桂春蝶師匠の会
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はい、シェアする落語のshikeです。
本日5月4日、梶原いろは亭でですね、
桂春蝶師匠の会に行ってまいりました。
この春蝶師匠の会は毎年ゴールデンウイークで、
3日間連続というのがずっと恒例になってたんですが、
前はね、亀戸梅屋敷でやってたんですけど、
春蝶師匠が喋ってましたけど、僕は言いませんけど、
いろんな都合でもって、今回は梶原いろは亭で開催されたということで、
梶原いろは亭、すごく綺麗な演芸小屋なんですけども、
あんま大きくはないですよね。大きくはないだけに、
もうぎっちり満員でございました。
イントロダクションから二階蔵撃の妄想空間
開口一番が三遊亭鳳月さんですね。
これ、何年か前に春潮市長の会議に出た時もほうずきさんが出てたので、
たぶん春潮市長が気に入ってるんだと思います。いろんな意味で。
わりと手堅い感じの一目っつ上がっていく、一目上がりをやってました。
悪くないですよ。悪くないんですが、
この話がちょっと後につながってくるんですけども、
その後にですね、主役の桂春潮市長が出てきまして、
もう枕から仕掛ける気満々の愛嬌と過剰な感じ。
たぶん今日はね、春蝶師匠は過剰にいくぜっていう腹積もりがあったんだと思います。
ネタ出ししてたのが二階蔵撃ですね。
二階ぞめき、正岡容先生によると、
もともと髪型の話だけど髪型が誰もやれなくなっちゃったので、
今なんか江戸の話みたいになってるみたいな、そういう経緯があるらしいので、
また江戸の誰かに習って髪型の話に戻すみたいな、そういうことを言ってたんですが、
これは完全な過剰な春潮ワールドでしたね。
一つ表向きには空気、空気、空気という言葉を使って、
この話はテーマが空気だよというふうな見せ方をしてましたが、
これは実はダミーで、裏にあるのはもう過剰ですね。
過剰な見せ方、過剰な世界です。
二階蔵撃っていうのはご存知の方も多いと思いますけども、
バカな若旦那のために二階に江戸だと吉原を作っちゃうっていうね、そういうお話ですよ。
これがね、二階に吉原を作っちゃうっていうとてつもないナンセンスがあって、
ただ妄想を広げる場としての今でいうVRな空間をですね、
仮想空間を作ってそこで妄想にやたらと浸るっていうかね、
妄想が暴走していくっていうところがこの二階ぞめきっていうところの話の元々の面白いところだと思うんですけど、
春春秋秋のすごいのは、その二階蔵撃で二階に作った車の空間にもう一個妄想で空間を作っちゃうんですね。
それが何の空間なのかっていうのはちょっとここでは伏せておきますが、
だからあのダクダクに近いです。
ただダクダクっていうのは何にもない部屋に妄想で物をどんどん置いていくんですけど、
二階蔵撃は本来あり得ない二階にある車っていう仮想空間の中にもう一個妄想で仮想空間を作るっていうところのまあ過剰なところですね。
リアリティの欠片もない、ひたすらその虚構の世界が二重構造で暴走していくっていうところの凄さですね。
トーク
ですから春春秋秋のセリフ回しも演技も当然その過剰なものになっていて、
それは嫌いな人は嫌いかもしれません。
あのとてつもない熱で、そのとてつもない熱がどっち走ってんだかよくわからないような感じになってますから、
ただそれが一つの落語でしかできない空間の作り方なんだなと思うと、ひたすら面白いですね。
この後、ほうずきさんとさんゆうていらっかさんさん?
遠絡一問会の若手二人を呼んで立ちでトークをやったわけですが、
ちょっとつつくとほうずきさんが口を滑らせて春春秋秋に失礼なことを言うっていうのが、
もうみんなわかってるので徐々につついていって吐かせるっていうかね、しくじらせるっていうパターンが、
何年か前に見たのと全く一緒だったので大笑いしちゃいましたけども、
まああれですね、ほうずきさんがあくまで自分の美学の中で生きてるのかなっていうところが、
春春秋秋にいつつかれると、それが面白さにつながっちゃうところがあるんですよね。
まあ余計なお世話かもしれませんけど、どんどん外に出ていって、
他の人のイメージの中で生きていくことを考えた方がいいかなっていう、
春蝶独演会の感想
だからコンテストに出た方がね、他流自在をしていった方がいいんじゃないかなって、
自分で自分のことは考えすぎない方がいいんじゃないかなって僕がしたんですけど、
それは芸人なんで好きに生きていただくのがよろしいかなというふうに思いますけども、
なかなかの爆笑トークでございました。
で、中入りを挟んで2席目が開けガラス。
もう明らかにこれは2席でついてるんですけど、むしろ付けに行ってるという。
で、2階ぞめきの若三男も途中に登場するという仕掛けで、
ここでも過剰に行きます。
今日の春春秋秋は過剰に行くというですね。
ところで、その辺の狙いがね、
ハマる人にとってはこんな面白いものないという、そういう回だったなと思うんですけど、
個人的に一番面白かったのは、ちょっとここだけネタバローかな。
2階で本を読んでいる、
トキジロウですね。若旦那が何の本を読んでるかっていうところで、
孔子とか師匠御教とかじゃないんですよね。
太宰を読んでるっていうところでね。
太宰をしかも朗読してるっていう、これがめちゃくちゃ面白かったですね。
これもね、過剰が出てくるポイントかなっていうふうに思うんですよ。
そこを除くと、筋としてはそんないじってないんですよ。展開は。
ただそれだけに、演出ですね。
すごい女性が一人出てきます。
その辺の出し方っていうところがね、
多分今日のテーマは過剰にいくっていうところだったんじゃないかなと思うんですよね。
楽しかったですね。
あんな推しでいける芸、派手な芸を披露しながら、
二代辛いで会いましょうみたいな、聞いてる人全員泣いちゃうみたいな、
戦気者って言ってまとめていいのかな。
そういうヒューマニズムをテーマにした話ですよね。
作品を手掛けられたりする、この辺の振れ幅の大きさっていうのが、
やっぱり春潮師匠の魅力ですよね。
歓声な顔立ちのまま、ああいう暴走を見せて、
ちゃんと暴走したところから戻ってこれるっていうところがね、すごい素敵です。
春蝶師匠の活動について
ということで、春潮師匠は東京に拠点を持たれていて、
わりと東京と大阪を往復しながら、東京のお仕事も多い方ですので、
ぜひ一度聞いてみていただきたいなというふうに思います。
ということで、梶原いろは亭もとってもよかったです。
シェアする落語のしけでした。ではまた。
バイバイ。