1. セミラジオ ~生き物とサブカル~
  2. 1000年後の未来を描くSF超大作..
2024-03-04 1:40:11

1000年後の未来を描くSF超大作「新世界より」(小説・アニメ)

1000年後の未来を描くSF超大作「新世界より」についてお話しました!


・人口約5万人の日本列島

・静かにいなくなる人たち

・全ての人が核ミサイルのボタンを持ったような世界

・ボノボに学ぶ愛の世界

・攻撃抑制と愧死機構



新世界より(アニメ版/Dアニメストア)

https://tinyurl.com/yhs69mnb


工業高校農業部(「新世界より」についてお話されている回)

https://open.spotify.com/episode/1viy9fXjwLHuzshouTUQMK


ぶつざくのハダカデバネズミ回

https://open.spotify.com/episode/2pEUy8rHLVjxwmUBab3fz7


タイのウルトラ戦士 ハヌマーン!(シュンリフ)

https://open.spotify.com/episode/5eiaPX7CmbFF369pc5abEB



【お便り&お知らせ&グッズ】      

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【音声素材】

下記サイトの音声素材を使用させていただきました。

Howling-indicator様

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クラシック名曲サウンドライブラリー

http://classical-sound.seesaa.net/

00:01
みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、セミヤマです。
今日は、1000年後の未来を描いたSF超大作「新世界より」についてお話ししたいと思います。
今年は、例年よりも暖冬ということで、去年の今頃は水道管が凍結破裂して、大量の水が噴き出してきたセミヤマ系なんですが、
今年は暖冬ということに加えて、いろいろ対策しているということもあり、水回りについては現状特に問題なく生活することができています。
去年はびっくりしましたね。ズームで打ち合わせをしていたら、2階の水道管が破裂しちゃったというバクコの叫び声が聞こえてきて、その後大変だったんですけども、
今年はそういうこともなく、なんとか冬を乗り切れるんじゃないかという気はしています。
暖かい日も多いので、気軽にぶらりと散歩に出かける頻度も去年の冬より増えているような気がします。
そうやって散歩すると、1日中家にこもって作業をしていた日よりも調子がいい気がしますね。
やっぱり適度な運動は少しずつでもやった方がいいなぁと思いました。
話は変わるんですが、先日ウルトラ六兄弟vs怪獣軍団というウルトラマンの派生作品について、事件を深める機会がありました。
この作品はウルトラマンのつぶらやプロダクションとタイのチャイヨープロダクションという会社が合同で制作したものなんですが、
ハヌマーンというオリジナルのウルトラ戦士が登場するんですよね。
このウルトラ六兄弟vs怪獣軍団、そしてハヌマーンと五人の仮面ライダーという2作品について、セミラジオでもお馴染み、
バンドマンポッドキャスターの旬チャールズさんがご自身のポッドキャスト旬リフの方で詳しくお話しされてまして、
いやーこの回最高に面白かったです。
概要欄に貼っておきますので旬リフハヌマーン回未聴の方はぜひ聞いてみてくださいね。
めちゃくちゃおすすめです。
旬さんにお送りしたお便りにも書かせていただいたんですが、
この配信をきっかけにウルトラ六兄弟vs怪獣軍団とハヌマーンと五人の仮面ライダーをチェックさせていただきまして、
03:00
両方見たんですが、いやー本当にすごかったですね。
ハヌマーンの行動が本当に蒸気を逸していて、令和の日本にはないフィーリングという感じがしましたね。
詳しくは旬リフの方で聞いていただければと思うんですけども。
でこのハヌマーン回に関して嬉しかったことがありまして、
旬リフの別の配信の際に特撮作品を旬リフで取り上げるにあたってセミラジオの特撮回を参考にしたという風に旬さんが言ってくださってまして、
それはすごく光栄なことで嬉しかったですね。
特撮に関してはセミラジオでも何度か取り上げてまして、古い順に行くと、
第11回大ゴロー対ゴリアスという怪獣映画の話、
第16回断密主演の特撮映画地球防衛未防陣、
第58回海賊ゴジラ対ヘドラ、
この辺りのエピソードは特撮作品についてお話ししたものなので、
旬リフのハヌマーン回と合わせてこちらもチェックしていただけると嬉しいです。
そして最近嬉しかったことといえばなんですが、
前回動物将棋というゲームについてお話ししたんですが、
こちらもセミラジオでおなじみのイラストレーター・ポッドキャスターのすすむさんが、
Xの方でポストされてたんですが、
なんとセミラジオの動物将棋会を聞いて、
動物将棋のコマと盤を自作されたということで、
写真を拝見したんですが、ものすごくクオリティが高いんですよ。
しかもイラストはご自身のオリジナルで、すごく可愛いんですよね。
本当にこの盤とコマで動物将棋やりたいなぁと思いました。
すすむさんは以前大道具のお仕事をされていたということで、
飼われている生き物のためのケージなんかも自作されていて、
そちらもすごく成功で、普通に売ってる商品なんじゃないかと思うくらいのクオリティなんですよね。
すすむさんはイラストに関してもものすごい密度とクオリティ熱量で、
いつも製作されてますけど、立体系についても目を見張るようなプロダクトを製作されてますよね。
すごくいいものを見せていただくことができました。
自分の配信をきっかけに動物将棋に興味を持っていただけて、
オリジナルの盤とコマまで製作してもらえたというのが嬉しいですよね。
ポッドキャストを始めたことで生まれたご縁や、
繋がりでとても嬉しい体験をさせていただいてるなぁと思います。
06:00
そして今回の本編で取り上げるテーマも、
ポッドキャストを始めたことで生まれたご縁から発展して、
お話しすることになった作品だったりします。
ということで、そろそろ本編に行きたいと思います。
今回は、1000年後の未来を描くSF超大作、
新世界よりについてお話ししていきたいんですけども、
この作品は原作の小説がまずあって、
そこから派生した漫画版、アニメ版が存在しています。
僕は原作の小説もアニメ版もどちらも見たり読んだりしていまして、
アニメ版はこの収録の前に改めて前話見返してみたんですが、
原作小説のストーリーラインや設定をかなり忠実に反映してるなぁと感じました。
漫画版については、アニメ版に比べると割と独自路線というか、
一部原作には登場するキャラクターが登場しなかったり、
登場人物の設定が変更されているようなので、
今回は原作小説とアニメ版について取り上げていこうと思っています。
で、原作小説とアニメ版は基本的なストーリーラインは一緒ですし、
大きな変更点というのもほとんどないので、
ひとつながりの新世界よりという世界観、物語としてお話ししていけるかなぁと思っています。
で、この新世界よりは、まず原作の小説があって、それをもとにアニメ化が行われたわけなんですが、
僕はこのアニメ版の方を先に見て、その後で今回の配信にあたって、
原作の小説を通して読んだんですよね。
アニメ版の放送期間は2012年の10月から2013年の3月ということで、
