1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #504 ルビンの壺:われわれは..
2022-12-17 10:02

#504 ルビンの壺:われわれは何を見て、どう語るか? from Radiotalk

主要参考文献
『認知言語学』 (大堀寿夫、東京大学出版会)
Language Typology and Syntactic Description. Vol 3 (T. Shopen (ed.), Cambridge University Press)

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://bit.ly/3oxGTiK
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
note▶︎https://note.com/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:05
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
トニースタークです。皆さんは、ルビンの壺という騙し絵、まあ絵ですかね、ご存知でしょうか。
今回のサムネがそういうことになっているんですが、まあ聞いているものによってはね、この
エピソードごとにサムネが反映されてないものもあるので、ちょっとわかんないかもしれないんですが、聞けばわかると思います。
どういった騙し絵かというと、中央に壺があるようにも見えるし、人が2人向かい合っているようにも見える、というあれです。
まあこれ聞いてもわかんなかったら、ルビンの壺って調べれば出てくると思います。
まあこれ非常に面白いですよね。さっきまで壺が見えていたのに、
なんかちょっと意識を変えると、人が2人向かい合っているように見える、非常に
相対的なっていうかな、人間の認知能力の面白さっていうのを、まあ反映していると思います。
まあどっちを、どっちに注目して、どっちを背景化しているかっていうような問題なんですよね。
中央の方に注目していたら、それは壺に見えるわけですけど、一方その中央のものを背景として考えると、
さっきまで背景だったものが注目されるようになって、
で、そうなると、人が2人向かい合っているように見えるというわけなんですね。
で、こういうふうに注目してみるもの、人間の認知上目立つ方っていうんですかね、
そういうのを図ということがあります。英語だとフィギュアです。
一方、この図に対して背景となるような、あんまり目立たない方というか、そんなに注意を向けない方のことを字と言います。
英語だとグラウンドです。この図と字という概念は言語学においても、特に認知言語学と言われる分野においても非常に重要です。
この図と字っていうのは、ルビンの壺からわかるようにですね、結構相対的なもので、
何をどうやって見るか、そしてそれを言語がどうやって表現するかっていうのは、
言語によって異なることもあれば、何をより伝えたいかっていうことによって異なることもあります。
03:07
例えば、ジョンがメアリーといるっていうのは、メアリーがジョンといるっていうふうに言い換えることもできて、
まあ事実は一つかもしれないんですけど、 ジョンとメアリーどちらを図とするか、
つまりどちらを主語にするかという点で異なってるんですね。 ジョンがと言えば、まあジョンの方が図になってメアリーは字になってますけど、
メアリーがジョンとっていう言い方になればそれが逆転します。 まあこういうのはまさにルビンの壺と同じように入れ替わることがあるっていうことなんですけど、
ただまあ傾向っていうのはあって、 例えば存在文で
本が机の上にあるという言い方をした場合、 本っていうのが図で、机の上っていう場所表現が字。
で、前者が主語で表されて、後者が机の上にみたいに周辺的なものとして扱われます。
普通こういう場所が主語になるっていうのは考えづらくって、 机の上がっていう風に
まあこの字が図となるようなね、逆転現象は起こりづらいと考えられてるんですね。
こういう風に場所を表す表現、存在文では 存在するものが図となって
つまり主語となって表れて、 字っていうのがまさに背景化されてですね、
周辺的なもので表されるっていうのがよくあるんですが、 これが移動表現となるともう少し別の要素が足されることになります。
それは経路と言われる要素で、 その字である場所に
図っていうのがどういうふうに関わっているかというもので、 英語だとこの経路というのが全知詞で表されることが多いです。
例えばintoっていうのを使えば、その場所に入っていくっていうことですよね。 逆にout ofっていうのを使うとそこから出てくるっていう風に
経路っていうのはinto out ofみたいな全知詞で表されています。 一方日本語はどうかというと、こういう経路っていうのは動詞で表されることが多いんですね。
どこどこに入るとかどこどこから出るみたいに、 入るとか出るみたいなものに経路が表されています。
06:04
つまり動詞が経路も表しているっていうことなんですね。 英語にもenterみたいに経路を動詞に表すものもあるんですけど、
まあこれは実は釈用でフランス語起源なんですね。 なので英語っていうのは本来的には経路を動詞以外のとこで表す言語。
一方日本語は経路を動詞本体に表す言語っていう風によく分けられます。 まあ専門的には英語みたいな
経路を動詞以外で表す言語を衛星枠付け言語 まあ衛星はサテライトの翻訳ですけどそういう言い方をして、日本語みたいに経路を動詞で表す言語を
そのまま動詞枠付け言語というふうに言うんですね。 これは見ている事実は一緒でも言語によって表し方が異なるっていうことですよね。
字である場所の関わり方、経路を どうやって表すかっていうのは別に動詞の外側で表そうが内側で表そうがいいんですけど
言語によって差が出てきているということです。
こういう移動表現には 図である移動物、字である場所
そしてさっきお話しした経路と合わせて 様態っていうのが関わってくることがあります。
様態っていうのはつまり動き方ですね でここも英語と日本語で差が出てきて
英語っていうのは 様態っていうのを
動詞本体に表しがちなんですね 例えばランボーって言い方をすると
ブラブラ歩く、ストライドって言い方をすると大股で歩くっていう言い方をします
日本語の場合は歩くっていうのにそんな動詞の種類はなくって 今言ったようにブラブラ歩くとか
大股で歩くみたいに動詞の外側で様態を表すんですね まあ英語って割とそういうことが多くて
様態っていうのを動詞本体に表すんですよね 例えば笑うっていう言い方も結構
英語は豊富にあって 受験生とか苦労したりするんですよねそれを暗記するのに
日本語の場合はクスクス笑うとか ニヤニヤ笑うみたいに
こういった擬態語を使って動詞の外側で 様態を表すことが多いです
09:06
まあこれもやっぱり事実としては一つのものですけど それをどうやって表すか
動詞本体なのか動詞の外側なのかっていうのは言語によって異なるということです まあこれはまさにルビンの壺みたいにね
どっちに注目してそれをどういうふうに表すかっていうのが 言語表現に反映されているとそういったことなんですね
というわけで今回は まあ主にこれは認知言語学という言語学の分野で議論されることですかね
そういったことについてお話ししました 最後まで聞いてくださってありがとうございました
番組フォローも忘れずよろしくお願いします お相手はシガ15でした
10:02

コメント

スクロール