1. ストーリーとしての思想哲学
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2023-03-26 04:51

#10 〈笑い〉という行為が発生する条件 日本編

ヒトが笑うという行為が発生するためには、どのような条件が必要なのでしょう。
漫才を見て笑ってしまうのはなぜか?ヒトはどういうときに笑うのかという話をします。

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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回までは、ヨーロッパの笑いの分析について紹介してきました。
今回は、日本における笑いの分析について紹介したいと思います。
僕は正直、前回までのヨーロッパの哲学者たちの
笑いの分析っていうのは、あんまりそこまでピンときてないんです。
一方で、日本において、笑いの優れた分析をしているのが、落語家です。
これまで、哲学者の分析の話をしてきましたけど、落語家は本当に笑いの専門家ですしね。
で、紹介したいのが、日本の桂四尺っていう落語家がいまして、
この人が考えた緊張の緩和理論っていう理論です。
これすごい面白くて、桂四尺曰く、すごいたくさんある落語を、
300種類とかだったと思うんですけど、
この数百の落語を何年もかけて、一つ一つ地道に分類していったんだそうです。
で、緊張っていう概念と緩和っていう概念、これを結構広く捉えます。
緊張っていうと、大勢の前で発表する時とか、ナーバスになるっていう意味で普通使われますけど、
これよりもかなり広く捉えて、例えば落語を聞く前の痛い感、
面白い話が聞けそうだって期待する気持ちも緊張として捉えます。
同じように落語家がオチを言って、
で、オチを言うことでその期待感に応える瞬間、これは緩和っていうふうに捉える。
つまり通常とは違う状態イコール緊張ってことなんですけど、
例えば落語の中で謎解きをするっていうのがあるんですけど、
謎をかけられると聞いてる方はちょっとした緊張を味わうことになります。
だって謎解きをされるとどういうことなんだろうって一瞬考えますよね。
これがちょっとした緊張。
で、オチとして謎解きがなされると、
ああそういうことかって言ってちょっとした緊張が緩和されて、で笑いが生じると。
こういった感情の機微とか笑いが生じるメカニズムを緊張と緩和っていうふうに
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桂史弱は表現しているわけですね。
あとは他にも変なことを言うっていうのもあって、
これは漫才で言うとボケとツッコミのボケに当たるかと思いますが、
ボケっていうのは普段の普通の会話と比べてかなりね、ピントの外れた変なことをわざと言うわけで、
これも謎かけと一緒で、観客は一瞬どういうこと?ってなります。
これが緊張。
で、ツッコミが入ると、ああそういうことねってなって、緊張が緩和されて笑いが生じると。
これもちょっと大げさな言い方になりますけど、
ボケっていうのは秩序を生み出す行為、
それでツッコミっていうのは秩序を元に戻して正す行為とも言えます。
はい。
これまで話してきた笑いに関する理論っていうのは、
あくまで仮説ではありますけど、でも自分に照らして考えてみると、
結構腑に落ちるようなところもあって面白いんじゃないでしょうか。
自分が笑う時とか、友達とか、会社の同僚とかが笑う時には、
緊張と緩和があるのかどうか考えてみると、
興味深いのではないのかなというふうに思います。
というわけで、今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。
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