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始まりました、志賀十五の壺。今回のトークテーマは、右と左です。
右だ左だというと、どうしても政治的な意味合いを感じてしまう方もいらっしゃると思うんですけど、
今回はそういうことではなく、時期どおりの右と左についてお話ししたいと思います。
右と左っていうのは、どんな言語でもどんな民族でも持ってそうな概念だなというのがなんとなく予想できると思うんですよね。
っていうのは、人間って体がありますから、体があって、顔面があってとかね。
で、その向いてる方向に対して右と左っていうふうに、おのずと決まってきそうだなっていうのがなんとなくわかるので、
人類にとって普遍的な概念じゃないかっていう気がなんとなくしますよね。
で、なんか右利きの方が多いとかありますよね。
で、今回お話しするのはですね、確かに右と左って割と人類普遍的な概念っぽいんですが、
我々が日常を使っているような使い方で右と左っていうのを意識しているかというと、
そうとは言い切れない言語もあるっていうね、そういうお話をしたいと思います。
右と左って、さっきちょろっと言いましたけど、前向いている方向に対しての右と左なので、
もっと言うと自分が前向いている方向ですよね。
だから当然向いている方向が変われば、右と左っていうのは変わります。
だから相対的な概念っていうことですよね、かっこよく言えば。
かっこよくもないですけど。
なのでこういうことって、割と小さい子供には混乱を引き起こしますよね。
皆さんも経験ある方いらっしゃるかもしれませんけど、
例えば学校とかで先生と向かい合っていて、
じゃあ右手あげてって言って、
先生は鏡写しの動きをするんですが、
なんかその優しさが逆にあだになっちゃって混乱するみたいな。
あれ先生、今あげてるのどっち?みたいなね。
そういう右と左をすぐパッと判別できないみたいな方もいらっしゃるみたいですね。
左右網って言ったりするみたいですけど、
僕も友人で一人いました。
そういうことでですね、右と左って相対的な概念であるということがわかると思います。
実際日本語をはじめとしてですね、よく知られている言語では、
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この相対的な位置関係として右と左っていうのを頻繁に使っていて、
例えば、あそこの角右に曲がったら郵便局ありますとかね、
そういうふうな言い方をします。
こういうような言語は相対的方位を持つ言語とか、相対方位を持つ言語とか、
そんな言い方をします。
これに対してですね、相対があるってことは絶対があるってことなんですが、
絶対方位を持つ言語っていうのもございまして、
一つ例を挙げるとすると、オーストラリアのアボリジニの言葉の一つであるカヤデルト語っていうのがあって、
そういったカヤデルト語みたいな絶対方位を持つ言語は、
あそこの角北に曲がったら郵便局があります、みたいな言い方をするんですね。
なので、そういう絶対方位を持つ言語は常に東西南北を用いて位置関係を表現します。
これはずっと東西南北を意識しているというよりはもう無意識的にでしょうね、多分ね。
無意識的に東西南北が把握できていて、それをパパッと日常的に使っていると。
こういうことがですね、実験で確かめられているんですよ。
例えば、すごい簡略化してお話しますけど、
カードを目の前に1、2、3と並べられていて、左から順番に1、2、3とカードがあると。
それを覚えてくださいとか言われるんですね。
そんな1、2、3ってバカにしてるのかって感じですけど覚えると。
で、じゃあ部屋に移動しますねと言われて、移動した部屋に机が置いてあって、
1、2、3というカードを渡されて、
じゃあさっきあった通りに並べてください。
こういう実験がやられているんですよ。
そうするとですね、我々日本語をはじめとする相対方位を持つ言語は左から1、2、3と当然並べます。
僕が被験者だったらそうすると思います。
皆さんもそうだと思います。
ただ、絶対方位を持つ言語の話者が同じ実験をされたとき、どうするかというと、
必ずしも左から1、2、3になるとは限らないんですね。
例えば、その最初カード並べてあるのを見たときに、それが東から西に1、2、3と並べてあったら、
部屋が移動したとしても東から順番に1、2、3と並べるんだそうです。
部屋によるというか、机によるかということですけど、
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左から右とかそういう相対的なのは関係なく、絶対的に東から西というのを基準として1、2、3と並べるんですよ。
不思議ですよね。
なので、こういう絶対方位を持つ言語話者は日常的に東西南北を使うので、
例えば、お前の西側にあるソース取ってよとかですかね。
写真入らないから西に寄ってよみたいな。
そういうふうに使うんでしょう。おそらく。
今のお話すげえなと思うと思うんですけど、
逆に絶対方位を持つ言語話者からすると、我々はすごいなと思っている可能性はありますね。
これは想像の域を出ませんけど、
いちいちいちいち、右とか左とかとか言って、
位置関係変わるのかよみたいな。
見ている方向によって方角が変わるとか、
器用なことやってるなって思っている可能性はありますよね。
なので、当然、今お話した話はどっちが良い悪いということではないです。
絶対方位は絶対方位の見方があるし、相対方位は相対方位の見方があるし、
それぞれの世界観というか、考え方、感じ方というのがあるので、
良い悪いのお話では当然ございません。
なので、我々が馴染みのある言語が、あんまり絶対方位というのを使わないので、
もし英語が絶対方位の言語だったら、英会話のその本とかが、
じゃあ次の信号を北に曲がってくださいとかね、
そういう例文がダーッと並んでたりするんですかね。
でですね、何もこの絶対方位を持つ言語は、
右と左がないかというと、そういうわけではなくてですね、
例えば左手が痛いとか、身体部位の左右を表すときは、
やはりそういう右とか左っていうのがあるみたいですが、
その日本語をはじめとする相対方位を持つ言語のように、
その右と左っていうのを空間に延長してないっていうんですか、
その身体的な位置づけっていうのを、守備範囲を広げてないっていうんですかね。
そういうことはしてないっていうことなんですね。
なんか不思議だなという感じがしますけど、
逆にあちら側からすると変なことやってるなと思っていることでしょう。
だから今右と左についてお話ししましたけど、
前とか後ろっていうのも当然絶対方位で表すので、
ちょっと前詰めてっていうのが、ちょっと南詰めてみたいな、
そういう言い方するんでしょうね、きっとね。
そういうわけでですね、今回は右と左がないと言っては言い過ぎですけど、
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まあないと言っていいかな、我々が使うような意味では。
ということでその右と左がないような言語もあるというお話をいたしました。
というわけでまた次回お会いしましょう。
よろしかったら番組クリップお願いします。
ではまた。ごきげんよう。