1. そろそろ美術の話を...
  2. #105 ドライブレコーダーのよ..
2024-04-27 1:02:08

#105 ドライブレコーダーのように事象を見つめる。遠距離現在 Universal / Remote展について(国立新美術館 尹志慧、アーティスト地主麻衣子)

国立新美術館  特定研究員の尹志慧(ゆん・じへ) さんとアーティストの地主麻衣子さんをゲストに遠距離現在 Universal / Remote展についてお聞きしました。 ⁠⁠https://sorosoro-art.vercel.app/ep/105⁠⁠ 番組の感想は、⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠#そろそろ美術の話を⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ でお願いいたします。

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Guest Profile

尹志慧(ゆん・じへ)

  • 国立新美術館 特定研究員

地主麻衣子(じぬし まいこ)

  • アーティスト。多摩美術大学大学院絵画専攻修了。2019年〜2020年にヤン・ファン・エイク・アカデミー(オランダ、マーストリヒト)のレジデンスプログラムに参加。個人的な物語をテーマとしたドローイングや小説の制作から発展し、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを総合的に組み合わせた「新しいかたちの文学的体験」を創作する。

Show Notes 国立新美術館について

展覧会について

地主さんの話題

00:10
はい、アートテラー・とにのそろそろ美術の話を。この番組は、私アートテラー・とにがアートに関わる方をゲストにお迎えして、トークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
本日は国立新美術館特定研究員の尹志慧さんと、アーティストの地主麻衣子さんをゲストにトークをしていきたいと思います。
はい、ということでお二人揃っていただきました。ありがとうございます。
ありがとうございます。
二人とも初めましてなんですよね。
初めまして。
全く会ったことないまま今日に至るって感じですもんね。
でも始まる前にちょっとだけお話させてもらったら、ほぼ同世代ということで。
僕らの時代みたいな感じでやれたらいいですね。
よろしくお願いします。
改めて自己紹介それぞれしていただいていいですか。
はい、じゃあ尹さんから。
はい、みなさんはじめまして。国立新美術館特定研究員の尹志慧と申します。
尹さんはどちらの国の方になるんですか?
韓国人です。
韓国、日本に来て長いんですか?
震災の年に来ました。
それでこんなにペラペラなんですか?
毎日、そうですね、10回以上毎日辞書を引いてます。しゃべりながら。
来る前は少し勉強してて。
そうですね。
もともと日本に興味があったってことですか?
話が長くなるんですけど、大丈夫ですかね。
留学、大学院を日本にある大学に進学するって決めて、
それで震災の年の4月から京都にある大学に進学をして、
修士課程が終わってそのまま美術館で働くことになりました。
さらに経歴は後半にも一歩の話していただくとして。
国立新美術館で何年目くらいになるんですか?
2021年からなので、今ちょうど3年経ちました。
今回お話いただく展覧会がデビュー戦というか、
そうです。
そうです。
ぜひその気合の入った展覧会をたっぷり聞いていきたいと思います。
ユンさんと、そしてアーティストの自己紹介をよろしくお願いします。
アーティストのジネシマイコと申します。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
絶対みんなに聞かれる質問だと思うんですけど、
本名というか、珍しい名字ですけど、これは本名?
本名です。
これどこに多い名字なんですか、ジヌシさんって。
なんか、父の出身は大阪なんですけど、
元々の家系的には山形に多いらしくて。
ジヌシさんが多いところも、本当のジヌシさんは何て呼ばれてるのかすごい気になります。
ジヌシ一族がいるみたいなところですもんね。
あんまり私もちょっと佐々木じゃないんですけど、
03:03
昔聞いた話だと、いわゆる土地を持ってるジヌシっていう意味じゃなくて、
昔は土地は全部神様のもので、
そこを神様から預かって、
監主的な職をジヌシみたいに売ってたみたいなことを聞いたことがあって、
だから土地とかはないです。
なるほど。
よく絶対ジヌシなのって聞かれるんですけど、土地はないです。
親戚以外でこの名字にあったことなくないですか?
ありません。あるっていうか、
ちょっと話が長くなるんですけど、
ネット上にいるジヌシさんとツイッターで話したことがあります。
どういう経緯でまず知り合うんですか?
向こうからDMですか?
向こうから、その人も面白コラムみたいなのを書く人で、
その人もジヌシさんで、人にあんまり会ったことないけど、
ググったらいたみたいな感じで連絡が来て、
展示見に来てくれて、
それはアートセンターオンゴーイングっていうカフェが併設されている場所だったので、
展示を見て、そこでお茶しました。
この人は男性の方か女性の方?
男性で同年代だったんですよ。
すごい出会いですよね。
その方もヤマガタ出身ですか?
そこは聞いてなかったけど、ヤマガタじゃなかった気がします。
今回の展覧会にもその方は来られる?
すごい前の話ですから。
もう一回やって満足しちゃったんですけど。
もう今はそんなにやりたいと思って。
苗字がめちゃめちゃ気になっちゃったけど、
それだけで話がいいじゃないですか。
ジヌシさんはアーティストとして、
どのジャンルで名乗る時?
いろんなメディアを使うんですけど、
多いのは映像で、
映像とかパフォーマンスとか文字を使ったりとか、
いろんなメディアを使ってやってます。
型書き的にはなんて名乗るんですか?
アーティストです。
アーティストで、分かりました。
じゃあアーティストジヌシさんということで。
ちなみにお二人は、
この展覧会の前から仲良くというか。
そうですね。
初めてお連絡させていただいたのが、
もう1,2年くらい前の話にはなるんですけど、
その前は別に、
これをきっかけにお声掛けすることはあったんですね。
でも二人の関係性が出来上がっているというか、
仲良さそうだなと思って。
仲良いんです。
06:03
いろいろと僕からは、
展覧会の話を深掘りしていきたいなと思っております。
ちなみに国立美術館の収録は、
61回目と62回目にルートビヒ美術館展を扱った時に、
永谷さんに出ていただいた以来ということで、
2回目ということで。
今日も永谷さんはいらっしゃってたんですかね?
