1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-04-09 10:02

#432 「単純な英語」について from Radiotalk

英語の歴史のトーク
https://radiotalk.jp/talk/633245
「曖昧な日本語」について
https://radiotalk.jp/talk/535374

参考文献
『世界言語への視座―歴史言語学と言語類型論』 (松本克己、三省堂)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:07
始まりました、志賀十五の壺。
たこ焼きがラーメンになったのよ。
ダンプ松本です。
今回のトークは、単純な英語について。
こういうタイトルでやっていこうと思います。
英語って単純だったのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
まあ、これを聞いてくださっている方の多くは、日本語母語化者で
学校で英語を習ったと思うんですよね。
そういうことを思い返すと、
とてもじゃないけど単純とは言えないんじゃないかってね、
そういう方もいらっしゃると思います。
まず、語順っていうのをね、考えていこうと思うんですけど、
英語の語順っていうのは、かなり固定化されていて、
特にSVO、主語、動詞、目的語っていうのは、
もう崩れないような、なんていうかな、がっちりしたものなんですよね。
一方、日本語なんかは、
SOV型言語、主語、目的語、動詞と並ぶような言語と言われてますけど、
英語と比べたらかなり自由度が高くて、
例えば、その本は別の客が買ったみたいに、
目的語、主語、動詞っていう語順も全然平気でできますよね。
あるいは、もう食べたよご飯みたいに、
動詞の後に目的語が出てきたって、別に言えると言えば言えます。
そういうのと比べると、英語の語順っていうのはきっちりしてて、
主語、動詞、目的語、それが文系っていう名前で、
学校教育でも教わりますよね。
なぜ英語の語順がSVOで固定化されているかというと、
2つぐらい理由があって、
これについては関連トークがあるので、ぜひ聞いていただけたらと思います。
1つは名詞の方の問題で、
日本語のがやをにあたるようなものが名詞にくっつかないんですね。
主語だから、目的語だからといって、名詞の形が変わることがありません。
なので、何が主語かっていうのが、位置によって決まるということです。
2つ目の理由は動詞の方で、
主語によって動詞の形が変わるっていうことが、英語ではほとんどありません。
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唯一、三人称、単数、現在、この時だけSっていうのがつきますよね。
一人称や二人称が主語の時、あるいは複数が主語の時、
二人称が現在以外の時、つまり過去形の時なんかは、
動詞が主語によって形が変わるってことはありません。
B動詞はかなり変化が激しいですけど、
あむとあーといずとどのこうのってありますけど、
一般動詞には、ほとんど主語によって形を変えるということがありません。
ということなので、何が主語かっていうのを、その位置によって表していると。
つまり動詞の前が主語の位置、動詞の後が目的語の位置というふうにしてるんですね。
主語や目的語っていうのを、名詞や動詞の変化ではなく、
その語順、位置によって表すという意味で、
英語は単純であると、そういうふうに言えなくもないんですね。
ただ、昔の英語は、名詞の変化も動詞の変化もかなり多様で、
語順ももっと自由だったんですね。
むしろ昔の英語の語順は、SOVの語順、日本語みたいな語順が多く観察されたようです。
名詞は名詞で、主語の形や目的語の形っていうのを持っていて、いちいち変化して、
動詞の方は動詞の方で、一人称の形、二人称の形、三人称の形っていうふうにいちいち変化するので、
何が主語で目的語でっていうのは、名詞の方からも動詞の方からも分かっていたんですね。
だから語順を固定する必要がなかった。
そういうわけなんですが、このあたりの話は関連トークを聞いていただけたらと思います。
しかし英語はだんだんだんだん、名詞の方も動詞の方も変化をなくしていって、
現代の英語ではほとんど、名詞も動詞も変化しなくなってしまいました。
その原因が、言語接触である。
つまり、英語と何か他の言語が接触した結果、言語の単純化が起こったっていう説があるんですね。
これは松本勝美先生っていう先生がおっしゃってるもので、
2つ以上の言語が接触したときに、お互いの意思疎通を図るために、簡易的な言語ができることがあります。
そういうのをピジン言語っていうふうに言うんですね。
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そのピジン言語を母語とするものが現れたら、クレオール言語というふうに言います。
こういった接触言語、ピジンクレオール言語っていうのは、
SVO語順が非常に多いらしいんですね。
なぜかというと、お互い違う言語を話していて、それをすり合わせるっていうか、
簡易的な言語になるっていうことは、主語や目的語っていうのを名詞の変化で表したり、
動詞の変化で表すっていうのは、結構複雑なことなんですね。
それよりも単語を並べてしまって、その位置によって主語や目的語を表す方が簡単であるということです。
その場合、動詞が真ん中に来る方が都合がいいんですね。
つまり主語と目的語を話した方が良くて、
例えば、あいつ男殴るっていう風にポンポンポンと単語を並べた場合、
どっちがどっちを殴ったのか、名詞が続いた場合分かんなくなっちゃうんですよね。
そうならないように、動詞を間に挟んで、その前を主語、その後を目的語ってすると、
主語、動詞、目的語となって、どっちが主語で目的語かっていうのが分かりやすいということなんですね。
こういう風に言語接触の結果、SVO語順になったと考えられるものは他にもあるみたいで、
例えばマレー語とか、あるいは東アフリカで話されているバントゥー系の言語、
もしかしたら中国語もその言語接触の結果SVOになったんじゃないかっていう風にね、松本先生はおっしゃっています。
今お話ししたことをまとめると、
言語接触の結果、あんまり単語をね、いちいち形を変えるっていうことをやめて、単語を並べるだけにしたと。
で、そうなった時、どっちが主語でどっちが目的語かっていうのを表すために、語順がSVOで固定されてしまったということなんですね。
その結果、英語っていうのは主語が必ず現れなければいけない言語となりました。
例えば、雨が降るみたいな、It rainsみたいなItっていうのは、本来なくてもいいんですけど、
その文法の制約上主語がないとダメってことで意味のないItっていうのが現れていたりとか、
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ゼアイズ公文とかもそうですね。あれはゼアっていうのはなくてもいいんですけど、
動詞の前に主語が出てこないとダメということで、
まあ代わりにゼアっていうのを置いているということなんですね。
というわけで今回のトークは単純な英語についてっていうことでしたけど、
関連トークにあいまいな日本語についてっていうものもあるので、
こちらもぜひ聞いていただけたらと思います。
というわけで今回のトークはここまでということで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。
番組フォローや、あとはTwitterなんかもやってるので、そちらもチェックしていただけたらと思います。
ではまた次回お会いいたしましょう。お相手はしがじゅうごでした。
10:02

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