戦略の定義と重要性
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
今回は、戦略というものについてです。
戦略って嫌いな人いないでしょう。
でも、戦略という言葉は非常に多義的で、あまりに包括的な言葉であるばかりに、
抽象的でビシッとした意味を持たないものになってしまっています。
社会一般的にはビジネスやゲームなどでよく用いられる言葉ですが、本質的にはどういう意味なのでしょうか。
辞書的には、戦いに勝つための総合的な契約や組織などを運営していく上での将来を見通した方策とのことです。
なんとなく方向性を定めるみたいな意味かなって感じですが、やはりこれではフワッとしすぎていてよくわからないですよね。
そもそも戦略、ストラテジーという言葉の語源は、ギリシャ語のストラテゴスで、意味は将軍の術、軍事用語だそうです。
人類は古代から戦争を絶え間なく続けてきたわけで、戦いに勝つための術が戦略というわけですね。
まず確認しておかないといけないのは、戦略と戦術は違うということです。
戦略はストラテジー、戦術はタクティクスです。
日本語で書くと単語が似てるから混同しがちですけど、戦略ではない方、戦術、タクティクスとは、
個々の戦いにおいて敵の行動や状況の変化を機敏に捉え、軍隊を臨機応変に使っていく方法という意味だそうです。
この大前提をまとめると、戦術とは、すでに展開された盤面の中で相手の出方を見ながら、臨機応変にいろんな術を使うこと。
そして戦略とは、戦いの盤面が展開される前にやれることをやる、盤面を事前に整える行為と言えそうです。
単純化して言うと、戦いの盤面が展開される前の見防術術や計略が戦略。
戦いの盤面が展開された後に、盤上のすでに存在する駒を使って行う計略が戦術って感じです。
ちょっと余談だけど、なんで戦略の話をしようと思ったかっていうと、戦略についての本ってたくさんあるじゃないですか。
それこそ孫子とか、武警七少の三略とか、マキアヴィリの君子論とか、クラーズ・ヴィッツの戦争論とかね。
あとはビジネス書でも、戦略に関する本ってもうクソほどたくさん出てます。
言うまでもなく、戦略ってめちゃくちゃ大事です。
でも各々の本は、戦争における軍事戦略、ビジネスにおける経営戦略、あるいはゲームで勝つための勝ちパターンとしての戦略をそれぞれ語ってはいるんだけど、
じゃあそもそも戦略という概念とはどのようなイメージで捉えるべきなのか、そういう解説をしている本が見当たらなかったからです。
これこれこういう戦略があるよって一覧でつらつらと示されている本はたくさんあるんだけど、
じゃあそれを全部暗記するのが戦略を理解するということなのかというと、それもちょっと違うだろうという気がします。
孫子の兵法と現実の戦い
概念的にはどういうイメージを頭の中に象として結べばいいかっていうのを、同じ論点についていろいろな角度から話すことで、
概念を上から見たり横から見たりして、全体を捉えられるようにしたいという考えです。
はい、まずはオーソドックスに孫子の兵法を引き合いに出してみます。
孫子の兵法の有名な一説に、百戦百勝は善の善なるものにあらずという言葉があります。
常に戦いに勝つ人がいたとしたら、それはすごいけど、でもそれは最善の戦略ではない。
そもそも戦わずして勝つのが最上の戦略なのだという意味です。
さっき盤面という言葉を使ったけど、戦いが始まる時の盤面というものがあります。
ゲームだと将棋とかオセロとかだと、盤面は完全な50-50の状態から戦いがスタートするじゃないですか。
先行と後行はあるけど、でもお互いが完全に同じ数のコマを持っているわけだから、お互いに数的な優位もなく、
同じように完全に同じ場所、お互いに対応する形で、全く同じ不尽を敷く形でコマを並べているから、
どちらにも地形的優位もないわけだから、だから条件がほぼ完全に50-50なわけだけど、
ひるがえって現実世界に目を向けてみると、どのような戦いであっても、実際の戦いでそういう完全な50-50はありえませんよね。
戦争でもビジネスでも、A陣営B陣営とがあったら、お互いの陣営の質と量が全く同じなんてありえないし、
陣取っている場所とかサプライチェーンも必ず異なるはずです。
また将棋で例えるけど、将棋ってコマをそれぞれ20枚ずつ使うんですよ。
だから将棋で言うと、A陣営はコマを20枚持っている、でもB陣営はコマを100枚持っているという状況も現実世界だったらありえます。
兵力差5倍ってやつですね。
もしこんな兵力差5倍の将棋があったら、それはゲームにならないクソゲーなわけだけど、でも現実世界でこういうことはあり得てしまいます。
ゲームにならないとは言い換えると、勝負を始める前から勝てるわけないってわかってしまう、つまり始める前から積んでいるということです。
始める前から盤面が積んでいるわけだから、無駄な戦いをしてむざむざ損害を出すのは愚策です。
それよりは、いくら相手が100%勝つと言っても、相手だってできれば損害は最小限に抑えたいわけだから、さっさと降伏することで少しでも有利な条件を引き出す方がまだマシというものです。
こういうふうに相手をコントロールすることが、百戦百勝は善の善なるものにあらず、いわゆる戦わずして勝つというやつですね。
まだ全然話の本筋に入っていないんだけど、盤面という言葉がキーワードだと思っています。
少しキリがいいので、ここで一旦切ります。
次回に続きます。