そうですね。
それでちょうどエレベーターですれ違って、
今日トニーさんの収録があるんですって言ったら、
トニーさん話しやすいからいいと思うよ。
頑張ってって言ってもらいました。
永谷さんそのせいで、
ドイツには裸の人が多いっていう、
謎の話引き出されてしまう。
ルートビーチの話。
今日もいろんな話を聞いていきたいと思います。
今開催中の展覧会、
遠距離現在という展覧会ですね。
ユニバーサルスラッシュリモートという展覧会ですけど、
どんな展覧会なのかというのをぜひ聞いていきたいなと、
永谷さんに教えていただきたいと思いますが、
まずこの気になるタイトルから聞いてもいいですか?
どういう意味でつけたというか。
展覧会の構想自体が2021年の夏頃でして、
本当にコロナの最中っていうタイミングだったんですけど、
コロナが始まって1ヶ月経った時点で、
人たちはポストコロナ、ポストコロナって言ってたんですよ。
今か今かって。
すぐにでもポストコロナの準備ができているっていう、
すごい焦っててみんな。
でも忘れる気満々でみんな行ったんですけど、
東日本大震災の時もそうだったんですが、
最中にいる時は感じないかもしれないけど、
これが去った時にこれをちゃんと振り返る、
忘れないためにあるきっかけを提供したりな、
そういうアイデアから始まった展覧会だったんで。
でも自分、新美に入ったのも、
現代美術を担当する学芸員として入ったので、
現代美術のグループ展をやると思った時に、
2000年代以降の作品を扱うことが多いんですけれども、
となると過去ではあるんだけど、現在でもあるんだけど、
ちょっとだけ前の、5年10年前のちょっとだけ前の作品で、
ちょっとだけ前のタイミングの話をするっていう、
そういう場合が多くて、
コロナ禍の3年間私たちが感じたいろんな不安とか、
社会の矛盾とか、孤独とか、
暮らしとか労働とか、そういういろんな側面で、
コロナでいきなり出てきたんじゃなくて、
いきなり問題化されたんじゃなくて、
ずっと蓄積されてきた社会的な問題や矛盾が、
09:01
ただ蓋をしといただけのそういったものが一気に爆発して、
表面化して現れたと捉えたので、
ドライブレコーダーのように、交通事故のドライブレコーダーのように、
ドライブレコーダーって衝突をすると、衝突した瞬間に、
この30秒を自動的に残す仕組みになっているんですよ。
30秒間も。
ずっと流しながら走っているんですけど、
衝突した瞬間にそういう仕組みが作動するようになっているので、
この展覧会もそういう展覧会になるといいなと思ったんですよね。
何か大きな出来事があったときに、
その前後の5年10年を捉えることで、
これが一体何だったのかを、前後の方向から振り返って、
扱ってみる?振り返ってみる?
ということができるといいなと思って、
そういうふうに構想が始まったんですね。
となると、ちょっとだけ前の作品で構成をするとすると、
そうですね、現在ではあるんだけど、ちょっとだけ前の。
ニュアンスで。
そして、日本だけに限定した作品じゃないので、
ちょっとだけ離れているんだけど、同時代を生きているから、
遠距離ではあるんだけど、現在の話であるっていうふうに、
ちょっとポエティックなタイトルを付けさせていただいたんですが、
なんとなく遠距離までは考えたんですよ、最初。
最初、リズム的に遠距離〇〇〇〇っていうふうにリズムで考えたんですけど、
このカタログに寄稿してくださった小説家の福永真さんに相談をしたら、
聞いた瞬間、現在だろってなって、
私が考えた遠距離と福永さんが考えた現在をくっつけて、
遠距離現在になりました。
たぶん一般的にみんな聞いたら遠距離恋愛が言葉的には浮かぶじゃないですか。
それは意識はしてたの?恋愛と現在を因案にしているというか。
それはたぶん福永さんがそういうふうに考えて付けてくださったと思うんです。
遠距離だけを考えた時は私は割とそこまでは考えが及ばなかったんですけど、
それは現在だろって。
でもこの漢字の遠距離現在に対してこのユニバーサルリモート、
英語表記のところにはスラッシュが入っているじゃないですか。
これやっぱりポイントですか?
ポイントでして、これの規格書を英訳して、
それこそ寺井さんや海外にいる作家さんに会いに行けないので、
本当に熱いメールで説得をするしかなくて。
普通だったら直接会ってたけど、このご時世だったからとですね。
会いに行けないので本当に熱く語るしかなくて、
12:03
規格書に全力を、熱い気持ちを込めて英訳をしてもらったんですよ。
英訳者の方に相談をしたら、
こういう内容で、こういう展覧会で、こういう趣旨があって、
でも遠距離現在って何て訳したらいいですかって相談をしたら。
造語ですもんね、今回の。
ただ、ユニバーサルリモートっていう、英語圏では普通に一つのフレーズとして、
マルチリモコンっていう意味なんですけど、
1個のリモコンでテレビも消したり、
暮らせれたりとか。
いろんなことができるリモコンのことをユニバーサルリモートと言うんですけれども、
それがこの趣旨にピタリなんじゃないかなと。
そういうふうに提案をいただいて、
でもこの展覧会、
そういう社会的な問題とか孤独とかそういうのが多く含まれているので、
そういう万能性、ユニバーサルなところと、
リモートしている個人っていうふうに捉えているこの2つの章の間にスラッシュを入れてみると、
1個の面白い遠距離現在を文字ったような、遠距離恋愛を文字ったような遠距離現在と、
ユニバーサルリモコンに見えながらも、
実は間にスラッシュが入っているっていう、
そういうニュアンス遊びを生かせるんじゃないかなって提案をいただいて。
結構こだわりのタイトルですね。
こだわりのタイトルです。
でもそれもやりつつだから、
その時は展覧会の出展作家とかも何となく頭には浮かんでいるんですか?
このコンセプトの時は。
多分他の学芸員さんもそうだと思うんですけど、
だいたいあって、ラインナップお声掛けぜひしたいなっていう作家さんがあって、
でも調整しながら、作家さんによってはちょっと都合が合わないとかあるので、
調整しながらやります。
今回でもテーマとしてパンデミックとかコロナとか。
あの時期というか2020年以降に、
コロナとかをテーマにした作家さんとかも出てきて、
コロナの展覧会はゼロではない気もしたんですけど。
たくさんありました。
でも今回のお話聞いたら、それより前じゃないですか。
別にアフターコロナっていう展覧会じゃないわけじゃないですか。
そうです。
ニュアンスとして。
優さんどういうところの作家を選んでいったんですか?