もう10年以上前に発表された作品なわけですが、僕は去年初めて見ました。
まあ、このセミラジオというポッドキャストは、無印とキメモの派生作品ですとか、
スーファミの星のカービィ3ですとか、トルネコの大冒険ですとか、
口を開けば90年代の作品の話ばかりしてますので、
新世界よりアニメ版の2012年から2013年というのは、ほぼほぼ最新作と言っても過言ではないんですよね。
なので今回は皆さんに、今最も熱い今シーズンの覇権アニメである、
09:05
新世界よりについてお話ししていきたいと思います。
そうは言っても、僕が初めて見た時点で放送終了から10年は経っていたわけで、
どうしてそのタイミングで見たのかということなんですが、
実はセミラジオでもよく話題に挙げさせていただいているポッドキャスト番組、
工業高校農業部パーソナリティであり農家のマスボウさんが、
このアニメすごくお好きということで、工業高校農業部の第4回、
ブドウは忙しすぎるし、子牛は可愛すぎるという回で、
その新世界よりのアニメのお話をされてたんですよね。
その回によると、高校時代マスボウさんは新世界よりのアニメにハマって、
いろんな人に新世界よりのアニメを一生懸命普及されたということなんですけど、
皆さんだいたい数話くらい見てみるのをやめてしまったそうなんですね。
ただ僕はそのエピソードでマスボウさんがお話しされていた新世界よりのお話にすごく興味をそそられまして、
その流れで去年、新世界よりのアニメを全話見まして、すごく心に残ったんですよ。
で、去年は僕が関西に行った際に、工業高校農業部のお二人、牛若さん、マスボウさんとお会いする機会もありまして、
そこで新世界よりの話をしたりもして、
その時にマスボウさんから新世界よりをセミラジオで取り上げてもらえたら嬉しいですというふうにテーマのリクエストをいただきまして、
今回取り上げることに繋がったわけなんですよね。
マスボウさんからリクエストをいただいたのが去年の7月なので半年以上経ってしまったんですが、
原作小説も読み終えたばかりで、自分の中の解像度も上がっているので、お話しするには良いタイミングじゃないかなぁと思っています。
で、僕はこの新世界よりアニメ版も原作小説も大好きなんですが、
そのマスボウさんに勧められて見始めたはいいものの、数話で見るのをやめられた方たちの気持ちもすごくわかるんですよね。
アニメ版の方はそういうつまずくポイントというか、つまずく理由があるなと思ってまして、
12:00
そのあたりもまた後でお話ししたいと思います。
何しろ壮大で情報量が多い作品なので、こうやって少しずつ外堀りを埋めながらお話ししていこうと思っているんですが、
まずは原作小説とアニメ版がどういう形式や分量で発表されたかについて少し触れておきたいと思います。
まず原作小説なんですが、作者は岸裕介さんという方で、ホラーやミステリー、SFと幅広いジャンルの作品を書かれています。
大阪府大阪市の出身で、現在は兵庫県西宮市に在住ということで、
今回テーマのリクエストをしてくださった増坊さんや相方の牛若さんと同じく兵庫県にお住まいなんですね。
そして新世界よりは2008年に第29回日本SF大賞を受賞しています。
原作小説はハードカバーの単行本が2008年に刊行、翌年の2009年に新書版、
2011年には文庫版が刊行され、2016年からはKindleで電子書籍版が配信されています。
今回この配信にあたって2009年に発売された新書版を読んだんですが、
この新書版がめちゃくちゃ分厚いんですよね。
950ページくらいあるんですよ。
ハードカバーの単行本は上下巻になっていて、文庫本の方は上中下巻になってるんですが、
この新書版だけ一冊にまとまってるんですよ。
その分下手な辞書よりも分厚くなっていて、しかも1ページの文字数が多いので、ものすごく読み応えがありましたね。
僕は普通の文庫本くらいの内容とページ数であれば数時間で読んでしまうこともありまして、
割と本を読むのが早い方だと自分では思ってるんですけど、
この新世界よりの新書版はさすがに読み終わるまでに時間がかかりました。
1週間くらいかかったと思うんですけど。
新書版は講談社ノベルスというレーベルから出てるんですが、
京極夏彦の本なんかもこのレーベルから出版されてたんですよね。
京極夏彦は妖怪をテーマにしたミステリー推理小説をメインに書かれている作家さんなんですが、
15:01
この人の本もものすごく分厚いことで有名なんですよ。
僕は高校時代、この京極夏彦の小説にはまって、
上下巻で2000ページくらいある作品を読んだりしてたんですが、
その時のことを思い出しました。
一冊で1000ページ近くある小説を読むというのは、
本当に高校生以来だったかもしれないです。
でもそうやって分厚い本のページをめくっていると、すごくワクワクしたんですよね。
時間をかけて読むことで、作者が作り出した世界観にどっぷり浸かることができて、
久しぶりにすごく濃厚な読書体験をすることができました。
で、その分厚い新世界よりの原作小説を読み終えて、
改めて新世界よりのアニメを見返したんですよ。
そうすると前回、初めてアニメ版を見た時には、
見落としていたり、意味がわからなかった部分が全部わかるようになっていて、
それも面白かったですね。
原作小説の形式や文量はそんなところで、
アニメ版の方は放送期間についてはさっきも触れた通り、
2012年の10月から2013年の3月にかけて全25話が放送されたということになります。
続いては新世界よりのあらすじや世界観、主要人物についてお話ししていきたいと思います。
今回ネタバレ全開でお話ししていきますので、ご注意いただければと思います。
この新世界よりという作品は、今から1000年後の未来を描いたSFなんですが、
1000年後こういう世界もあり得るかもしれないという、
一つの可能性を描いた作品ということになると思います。
新世界よりの作品世界の中では、1000年の時を経て、世界の様子や人間を取り巻く環境、
そして人間自身の能力や倫理観までも大きく変貌を遂げています。
物語の舞台は現在でいう茨城県にある人口約3000人ほどのカミス66町という街で、
このカミス66町を中心に、新世界よりの物語は展開していくことになります。
このカミス66町に住んでいる人たちは、現在の我々とは色々と違うところがありまして、
18:04
重力と呼ばれる超能力、粘土力を使うことができるんですよね。
例えば、大きな岩を重機を使わずに重力で持ち上げたり、
ライターを使わずに離れた場所にあるものを燃やしたりできるんですよね。
また、重力を自分に使うことで大ジャンプしたり、オールを焦がずにボートを動かすというようなこともできたりします。
すごく強力な力ですし、僕も重力が使えるようになったらガス代も浮きますし、
車のガソリンが空っぽになっても重力で動かせばいいのでエコだなぁと思うんですが、
実はいいことばかりではなくて、この重力という力をあらゆる人が持つことによって、
いろんな圧力や致命的なトラブルも発生してるんですよね。
このあまりにも大きすぎる力を持ってしまったがゆえに、それに振り回される人々というのが、
新世界寄りという作品の根幹であり、見どころでもあったりします。
カミス66町に住んでいる人たちは12歳になると重力が使えるようになって、
そこからは重力の訓練を行う全人学級という学校に入学することになります。
すべての人と書いて全人学級と読むんですけど、なかなか地面が強いんですよね。
ちなみに12歳までに重力が使えるようにならなかったり、
上手に使うことができない人はどうなるかなんですが、そういう人はいなくなっちゃうんですよね。
