1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-04-12 10:21

#433 「せごどん」の言語学(鹿児島弁のアクセント) from Radiotalk

アクセントについて関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/566991

主要参考文献
『アクセントの法則』 (窪薗晴夫、岩波科学ライブラリー)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
どんがばちょです。
日本語のアクセントっていうのは、
母語話者は何にも知らないですね、これについて。
まあ、アクセントに限らないか。
母語っていうのは、母語話者にとって、
まあ、何にもわからないものであって、
それでいて、自由に使いこなせるものなんですよね。
まあ、その中でも、特にアクセントっていうのは、
その規則っていうのはね、母語話者は何も知らないと思います。
ここでアクセントって言ってるのは、
雨と雨の違いみたいなものですね。
そもそもこのアクセントっていうのは、
巷ではイントネーションっていう風に言われていて、
まあ、なんとかね、アクセントっていう風に正しく
言われるようにならないかなと思ってるんですが、
えっと、雨と雨。
母語話者であればこの違いがわかるんですけど、
雨、えっと、これはキャンディの方ですね。
これは低い高いっていう音のパターンになっています。
空から降ってくるレインの方は、
雨っていう高い低いのパターンになってるんですね。
で、今からお話しするのは、
いわゆる共通語のアクセントの話で、
こういう風に一つの網羅に対して、
高い低いの値が決められているんですね。
この網羅っていうのも、
まあ、馴染みがない言葉かもしれません。
博と言ってもいいもので、
だいたいカナ一文字に相当するものです。
まあ、死因と母音の組み合わせだと言っていいんですが、
ただ日本語の場合は、
死因だけが網羅になるっていうことがあって、
具体的には小さいツとかンみたいなものですね。
日本語母語話者にとって小さいツ、
即音と言われるものや、ンみたいな発音と言われるもの、
あるいは伸ばし棒で書くような超音っていうものは、
それだけで一つの音の単位を成してるんですよね。
こういうのを特集網羅という言い方をすることがあります。
日本語母語話者にとっては、
こういったものは一つの単位なので、
聞いてっていうのと聞いてっていうのと聞いてっていうのは、
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全部違う単語っていうのがわかるんですけど、
網羅という音の単位がない言語の話者にとっては、
この聞いて聞いて聞いてっていう聞き分けは非常に難しいみたいですね。
例えば英語っていうのは網羅っていう単位を別に考えなくてよくて、
音節っていうものを考えればいい言語なんですね。
なので英語母語話者にとって、
おばさんとおばあさんとか、おじさんとおじいさんとか、
こういったものの聞き分けは結構困難なんですよね。
まあいずれにせよ日本語には網羅っていう音の単位があって、
まあだいたいそれは金一文字に相当すると。
それぞれの網羅に高いあるいは低いという値が決められているんですね。
この高いか低いかのパターンっていうのは、
単語ごとに決まっているので、
丸暗記するしかないんですけど、
法則があるといえばあって、
1網羅の単語だったら2つのアクセントパターン、
2網羅の単語だったら3つのアクセントパターンっていう風に、
数学的に言うと、
n網羅の単語にはnプラス1のパターンがあるっていう風に言われるんですね。
例えば箸と端っていうのがあって、
箸っていう風に高低だと、
これは物を食べる時の道具ですよね。
でもう1個のパターンは低高なんだから、
2つしかパターンがないじゃないかと思われるかもしれませんけど、
これは助詞をつけた時にアクセントの違いが出てくるんですね。
同じ低高の箸っていうアクセントでも、
例えば箸がっていう風に低高高になると、
端っこっていう意味の箸になるし、
箸がっていう風に低高低になると、
ブリッジの意味の箸になります。
でこれは1網羅の単語でも同じことが言えて、
火っていう単語が助詞をつけた時に、
火がっていうのと日がっていう2つのパターンがあるんですね。
で高低の日がだとファイアーの意味になって、
日がっていう風に低高だと日が沈んだっていう風に、
その太陽の意味になるんですよね。
ということから、いわゆる共通語のアクセントの法則として、
n網羅の単語だったらnプラス1のパターンがあるという風に一般化できるんですね。
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さてここから本題で、
今日はね鹿児島弁の話をしようと思います。
鹿児島弁、殺偶方言という風に言われることもあります。
当然いわゆる共通語とはあらゆる面で異なってるんですけど、
今話しているアクセントについても全然違うんですね。
まず鹿児島弁では網羅っていうのを考えなくていいんですね。
なので小さいつーとかんーとか長音みたいなものが、
一つの単位として認識されていません。
だからある意味で英語的なんですね。
ちょっと前に西郷隆盛のドラマでセゴドンっていうのがありましたけど、
あれは西郷隆が縮まってセゴドンになってるんですが、
鹿児島弁では西みたいなこういう連母音、母音が2つ続くような場合は、
せみたいに一つの単母音にしたりとか、
郷みたいな長音も郷っていう風に短くなるし、
ドンっていうのもいわゆる共通語だとドンですけど、
ドンで一つの音の単位として発音されてるんですね。
なのでセゴドンじゃなくてセゴドンっていう3つの単位で成り立っています。
鹿児島弁は共通語と違って、
網羅ではなくて音節を単位とする言語だっていう点で、
まず非常に面白いんですね。
同じ日本語であってもまるっきり違うということなんですけど、
アクセントの仕組みも違って、
鹿児島弁の単語のアクセントっていうのは、
A型とB型の2種類しかないっていう非常に単純なシステムになっていて、
A型っていうのは後ろから2つ目の音節が高くなる単語、
B型は一番後ろの音が高くなる単語っていうこの2つのパターンしかないんですね。
例えば夏っていうのは鹿児島弁だと夏っていう風に高弾くのパターンになります。
これはA型のパターンで後ろから2つ目の音が高いんですね。
一方B型は春っていうのがあって、
これは一番後ろの音が高いB型のパターンです。
で面白いのは、このA型にしろB型にしろ後ろに助詞がついたりすると、
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アクセントの位置もちゃんとずれるんですね。
例えばA型はさっき言ったように後ろから2つ目が高くなるので、
夏っていうのに例えばがっていうのがつくと、
夏がっていう風につが高くなるんですね。
あるっていうのもがっていうのがつくと、
あるがっていう風に一番後ろが高くなるというB型の特徴をちゃんと保ってるんですね。
これは助詞だけじゃなくて、
例えば複合語で夏休みと春休みっていう風に、
ちゃんとA型だったら後ろから2番目、B型だったら一番後ろ、
それぞれが高くなるっていう風な仕組みになってるんですね。
これは非常に面白いですよね。
同じ日本語であってもこれだけアクセントの規則が異なるというお話でした。
というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回のトークでお会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。
またねー。
10:21

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