1. 草とか石とかのラジオ 〜耳で聴く自然探求〜
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2025-05-18 12:15

#18 足もとにサンゴ、屋根の上にタンク。石灰岩が生んだ沖縄の風景【草とか石とかのラジオ】

沖縄の自然や文化を形づくる「石灰岩」に注目し、その魅力を探求する回です。首里城の美しい石垣や、聖なる場所・斎場御嶽(せーふぁーうたき)の崖、さらには貯水タンクのある住宅まで――沖縄の風景や暮らしには、石灰岩が深く関わっています。旅の中で感じた南国の自然、独特な街並み、生き物との出会いを交えながら、石灰岩という視点で沖縄を見直してみました。地質から文化が見えてくる、その面白さをお届けします。


【参考文献】

「カルスト その環境と人びとのかかわり」漆原和子

「ゲッチョ先生と行く沖縄自然探検」盛口満


#草とか石とかのラジオ #石灰岩 #沖縄

サマリー

このエピソードでは、沖縄の石灰岩とその影響について探求しています。旅行体験を通じて、琉球石灰岩の特性や、手裏城とセーファー宇多紀の世界遺産がどのように自然と文化に結びついているかを紹介しています。

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草とか石とかのラジオ、このポッドキャストは、自然界で好きなものについて掘り下げていく番組です。よろしくお願いします。
最近、このポッドキャストの番組へ変わりましたけれども、これまで通り、自然について深掘る内容で続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
沖縄の石灰岩の魅力
さて今回のテーマは、沖縄の石灰岩でございます。
このテーマを選んだきっかけは、最近僕、3月頃に沖縄に旅行に行きまして、沖縄の石灰岩がある環境っていうものにすごい興味を持ったからですね。
この沖縄にそもそも行った理由はと言いますと、これまで沖縄の本島に行ったことがなかったっていうことと、沖縄の自然、本州と全然違うと思うんですけれども、それを見てみたいっていうことですね。
あと、世界遺産の琉球王国のグスク及び関連遺産群があると思うんですが、それに興味があったので、その対象となっている世界遺産を見てみたかったからですね。
この中には、いろんな琉球王国の城が対象になっていますけれども、その一部の首里城だったり、信仰の対象になっている聖域、聖なる場所が世界遺産になっているので、それを見に沖縄に行ってきました。
今回はこの沖縄に行った旅行の感想をベースに、気になった石灰岩がある環境について話してみたいと思います。
まず沖縄に飛行機で行ったんですけれども、空港に着いた時の感想は、めちゃくちゃ暖かいなっていうことですね。
今回3月に行ったんですけれども、本州に私住んでいるんですけれども、3月だとダウンを着ている人も本州だと多いんですけど、沖縄では半袖の人がすでにたくさんいまして、本当に本州と全然違う環境、気候なんだなって思いましたね。
あと空港の周りの植物も全然違いましたね。
例えば街路樹にヤシの木みたいな形の木がいっぱい生えていたり、ハイビスカスがその辺に咲いていたりしましたね。
あと那覇の都心部でも河口に近い川辺に普通にマングローブの林がたくさん生えていたりして、すごい不思議な感覚でしたね。
その他にもその辺の畑にバナナ、ドラゴンフルーツ、サトウキビなど沖縄っぽいものが生えていると思われる畑がたくさんありまして、明らかに本土の畑とも違って面白かったですね。
全体的に沖縄というのは冬がなくて暖かいので、植物の成長が止まる季節というのがないのか、とにかく植物が生き生きしているなというような印象がありました。
手裏城とその歴史
さてここから観光のお話ですけれども、今回の観光のメインとして世界遺産の手裏城に行ってきました。
この手裏城は2019年に火事が起こって消失してしまったんですけれども、今復元中というところです。
この復元がされている途中を今は今しか見れないと思ったので、それを見に行きましたね。
この手裏城の天守閣的な部分が焼き落ちて、それが修復中なんですけれども、今は大きな作業をするための囲いみたいなものに囲まれていて、その中で外から修復されているのが見えるという感じでしたね。
この囲いの建物も3階建物の建物ですごい大きいんですけれども、その中で手裏城の特徴的な赤い瓦を使った建物が復元されているのが、ガラス越しですけれども見ることができたのはすごい良かったですね。
昔ながらの沖縄の伝統技術みたいなものが現在の若い職人さんに引き継がれていくというのが説明であって、そういうのが分かって良かったですね。
あと手裏城で行って、これはすごい面白いなと思ったのは石垣ですね。
この手裏城って石垣の規模も本州のお城でもなかなか見れないぐらい立派な規模なんですけれども、かなりこの石垣の一つ一つが四角く綺麗に加工されていて、本州のお城でここまで綺麗に加工された石垣というのはあまり見たことがないなというぐらいでしたね。
この手裏城の石垣は琉球石灰岩という石灰岩を主に使った石泉になるんですけれども、石灰岩は珊瑚であったり貝などの生物の死骸が堆積してできたものですね。