いなくなる上になぜか人々の記憶から消えてしまうんですよ。
このいなくなってしまう人については、また後でお話ししようかと思います。
新世界寄りの主人公である渡辺崎という女の子がいまして、
崎が12歳になって全人学級に入学するところからこの物語は始まります。
主人公であり物語の語り手でもあるのがこの渡辺崎というキャラクターになります。
崎はカミス66帳の長女である父と図書館司書を務める母との間に生まれました。
21:00
この時代の図書館司書というのは現在とは役割が違っていて、
1000年後の世界から見た古代文明、つまり今現在この世界に存在している科学文明の知識を極秘事項も含めて保管している
人類の存続に関わる非常に重要な役割だったりします。
で、全人学級では6人一組の班を作って原則的には卒業するまでその班のメンバーと行動を共にすることになります。
スポーツなんかをやる時も班同士の対抗戦になりますし、後でお話しする柿キャンプとかも同じ班の人と一緒に行くことになります。
この班というのが非常に強いつながりを持った集団なんですよね。
で、主人公の柿は全人学級では一班に入ることになります。
この一班のメンバーは全部で6人いまして、柿の幼馴染で明るく元気、いたずら好きでわんぱくな朝日菜悟。
同じく幼馴染で赤い髪が印象的な秋月マリア。繊細なメンタルの持ち主でマリアに片思いしている伊藤守。
とても賢く大人びている青沼旬。そしてのんびり屋の天野玲子。
この一班のメンバーがそのまま新世界よりの主要人物でもあるんですよね。
で、こののんびり屋の天野玲子ちゃんなんですが、あまり重力を使うのがうまくなくて、重力を使ってトランプのタワーを建てるという授業があるんですが、うまくできない上に他の人のタワーを倒しちゃうんですね。
で、そのことをすごく申し訳なさそうに謝るので、このあたり見ていて痛々しいんですけども。
そうすると天野玲子ちゃんは次の日からいなくなっちゃうんですよね。
で、一般は5人になるわけですけど、特に誰もそのことを話題にもしないんですよ。
いなくなったこのことが記憶から消えちゃってるんですよね。
でも完全に忘れ去ったわけじゃなくて、心のどこかにうっすらと記憶が残っていて、断るごとに、そういえば一般ってもう一人いなかったっけ?そんな風に思い出したりするんですよ。
それが切ないし、この作品の怖いところでもあります。
24:04
その流れで言うと、重力を使ったスポーツで半ごとの対抗戦をやるという展開があって、査基たちの一般はあと少しで優勝というところまでいくんですが、
敵チームのある生徒がルール違反をして、査基たちのチームは勝つことができなかったんですね。
一般のみんなは悔しがるんですが、そのルールを破った敵チームの生徒もいなくなります。
重力をうまく使えなかったり、ルールを意図的に破る生徒はいなくなっちゃうんですよね。
そんな不穏な空気が常に漂っている新世界よりなんですが、ある時査基たちは下降の際に奇妙な生き物に遭遇します。
それは簡素な服をまとって二足歩行するバケネズミと呼ばれる生き物でした。
新世界よりに登場するこのバケネズミは、アフリカ原産の裸デバネズミから進化したと言われている生き物で、
知能を持ち、重力という圧倒的な力を持っている人間のことを神と崇めていて、
人間のために人間のやりたがらない重労働や単純作業を行い、食料などをお供え物として捧げている、そういう存在なんですよね。
で、裸デバネズミは地下に巣を掘って集団で暮らす社会性の生き物で、昆虫の蜂やアリのように巣の中で最も強いメス、
つまり女王だけが繁殖出産を行うという哺乳類では他に類を見ない生態を持った生き物で、バケネズミも同様の生態を持っているんですね。
ちなみに裸デバネズミに関してはセミラジオでもおなじみのポッドキャスト番組、
生物をざっくり紹介するラジオ仏賊で生態について詳しくご紹介されてまして、
仏賊の裸デバネズミ界めちゃくちゃ面白いので概要欄に貼っておきますので、
未聴の方はこの機会にぜひ聞いてみてくださいね。
で、この時サキたちは河川清掃をしている2匹のバケネズミに遭遇したわけなんです。
サキたちがもの珍しく見ていると、1匹のバケネズミが足を滑らせて川に落ちてしまって、
サキはとっさに重力でそのバケネズミを助けるんですね。
27:02
一般の他の子たちにはバケネズミに関わるなって大人たちに言われてるじゃないかと反対されるんですが、
サキは見捨ててはおけなかったんですね。
で、サキたちは初めて間近でバケネズミの姿を見ることになります。
バケネズミは1メートル以上あって二足歩行している不気味なネズミという感じの異形の存在で、
助けてくれたサキたちに対して額を地面にこすりつけてかわいそうなくらい恐縮するんですよね。
か、か、か、神様ありがとうございます。
みたいな感じで一応日本語が喋れるんですが、その発音はかなり聞き取りづらいものになっています。
バケネズミ同士では鳴き声みたいなバケネズミ語で会話をするんですけども、
このバケネズミについてはまた後で触れることになるんですが、
一旦はサキの展開についてお話ししたいと思います。
アニメ版の第3話ではサキたちは柿キャンプというイベントで、
生まれて初めて大人の力を借りずに自分たちだけで町の外に広がる自然の中で過ごすことになります。
一般の5人はカヌーでトネ川を遡上してテントを張って寝泊まりしながら1週間を過ごすことになるんですね。
キャンプという要素が出てくるんですが、
同じアニメでもゆるキャンのような本話化した展開にはならないんですよね。
この柿キャンプをきっかけにサキたちはとんでもない事件に巻き込まれることになります。
この第3話は物語が大きく動く転換点の一つになってるんですよね。
2000年代のアニメってアニメの本数もそれ以前より多くなっているためか、
3話あたりで大きな山場を作ることが常識になってるんですよね。
とにかく最後まで見てもらうために1話と2話で主要人物や世界観を知ってもらって、
3話で物語の最初の山場を作って視聴者の心をつかみに行くということが多くて、
そこで心をつかめなかったら3話切りみたいなことになるわけです。
3話切りというのはシーズンごとにいろんなアニメ作品が放送を開始する中で、
30:00
とりあえずいろんな作品の3話まで様子を見てピンとこなかったら見るのをやめる的な
アニメを主者選択するための手法でありネットスラングだったりするんですけども、
そういう意味でこの新世界よりも常識通り3話目に物語の山場を持ってきたということだと思うんですよね。
ただその常識を踏むために新世界よりのアニメ版は結構無理をしたんじゃないかなと思ってまして、
原作小説でサキたちが夏季キャンプに行くまでの内容をアニメ版の1話2話に詰め込んだために、
1話2話ってかなり情報型になってると思うんですよね。
情報型なんですが限られた尺の中では原作小説のようにそれぞれの情報の意味をこと細かく説明することもできませんし、
1話2話では時系列もシャッフルするという割と実験的なこともしていて、
ミステリアスな世界観の演出としてはすごく納得できるんですが、
結構変化球気味というか、とつきづらい感じにはなってるかなぁと思いました。
おそらくこの辺りもマスボウさんがいろんな方に新世界よりのアニメ版をお勧めしたにも関わらず、
ほとんどの方が最後まで見なかったということの理由の一つじゃないかなぁと思っています。
あと第5話に関して言うと、作画崩壊とまでは行かないんですが、
率直に言うと若干作画があれっていう感じにはなってるんですよね。
急にキャラのアップ増えたなぁ、背景描く時間なかったのかなぁ、みたいな感じになるんですよ。