コロナやってるなっていう人は選ぶのは簡単そう。
簡単そうって言ったら失礼だけど、
わかりやすくウイルスとかをテーマにしていったら、
この人コロナだなと思うけど、
今回そういう単純な展覧会じゃなかったなと思ったんですよ。
ここ最近の問題とかはどういうところを捉えてたんですか?
コロナ禍に感じたそういう社会的な矛盾や孤独や、
15:02
そういった問題をちゃんと反映できている作家であること。
そしてタイムラインをちょっとねじってみたかったので、
2019年までの作品で2020年からを語ってみたいって思ったので、
コロナで表面下になった問題に触れるいろんなテーマに触れながらも、
コロナとは関係ない時代に作られた作品であること。
その2つの条件で考えて企画書を書いて、
お声掛けしたという感じですね。
率直な疑問なんですけど、
今回はデビュー戦だったじゃないですか。
なんでそんな難しいことをやろうとしたんですか?
すごい複雑なことをされて、
でも賞賛じゃないけど、
何かやってみたいなっていうのはやっぱあって。
いやいやいや、せめてるわけじゃない。
もっと楽な道はいくらでもありそうなものを。
でもこう…
実際やってみると難しかったですけど、
2019年の作品でコロナ以降のものを語るっていうのは、
普通にかけて難しそうだなと思うんですけど、
実際やってみると難しい。
それとも意外と思いついた感じでできるものだったんですか?
2020年、2021年、2022年あたりって、
コロナに触れる展覧会は本当にいっぱいあったんですよ。
でもコロナ中に作られたから、
コロナが語られる作品かというと、
そうでもないって思ったんです。
和東館で開催したダミー&ハースト展も、
ハーストさんがコロナ中にずっとスタジオで
手掛けた作品を紹介してて、
もちろんそれもそれで貴重な展覧会だったんですけど、
だからといってその時代の本質を捉えているのかというと、
そうでもないなと思って。
その時にいっぱい出てきたテーマ展とかにすると、
旅に出たいんだっていう。
旅多かったですね、確かに。
旅に行けないから旅にっていう話がありましたね。
身体は動けないんだけど、
心だけは遠くまで行けるんだっていう展覧会。
それと日常が大事なんだっていう展覧会がいっぱいあったんです。
なんかダメなしみたいになっててちょっと。
いくつも今、展覧会の頭に浮かびましたけど。
そうですよね。
なんかそんなのが多かったなって思いました。
実際楽しかったし、それで結構見に行ってたんですけど、
この時代、この3年間の時代の本質を捉えるときに、
そういうことだけではちょっと多分捉えきれない部分があるんだなと思って。
じゃあ何がそんなに問題になって、
何を忘れたくないのかって思ったときに、
監視社会の問題だとか、
孤独死の問題だとか、
18:03
AIアルゴリズムの話とか、
2021年だったらNFTがすごいいきなり向上して、
今なんかまた最高としてるんですけれども、
そういう問題、その3年間を表す代表的なキーワードに、
前もって触れている作品をセレクトしてみたいなって思ったんですね。
でも今回出展作家は全部何人ぐらいになるんですか?
9人です。9組です。
それを基本的には今回その厚いメールを送ったら、
皆さんOKしてくださる方は多かったですか?
多かったです。
でもなかなか難しいですよね。
それこそ地主さんもこれまでも展覧会とか出展あると思いますけど、
メールベースで来ることって今ではあったもんですか?
あー、でもそういう時もあります。
でも会いませんかっていうのが大体多いですけど、
でもメールで企画書とか送ってくれてっていうことはゼロではないです。
今回でも率直な第一印象というか、
その厚いメール来た時にどんな感じのリアクションだったんですか?
地主さん的に。
すごい嬉しかったです。
すごい面白そうな企画で、
これはよく呼んでくれたと。
よく私をこの趣旨でピンと来てくれたなと思って嬉しかったです。
だってこのテーマって意外と間口が広いじゃないですか。
だから結構山ほどアーティストがいるじゃないですか。
まずそのユンさん的にセレクトする理由というか、
この人がいいなって思う中でどういうので選んだんですか?
その9人というか。
そうですね。
2000年代から2019年までの作品であることの中で、
今まで自分が見てきた展覧会リサーチした資料全部並べて、
その中から全部抜き出して、
趣旨に合わせて企画書を書いて、
そうしたら16人くらいだったんですけど、
まず絞って。
そうですね。
それを長屋、前回のレッドピースというのをやってた学芸課長の長屋に見せたら、
これじゃ予算が足りないねと。
多すぎると。
今もそうなんですけど、
コロナ禍って本当にいくらくらいコストがかかるのかがわからない、
読めない時代だったんで、
これじゃちょっと無理かもしれないねと。
しかもこの展覧会は意外と久々だったから忘れてましたけど、
海外グループ展がかなり新美術館としても久々だったんですよね。
だからその中で選択肢として海外の人は選ばないという選択肢もあったわけじゃないですか。
そうなんですよ。
でもやっぱり最初から海外の人を呼びたいのは。
21:03
思いました。
でもその16人から多すぎるとなって、
もう減らしていくわけじゃないですか。
減らしていきますね。
普通のプロセスですね、どの展覧会も。
だからもしかしたら事務所さんが減らさせた可能性もなくはなかったわけですよ。
事務所さんは最初から海外まで絶対。
よかったですね。
いやいやそういうの言わせてください。
でもだから16人全員にはメール送ってるわけじゃないです。
そうですね。
気づかないまま一時審査落ちてる人が5、6人いるということですね。
内部でいつも学芸会議とかで議論してるので。
でも最初から海外の人は何人くらいいるよとかって決める?
