1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #612 父親が探偵をやっている..
2023-12-30 10:00

#612 父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ、の解釈 from Radiotalk

前回分と併せてお聞きください!

主要参考文献
風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健 (2004)『言語学 第2版』東京: 東京大学出版会.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました。志賀十五の壺。 私とあなたは友達じゃないけど、私の友達とあなたは友達。
だいたいそんな感じ。ギャグ漫画日和です。 今回は関係説というのをテーマにしていこうと思います。
これはね、過去に何度かエピソードで取り上げたことがあるんですが、
どういうことかというと、まずタイトルですね。今回のエピソードタイトル。
父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。 これはですね、名探偵コナンの、なんて言うんですか、
そのスペシャルとかね、 あるいは映画とかでもそうだと思うんですけど、そのそれまでのあらすじ的なことを
コナンくんが言う時のセリフの一部で、 名探偵コナンね、有名ですからね、ご存知の方も多いと思うんですけど、
工藤真一っていう高校生探偵がなんだかんだで小さくなっちゃって、それで
父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込むことになります。 ご存知の方も多いと思いますが、ただこの文ですね。
父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。 これは一応、
文脈とかなければ、背景知識とかがなければ、二通りに解釈することができます。 一つは、
蘭の父親が探偵であるという解釈ですね。 これは実際に正しいというか、
コナンをよくご存知の方にはね、あれなんですけど、 毛利蘭ちゃんのお父さんが毛利小五郎という探偵なんですね。
ストーリー的にはそれが正解ですので、父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。 これは探偵が父親という解釈。
これが一つです。 もう一つは、
探偵をやっているのは実は蘭で、 父親が誰の父親かはわかんないですけど、父親が
家に転がり込んだという解釈ですね。 父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。
これ地面だけ見ているとよく違いはわかりませんが、 冷静に考えるとそういう解釈もできます。
もうちょっと別の言い方をすると、最初の正しい解釈だと 父親が探偵をやっているっていうことで、その父親がっていうのがかかっているのが
関係を持っている動詞っていうのは、やっているです。 父親が探偵をやっている。これが一つの塊になっているわけですね。
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これが今回取り扱う関係説と言われるものです。 一方、
父親がっていうのがかかっているのが一番最後の動詞、つまり転がり込んだと関係しているという解釈が2番目の解釈です。
父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。 この解釈だと父親がっていうのは文頭以外でも ok です。
というかそっちの方がわかりやすいと思います。 探偵をやっている蘭の家に父親が転がり込んだ。
これだと解釈の揺れっていうのはなくなって、 探偵イコール蘭という解釈しかないということになります。
要はですね、この父親がっていうのが関係説の中に入っているのか、 それとも主説の成分なのかという
違いだということができます。 もしこれががではなくてはだったら
関係説としての解釈はできないと思いますね。 父親は探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。
こういった場合は父親が転がり込んだというね解釈になると思います。 はの場合はそうなんですけどがの場合だと関係説の中に
父親ががあるのか、それとも転がり込んだにかかっている主説の成分なのか、 両方あり得るということでございます。
まあこういうふうに2つの解釈があるというのも面白いんですが、 もう一つは今日関係説の話ですので父親が探偵をやっている蘭
これを元の文に直すと 蘭の父親が探偵をやっているという文になります。
でその中の蘭っていうのを 専門的には主要部という言い方をしますけど、取り出してですね
で関係説で修飾しているということなんですね。 なのでこれは蘭のなので所有者の名詞が関係説で修飾されているということになります。
英語だったら関係代名詞のwhoseを使うところですね。 で世界の言語を見回した時にこの所有者の名詞を文から引っ張り出して関係説で修飾できるかというと
そのすべての言語でできるわけではなくて 意外としづらいと言われています。
でこれが階層性になっているっていうのはよく言われていて、 その話はね関連エピソードがあるので詳細はそちら聞いていただけたらと思います。
ざっくり言うと主語っていうのが最も関係説で修飾されやすい名詞。 でその後直接目的語
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間接目的語、その下に所有者の名詞っていうような階層になっているので、 一応どんな言語でも主語っていうのは取り出して関係説で修飾できる。
だから男が走っているっていうのから走っている男っていうのは 一応どんな言語でもできると考えられています。
ただ所有者の名詞っていうのは階層のかなり下の方なんですよね。 日本語は一応まあできて、今言ったように
父親が探偵をやっている乱の家に転がり込んだ。 これ一応言えるということなんですけど、ただねこの所有者の名詞が
主要部になるときはちょっと制約があるというふうに言われております。 ここがややこしいとこですが、
ちょっとね、くどいですけどもっかい今日のエピソードタイトル言っとくと、 父親が探偵をやっている乱の家に転がり込んだ。
この乱っていうのが本来かかっているのは 父親なわけですけど、この父親が主語の場合は
ok なんですけど、目的語の場合は 結構厳しいと言われております。
例えば めぐれ警部が父親を信頼している乱の家に転がり込んだ。
まあこれいけそうな気もするんですけど、 これ父親をっていう風にね目的語になっているわけなんですけど、そういった場合は厳しい
そうです。 めぐれ警部が父親を信頼している乱の家に転がり込んだ。
まあコナンのエピソード知ってるとね、 なんか予備知識があるからいけそうな気がするんですが、
主語以外の時はこういう所有者の名詞の関係説っていうのは結構厳しいと言われております。
他にも日本語の関係説には制限があると言われていて、 それは都閣名詞と言われるものです。
都閣名詞っていうのは要は都がついている名詞ということですが、 なのでこれは元の文から考えると、
めぐれ警部が毛利小五郎とお酒を飲んだ。 でこの毛利小五郎を取り出して、
めぐれ警部がお酒を飲んだ毛利小五郎。 まあこれは厳しいと言われております。
ただこれ一緒にとかが入るといけそうな気はするんですけどね。 めぐれ警部が一緒にお酒を飲んだ毛利小五郎。
まあいずれにせよですね、関係説になりやすい 名詞っていうのは一番は主語なんですよね。
その後目的語、間接目的語、この辺り日本語は問題なくいけるんですけど、 所有者の名詞になると
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まあちょっとね主語限定みたいに 制限がかかったりとか、あるいは等みたいな主語でも目的語でも
間接目的語でもないようなね、 いわば脇役ですけどそういった名詞の場合もやや制限がありそうだというお話でございました。
関係説とねそれにまつわる回想については関連エピソードございますので、 ぜひ併せて聞いていただけたらと思います。
それでは今回はここまでということで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。 番組あてのお便りも随時募集しております。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 お相手はシガ15でした。
またねー!
10:00

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