まあでも厳しいスケジュールの中、戦ってくれていた制作スタッフの方には、
僕は感謝しかないですし、6話以降は持ち直すのでそこは大丈夫なんですけども。
なのでこの新世界よりのアニメ版、見始めてつまずくとしたら、
序盤の5話目くらいまでが一番可能性が高いと思います。
6話目以降は作画も情報量も割と安定して見やすくなるんですよね。
もし新世界よりのアニメ版見てみようかなという方は、
6話くらいまではとにかく世界観や情報を何も考えずにインプットしていただいて、
33:06
何でしたらストレッチや体幹トレーニングなどの日々を健やかに過ごすための体のメンテナンスなんかをしながらでも結構ですので、
心を無にして見ていただければと思っております。
で、話をサキたちの柿キャンプに戻しますと、
この柿キャンプでサキたちはいろんな奇妙な生物に遭遇することになります。
それはウミウシが進化した陸生生物のミノシローであったり、
クマをも倒す力を持った巨大な肉食性のカニのトラバサミだったりします。
令和の日本には生息していない異様な生き物が、
千年後の日本列島にはうじゃうじゃいるんですよね。
これらの異様な生物はこの数百年で誕生したと考えられていて、
通常の進化のスピードから考えるとこれはありえないことだったりします。
なぜそういった異様な進化が起きているのかなんですが、
実はこれらの生物は人間の持つ重力によって進化を促されたのではないかと考えられているんですよね。
無意識のうちに人間から漏出した重力が街の外に流れ出して、
生態系に影響を与えているのではないか、そういうふうに考えられています。
この辺りの奇妙な生き物の生態に関しては、
特に原作小説の方ではかなり細かく解説されていてすごく面白いんですが、
長くなるので今回は話を先に進めたいと思います。
さきたちは柿キャンプを続ける中で、さらに奇妙な生物に遭遇することになるんですよね。
それはミノシロモドキという先ほどご紹介した陸性のウミウシに似ているんですが、
実は全く違う性質を持った生命体で、
さきたちはこの未確認生物であるミノシロモドキを捕まえて調べようとするんですが、
そうするとなんとこのミノシロモドキが竜鳥に喋り出すんですよね。
シリみたいな女性の子ワイローを持つ人工音声で喋り出すんですよ。
で、私は国立国会図書館、筑波館です。
で、自己紹介するんですよね。
36:02
記者及び型番をお尋ねでしたら、
パナソニック自創型アーカイブ自立進化バージョンSE778Hラムダです。
っていう意味不明の補足も入れてくるんですけど、
アニメ版ではパナソニックの部分はカットされてるんですけど、
原作小説の方はパナソニックって普通に書いてあって、
別の意味で度肝を抜かれましたね。
改めてまとめると、ウミウシだと思って捕まえたら、
パナソニック製の図書館だったということなんですけど、
ちょっと意味がわからないですよね。
かなり独特な世界観の作品なんだなということは、
ここまでのお話でイメージしていただけたんじゃないかなと思います。
実はこのミノシロオモドキというのは、本人が自称しているように、
実際に図書館でして、
生き物でありつつ知識を保管するアーカイブとしての機能も持っている、
そういう存在なんですよね。
令和の日本で一般的な通常の施設としての図書館は、
この世界では略奪や破壊によって失われてしまうことが多く、
ミノシロオモドキは、科学文明が存続していた時代に、
人類の知識や歴史を後々の世界まで確実に継承するため、
周りの環境に順応しながら進化することができる、
生態アーカイブとして設計されたということだったんですね。
ミノシロオモドキは、その体内に膨大な量の情報を蓄積していて、
サキたちはこの世界の血塗られた歴史について、
計らずも知ってしまうことになります。
ミノシロオモドキが語るところによると、
西暦2000年代のある年に、
それまではオカルトとされていた超能力、PKの実在が科学的に証明されました。
PK能力者の人口は急激に増えて、
その時点の人口の0.3%がPK能力を持つようになったんですが、
突如として出現したこのPK能力は、
社会に混乱をもたらすことになりました。
PKを悪用した凶悪犯罪などの発生により、
PK能力者に対する一般人からの迫害が始まったんですね。
PK能力者と一般人との対立はどこまでも加速していき、
39:04
最終的には全世界を巻き込んだPK能力者とPK能力を持たない人との最終戦争にまで発展しました。
世界の人口は戦争や飢餓によって最盛期の2%以下にまで減少していて、
日本列島全体の人口も約5万人から6万人にまで減少していました。
かつて発生した破滅的な戦争を生き残った人たちが細々と暮らしている。
そういう世界なんですね。
で、サキたちが生きるカミス66町やその付近では、
人間同士の戦争というのは発生していませんし、
表面上は何事もなく日々は過ぎていくんですが、
平穏無事な世界なのかというと、実は全くそんなことはないんですね。
カミス66町ではそこに暮らすあらゆる人が重力を持っているんですが、
重力という強大すぎる力を手に入れたがゆえの反動で、
常に滅亡の危機と隣り合わせの状況にいるんですね。
今の世界でも、いわゆる通り回事件、
刃物を持った人が無差別に人を襲うという事件は発生してますし、
海外だと銃乱射事件なんかも少なからず発生していますよね。
これが重力を使った無差別攻撃ということになると、
1000人や2000人の人を短時間で殺めるということが、
いとも簡単にできてしまうわけです。
原作小説の中でこの状況は、
あらゆる人が核ミサイルのスイッチを持っているのに等しい、
というふうに表現されているんですが、
まさにそういうことだと思うんですよね。
このままでは遠くない未来に人類は絶滅してしまう。
そう危惧した人たちは、
人間の社会を平和的なものに作り変えるため、
あらゆる可能性を模索しました。
その一つが、チンパンジー型の争いの社会から、
ボノボ型の愛の社会への変革というものでした。
チンパンジーというのは、
日本のいろんな動物園でも飼われていて、
なじみ深い生き物だと思うんですが、
実はかなり攻撃性の高い生き物なんですよね。
野外観察では、人間の戦争に近い戦闘行為を行うことも知られていまして、
42:08
群れのメンバー同士で連携して、
隣の群れに奇襲を仕掛けるというようなことをやるんですよ。
一方のボノボは別名ピグミーチンパンジーといって、
チンパンジーに近縁な類人猿なんですが、
チンパンジーと比べると極端に争いが少ない、
平和的な社会を築いているんですよ。
ボノボの特徴として、
個体同士のコミュニケーションに性的なスキンシップを利用するというのがありまして、
ボノボの社会では老若男女関係なく、
性的なスキンシップでコミュニケーションをとるんですよね。
成熟したオスとメスであれば交尾になるんですが、
幼いボノボも大人のボノボを相手に疑似的な交尾をしたり、
オス同士、メス同士でも日常的にそういうスキンシップを行うわけです。
そうすることで個体間の親密さを維持して、
集団全体の平和を保っている。
ボノボはそうやって愛による平和的な社会を築いているんですよね。
ちなみにこのボノボとチンパンジーの生息域は、
アフリカのコンゴ川という大きな川で隔てられているんですが、
もともとは共通の祖先から分岐したと言われています。
ボノボが生息しているのはコンゴ川のサガンの方なんですが、
こちら比較的食べ物が豊富な地域で、
そのためボノボは群れのメンバーと果物なんかを分け合って食べるという行動を
割と頻繁にとるんですが、