やっぱりグループ展として考えるときに海外の人も半数ぐらい海外の人ですね。
展覧会の企画書を書くときに、
多分最初からそういう枠組みとか、
コーター的なのを考えながら組むのもできるんですけど、
まずはそれを考えずに全部出してから絞ったほうがいいかなと思って。
そうですよね。
でたらちょうど日本のほかで作家さん3人入るとちょうどいいバランスになりました。
なるほど。
でも今回この旧作家選ばれてて、
別に年代もバラバラですもんね。
一番古い作品が2004年の作品です。
今回全部紹介してるとさすがに番組中に入る気ないですけど、
多分全員紹介したいと思いますけども、
特にこの作家は見て欲しいとか、この作品見て欲しいっていうのをちょっと。
ジヌイさん以外です。
ジヌイさんはこの後たっぷり。
それはジヌイさんはもちろんですよね。
見ていただきたいですよね。
ジヌイさん以外でというと。
現代アート界のスーパースター的な人といえば人をした英雄さんの作品。
今回2019年に発表された新作がコロナ禍の間、
個展があったんですけど、
あんまりそんな紹介される機会が多くなかったんですが、
その経ってちょうどまたいろんなところで見られ始めてて、
人さんの作品と、
この展覧会はわりと、
招立はないんですけど、
わりと隠れた招立というか二部構成になっておりまして、
第一部がパンデミックのパンの規模で拡大し続ける社会を捉えた作品。
第二部がその反面リモート化していくリモートワークからの、
二つともコロナ禍で出てきた単語なんですけど、
24:01
リモート化する個人をフィーチャーした作品ということで、
人さんがわりと社会問題とか資本主義とかに積極的に言及する作家である反面、
その二部のリモート化する個人という裏テーマを考えたときに、
一番代表的な作家になるのがこのティナ・エンゴフさんという、
デンマークの写真家の方ですね。
この人の、孤独死した人たちの後の部屋の写真を撮ったシリーズ、
計27枚ある写真作品です。
どこの国の人っておっしゃってますか?
デンマークです。
デンマークとか新聞に出るんですよね、この孤独死した人情報が。
このティナ・エンゴフさんの作品のタイトルって、
日本語のタイトルは心当たりあるご親族へのですが、
英語のタイトルはPossible Relatives、可能な親族、
親族になり得る人を探していますという意味なんですけど、
デンマークはすごく裕福で幸福度高い国なんですが、
もちろん都市の中で孤立する個人という問題はどの国も関係があるように、
孤独死の事件が発生すると、
まず最初に臭いで周りからなんとなく気づくようになるんですよね。
その後、通報が入って、コペンアーゲン市の市の政府が片付けに来て、
全部片付け終わったら、
でもこの人が一人で亡くなったので誰なのかが分からない。
この人は誰なのかを教えてくれる、
この人の親戚を探していますという短い広告を三大市に載せるらしいんです。
住所が出るとですね。
そうですね。住所と、いつ亡くなったのかとか、
簡単な情報だけ。
それで、この新聞広告の広告欄のタイトルがPossible Relativesで、
それからタイトルを取った作品です。
内覧会の日にご本人いらっしゃって、
大阪館長、横浜美術館からお世話になっている方がいて、
僕を見つけたり、
トニーさん、トニーさん、あそこにティナさんですか、
ティナさんから話しかけてきなさい、みたいな。
特に話すことないんだけど、
言ってらっしゃるような感じで、すごいセッティングされて、
ご本人に通訳の方もついてくれたからお話聞いて、
こういうところに実際行って撮れるもんなんですか?って聞いたら、
それは親族じゃないから撮れない。
じゃあどうやって撮れるようになったんですか?って言ったら、
ガッツですっていう。
27:01
何度も何度も公務員のお仕事の方に掛け合って、
ダメって言われたけど、
それを何十回とやればできるんですって、
すごい言われたのが印象的で、
簡単にできるのかな、
行って撮ればいいのかなと思ったけど、
そんなことは当然ないんですよね。
そうですね。
だから本当に1年以上時間かけて、
何回も何回も説得にいて、
幸福な国であっても、
こういう問題は実質発生してるんだっていう現実を、
デンマークの国民は見る必要があるんだっていう、
その必要性をすごく説得して、
でも許可を得たんですけど、
許可を得てからも、
得てこれが作品になって、
展覧会が初めて開かれた時に、
その次の日か、その次の週に、
それを許可してくれた担当者は、
市役所からいなくなったらしいんですよ。
へー。
へー。
こういうのバレちゃってじゃないけど。
じゃないけど、
許可はしてくれたんだけど、
これでこの作品が世に出て、
展覧会になって、
デンマーク社会の中ですごい議論が起きたらしくて、
多分話題になったので炎上して、
なるほど。
これを許可した人は誰だって言ってたと思う。
へー。
でもそうなりますよね。
そうなりますよね。
でも本当に一瞬でポップな部屋の写真かと思って、
その話を聞いてみるとやっぱり、
どんよりする感じもあったし、
本当にこんなこと聞いちゃいけないのかなと思いながら、
ティナさんに聞いたのが、
言ったらこれ自己物件なわけじゃないですか。
霊感あるんですかって聞いたら、
霊感はないっておっしゃってる。
やっぱ霊感あったらできないですもんね、この資料とか。
はいはい。
大変ですね。
結構だって霊感ない自分が見ても、
結構グッとくるというか、
なんか亡くなった人がそこにいるわけじゃないんだけど、
やっぱり感じられるような写真なので、
ティナさんは霊感なくてよかったって言ってます。
見た瞬間にゾッとするような写真部屋もあれば、
すごい汚い部屋もあり、
でも病院で一人で亡くなったとか、
孤独死であってもいろんなタイプがあるので、
事故で亡くなったとか、
病院に入院してから亡くなったとか、
自宅でずっと亡くなったまま発見されずにいたとか、
いろんなパターンがあるので、
孤独死という一つの単語でまとめられるわけではなくて、
いろんなタイプがありますよっていうのが、
いろんなタイプの部屋の写真からそれが感じられますね。
だからすごいかわいい、
何の怖い感情が何も入ってないかわいい部屋もあれば、
見た瞬間にゾッとする部屋もあれば、
30:03
いろいろありますね。
この作品を聞いて知ってみると、
見え方が変わって面白かったんですけど、
せっかくなんで、ひとさんの作品ですか?
