十区は有権者数が48万1534人なので鳥取区の有権者は東京十区に比べて2.0倍強いということになります
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正確には2.004倍になるので1票の格差が2倍を超えると違憲とする最高裁判決に従うとすれば違憲状態になります
有権者数ではなくて人口を使うと1票の格差の最大値は鳥取2区と東京22区の間で起こりまして
2.094倍とほぼ2.1倍ということになります
要の党罪を問わず議員定数をいかに公平に分配するかについてはこれは結構苦難の歴史があるわけですね
アメリカ合衆国の例をとってみますアメリカの議会これは日本の国会に相当しますけれども日本エギリスと同じく任員制です
上院と下院に分かれています上院の方は各州2名ずつの割当てと決められています
そのため1票の格差は70倍前後にもなるんですけれどもアメリカの場合上院は仕方ないということになっています
そもそも上院の正式名称はセネートこれはラテン語のセナーティス元老院から来ているんですね
というわけで元老だからしょうがないということなんでしょうかね
下院の方は正式名称大議員といいましてこちらが人民を代表しているということなので
下院の方は1票の公平性というのは非常に強く求められるんですけれども
上院の方はそこまで求められていないということです
アメリカの下院は建国当初合衆国憲法によって
1州の人口に比例して州の間で下院議員を配分すること
2そのために州の人口は10年ごとに求めること
3下院議員の数は人口3万人につき1名の割合を超えないこと
4ただし例外として各州1名の下院議員を持つこととされました
条件3のですね議員は3万人につき1名を超えないことという条件はですね
人口100万人にあたりにすると33.3人未満にしなさいということなんですけれども
現在そんな贅沢はとてもできないのでこれは私分化しています
アメリカはですね13州でスタートしてるんですね
今の言葉でいうスマールスタートアップですね
当時バンジニア州には63万560人の人がいたそうです
後に第三代合衆国大統領になる国務長官ジェファーソンは
各州の人口を3万3000で割って波数を切り捨てた数値を下院の議席数にしました
バージニア州の場合は63万560を3万3000で割って19.108になるので
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波数を切り捨てて19議席を割り当てました
ジェファーソンはこの方式でもし議席数が1未満になるような州があれば
1議席を割り当てることにしました
これがジェファーソン方式と呼ばれる議席配分の方式です
この13州の中にですね人口が3万3000を切る州はなかったので
この議席1を後から割り当てるという操作は当時必要ありませんでした
またですね議席数を決めておいてそれから州ごとに配分するということも
当然今では考えられるんですけれども
当時はですね計算機がなくてましてこのエクセルで計算して試行錯誤するとかができなかったので
割る数3万3000というのをですねえいやっと決めてしまって
それで議席数の方を調整したというふうに伝えられています
アメリカが大きくなるにつれて政府はこの州数3万3000の方も徐々に大きくしていきました
1830年には州数を4万7700にまで大きくしていますが
それでもアメリカの人口増加はそれを上回っており会員の議席数は240議席になっています
1840年の国勢調査結果に対してからは
ジェファーソン方式に代わってウェブスター方式という方式で議席数を分配することが決められました
これはジェファーソン方式の切り捨ての代わりに日本ではよく使われる四捨五入を採用するものです
四捨五入は英語ではラウンドハーフアップといってもちろん英語圏で広く使われてはいるんですけれども
どうも0.5を1に丸めるということに抵抗する文化もアメリカからは僕は感じます
1/2を1にするのはちょっと乱暴なんじゃないのという風に
そういう空気をですね感じるんですね
中国では四捨五入の他に五捨六入とか四捨六入なんていう考え方もあるそうなので
四捨五入が絶対的な正義というわけではないようですね
ジェファーソン方式をやめてウェブスター方式にしたのは一票の格差を縮めるためだったと考えられています
ジェファーソン方式で行われた1790年の議席配分では
バージニア州が人口全体の17.44%を占めていて 議席数は全体の18.10%を占めていました
一方デラベア州は人口全体の1.54%を占めながら 議席数は全体の0.95%でした
日本の衆議院比例代表制と逆で大きな州が得をしてたわけですね
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ウェブスター方式はジェファーソン方式によった不公平を幾分化緩和するものでした
ウェブスター方式が導入された1840年から1850年代ですね
アメリカの人口増に伴って会員の議員数も増加の意図をたどっていました
1850年の国勢調査に基づいた議席配分では会員が234議席になっています
一方上院の方は州ごとに2議席と決められていますから増加率穏やかです