一方のチンパンジーが生息しているのはボノボほど食べ物が豊富ではないエリアで、
このことが少ない食べ物を獲得するために激しく争う
チンパンジーの気質に反映されているのではないかと言われています。
もともとは同じ種類の生き物だったボノボとチンパンジーなんですが、
環境の違いによってかなり性質が違う生き物に進化していったということなんですね。
話を戻すと、破壊的な力である重力を持った人間同士が
平和的な社会を作るために、このボノボの築いている愛の社会にならおうということが考案されたわけです。
45:00
実際それはサキたちの住むカミス66町にも取り入れられているんですよね。
カミス66町では性的なスキンシップを取ることについてのハードルが、
令和の日本よりも遥かに低くて、俗な言い方をすると、
サキも一般のメンバーであるサトルとイチャイチャしたり、マリアとイチャイチャしたり、
割と緊張した局面でも何かとイチャイチャするんですよね。息を吸うようにイチャイチャするんですよ。
サトルとシュンも美少年同士で恋人になってイチャイチャするという描写が出てきます。
こういうイチャイチャ描写もボノボ型の愛の社会を目指した結果だったということなんですね。
ただこれだけでは重力による破滅を回避するには足りないということで考案されたのが、
攻撃抑制と棄死機構という2つのメカニズムでした。
攻撃抑制というのは狼や渡りガラスなど攻撃能力が高く、なおかつ社会性のある生き物に生まれつき備わっているメカニズムで、
同じ種類の生き物に対する致命的な攻撃を避けるよう遺伝的にプログラムされてるんですね。
そして棄死機構というのはシンプルに自分と同じ種類の生き物を攻撃していると認識したとき、
無意識に発動した重力によって体内のいろんな臓器の機能が停止して最終的には死に至る、そういうメカニズムでした。
つまり重力で人を殺めてしまったらその人も死に至る、そういう決定的なメカニズムが重力を持った人には組み込まれているんですよね。
遺伝子の操作によって攻撃抑制と棄死機構というメカニズムを組み込まれた人間は、
ようやく重力を制御することができて破滅的な局面を回避することができるようになったかと思われたんですが、
実はまだ脅威は去ってはいなかったんですね。
この新世界よりには悪鬼とゴーマという存在がいまして、
名前は驚々しいんですが決して人間とは違う種族ということではなくて、
どちらも重力を持った人間の行き着く先というか一つの結果なんですよね。
悪鬼は生まれつき棄死機構に欠陥を持ち、なおかつ他者に対する高い攻撃性を持った人が重力によって無差別に他の人を殺傷するようになる。
48:12
そういう存在で、悪鬼と化した人間は周りの人を重力で攻撃できるのに対して、
それ以外の人は体内に組み込まれた攻撃抑制と棄死機構によって悪鬼を重力で攻撃することができないんですよね。
そのため一度出現してしまったら対処のしようがなくて、人類にとって最大の脅威となるのがこの悪鬼なんですね。
一方のゴーマはどういう存在かなんですが、こちらは自分の持つ重力の露出に歯止めが効かなくなった、重力が暴走してしまった人の行き着く果て。
そういう存在でして、もともと重力を持った人間からは無意識のうちに絶えず重力が露出していて、それが周囲の生態系に影響を及ぼしているというお話をさっきもしたんですが、
ゴーマがそういう一般的な重力使いと違うのは、流れ出す重力の量が桁外れなんですね。
膨大な量の重力がゴーマの周囲に流れ出して、自分の周囲にあるものすべてを異形化し、畸形化させてしまうんです。
悪鬼と違い、本人には悪意はないにもかかわらず、周囲に与える被害や脅威のレベルは悪鬼と同じくらい高いんですよね。
重力を持った人はこの悪鬼やゴーマになる可能性を常に秘めているわけで、一人一人が核ミサイルのボタンを持っているという話はここにも繋がってくるわけです。
ボノボ型の愛の社会を取り入れ、遺伝子に攻撃抑制と既死機構というブレーキを組み込んでも、それでも悪鬼やゴーマの発生を防ぐことはできず、ひとたび発生してしまえば破滅的な被害が出てしまう。
一体どうすればいいのか。
そこで社会が選択し、カミス66帳で実行されているのが間引きなんですね。
重力がうまく使えなかったり、ルールを守れない人間、転じていずれ悪鬼やゴーマに変貌する可能性が少しでもある人を徹底的に排除することで、それ以外の人たちが安心して生きられるようにする。
51:11
そういう世界なんですよね。
重力を上手に使えなかった一般の天野玲子ちゃんや、ルールを破っていなくなった同級生、そして実はさっきのお姉さんも能力が低い不適合者とみなされて処分されていたんですよね。
新世界よりの原作小説を読んでいて、僕が一番ゾッとしたのが、この不適合者は処分されるという下りの基本的人権に関する定義の部分でした。
現行の法律だと妊娠22週以降は人口中絶をしてはいけないということになっているんですが、これはつまり妊娠22週以降の胎児には基本的人権が与えられるということでもあるんですよね。
カミス66帳ではこの基本的人権の発生する時期を変更しているんですよ。
悪気や傲慢に変貌する可能性のある子供を間引きするために、17歳になるまでは作品中の教育委員会の権限で、その危険とされた子供を処分することが可能とされているんです。
危険分子とされた子供を処分するためには、不条猫という家猫を重力で操作して作り出した巨大な猛獣を使います。
そして不条猫によって始末された子供のことは、残された人たちの記憶からは消えてしまうんですよね。
重力によって記憶を操作することで誰もいなくなったりなんかしていない。
そもそも誰もその子のことを思い出さない。
そういう一見さざ波一つ立たない平和な世界を演出してるんですが、実際にはその世界はそうやって処分された多くの人の命の上に成り立っているわけです。
とんでもなくヘビーな作品なんですよね。
ちょっと話は戻っちゃうんですが、さっき重力を持った人間に攻撃抑制というメカニズムを組み込んだというくだりがあったんですが、
54:04
実際には人間にはもともとの攻撃抑制というか、同種である人間のことを謝めたくない、そういう生まれつきのメカニズムがあるんですよ。
第二次世界大戦で最前線にいた兵士の発砲率について、当時アメリカ軍が調査を行ったんですが、皆さんその発砲率どれくらいだったと思いますか?
この発砲率というのは戦争の最前線、つまり自分が撃たなければ敵に撃ち殺されるかもしれないという状況下で実際に銃を発砲した兵士の割合ということなんですけど、
第二次世界大戦において最前線にいた兵士の発砲率は15%から20%だったそうです。
最前線にいた兵士の100人あたり実際に銃を発砲していたのは平均15人から20人だけだったということになります。
これってどんな状況に置かれても本能的には人は人を殺したくない、そういうことだと思うんですよね。
国家がそれを許可したとしても人は人を殺したくない、それが根っこにあるんですよね。
僕はその話を聞いたときちょっと救われたような気持ちになりました。
でも戦争を指揮する人たちはそうは思わなかったみたいで、アメリカ軍に関して言うと兵士の教育プログラムを変更することで、
その後の朝鮮戦争では発砲率55%、ベトナム戦争では発砲率95%になったそうです。
どんな教育を兵士に施すことでそれが可能になったのかはあまり知りたくないですし、これ以上この話は折り下げないでおこうと思います。
話が横道に逸れたんですが、新世界よりにおいては重力という巨大な力をコントロールするために人間がもともと持っている攻撃抑制では足りなかったということなんだと思います。