こちらの方も。
これを一度の説明が難しいですね。
この展覧会、この作品、
ベランシージというタイトルの作品でして、
ベランシージってファッションブランドのバレンシアガを用いたタイトルなんですよ。
実際、中にバレンシアガの2019年のSSシーズンの
ファッションショーの場面とか、
その時に出ていた洋服とか出てくるんですけれども、
めっちゃウケてる。
難しすぎて。
良さが選んだんですよね。
自分の日本語でできるのかな。
フォローします。
まずバレンシアガ、有名なブランドですね。
で、ベランシージ。
これだからバッタモンのブランドみたいな、
偽物のブランドですよね。
実際、この偽物のブランドって、
ちょっと綴りが一個だけ違うって感じ。
ベランシージもバレンシアガのボインジだけちょっと変えたって感じで、
スロバキアで実際売ってたらしいんですよ。
スロバキアのABCマーク的なところで売ってたらしいんですけど。
この作品、
分かりやすくバレンシアガというファッションブランドを中心に置きながら、
実際彼女が言いたいのは、
ファッションブランド、そしてファッションを売るためのマーケティング、
マーケティング手法がどれだけ発達しているのか、
そしてそのマーケティング技術に使われているAIアルゴリズムによる、
そういうマーケティングの、
一度表示されたらずっと出てくるようになる。
それって最初、ファッションブランドから始まったらしくて、
それが、その同じアルゴリズムを使ったのが、
トランプ政権のキャンペーンになったっていう。
そういうふうに、ファッション、マーケティング、資本主義、政治、
ずっと繋がっていく過程を、
ポップな映像とポップな写真、
インスタグラムの写真とか、
YouTuberの映像とかを混ぜながら、
ポップなイメージを混ぜながら、
そういうふうに、
洗練された映像で紹介していく、
45分くらいの作品です。
会場じゃなくて、IKEAのバッグもなぜか。
あれは何なんですか?
この、今ご覧になっている写真が出ているんですけど、
33:00
バレンシア画が2019年あたりに発表したこちらのバッグ。
今映っているのがIKEAのバッグかと思いきや、
これはバレンシア画?
これはバレンシア画なんですけど、
でもどう見てもIKEAっぽいですよね。
全く同じデザインで、
素材だけが革であるっていう違い?
値段も当然こちらはお高い。
もちろん、そうですよね。
バレンシア画もやっているじゃないかってことですね。
パクリとは言わない。
バレンシア画がやり方はそうらしいですね。
バレンシア画も何かを本家撮りじゃないけども、
しているのに。
話題を作って、それでバイラルに広まっていく、
っていうやり方だそうです。
これは問題ですもんね。
いまだに中国の支援でしたっけ?
そういうブランドが日本の結局パクってるとか、
いまだにそういうニュースっていうのはどっかで起こっているから、
やっぱり次続きの問題なんだなと。
単なるバレンシア画だけの話じゃないですもんね。
そうです。
っていう映像作品もありつつ。
じゃあお待たせしました。
次の質問です。
まずそもそも次の質問を選んだ理由というか、
どこに目をつけていたんですか?
現代美術を担当している各議員は、
みんなだいたい同じものを見て回っているんですけど、
だいたい〇〇ビエンナーレに行ったり、
話題のグループ展に行ったりするんですけど、
それでなんとなくジェヌイさんが
すごいホットなアーティストであることは知っていたんです。
でもそんなに多くの作品を見たわけではないんですけど、
でも気になるのでリサーチをしていたら、
今回出していただいた
作品があって、
作品紹介を読んでみたら、
すごいこの展覧会にぴったりな感じがして、
でもその作品以外の作品は全部見ていたんですけど、
肝心のこの作品は見ていなかった。
でも不安にもなったんですけど、
でもジェヌイさんという存在に頼ってみたいな、
かけてみたいなというところがあって、
ジェヌイさんにメール返った時に、
この作品だけは見ていないんですけど、
この作品を出してもらえませんでしょうか?
そうか、もう見れないんですね。
ネットに転がっているとかじゃないから、
見れなかったらもう見れていない。
作品というのも何かの権力を使って見ることもできない。
36:00
でもその時に見たいんですけど、
リンク送ってくれますか?みたいな連絡が来て、
それはよくあることだったんですけど、
その時に企画書も一緒に送ってくれていたので、
いいのかな?みたいな。
見てから決めるんじゃなくて。
私としては、もちろん見てくださいって送ったんですけど、
見てやっぱり違ったってなったらどうするんだろうって思いながら、
ちょっと不安で。
でも、見て違ったら全然それも大丈夫。
なんで?みたいな感じで送った記憶があります。
でもそういうやり方って、
作家さんに失礼なやり方だから、
そういう事態にならないように、
みんな事前にミーティングしたり、スタジオビジットをしたりして、
作品を把握してからお声掛けするのが普通なんですけど、
会いに行けなかったので。
コロナ禍らしいね。
それで最初からその作品で行こうと決めていって、
実際見てどうだったんですか?
