1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #252 「私たちは〜」って勝手..
2021-01-16 09:24

#252 「私たちは〜」って勝手に一緒にすんじゃねーよバカ from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
まずはお便りいただいているので、そちらを読み上げたいと思います。 こちら、ゆうげんさんからギフトと一緒にいただきました。
お便り書いていただきありがとうございます。これからも楽しみにしています。 ということで、ゆうげんさんどうもありがとうございます。
こちらはですね、創作言語というか人工言語の話をしたトークのものですね。
いえいえ、こちらこそお便りいただいてね、どうもありがとうございました。 さて、今回のトークはですね、
トークタイトルにもあるように、 私たちっていうね、この表現について
例のごとく言語学的に考えようということをですね、 ちょっとなかなか尖ったトークタイトルになってますけど、
まあ時々こういうことはやり玉に上がるっちゅうかな。 私たちはとか言ってるけど、勝手に一緒にすんじゃねーよとかね、
まあそういう話が出たりするんですが、
そもそもね、この私たちっていう表現は、 なんかちょっと不思議といえば不思議なんですよ。
まあ日本語だとね、ちょっと何というかな、
単数と複数の区別ってあまりないですよね。 まあ英語みたいな言語に比べると
はるかにそういったことを表す文法的なものっていうのが少ないんですよね。 英語の方は
単数形と複数形の区別っていうのが 名詞にあったりして、
例えば1冊の本だったらone bookとかa bookとかいうのに対して、 2冊以上だとtwo booksとかmany booksっていうふうに
bookとbooksっていう対応があるわけですよね。 でね、この本が
が複数である場合のbooksっていうのと、 私たちっていう複数はね、ちょっと違う気がしませんかね。
というのはbooksって言った時は、 本たす本たす本たす本たす本は、
本の複数みたいな感じですよね。 一方私たちといった時は、
私たす私たす私たす私たす私は私たちみたいな話ではないですよね。
私っていうのは一人しかいないのに、それにたちっていうのがついて、 これどういうことだってことですよね。
だからね、一口に複数と言っても実はいろいろあるんだなってことですね。 booksみたいに確かにその本というものが複数ある場合もあれば、
私たちみたいに、私とその周辺の人々みたいなね、 そんな意味を表すこともあります。
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こういう校舎の場合、私たちみたいなものは 近似複数って言われることもあります。
私たち以外にもそういう近似複数の例はあって、 例えばね、お父さんたちもう行っちゃったの?とか
家庭内でそういう発言があった時に、このお父さんたちっていうのも booksみたいな複数形とはまた違って、やっぱり近似複数ですよね。
お父さんが複数にいて、それをまとめてお父さんたちと言っているわけではなく、 お父さんとお姉ちゃんとお兄ちゃんとあるいはお母さんとみたいなその周辺の人々をまとめてお父さんたちと言っているわけですね。
これも近似複数の格好の例となっているわけなんですね。
話は私たちの方に戻りまして、 私たちはとか言った時に一緒に住んじゃねえよと不満が上がることもあるわけですが、
この私たちという表現も 2通りあるっていう言語もあるんですね。
1つは聞き手、つまりあなたを含む私たちとあなたを含まない私たちの区別です。
前者を包括形と言って後者を除外形というような言い方をするんですね。
日本語の場合は私たちって言った時に、あなたも含むこともあれば含まないこともあるみたいな、 かなり文脈によるところも多いし、はっきりしないこともよくあります。
それがほとんどだと思います。
この2つの私たち、包括形と除外形、あなたを含むか含まないかの区別を持っている言語の例としては、
大量にあるんですけど、1個はインドネシア語ですかね。
インドネシア語で、きたとかみという2つの私たちがあって、
きたの方があなたを含む私たち、かみっていうのがあなたを含まない私たちなんですね。
こういう区別がある言語だと、トークタイトルみたいな不満は出てこないんですよね。
きちんとかみっていう方の私たちを使えば、あなたは含んでませんよっていうことになるんで。
もし聞き手も含んで私たちと言いたい時は、きたっていうのを使うってことなんですね。
こういう区別があると何が便利かというと、
例えば、インドネシア語で行くっていう動詞はプルギって言うんですけど、
きたプルギって言ったら、あなたを含んだ私たちが行くってことなんで、
一緒に行きましょうとかレッツゴーみたいな意味になるんですね。
一方、除外形の方のかみっていうのを使って、かみプルギって言った場合は、
私たちは行くけどあなたは含んでないので、
あなたはここに留まっておいてくださいっていう意味になるんですよね。
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こういった2つの私たちの使い分けっていうのは、日本語母語話者にはちょっとつかみにくいものですね。
で、先ほどそういう言語が山ほどありますって言ったんですが、具体的にはね、
今僕が見ているものだと200の言語のうち、200の言語を調査したもののうち、
63の言語で2つの私たちの代名詞の区別があるっていうことなんですね。
気になる方はこちらリンク貼っておくんで、ぜひ見てください。
参照しているのはね、ワールドアトラスオブランゲージストラクチャーっていうサイトでね、
これ結構面白いんですよね。
今回はこの包括形と除外形の区別がある言語を調べたんですけど、
他にもいろんな言語の特徴を調べることができて、
例えば語順とかも調べることができるし、あるいは詩音の数が多いか少ないかとかも調べることができます。
今回は63の言語でみたいに数を言ったんですけど、
このサイトのすごいところはね、地図で表示してくれるんですよね。
当然数でわかるっていうのも強みですけど、地図で表示してくれて、
それが地域的な特徴なのか、あるいは系統的な特徴なのかっていうことがちょっとわかったりとか、
他にも面白いのはね、特徴を掛け合わせて使うこともできるんですね。
例えば日本語みたいなSOV語順の言語には、
高知詩、つまりにとかでとかをみたいなものですね。
そういう高知詩を使う言語が多いっていうことがわかったりするんですよね。
その特性を掛け合わせて調べることができるので。
ただ英語でしかちょっと見られないので、
専門的なね、述語も全部英語だから、
最初は厳しいかもしれないですけど、
見てるだけでかなり楽しいので、ぜひ皆さん見てみてください。
以上、今日お話しした話をまとめると、
まず一口に複数と言っても、
ブックスみたいに、本の足し算でブックスみたいな場合と、
近似複数と言って、私たちとかお父さんたちみたいに、
それとその周辺のものを一まとまりにしている場合がある。
というのが一点ですね。
もう一つは、私たちに包括形と除外形、
つまり聞き手を含むか含まないかの区別があるっていう言語も、
結構たくさんあるよというお話でした。
例としてインドネシア語を挙げましたけど、
アイヌ語とかね、タガログ語とかもあるし、
これ面白いのはね、さっき言ったように、
このサイトでは地図で表示してくれるんで、地図で見るとね、
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全然ヨーロッパの言語はこの区別を持ってないんですね。
そういうことがわかって、かなり面白いので、
皆さん是非貼ってあるリンクを飛んでみてください。
というわけで今回はここまでということで、
最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。
よろしかったら番組フォローをお願いいたします。
ではまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
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