で、ここまで話してきたような血生臭い世界の姿をサキたち一般のメンバーは知ってしまったわけなんですね。
ただ、実はまだ謎は残っていて、今カミス66町に住んでいる人たちは全て重力を持っているんですが、
57:09
かつていたはずの重力を持たない人たちはどこに行ってしまったのか、それは一つ物語上の謎として残るんですよね。
どこか遠くへ行ってしまったのか、滅びてしまったのか、この時点ではまだわからないんです。
そしてこの後、サキたちはミノシロをもどきから情報を得ているところを近くのお寺の僧侶に見とがめられて、重力を封印されてしまいます。
ここから物語のテンポは加速度的に上がってくるんですが、走行しているうちにサキたちはさっきも出てきたバケネズミという生き物に遭遇して追いかけられることになります。
日本列島にもともと住んでいるバケネズミは重力を持った人間の恐ろしさをよく知っていて、歯向かってくることはないんですが、
この時サキたちが遭遇したバケネズミは大陸からやってきた外来種で、人間に対して攻撃してくるんですよね。
で、バケネズミから逃げる中でサキとサトルは他のメンバーと離れ離れになってしまって、
二人だけでバケネズミの大群から必死に逃げることになるんですね。
そして必死の逃避行を続けるサキとサトルの前に一匹のバケネズミが現れるんです。
重力を封印された状態でバケネズミに攻撃されたら手も足も出ない絶対絶命の状況かに思われたんですが、
実はそのバケネズミは人間に標準を示している地元のコロニーである塩ヤーブコロニーのスクイーラという名前のバケネズミだったんです。
このスクイーラというバケネズミがとても良いキャラで僕は大好きなんですけども、
スクイーラは口がたしゃで丁寧な敬語を使って話すんですけど、
悪自衛が働く策士というか油断ならないところがあるバケネズミなんですよね。
神様、ようこそいらっしゃいました。
みたいな感じで丁寧な敬語を使ってあくまで停止性を装いつつ、
サキたちの力を利用しようと巧みに取り入ってくるんですよね。
具体的にはサキたちの重力を使って自分たちのコロニーを脅かす敵である外来種のバケネズミを一掃しようとするんですよ。
1:00:03
で、サキが重力が使えないことを見て取ると、
どうしたのですか?もしかすると神様はもう神様ではなくなったのですか?
みたいにすかさず煽りを入れてくるんですよね。
で、いろいろあってその後でスクイーラは外来種のバケネズミの捕虜になるんですけど、
サキたちが物陰に隠れてやり過ごそうとしているのを見つけると、
あそこに人間がいるぞ!みたいな感じでなりふり構わず叫んで、
サキたちがその外来種のバケネズミたちを倒して結果的にスクイーラを救わざるを得ないという風に仕向けたりもするんですよね。
その前にもサキたちがピンチの時に真っ先に逃げ出したりもしていて、
いろんな意味でものすごくキャラが立っていて、
このスクイーラというバケネズミの存在がこの新世界よりという作品の中で強烈なスパイスになってるんですよね。
その後、キロウマルという狼のような姿をしたバケネズミの将軍が率いる大スズメバチというコロニーが救援に駆けつけてくれたおかげで、
スクイーラの死を破るコロニーは滅亡を免れることができました。
キロウマルは奇妙の木に狼と書くんですけども、
このキロウマルというバケネズミは抗戦的ではありますが、義を重んじる鬼骨のある武人という感じの渋みのあるキャラクターでして、
後半でも物語に深く関わってくることになります。
そしてサキとサトルは離れ離れになった他のメンバーと合流して、無事にカミス66帳に帰り、呪力も取り戻すことができました。
サキたちが知ってはいけない世界の秘密に触れてしまったことも隠し通せたかに思えたんですが、
実はそうではなく単に泳がされていただけだったということは後になってわかってきます。
一旦物語の先を追いたいと思います。
2年の時が過ぎ、サキたちは14歳になっていました。
さっきもちらっと言ったんですが、サトルとシュンはこの時点で恋人同士になっていて、サキとマリアもまた愛し合う関係になっています。
1:03:00
ずっとマリアに片思いしているマモルは、呪力でマリアの絵を描くことでマリアに対する気持ちを表現していたり、
一方でサキは昔からずっとシュンに対してほのかな恋心を抱いていたり、割と入り乱れた関係性になっているんですよね。
これが愛によって繋がるボノボ的世界観ということなんだと思います。
そんな中、恋人同士だったサトルとシュンの関係性に唐突な変化が訪れます。
シュンはサトルに対して急に素っ気ない態度を取るようになり、サトルは戸惑うんですが、
シュンはサトル以外のあらゆる人に対しても距離を取るようになるんですよね。
そしてそれからすぐにシュンは姿を消してしまうんです。
サキがシュンの家がある松風の里に行ってみると、そこは異様な雰囲気に包まれていました。
あらゆる木がねじくれて枯れ果てて、木の表面には恐怖の叫びをあげる人間の顔のような模様が浮かんで、
至るところに異常な数の昆虫の死骸が散乱しているという明らかに異常な環境になってたんですね。
その異常の中心地にいるのが実はシュンだったんです。
シュンはさっきもお話しした、自らの暴走する樹力に歯止めが効かなくなったゴーマという存在になってしまったんですね。
シュンが飼っていた愛犬のブルドッグもシュンから露出した樹力の影響を受けて異形の姿に変形してしまいました。
そしてシュンに最後の時が訪れます。
自らの樹力が作り出した歪みの中に飲み込まれていく瞬間、シュンは最後の力を振り絞ってサキをその災いの渦の外に逃がすんですね。
サキが心を許し合える一般の仲間はこうしてサキを含めて4人になってしまうんです。
そしていなくなったシュンのことをやはりみんな忘れてしまいます。
なんですが、消えていった他の人たちとシュンは少し違っていて、サキの心の中に顔のない少年としてシュンの存在は残るんですね。
シュンの肉体は滅びてしまったけど、シュンという存在の子玉のようなものがサキの中に残っているんですよね。
1:06:02
そして物語の要所要所でサキを導く存在として登場することになります。
4人になってしまった一般なんですが、この後に続く事件の結果、さらに2人が姿を消すことになります。
一般のメンバーであり繊細な精神の持ち主で秋月マリアに片思いをしていた伊藤守くんなんですが、
重力の扱いがうまくないということで、彼もまた処分の対象になってしまいます。
自分を始末するためにやってきた不条猫をギリギリのところで重力によって撃退した守は、
もはや自分の居場所は町にはないと覚悟を決めて町の外で自活する道を選ぶんです。
そしてマリアもそんな守を放ってはおけず、雪の降り積もる外の世界にマリアと守は踏み出していくんですよね。
サキとサトルはそんな2人を必死になって連れ戻そうとするんですが、それは叶わず、ついに一般のメンバーはサキとサトルだけになってしまいます。
しかも重力を使ってなんとか生活していけるとしても、マリアと守の未来は決して明るくなくて、
町に対してネガティブな感情を抱いている重力を持った人間2人がコントロールを離れて行動しているわけで、
カミス66町の首脳部はそのことを非常に危険視していたんですね。
遠からずマリアと守に対するお手が差し向けられることは確実でした。
で、マリアと守が姿を消したあたりには、夏季キャンプの時に出会ったスクイーラという化けネズミが率いる塩やぶコロニーが拠点を作ってまして、
スクイーラは人間にいろいろと報酬をしたことに対しての温床としてヤコマルという名前を与えられていたりもします。
野生の矢に狐でヤコマルと書くんですけども。