この琉球石灰岩は本土の石に比べてかなり加工しやすいということで、ここまで綺麗に加工された石垣になっているということでした。
今回この石垣に近づいてよく見てみたんですけれども、珊瑚の模様が見えたりしたので、やっぱり石灰岩だなということがよくわかりましたね。
今回もう一つ行った世界遺産がセーファー宇多紀という場所に行ったんですけれども、これは沖縄の南の方にあるところですね。
ここは首里城ほど有名ではないかもしれないですけれども、この宇多紀というのは神がいる聖なる場所という意味ですね。
この場所は琉球王国時代にも特に格が高い祈りの場所というふうにされていたんですけれども、
聖地なのでここに入る前に説明を受ける必要があって、例えば大声で話したりするのは遠慮してくださいとか、そういう取り決めがあるような神聖な場所でしたね。
ここは薄草とした森の中にありまして、いろんな植物に囲まれた道を進んでいくんですけれども、本当に自然が豊かで、たくさんのシリケンイモリという本州にほとんどいないイモリが見れたりしてよかったですね。
この森の中を歩いていくとですね、奥の切り立った崖の前に祈るためのスペースが空いていまして、なんとなく神聖な雰囲気があるなという感じでしたね。
ここは本当に昔から使われてきた聖地で、なんか線香が炊かれていたりしましたけれども、この風景を見てどこか似てるなと思ったのは奈良県の大宮山というところで、主源土の山なんですけれども、そこと似てるなって思いましたね。
大宮山はその山の斜面で祈ったり修行をしたりする場所がたくさんあって、そこも崖がある神聖な場所というところがすごい似通っていましたね。
この聖波宴は祈る場所が岩で切り立った崖になっているのは、石灰岩が水で削られてできているからですね。石灰岩は水に削られやすい岩なんですけれども、この岩から焼乳石が出ていまして、そこから滴り落ちる水が聖なる水というふうに言われていましたね。
つまりこの信仰の対象というのは琉球石灰岩が作る崖そのものということです。このように石灰岩の一部が聖波宴の非常に神聖な空間を作っていて、首里城の石垣などの文化にも影響を与えているんだなということがわかりましたね。
ところで今回収録にあたって沖縄の石灰岩について気になったので改めて調べてみたんですけれども、沖縄の本島の約30%を石灰岩が占めていて、特に南部が石灰岩で占められています。
ちなみに日本の国土の0.44%のみが石灰岩なので、それに比べると沖縄の石灰岩が占める割合というのはかなり大きいですね。
琉球列島に分布する石灰岩は過去の珊瑚礁が陸上に現れてできたもので、珊瑚が多い沖縄で石灰岩が多いというのはすごい納得できますけれども、このような石灰岩が多い環境下で増えてくる生物というのがいまして、その一つがカタツムリです。
カタツムリは殻を作るためにカルシウムを必要としていまして、石灰岩を舐めることでカルシウムを体に取り込んでいるみたいです。
なので沖縄南部、特に石灰岩が多い地域にはカタツムリの生息数が多いというふうに言われています。
僕も沖縄の旅行中、かなりのカタツムリを見つけていて、確かにカタツムリの生息に向いている場所なんだなというのを実感しました。
ちなみに沖縄にいるカタツムリは本州にいる種類とは少し違うもので、特によく見たのは沖縄ウスカワマイマイというものなんですけれども、沖縄らしい生物が見れたのはよかったですね。
沖縄の水不足と住宅
ここで少し話は変わるんですけれども、今回沖縄で特に那覇とかを観光で回っていたんですけれども、
沖縄は電車がなくてその代わりにモノレールのユイレールというものがあって、それに乗って移動する場面が多かったんですよね。
このユイレールは住宅よりかなり高いところを走っているので、その上から沖縄の一般の民家を見ることができたんですけれども、
この沖縄の建物の特徴は本土の建物とかなり違っていて、四角い角ばったコンクリート造りの建物が多かったですね。
その屋上はだいたい上がれるようになっていまして、その上に貯水槽、なんか楕円の樽のような形の貯水槽がどの家にもありましたね。
これはなぜタンクが多いかと言いますと、沖縄が水不足になりやすいからですね。
沖縄には川もあるんですけれども、どれも短くて急なので、すぐに水が海に流れてしまうということが要因の一つですね。
他の理由の一つとして、沖縄は石灰岩が多くて、石灰岩は水を保持する保水力が低いからすぐに水が流れ出てしまうというのもあります。
このように沖縄の石灰岩は水不足の要因にもなるので、その結果沖縄の住宅の貯水槽がたくさんあるという要因でもあります。
今回沖縄の旅行で見たシリジョの石垣であったり、セーファーウタキも石灰岩の影響を受けていますし、住宅の形、貯水槽も影響を受けていると思います。
このようにこの土地、それぞれの土地の地質というものに目を向けてみると、その土地の文化の成り立ちが見えてくるかもしれないなということを今回思いました。
沖縄以外の土地でも何かしら似たことが言えるんじゃないかと思うので、ぜひ気になる土地の地質にも注目してみてはいかがでしょうか。
以上、沖縄の石灰岩についてでした。お聞きいただきありがとうございます。
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