1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2023-06-20 10:30

#557 ロシアの「ヨーロッパらしさ」? from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/429674

主要参考文献
『認知言語学』 (大堀寿夫、東京大学出版会)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:05
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。二度卵オスです。お便りいただいております。
Nusopihaさんからいただきました。ありがとうございます。
こんにちは。お便り送るの初めてで少し緊張します。笑い。いつも配信の質がとても高くて楽しく聞かせていただいています。ありがとうございます。
ところで、去年からロシアやウクライナに関するニュースが多いですよね。ニュースを見ていると、ロシアに対してヨーロッパ諸国は傑作してみたいな、ロシアをヨーロッパ扱いしない表現を耳にすることがあります。
これはロシアを仲間外れにしているということなのかなと勝手に思っていました。
しかし、この間英文を読んでいたら、ヨーロピアンをイギリスを含まない大陸のヨーロッパ人という意味で使っていたんです。
これはイギリスやロシアといった国々がヨーロッパのプロトタイプから外れた国ということなのでしょうか。
プロトタイプ理論について志賀さんにお伺いしたいです。長めのお便りになってしまいました。投稿いつも楽しみにしています。
ということで、ソピハさんどうもありがとうございます。
面白いですねこれね。
まあそもそもヨーロッパといった時というか、ヨーロッパはいいとして、
そのヨーロッパ大陸とかいう言い方は、なんかよくわかんないといえばよくわかんないですよね。
ユーラシア大陸だったら、まあわかるんですけど、
ヨーロッパ大陸、アジア大陸みたいな言い方をした時に、確かに境界ってどこなんだろうみたいなね。
一応その目安としては、ウラル山脈とかね、いう山脈があったりするわけですけど、
当然連続しているので、どこからがヨーロッパでアジアかっていうのはね、
まあ難しい、いろんな意味で難しいと思うし、時代とともに変化してきたものだと思います。
アジアっていうのも、もっと狭い地域をね、古代ギリシャとか、古代ローマとかではね、
刺していたと考えられるので、当然時代とともにそういう範囲っていうのはね、広がっていると思いますし、
文脈によっても、今回のお便りみたいに刺す範囲がちょっと変わっているようにね、感じられますよね。
で、今回ヌソピハさんのお便りにあるようなプロトタイプ理論ですね。
03:04
このプロトタイプっていう考え方は、多分認知言語学でよく扱われるもので、
関連エピソードがございますので、そちらもね、合わせて聞いていただけたらと思います。
言葉っていうのは、何かこうカテゴリー分けするようなね、働きがあるっていうのがよく言われていて、
プロトタイプ理論っていう考えができる前は、なんていうかな、そのカテゴリー分けっていうのがきっちりできるみたいにね、考えられていました。
例えば鳥とかね、鳥っていうのはきちんと定義できて、それぞれその定義にかなうメンバーが集まっている、その集合体が鳥だというようなことですね。
それに対してプロトタイプ理論っていうのは、原型的な中心的な要素っていうかメンバーっていうのがいて、
鳥の例で言えばまさに鳥らしい鳥っていうのがあって、でそこからちょっとプロトタイプから離れていくと周辺的なものになると、
ちょっと鳥っぽくなくなるみたいなものも出てくるっていうような、そういった考え方なんですね。
例えばダチョウっていうのも鳥ですけど、あれは飛べないので、ちょっと周辺的なメンバーで、
あるいはペンギンっていうのもね、飛ばないので、周辺的なものとなるかもしれません。
おそらく過去のエピソードでも同じように鳥を例に挙げて話したんじゃないかなと思うんですけど、
今回のヨーロッパっていうのを考えるときも、ヨーロッパのプロトタイプ、まさにヨーロッパらしいヨーロッパっていうのが考えられるんじゃないかなということですね。
僕はプロトタイプっていうのは、条件のリストの束みたいなものだと思います。
これは実際そういうふうな考え方があって、特性リストみたいな言い方をすることがあります。
例えば、ヨーロッパって定義するときに、当然地理的なものが第一の条件になりますよね。
ユーラシア大陸の西の方ということですけど、その中でも特に西欧の方がプロトタイプと考えられているかもしれません。
さらに言うと、イギリスが除外されるような場合もあると考えると、大陸部の西欧ということで、
ドイツ、フランス、スペインとか、ざっくり言うとそっちの方ということですね。
イギリスみたいな東諸部、ロシアみたいな東欧とかは、プロトタイプからもしかしたら外れていると考えられるかもしれません。
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実際ロシアは国土が広いということで、完全にアジアの方まで伸びてますよね。
こういう風にアジアにまたがっているような国、国家なので、ロシアはある意味ヨーロッパらしくない面もあると言えるかもしれません。
ロシア以外にもね、高カサス地方と言われるようなところとか、トルコっていうのもちょっと微妙な位置にあるかもしれませんよね。
位置としてはかなり西の方、ユーラシア大陸の西の方ですけど、アジア扱いになることもあると。
こういう風に一番は地理的な条件っていうのがあると思うんですけど、あとは宗教もちょっとヨーロッパの定義に関わってるんじゃないかなと思います。
今言ったトルコはキリスト教皇権ではないので、やっぱヨーロッパとは考えづらいですよね。
普通ヨーロッパと言ったら、これも西と東で考えることがありますけど、カトリックと聖教会があって、いずれにせよキリスト教権とヨーロッパっていうのはかなり密接に結びついていると思います。
それと人種ですかね、あとはね、いわゆる白人系の人がヨーロッパ人だと。
ロシアも東の方に行けばツングース系の人々が暮らしていたりするので、そういった意味でロシアという国家を構成している民族という点から言っても、もしかしたらヨーロッパらしさっていうのがね、やや薄れるのかもしれません。
こういうふうに、今回ヨーロッパの話ですけど、プロトタイプっていうのは、いくつかのその特性リストの束の集まりっていうか、そのリストに合格した数が多ければ多いほどプロトタイプだっていうようなね、言い方ができると思います。
一応この番組は言語学の番組なので、言語学的な話をしておくと、言語っていうのはヨーロッパのプロトタイプにはあんまり関わってないと思いますね。
例えばフィンランド語とかね、エストニア語、ハンガリー語っていうのは、他のヨーロッパの言語と違って、ウラル語族っていう別個のグループの言語が話されてるんですけど、まあこれらの国は普通ヨーロッパと考えられますよね。
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あとは地中海のマルタという国で話されているマルタ語っていうのはアラビア語の一種ですけど、だからといってヨーロッパから除外はされないと思いますね。ということで、言語っていう点でヨーロッパのプロトタイプっていうのは、あんまり決まってこないかなという感じがします。
というわけで、ヨーロッパのプロトタイプっていうのは当然一番は地理的なね、条件っていうのがあると思いますけど、もしかしたらもうちょっと複雑にいろんなものが絡み合っているかもしれません。
もうちょっとね、その現代史的なことを言うと、共産権だったかどうかとかね、こういったこともヨーロッパのプロトタイプに関わっているかもしれません。というわけで、今回はプロトタイプっていうね、考えについてのお話でございました。
関連エピソードがございますので、似たような話をしていると思うんですけど、併せて聞いていただけたらと思います。この番組はね、皆さんのお便りで成り立っておりますので、お便りどうぞ送っていただけたらと思います。それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。お会いしてはシガ15でした。
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