1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-08-16 10:10

#469 『1984年』のニュースピークと英語 from Radiotalk

参考文献
『一九八四年』 (ジョージ・オーウェル [高橋和久訳]、早川書房)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。この世は私のためにある。山本凛太です。
皆さんは、1984年という小説、ご存知でしょうか。
まあ、読んだことあるっていう方も多いんではないかなと思います。
村上春樹さんの1984っていう小説が話題になりましたけど、
まあでもあれもずいぶん前かな。それのオマージュ元の一つと言っていいと思います。
1984年。これはジョージ・オーウェルの小説で、1949年に出版されたSF小説と言っていいようなものです。
なかなかね、面白いんですよ。僕の生きてきた中でいろいろ衝撃を受けた小説っていうのはね、たくさんありますけど、まあその中の一つがこの1984年です。
舞台はまさに1984年で、出版がさっき言ったように1949年なので、
当時では近未来にあたるわけですよね。
その1984年の舞台では、大国がこう3つあって、
というか世界の地域がその3つの大国に分断されてるんですね。
で、舞台となるのはオセアニアと言われる大国で、
これはイギリスと、あとは南北アメリカ大陸、オーストラリア大陸など、まあ英語圏の国ですねがオセアニアと言われる大国に含まれます。
で、そのオセアニアっていう国はかなり全体主義的で、
で、監視社会でっていう風にかなりねダークな感じなんですよね。
ぜひまだ読んだことない方は読んでみていただけたらと思います。
まあいわゆるディストピアものっていうか、
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まあこの1984年っていう小説は、 村上春樹もそうですけど、
後の文学作品を含めいろいろなものに影響を与えている小説ということになっております。
で、さっき言ったように、この1984年の舞台オセアニアというとこは監視社会で様々なことが管理されてるんですよね。
で、その街中も常に当局によって監視されてるし、
出版物とかそういったものも全部検閲を受けて、 都合の悪いものは処分されてるみたいな世界なんですよね。
で、そんな中で言語も管理されています。 この1984年に出てくる言語をニュースピークっていう風に読んでるんですね。
ただ、この1984年という小説自体がニュースピークで書かれているわけではないです。
で、その舞台の中ではまだこのニュースピークっていうのは浸透しきってなくって、
この1984年の段階はまだ普及段階で、 2050年頃には完全に新しい
ニュースピークにとって変わられるだろうというようなことが書かれています。 で、どんな言語かっていうと
英語が元になってるんですよね。 そのオセアニアっていう区分っていうか、国が
英語圏だっていうこともあって、英語を元にしているんですが、
まあ簡単に言うとかなり単純化された英語です。 で、この小説の最後に付録っていう形でニュースピークの初原理っていうのが
まとめられているんですね。 で、それによると
ニュースピークの語彙っていうのはABCに分かれて、 Aっていうのは日常用語、Bっていうのは
政治目的のための語彙、 そしてCっていうのは科学用語、技術用語ということになっています。
で、その語彙が3つのグループに分けられるっていうのはちょっと置いておいて、 さっき言ったようにニュースピークっていうのは英語が単純化したものということができます。
例えば 不規則っていうのがなくなっています。
どういうことかというと、 盗むっていうstealっていう動詞の過去形は
本来の英語であればstoleっていう形なんですけど、 こういう不規則はなくなって
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stealedみたいにedをつけた規則形になっています。 あるいはthinkっていう考えるっていう動詞も
thinkedみたいなedをつけた過去形になっています。 本来はthoughtっていう不規則ですけど、
そういったものは全部なくなっているんですね。 あるいは動詞だけではなくて名詞の不規則もなくなっていて、
男manの過去形はmenですけど、 そうではなくmansみたいにsをつけた規則形になっているということになっています。
ただこういった単純化っていうのは現実の英語にも起こっているもので、 さっきの過去形の話で言えば
助けるっていうhelpっていうのはhelpedっていう 規則動詞に今なってますけど、昔は不規則動詞だったんですよね。
まあそういった単純化っていうのをかなり人工的に 行っているのが1984年に出てくる
newspeakという言語です。
あとは規則的になったっていうのもそうですけど、 名詞が動詞に使われたり、動詞が名詞に使われたりっていうような
そういう品詞間の交換みたいなことが頻繁に行われます。 newspeakっていうのがまさにそうで、speakっていうのは動詞なので、
本当だったらnewspeechとかになりそうなとこなんですけど、 このspeechっていう名詞は廃止されて
speakっていう動詞が名詞にも用いられるようになっています。 でこれは動詞が名詞にこう
転用されているわけですけど、逆のパターンもあって 例えば切るっていうのはcutっていう動詞が現実の英語にはありますけど
newspeakでは knifeっていう名詞を動詞に使って だから何だろうな
i knifed an apple とか言えば リンゴを切ったみたいな言い方になるっていうことですね
まあそういった言い方が newspeakでは
普通であるということです。 まあこういうことをやっていると
単語の数っていうのは単純に減っていきますよね。 まあそれがnewspeakの特徴の一つでもあります。
でこういった現象も実は現実世界の英語でも起こっていることです。
モップっていう名詞は動詞として使えば モップで服っていう動詞として使うこともあるんですよね
あるいはテキストっていう名詞も動詞として使えば なんだろうなメッセージを送るみたいな意味で使われたりもするので
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まあこういうふうに考えると newspeakっていうのはあくまで
sf 小説の中に出てくる言語ではあるんですけど 現実世界の英語でも
そういった特徴っていうかな 気指しというかそういったものは観察されます
でそれを無理に推し進めようとしているっていうかね 人工的に単純化しているのが
1984年のnewspeakであるということでございます 他にも面白い特徴はあるんですけどね
bad っていう形容詞の代わりにangoodっていう言い方をするとか まあそういったものもあるんですが
興味のある方はぜひ原作をね読んでみていただけたらと思います それではまた次回のトークでお会いいたしましょう
お相手はシガ15でした
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