で、サキは再会したヤコマルことスクイーラにある頼み事をするんですね。
マリアと守は雪崩に巻き込まれて亡くなったと、町に報告してほしい、そう頼むんです。
そうするとヤコマルは2つ返事で引き受けてくれて、なんなら遺骨も用意しますので、みたいなことを言い出すんですよね。
1:09:06
ヤコマルによると化けネズミの骨も部位によっては人間の骨と見分けがつかないので、
多少加工すれば偽装をできると、そう言うんですね。
気分が悪くなったサキは、全部あなたに任せるわーと言って、悟ると2人で町へ帰ることになります。
そしてそれから12年の時が過ぎました。
26歳になったサキは保健所の衣類管理課という部署に勤めていました。
この部署は各地に生息する化けネズミの実態調査や、化けネズミのコロニー同士の戦争の見届け人なんかが業務になっています。
化けネズミ同士で戦争をする場合、必ず事前に人間に書類を提出する必要があるんですよね。
ちなみに人間に害を与えたり、人間にとって危険だと判断された化けネズミのコロニーは、長寿保護官という役職名を持った重力のプロフェッショナルによってコロニーごと消滅させられることもあります。
なので、化けネズミは人間の機嫌を損ねることを極度に恐れていて、戦争をする際には決められたルールに従ってちゃんと書類を提出するわけなんですね。
この時期、カミス66町の周辺にあるコロニーは集約化が進み、最大勢力であるキロウマル・ヒキイル・オオスズメバチコロニーとヤコマル・ヒキイル・シオヤーブコロニーが2大勢力になっていました。
そんなある日、キロウマルのオオスズメバチコロニーに属する化けネズミが何者かに襲われ、命を奪われるという事件が発生するんですね。
キロウマルが裏で意図を引いているのはヤコマルであると主張するのに対して、ヤコマルはキロウマルの自作自演であるという説を言葉巧みに披露するんですよね。
人間が間に入ってどちらに責任があるのかを検討するんですが、そこで結論が出ることはなくて、結果的にはそのままキロウマルのコロニーとヤコマルのコロニーとの全面戦争へと発展することになるんですよね。
戦いは圧倒的な戦力を誇るキロウマルのオオスズメバチコロニーが勝利するだろうと思われていたんですが、予想に反してキロウマルの舞台はヤコマルの舞台によって壊滅させられて、リーダーであるキロウマルは行方不明という意外な結果に終わりました。
1:12:06
一体ヤコマルは圧倒的な戦力差をどうやって跳ね返したのかということなんですが、実はその戦場には重力を使った形跡が残っていたんですね。
つまり重力を使うことのできる人間が何らかの理由でヤコマルの軍勢に味方して、キロウマルの軍勢を打ち破った、そういうことなんですが、誰が何のためにとなるわけです。
そこで検討をする人たちの脳裏によぎったのは、12年前に失踪したマリアとマモルのことでした。ただ、それはあり得ない。2人の遺骨は回収しているから、という話になるんですね。
さっきはハッとして、その遺骨はヤコマルが偽装して用意してくれたものだと思い当たるんですが、遺骨は徹底的に調べた。DNA鑑定もした。最終的には歯型の記録が一致して本人確認が取れた。
秋月マリアと伊藤マモルの2人はすでに100%死亡したことが確認されています。したがって今回の件には無関係です。という結論が下されるんですね。
12年間先はマリアとマモルは今でもどこかで生きている。生きていればいつか会えるかもしれない。そういう願いにすがって自分の心を支えてきたのに、一番残酷な形でその望みが打ち砕かれるんです。
そして一体誰がヤコマルの軍勢に味方して重力を使ったのかという謎に答えは出ないまま、とにかくヤコマルが率いる潮を破るコロニーについては駆除せよという指令が下されるわけです。
そんな中カミス66町では年に一度の夏祭りが開催されて、サキはサトルと一緒にお祭りに参加します。お調子者でやんちゃだったサトルもすっかり大人びて生物学の分野に進み品種改良と遺伝子を専門とする研究職に就いていました。
しかし楽しいお祭りの空気は突如として一変します。ヤコマルのコロニーのバケネズミたちがカミス66町とそこに住む人たちに対して全面攻撃を仕掛けてきたんですね。
バケネズミたちはお酒に毒を仕込んだり火薬で人間を攻撃するなどして奇襲を受けた人々は大混乱に陥ります。人間に刺激するトルに足らない生き物と多くの人が考えていたバケネズミに人間が攻撃されてるんですよね。
1:15:20
ただバケネズミが人間を神様と崇めなければならない理由、重力の力はやはり強大で形成を立て直した人間はすぐに反撃のターンに移ろうとするんですね。
ただここで満を持してバケネズミ側のジョーカーが登場します。
バケネズミと同じ粗末なフードに身を包んだ燃えるような長い赤毛をなびかせた10歳かそこらの女の子がゆっくりと歩いてくるんですね。
そして獣のような唸り声とともに重力を発動させて周りの人たちを重力の豪華で焼き尽くしていくんです。その燃えるような赤い髪は秋月マリアを思わせるもので、そのクセっ気は伊藤守の面影を感じさせるものでした。
バケネズミに育てられたマリアと守るの娘が、人であるにも関わらず人を重力で殺めることができる悪鬼として、サキとサトルの前に姿を現したんです。
繰り返しになるんですが、どんなに強力な重力使いであろうと、遺伝子に刻まれた攻撃抑制と騎士気候がある限り、人間を重力で攻撃することはできないんですね。そしてたとえ悪鬼であっても人間には変わりはないわけです。なので重力を持った人間は悪鬼を攻撃することはできないんですね。
それに対して悪鬼の方は重力で人間を好きなだけ攻撃できる。そしてその悪鬼はバケネズミ側についている。人類の存亡にとって致命的な状況になっているわけです。
さらにこの後物語が展開する中でヤコマルはより先のことを見据えて行動しているということが明かされます。バケネズミたちは病院を襲撃して100人ほどいた人間の赤ちゃんを強奪していったんですね。この強奪した100人の赤ちゃんは12歳になる頃にはみんな重力を使えるようになるわけです。
その子たちが今回のように悪鬼として育ったならバケネズミが人間を完全に圧倒し支配することも可能になるわけです。ヤコマルはそこまで考えて勝負に出たんですね。物語はいよいよクライマックスへと流れ込みます。
1:18:18
サキとサトルは片目を失いながらもギリギリのところで戦場から逃げ延びていたバケネズミのキローマルと合流し行動を共にすることになります。そして重力に頼らず悪鬼を倒すことができるサイコバスターという生物兵器が東京に存在しているという情報を得てそれを入手するために東京を目指すことになるわけです。
この時代の東京は異形の生物がばっこする地獄のような世界になっているんですが、以前キローマルは東京を探索したことがあり、道案内役としては非常に頼もしい存在なんですね。
そして東京でおぞましい生き物たちの襲撃を受けるなどいくつもの困難を乗り越えてサキたちはようやくサイコバスターを入手することができるんです。ただそのサイコバスターは至近距離で炸裂させなければならないもので、そのためにはサキとサトルが囮になって悪鬼をおびき寄せる必要があるとキローマルは言うんですよね。
そんな危険なことをできないわと嫌がるサキやサトルのことをキローマルが静かに悟すシーンがあるんですが、このシーンがとてもいいんですよね。
アニメ版ではキローマルの声を平田裕明さんという声優さんが演じられているんですが、平田さんの演技もあってキローマルというキャラクターがめちゃくちゃ立っていていいんですよ。
できない?できないというのはどういうことです?ここへ来るまでに一体どれほどの犠牲が積み重ねられたと思うんですか?