青春を感じました。
ジニーさん、先月末までモリビで個展があって、
新作発表されていて、非常に良い作品で、
非常に専念された作品なんですけど、
この新作のジニーさんとはまた違う、
青春時代のジニーさんが感じられる作品でした。
具体的にどの作品が、ここからじゃあ。
だって今、社会問題がどうこうって話したのに、
青春なんですよ。
それが第一印象。
じゃあ具体的にどの作品なのか、
ジニーさんに教えていただきたいと思いますが、
改めにタイトルを。
遠いデュエットという作品で、
40分の映像作品なんですけど、
これは2015年にスペインにレジデンスに行った時に
作った作品で、そもそも作ったきっかけが、
さっきユウンさんもちょっと話されてたんですけど、
2011年にあった東日本大震災と
原発の事故が結構自分にとって、
みんなにとってそうだったと思うんですけど、
すごいインパクトがあって、
どうやってそれに対して考えていくかというのが、
当時の自分がずっと考えてたことだったんですけど、
その後、一瞬、
ちょっと社会が良くなっていくような気分があって、
例えば原発はやめようとか、
みんなで絆みたいな感じで、
良い社会にしていこうみたいなムードがあったんですけど、
その後、2014年、2015年くらいで、
また社会がグッと星化していくタイミングだったんですね。
39:01
例えば、
まあ、まあいいや。
その時、デモとかもいっぱいあって、
自分も行ったりしてたんですけど、
平和憲法を解釈で変更して、
海外に自衛隊が破壊できるみたいなのを、
一気にかかってやられたのがその時期だったんですよ。
そういうことに対して、
結局原発も再稼働する動きになってたりとか、
その時になんかすごい絶望的な気分になって、
本当にすごい危機で、
この大地とか国がなくなるんじゃないかみたいな危機が起こったのに、
結局また再稼働の方向になるし、
また今度は海外に派兵するとか、
何が起こってるんだろうみたいな。
それに対して、
特に選挙があっても、
投票率が上がらなくて、
みんな全然それでも無関心な状況とかもあって、
それまで自分が生きてくる中で、
自分は日本に生まれた、
日本国籍を持つ者として、
日本社会に生きる自分ということに対して、
特に何も疑問に感じず、
特に意識もせずいたんですけど、
急に自分が属する社会というものが、
自分がアクセス不能な、
すごい不気味なものに思えてきて、
みんなが何考えてるのか全く分かんないみたいな、
怖いみたいな感じになっちゃって、
そういう時に、
どうしたらいいんだろうみたいな、
自分はこれに対してどうやって考えたらいいのか分かんないし、
この先どうやって何か作品作るにしても、
分かんなくなっちゃう、
ちょっと見失った時期があって、
そういう時に、
この作品で扱っているロベルト・ボラーニョという人の小説に、
たまたまで会って、
それは日本でボラーニョが訳し始められた時期で、
本屋さんに平積みにされてたんですよ、
最初に訳されたアンソロジーが。
あの人はどこの国のどのぐらいの時代の人なんですか?
ボラーニョはチリ生まれの人で、
1973年にチリでクーデターがあったんですよ。
その時に学生運動に関わってて、
その時だから20代になったばかりか、
まだ19とかそれぐらいの年代だった人で、
その関わったせいで投獄されて、
その後、メキシコ、スペインになって、
最終的にスペインで亡くなった人なんですけど、
ボラーニョもある種、自分が生まれた国で、
すごく大きな挫折というか、
42:04
結局ボラーニョが支持する方の運動は失敗して、
その後チリはすごい長い間独裁政権が敷かれるんですけど、
かなり長いことボラーニョもチリには帰ってなくて、
結局スペインで亡くなるんですけど、
ボラーニョの小説なので物語の描き方が、
すごく自分にとってしっくりきたというか、
これから自分が考えていく上で、
すごくためになったっていうのがあったので、
この作品はボラーニョ最終的に地中海に残骨されたんですけど、
その残骨された場所に会いに行くっていうシーンから始まるんですけど、
ある種本当はボラーニョに会って相談したかったというか、
会ってこの話してボラーニョの意見とか聞いて話せたらよかったんだけど、
もう亡くなってて話せないし、
だからボラーニョが書いたテキストと自分のテキストを交互にやって、
空想上の対話じゃないけど、そういうのをやってみたっていう感じの作品です。
結構何部?4部ぐらいに分かれてましたっけ?
5部とか?
5章ですね、はい。
なんかやっぱりそれぞれちょっとテイストも違いましたよね?
そうですね。
これはどういう組み立てというか、
その1章からっていうのはざっくり言うとどんな感じの動きになるんですか?
そうですね。
下敷きにしたのがボラーニョの代表作の一つの
野生の探偵達というすごい長い小説があるんですけど、
それを下敷きにしてて、
それはすっごいたくさんの人が出てくる、
50人以上の人たちのインタビューからなる小説なんですけど、
すごい構成が面白くて、
いなくなってしまった詩人を追って、
2人の若い詩人が探しに行くんだけど、
その2人もいなくなっちゃって、
その2人がどこにいるのかをいろんな人にインタビューしながら、
その2人の軌跡を追うみたいな構造の小説なんです。
なので、私もそのフォーマットにのっとって、
そのボラーニョという詩人がいなくなってしまって、
私がその詩人を追うという、
大きなプロットとしてはそういう風になっていて、
スペインで出会ったいろんな人に、
ボラーニョを知っている人もいれば知らない人もいるんですけど、
彼らとの対話とか、いろんなインタビューを通して、
いなくなってしまった誰かを追っていくみたいな、
そういう筋書きになっています。
登場していたスペイン人の方とかは、
素人さん、それともプロの役者さんにやってもらっているんですか?
45:02
全然役者さんじゃないです。
本当に捕まえて聞いている人ですか?
そうです。
みんな上手かったというか、
どうやって選ぶんですか?スペインで。
時間もなかったです。
スペインのレジデンスは、ボラーニョの作品を作りたかったから、
応募したものでだったんですけど、
滞在期間が1ヶ月ちょっとしかなかったです。
短いですね。
すごく短くて、
でもこの期間中に作らなきゃいけないというのに、
すごく焦っていて、
しかもプロットが特になかったので、
その大きい、いろんなボラーニョについてのことを作ることしか決めていなかったので、
それから行き当たりばかりでした。
ボラーニョはスペインではどれくらいの知名度なんですか?
日本で言うと宮沢賢治くらいのレベルはあるんですか?
それよりは知られていない?
誰もが知っている人では全然ないです。
捕まえて実際どれくらいの人が、
ボラーニョねっていう感じはどれくらい割合でいたんですか?
道で会った人はほぼ知らないと思います。
それ焦りますね。
結局何人にインタビューしたんですか?
多分そんなに多くなくて、
完全に道で会った人に聞いている場合もあれば、
レジデンスで一緒で出会った人とかに、
ある種知り合いみたいな人に聞いている場合もあるから、
完全にみんな初対面の人ってわけではないんですけど。
本当の映画って言い方がちょっと語弊がありましたけど、
映画だと脚本があって、ある程度エンディングが決まっているじゃないですか。
でも今回はリサーチだから、どうなるかわからないんですか?
やっている最中に、どこでエンディングが見えてくるんですか?
