1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #774 言語の構造的非写像性と..
2025-07-19 10:29

#774 言語の構造的非写像性とミツバチのダンス from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/1156106

主要参考文献
鈴木孝夫 (1996)『教養としての言語学』東京: 岩波書店.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

本エピソードでは、言語の構造的非写像性について考察されており、特にミツバチのハチの字ダンスとそのコミュニケーション手段との対比が語られています。人間の言語の特性が他の動物との違いとして強調され、言語の効率の良さについても触れられています。

言語の構造的非写像性
今回は、言語の構造的非写像性というのをテーマにお話ししていこうと思います。
構造的非写像性、写像というのを否定しているわけですが、
この言い方、この用語は、鈴木孝先生が使ってらっしゃる言葉でございます。
言ってみれば、これは言語に実態はないというか、
言語記号というのは、相対的なものだとか、そういった話につながっていくもので、
過去にも似たような話はしているんじゃないかなと思います。
BGM、かかれい。
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ロビンソンクルソです。
構造的非写像性、なかなか硬い用語ですよね。
これは、写像というのを否定しているわけですが、さっきも言いましたけど、
現実世界の物事を、言語というのがそのまま写像しているわけではないというのがポイントです。
それこそ言語の本質と言っていいと思うんですよね。
例えば、長いっていう単語、ロングですよね。長いっていう単語と短いという単語があるわけですが、
長いっていう単語を短く、長いと言ったからといって、短いという意味にはならないし、
短いってこうやってちょっと伸ばしてね、短いという単語を発したとしても、長いという意味にはなりません。
そういう物理的な本質っていうのを言語は無視しているというかね、そこは関係ないことなんですよね。
その物理的側面を無視しているっていうのは音声以外にも当てはまって、
これも例えば、赤い文字で青と書いても赤という意味にはならないし、逆に青い文字で赤と書いても青という意味にはなりません。
書かれている文字のインクの素材的な側面っていうのを言語は無視してるんですよね。
動き語はそういったことを一切無視しています。関与していません。
こういったことはいくらでも例が挙げられますよね。
大きい声で小さいと言ってもいいし、逆にささやき声で大きいと言っても意味が変わることはないです。
そこに関与していません。
これが構造的非写像性と鈴木孝夫先生が読んでいるものでございます。
ミツバチのコミュニケーション
この構造的非写像性というのが人間の言語の本質と言っていいぐらい大きな特徴で、
他の人間以外の動物が使っているコミュニケーション手段、それを言葉と言うかどうかは難しい問題ですが、
そういったのと比べてみるとより際立つんですよね。
例えばミツバチのハチの字ダンスというものがあります。
これは有名な話ですからご存知の方も多いと思います。
興味のある方はぜひ調べていただけたらと思うんですが、
簡単に言うとミツバチというのは、
餌場を見つけて帰ってきたハチが巣の中でハチの字のダンスというか移動をしながら、
それでもって餌場の位置を他のハチに教えるというのがあります。
それがハチの字ダンスとか言われたりするんですよね。
その教える手段というか、一種のコミュニケーションとみれば、
このミツバチのダンスも言葉と言えそうではあるんですが、
ただそこに構造的非社造性というのは認められません。
逆に言うと社造的だということです。
その餌場の方向というのを太陽との位置関係で考えて、
太陽と同じ方向に餌場があれば、
その重力の垂直方向、平たく言えば真上にダンスしていくんですよね。
太陽から例えば45度ずれていたら、垂直方向から45度ずれてダンスすると。
つまり餌場の太陽に対する角度というのが、
ダンスの角度とそのまま直結しているというか、
社造的なんですよね。そのまま写しとっています。
これは人間の言語と全然違うところで、
例えば人間の言語で、何語でもいいですけど、
45度ずれていますというこの発話に、
現実世界というか物理世界の45度というのは何も反映されていません。
さらにそのミツバチダンスは、餌場が近くにあったら早く動いて、
遠くだったらゆっくり動くっていうのもあるんですよね。
これも社造的で、
人間の言語だったら近いっていうのと遠いっていうのは、
何もその現実世界の物理的側面を社造していないんですよね。
何も反映していません。
他にもミツバチダンスにはいろんな特徴があるので、
ご存知の方も多いと思いますけど、ぜひ皆さん調べてみてください。
それはそれとしてですね、
このミツバチのやっていることっていうのは、
他の蜂に餌場のありかを教えているっていう意味で、
コミュニケーション手段なわけですが、
それを仮に言葉と呼ぶとしても、
やはり人間の言葉とは根本が違うんですよね。
ミツバチの蜂の字ダンスっていうのは、
現実世界をある意味社造しているというか、
そのまま反映しているっていうところがあるんですが、
人間の言語はそういった側面は本質的にはありません。
言語の効率性
非社造的です。
もちろんね、オノマトペとか、動物の鳴き声とかね、
そういったものは社造的と言えたりとか、
あとは文法の側面でも社造的な側面っていうのはあります。
そのあたりの話は過去のエピソードでやってて、
Sharp641。
シーセイバーサス類造性みたいなエピソードを撮っています。
この類造性っていうのが、
今日お話ししている社造性と同じものと考えていただいていいんですけど、
オノマトペ含めですね、
一応人間の言語にも社造的ないし類造的な側面、
現実世界をそのまま映しとっているような側面もあるんではないかという見方もあるので、
ぜひそちらは関連エピソードを聞いていただけたらと思います。
URLは概要欄に貼っておこうと思います。
この構造的非社造性っていうのは、
言語にとってすごく効率がいいというか、
ありがたいものじゃないかなと思います。
というのも、もし言語がまるっきり社造的なものだとしたら、
結構大変だと思うんですよね。
例えば、動物の名前を社造的に名付けるみたいなシステムだったとしたら、
つまり小さい動物は短い単語で、大きい動物は長い単語で呼ぶみたいなね、
現実世界のサイズに合わせて単語の長さが変わってくるみたいな言語だったとしたら、
結構大変だと思います。
あるいは数詞とかね、
例えば1という単語はポンと言います。
2という単語はポンポン。
3という単語はポンポンポンみたいに、
このポンっていうのを増やすことで大きい数を表すような言語だとしたら、
すごい大変ですよね、当たり前ですけど。
現実世界の言語っていうのは構造的非社造性という特徴を持ってますので、
例えば日本語で1000という単語は、数字自体は比較的大きいものだと思いますけど、
1000だけで済ますことができるんですよね。
このあたりのこともね、深く考えてみるとなかなか面白いものでございます。
というわけで今回のエピソードは、構造的非社造性についてでございました。
また次回のエピソードでお会いしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お会いしては4月15日でした。
またねー。
10:29

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