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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回からの続きです。
人間が生きるためには、
第一には炭水化物が必要であり、
第二にはタンパク質が必要であるという話でした。
今回はタンパク質の話なんですけど、
タンパク質とは具体的には、主に
牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、
それから魚、
あとは卵とか乳製品に、
大豆をはじめとする豆類があります。
いわゆる動物性タンパク質と植物性タンパク質ですね。
ここに昆虫を加えようという話なわけですが、
なんでそんなことをしなくちゃいけないのか、
他の食品でいいじゃないかというのが論点になります。
まず、牛肉や豚肉などの肉類ですが、
これは結構簡単で、
地球上に住む人類がみんな肉を食べるようになると、
耕作面積、つまり土地が足らないからです。
これと同じ話はベジタリアンの回でしたのですが、
簡単におさらいします。
牛や豚などの家畜っていうのは、
家畜用飼料を用いて肥育しますよね。
家畜用飼料っていうのは具体的には、
牧草とか藁、
トウモロコシや大豆などのことですけど、
これらって全部植物なわけだから、
家畜の餌を育てるにも土地が必要なわけです。
で、家畜は飼料をバカ食いするから、
家畜に飼料をどんどん食わせるために、
飼料用の土地っていうのを確保しておかないといけません。
今はまだいいですけど、
食肉のために家畜を無計画に繁殖させまくると、
家畜のためにすごい超大量の土地が使われてしまうから、
今度は人間のご飯がなくなってしまうという現象が起こることになります。
これはつまり、地球上の耕作可能な土地って、
思ったほど多くないんですよ。
地球上の土地なんて無限にあるような気がするんですけど、
それ以上に人間の数が多いから、実は土地が足りないという、
こういう理屈が根本的なところに裏にあります。
次に魚、卵、乳製品ですが、
これらも肉と同じような理由で、土地が足りないという理由で、
基本的にはタンパク源にはなりづらい。
魚はまだ肉よりは可能性ありそうだけど、
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魚って高いからね、コスト的な面で合わないと思います。
最後に大本命、大豆などの豆類です。
昆虫と比較するんであれば豆類でしょうね。
大豆っていうのは今でも代替肉として使われています。
日本でも大豆ハンバーグとか馴染みが深いと思いますし、
アメリカでもビヨンドミートとか、
結構いろんな代替肉のベンチャー企業がいっぱいあります。
じゃあ昆虫食を推進する人たちは、
なぜ植物性タンパク質である豆類じゃ満足しないのか、
これが最大の論点になるかと思います。
これ結構探すのに苦労したんですけど、
昆虫食スタディーズっていう本に載ってたので紹介しますね。
一口にタンパク質と言っても、
タンパク質は複数の必須アミノ酸によって蘇生されています。
そして昆虫には、
ロイシン、リジン、アスパラギン酸という必須アミノ酸が多く含まれている。
これらはトウモロコシなどの穀物と一緒に摂取することで、
すごいいい感じの栄養バランスになるそうです。
植物性タンパク質だと、
タンパク質を蘇生する必須アミノ酸がいくつか足らなくなるということなんですね。
また同様に、必須脂肪酸であるリノール酸、リノレン酸、オレイン酸なども昆虫は多く含みますし、
ミネラルなどの微量元素も含むから、
理論上、栄養学的にはすごいいいスコアを叩き出すということになります。
これらの栄養について言うと、
発展途上国では、特に栄養不足による貧血腫瘍なんかが深刻で、
50%の妊婦、40%の幼児が貧血腫瘍であるというデータもあります。
だから、こうした貧困問題に対する一つの解決策としても捉えることもできるし、
さらに言えば、昆虫って雑食だから、
昆虫の餌に混ぜ物をすることで、
意図的に栄養素を強化したり操作することもできるようですから、
理論上最強の栄養源と捉えることもできます。
はい、とはいえ、やっぱり虫を食べるっていうことには、
正直なところ抵抗があるのではないでしょうか。
地球レベルで見たときの、発展途上国などの貧困層の栄養の問題であるならば、
その貧困層が昆虫食をすればいいだけの話じゃないかっていうふうに思いませんか。
ここから先は、たぶん国連はこう考えてるんだろうみたいな、
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まあ倫理の話になりますが、
途上国の貧困層だけが昆虫を食べるっていうのは、
それはそれで何か別の思想、道徳とか人道みたいなものとバッティングしてくる気がしてなりません。
だって昆虫食を貧困層の問題として、貧困層にだけ昆虫食をさせるのだとしたら、
先進国に住む相対的に豊かな人間は肉を食うけど、
途上国に住む相対的に貧しい人は虫を食うっていう構図になるから、
なんか絵面だけ見ると結構やばい構図になってしまう。
特に国連などの公的機関としては、
金持ちは肉を食うけど貧乏には虫を食ってればいいとは、
ねぇ、言えるわけないから。
それに国連っていうのは地球レベルでの平等公平みたいな思想を持ってますから。
だから逆に先進国の人間こそ率先して虫を食べましょうと、
言わざるを得ないところがあるのではないかと、
こんな風に推測することができます。
どうだったでしょうか。
昆虫食に対して別に賛成する必要もないですし、
反対する必要もないとは思いますけど、
ただこの昆虫食にまつわる問題の複雑性っていうのは、
すごい興味深いところがあるのではないでしょうか。
ということで今回はここまでです。
ご視聴よろしくお願いします。