やりながら。
でもやりながら見えてくるものなんですか?
でも私はいつもそういう風に作ってるんですけど、
見えてくると信じてやるって感じです。
これはまた難しいのが、
最近プロジェクトXがまた始まったからあれですけど、
ああいうドキュメンタリーって感動に寄せようとすると、
ちょっと編集が入っちゃったりとかするじゃないですか。
事主さんのこの作品はどうしていくんですか?
自分なりにはこうしてほしいなとかはあったりするんですか?
素材だけでなんとかなるものなんですか?
でもあの作品で言うと作り方としては、
一個一個の章で完結してるから、
例えば第1章でボラーニョの子と言ったら、
別人のボラーニョだと思う男性が出てくるんですけど、
48:01
その人とかは本当にランダムに出会った人なんですよ。
例えばあれはボラーニョの産骨してるブラナスという街に
訪ねた時に出会った人なんですけど、
ああいうシーンが撮れた。
全然こっちは意図してなかったけど、
ボラーニョを勘違いして、
こういう面白い会話が撮れたぞっていう出来事があって、
次何撮ろうとか。
そういう感じですか?
そういう感じです。
だから一つの出来事が次に繋がっていくみたいな。
最後のこれ決まったなって思った瞬間はありました?
でもそのインタビュー中とか。
決まったなって思ったのは穴を取れた瞬間ですね。
大きい穴が出てくるんですけど、
あれも多分無意識化では穴の章が、
あれボラーニョの長い本なんですけど、
長い本の中に穴にまつわる章があって、
多分穴について撮りたいってなんとなく思ってたんですけど、
気づいてなくて。
で、あるポイントで穴取りたいって、
それが意識化になってきて、
穴だ穴だってなって、
周りの人に穴知らないですか?みたいな。
穴知らないですか?
でかい穴、それもでかい穴。
大きい穴知らないですか?みたいな感じで聞いたら、
ネットとかでもすごい調べたんですけど、
あまり出てこなくて。
で、聞いたら、
レジデンスで働いてた人が、
昔、ハイキングに行ったらすごい大きい穴って。
そんなことあるんですか。
すっごいっすね。
予定調和な感じだけど、
ガチなんですよね。リアルな話ですもんね。
リアルな話ですって、
え、それどこですか?みたいな感じで、
え、でもそこ別に有名なとこじゃないからなとか言って、
2人でGoogleマップを見ながら、
え、この辺に穴があるか?この辺?
いや、この辺だと思うけど、みたいに言われて、
でも、その時、今ほど、
Googleマップとかも洗練されてないから、
今だとこのGoogleマップとかで、
例えば航空写真にやったら、
見えたりとか、
あとなんか、おすすめ情報で、
ここの穴おすすめ?みたいな。
今のGoogleでも、
おすすめの穴はないと思うよ。
わかんないです。穴のおすすめがよくわかんないけど。
まあまあ、情報がね。
当時はそういうのなかったんで、
なんとなくGoogleマップがこの辺かな?みたいな情報しかなくて、
しかもすごい行きにくいとこあったんですよ。
で、私、車も運転できなくて、
で、タクシーもない村だったんですよ。
で、当時なんかそういう外付けシム、
あ、シムとかもなかったから、
なんか、宿でWi-Fiをセッティングして、
Googleマップを開いて、
それを消さないように気をつけつつ、
そのなんていうか、その履歴だけを持って、
すっごい彷徨って、
51:01
なんか、5時間以上歩いて、
で、迷いに迷って、
で、人もいないし全然、
で、だんだん日も暮れてきて、
やばいみたいな、これ私殺されるんじゃない?
穴に埋められるかもしれないし。
穴にまずたどり着くまでに、
すんごいなんか気持ち悪い。
なんかそこだと、ちょっと変わった地形で、
たぶん石灰質の崖、山などちょっと変わった、
だからそういう崖とかがあるんですけど、
そこに気味の悪い横穴がいっぱい開いてるような、
めっちゃ怖いところだったんですよ。
そこをずーっと行った奥に穴があって、
あ、でもあることもわかんないんですよ。
そう、行ったところで。
このまま行ったら夕暮れになる、
日没になるけど、
行くべきか行かないべきか、
行ったとして帰ってこれんのかみたいに、
確かに確かに。
超怖くて。
それ一人だった?
一人です、一人です。
カメラとか持ってるんですか?
カメラで数えて。
で、たどり着いたのがあの穴で、
だから日暮れで暗いのとか全然狙ってなくて、
着いたらあれだったんですよ。
僕も映像見ましたけど、
あの穴は何に出てきた穴なの?
たぶん地質的に穴が開きやすい場所で、
自然に沈下しちゃった穴だと思うんですよ。
でも超怖い穴で、
本当にもうライトとかないし全然。
看護師じゃないから別に。
看護師じゃないし、柵とかもないし、
穴を覗いたらめっちゃ車が落ちてるんですよ。
だからみんなたぶん穴だって気づかなくて、
でも上がってこれないんですよ。
めっちゃ深いから。
だから本当に怖くて。
明らかにヤバいじゃないですか。
明らかにヤバい。
めちゃくちゃヤバいですよね。
で、なんか映像の中で、
私がこうやって見てたら、
別に2人、女性と男性がカットインしてくるんですけど、
あれを狙ってなくて、
いきなり入ってきたんですよ。
映像に。
人たちも穴をさまよってたりしてたんですか?
あの人たちはなんか来て、
私がこうやって見てたら、
一緒に覗いてるじゃないですか。
あれ全然知らないです。
エクストラさんみたいな、
一緒に行ったスタッフとかじゃないんですか?