例えば1850年にはカリフォルニア州が31番目の州として合衆国に官名しています
つまり上院はこれで62議席ということになりますね
そのため上院と会員がアンバランスになってしまって 会員の議席数を何とか止めなければという動きもありました
そこで1900年の国勢調査から新たに最大乗用方式あるいはハミルトン方式と呼ばれる議席配分の方式が導入されました
これは総議席数をあらかじめ決めておいて各州の人口に応じて議席数を分配していく方式の一種です
最大乗用方式ではまず議席数を各州の人口比通りに分配していくんですけれども
この時は数はすべて切り捨ててしまいます
これを基本配分と言います
次に余った議席をいくつかの州に1議席ずつ配分します
これを追加配分と言います
追加配分の優先順位なんですけれども
まず基本配分で議席をもらえなかった州
つまりゼロ議席の州
次に切り捨て値の大きかった州の順番になります
これは単純でわかりやすい方式なのですが
アラバマのパラドックスという大きな問題が存在することが後から指摘されています
議席総数を増やすと
かえって議席配分が減ってしまう州が出てきたんですね
実際1880年の国勢調査に対して議席総数を増やすシミュレーションをすると
アラバマ州の配分が減ってしまったことから
アラバマのパラドックスと呼ばれています
結局1910年から1930年の間の国勢調査に対しては
ハミルトン方式を1回で見限ってウェブスター方式に戻りました
しかし大論争の末に1940年からは
ヒル方式という新方式が採用されています
もう一度ジェファーソン方式とウェブスター方式を思い出してください
ジェファーソン方式は波数を切り捨てるものでした
ウェブスター方式は波数を試写誤入するものでした
両者とも獲得議席数がゼロになってしまう州を
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特例扱いしないといけないため
1票の格差が大きく出やすくなってしまいます
特にジェファーソン方式は大きな州に不当に有利でした
切り捨てや試写誤入をやめて例えば波数を切り上げることにしてはどうでしょうか
例えば議席配分が計算上1.1議席となったら2議席を与えてしまうんです
こうすれば計算上0.1議席の小さな州でも確実に1議席を確保できます
実際この方法はアダムズ方式といって
日本の衆院選挙制度改革関連法という
2016年に成立した法律で導入されています
アダムズ方式によって衆議院比例代表制の議席配分は
東北が13から12、南関東が22から23、東京が17から19、北陸新越が11から10、中国が11から10と修正される見込みです
残念ながら今回の今年の選挙には間に合わないんですけれどもね
アダムズ方式は波数をすべて上へ丸め込むため
切り捨てと同じように乱暴な方法といえば乱暴な方法です
そこでアメリカ政府が採用したのがヒル方式でした
ヒル方式は波数の切り捨てと切り上げにユニークな方法を使います
四捨五入とはある数が整数nと整数n+1の間にあるときに
どちらに寄せるかという問題の解決方法でした
例えば2.4という数字があったときに整数2と整数3のどちらに寄せるかという問題ですね
波数が0.5よりも大きいかどうかで決めるということは
これはすなわち整数nと整数n+1の平均よりも大きいかどうかで決めるということなんです
例えば2.49という数字があったとしましょう
この数値整数2と整数3の間にありますが
これを2に寄せるか3に寄せるかですね
ここで整数2と整数3の平均値つまり2.5ですね
2.5と比べると2.5よりも小さいので整数2へ丸め込むということになります
ヒル方式はこの四捨五入で使う平均
正確には三述平均なんですけれどもこの三述平均の代わりに
既可平均を使います
三述平均はご存知の通り足しで2ではあることですよね
一方の既可平均はかけてルートを取るという平均のことです
例えば2と3の既可平均は2かける3のルートつまり6のルート2.45になります
つまりヒル方式に従うと2.49というのは2と3の既可平均つまり2.45よりも大きいので
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もう一回言いますよ2.49は2と3の既可平均2.45よりも大きいので3に丸め込むんです
2.49を3に丸め込むんです
というわけで1未満の数はすべて1に丸め込まれます
これは0と1の既可平均が1になるからですね
ごめんなさい0になるからですね
1と0の既可平均は0になるから0よりも大きいので1に丸め込まれます
合衆国憲法の条件4ですね
偽跡数が0になるような衆はあってはならないということはこれで満たされます
ヒル方式は比較的偏りが小さい配分方法と考えられているので
アメリカ外院では現在まで採用され続けています
というわけでニュースレターの方ではまたおすすめ書籍それからおすすめテッドトークQ&Aなんかも盛り込んでおります
よろしかったらニュースレターの方もまたね見ていただければと思います
今日も聞いてくださってありがとうございました
また次回皆さんとお会いしたいと思います
いちでした
では
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