違います。
で、それであのシーンが撮れて、
とにかく、
もう私はずっとブルブルブルみたいな、
もう穴も怖いし、
あの人たちが入ってきたのも、
すごいなんか、
その人たち誰だなって。
確かに。
怖っ。
でもなんか、なんとかそれで、
で、私も帰る時、
殺されるんじゃないかってめっちゃ怖かったけど、
その人たちが乗ってくか、
車で来てて、その人たちが。
町まで乗ってくかって言われて、
乗ってった方がいいのか、
54:01
乗っていかない方がいいのか、
すごい怖かったんですけど、
でも乗っていかなかったら、
私やばいなって思って、
この人たちを信じようって思って、
乗ってったらちゃんといい人で、
返してくれて、
もうそしたら涙みたいな。
その人たちも一歩間違えたら、
穴に入ってたかも。
車ごとしたかもしれないし。
ボラニオ作品の中でその、
穴を悪魔の口っていう風に
比喩されるんですけど、
そうまさに悪魔の口ですね。
そうなんですよ。
本当に怖い穴で。
ホテルに帰ってから、
映像を見たらあれが撮れてて、
すごいやばいの撮れた。
すごいすごい。
この話聞いてからあれ見ると、
見方変わっちゃいますよね。
言わない方がいいかもしれない。
カットした方がいいかもしれない。
ちょっとすみません。
後でカットになったらすみません。
いやいやいや。楽しいので。
でもそんだけ大変なんだなって
分かったし、
この話聞いてから、
ティナさんの孤独死の部屋が
ちょっとまだマイルドに見えますね。
その大量の車の方が怖い。
そうですね。
でもすごい。
実際でも作品見た
ユンさんの感想は?
青春棚以外で言うと。
これも踏まえてですけども。
結構文学的な作品で、
文学からヒントを得ている作品でもあるし、
この作品自体かなり文学的な作品で、
他の作品とはまたちょっと雰囲気が違うな。
だからぜひ選びたい。
展示させていただきたいなって思ったのと、
前半と後半で話がガラッと変わるんですよね。
前半は自分が敬愛する文豪を探しに、
文豪が亡くなった地を訪れる。
彼に関するインタビューを行っていく。
ロードトリップみたいな感じで、
楽しい旅の記録なんですけど、
そこがちょうど真ん中ぐらいで穴の話が出てきて、
モラニオの作品の中に出てくる
悪魔の口と言われる穴に子供が落ちるっていう
設定が出てくるんですね。
それを引用してその穴をずっと映す場面から
後半に流れるんですけど、
スペインにあった穴に子供が落ちた時に、
モラニオの作品の中ではみんな怖がってて、
みんな見に行くんだけど、結局降りていかない。
子供が泣いてるんだけど、
誰も鳴き声が聞こえてくるんだけど、
助けにはいかなかったっていう話なんだけど、
そこからガラッと雰囲気が変わって、
地縫いさんが暗い画面の中で、
何も映ってない暗い画面の中で、
なぜか咳き込んでるんですよ。
咳き込みながら、もしこの穴が日本にあったら、
日本社会はどういう反応を示したんだろうかっていう、
57:03
結構ラディカルなチェンジがあって、
この展覧会が目指している、
個人的な面と社会的な面をうまくつなげる、
ユニバーサルな世界とリモートしている個人っていう、
社会と個人をうまくつなげる、
ちょうど間に来る作品として、
すごく文学的でもあるし、
ふさわしいんじゃないかなと思って、
これはちょっと諦められないなっていう感じになりました。
でも本当にこの展覧会、ちょうど中間ぐらいに
展示もあって、
本当に繋いでいる感じの作品でしたもんね。
そういう感じでした。
ちょっと気になっちゃったんで、
改めて最後に言っていいですか。
咳き込んでたじゃないですか。
はいはいはい。
これ一瞬、周りにおっさんがいるのかなと思ってたんですよ。
見てる時に。
後ろから聞こえてくるから、
なんかうるさいなと思ったら、
それも作品だったけど、
あれはなんで咳き込むの?
あれは、
陣内さんが朗読している時ですよね。
そうですね、あれは、
なんか、
ああいう風である必要があったというか、
なんか結構、自分は、
割とそういう風な作り方をすることがよくあるんですけど、
あの作品では特に、
自分も迷い込むみたいな作り方をしてて、
どう転ぶかわからない中に、
体ごと入るみたいな。
いろいろ撮って、
最後のショーだっけ、
帰ってきてから日本の自分の部屋で撮ったんですけど、
テキストがあったけど、
あれはどういう形で、
映像の中に組み込まれるかっていうのに悩んでたんです。
その時、帰ってきて疲れて、
風邪ひいて、
実際に声も出なくてゴホゴホしてたんですけど、
今この声で読むのがいいと思って、
それで、
映像はいらなくて声だけでいいと思って、
その時に撮って、
あれになった。
リアルな風邪気味?
リアルな風邪です。
スペインから帰ってきたら、スペイン風邪にかかったっていう感じ。
ちょうど展覧会もコロナを意識している展覧会で、
今もそうなんですけど、去年とか、
隣で誰か咳き込んでると、すごいびっくりしたじゃないか。
その感覚がいいなと思って、
ジェネさんの作品を見ている時に最後にすごい咳き込んでて、
不安になるというのがありました。
演出なのかな?演出の部分もあるけど、
本当に実際にそうだったんですね。
そうです。
だから自分の声も出てない声で、
いつもの自分の声とは違う声になってるんです。
ちょっとガラガラ声というか、
1:00:01
でも、あんな状態がいいかなと。
その作品を作るために本当に身体張ってるというか、
全部自分で撮って、素材も撮って自分で喋ってたから。
編集ももちろん自分でしてたからね。
40分の作品って聞いちゃうと、
やっぱり一般に美術興味ない人とか、撮っ付きづらい人は40分かと思っちゃうけど、
結構見てみるとあっという間というか、
最初からぜひ見ていただきたいですよね、この作品は。
これループで流してるってことですか?
ループで再生してます。
ぜひぜひ皆さん、この話を聞いた上で見ていただきたいなと思います。
まだまだ聞きたいことがいっぱいあるんですけど、
それは後半に持っていこうと思います。
改めて、その手中の告知を最後。
遠距離現在展は6月3日まで国立新美術館で開催中です。
ちなみにこの手中は巡回もあるんですね。
その後、広島市現代美術館で、
2024年6月29日から9月1日まで、
第3会場目の開催になります。
ぜひ東京で見ていただきたいと思いますけども、
半ヶ月間にやらないといけない人は広島。
そうですね。
一応運んでいただきたいと思います。
次回もユウンさん、地主さんをゲストに、
美術についての話を続けていきたいと思います。
01:02:08

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