という感じで静かに、それでいて力強く語りかけてくるんですよね。
もちろん私にはお二人に強制することはできません。
それどころかあなた方の激震に触れた瞬間、虫キャラのようにひねりつぶされてしまう存在でしかない。
最終的にお決めになるのはあくまでもあなた方ご自身です。
という感じでですね、この終盤のキローマルのセリフ回しや活躍、ぜひアニメ版で見ていただきたいんですけども。
そしてキローマルに関してもう一つ付け加えると、実はさっきは心密かにキローマルはヤコマルと通じている裏切り者なのではないかという疑念を持っていたんですよね。
1:21:12
東京への道案内役を買って出たキローマルだったんですが、そもそもかつて危険を犯して東京に来た理由とは何だったのか。
そこに不透明な部分があったんですが、最終局面ではその理由がキローマル自身の口から語られることになります。
それによるとかつてキローマルは東京に過去の科学文明が残した核兵器やその他の強力な兵器があるのではないかと考えて、それを探しに来ていたんですね。
もしそういった兵器を見つけることができれば、人類にとって代わりバケネズミの覇権を打ち立てることも不可能ではない。
そう考えて探索を行ったわけですが、結局その時はそういう兵器を見つけることはできなかったというんですね。
その話を聞いたサトルは、「なぜだ?君たちとは良好な関係を築いていたじゃないか。」と言って驚くんですが、キローマルの方は淡々と
良好な関係とは何でしょう?我々は人類に対し忠誠を誓い、益務を提供することでようやく生存を許される立場です。しかしそれもいつ風向きが変わるかわかりません。不可解な理由でコロニーが抹殺されるのも珍しくありません。」と答えるんです。
キローマルはそこまで正直に腹を割って話した上で、自分たちは人類を敵視しているわけでも、征服欲に取り憑かれているわけでもない。願うのはコロニーの繁栄と存続であり、そのためにヤコマルと悪鬼を止める必要がある。その一点において我々の利害関係は一致している。
そう話すんですね。このキローマルというキャラクターの言葉はあらゆる意味で重みがあって力強く胸に刺さってくるんですよね。で、やっとのことで入手して悪鬼に対して発動させたサイコバスターだったんですが、結果的には不発に終わってしまいます。
晩作尽きたかに思えたんですが、ここに来てサキの中に悪鬼を倒すための作戦がひらめくんですね。しかしそれは共に戦ってきた仲間の犠牲を前提としたものでした。
作中で何度かサキというキャラクターについて強いという表現が出てきます。一一倍感受性が強く、多くの悲しい出来事に振り回される中で、誰よりも多くの涙を流してきた。そんなサキなんですが、人間としての真の部分は誰にも負けない強さを持っている。
1:24:16
だからこそサキはこの新世界よりという物語の主人公なんですね。そしてサキはキローマルにあなたにお願いしなければならないことがありますと告げるんです。作戦自体はごくごくシンプルなものでした。
包帯で顔を隠して人間に憤したキローマルが悪鬼に向かって突進します。悪鬼はマリアとマモルの子供は重力でキローマルを攻撃してキローマルの腹に大穴を開けるんですが、キローマルが最後の力を振り絞って顔の包帯を外し化けネズミとしての正体を表すと、
マリアの子供の表情が一変します。 同族を殺めてしまったという罪の意識が彼女の騎士気候を発動させたんですね。どういうことかというとマリアの子供は騎士気候という無礼気を持たない悪鬼ではなく、騎士気候の対象が普通の人間とは違っていたんです。
化けネズミによって育てられ、自分を化けネズミだと思い込んでいた彼女の騎士気候は人間ではなく化けネズミによって発動するようになっていたんですね。
さきはそれを見抜いてこの作戦を実行に移したわけです。 そしてキローマルもコロニーの存続を条件に自分の命をこの作戦のために差し出したんですね。
数秒の後には、騎士気候によって絶命したマリアの子供と、世界を改革するための最強の切り札を失い、呆然と立ち尽くすヤコマルの姿だけが残されていました。
ここまでネタバレ全開で新世界よりについてお話ししてきたんですが、この後クライマックスの物語への革新について触れるネタバレについてお話しすることになります。
ここまでのお話で、新世界より面白そうだな、アニメ見てみようかなと思われている方いらっしゃいましたら、ここで一時停止ボタンを押していただいて、
Dアニメストア等の動画配信サービスで新世界より全25話を見ていただき、その後また続きを聞いていただければと思います。
1:27:06
それではクライマックスの転換についてお話しさせていただきます。
マリアの子供を失い、呆然実質となったヤコマルは捕らえられ、裁判にかけられることになりました。
裁判の直前、サキはヤコマルの元を訪れます。
どうして人間に反逆しようとしたの?と問いかけるサキに、ヤコマルは、我々はあなた方の奴隷ではないからだ、と返します。
奴隷ってどういうことだ?
確かに三木物や駅物の提供は求めたかもしれないが、お前たちには完全な自治を認めていたじゃないか、とサトルが聞くと、
ご主人様のご機嫌が麗しい時はね。
しかし一旦些細な理由で激凛に触れれば、たちまちコロニーごと消滅させられる運命です。奴隷より悪いかもしれない。
そう言うんですね。
化けネズミの立場からすれば最もなことのように感じられます。
そして法廷に立たされたヤコマルは、人間に与えられたヤコマルという名前を否定し、私の名はスクイーラだ、と叫びます。
そしてまた、私たちは人間だ、とも叫ぶんですね。
法廷に集まった人々は、そんなスクイーラのことを嘲笑うんですが、私たちは人間だ。
そのスクイーラの言葉が耳に残っていた先だったんですが、ある日化けネズミに関する気になる文章を見つけて、それについてサトルと会話を交わすことになります。
それによると、化けネズミの祖先とされる裸デバネズミの学名は、ヘテロセファルスグレーバーというもので、ヘテロセファルスはギリシャ語で、異なる頭という意味なんですが、ヘテロという言葉は異なるという意味で、
これはちょうど人間の学名であるホモサピエンスのホモ、つまり同じという意味の逆になるんですね。
そして化けネズミの学名として提案されていたのが、裸デバネズミと人間の学名を組み合わせたようなホモセファルスグレーバーというものだったと言うんです。
そしてもう一つ、化けネズミを漢字で表記した時の化けるという漢字は、人とそのひっくり返った様子を表す部首の組み合わせで、人が形を変えるという意味があると言うんですね。
これらは何を意味しているのか。
1:30:00
そしてさっきの話を受けて、サトルの口からは化けネズミの正体に関する決定的な事実が語られることになります。
化けネズミの遺伝情報を確認したところ、染色体が23対だったとサトルは言うんですね。
裸デバネズミの染色体は30対なので、成り立ちからして全く別の生き物であることを意味します。
ただ、化けネズミの性質のいくつかは裸デバネズミの遺伝子に由来すると考えられていて、ベースになった生き物が別にいるのではないかということなんですね。
そして染色体が23対ある生物というのは人間以外にはオリーブくらいしかなくて、
つまり化けネズミは重力を持たない人間に裸デバネズミの遺伝子を組み込んで作られた生物なのではないかとサトルは言うんですね。
なぜそんなことをする必要があったのか。
その理由としてはこういうふうに説明されています。
重力を持った人間に攻撃抑制と騎士機構を組み込んだために、
重力を持つ人間は持たない人間を攻撃できないにもかかわらず、
重力を持たない人間は逆に重力を持った人間を攻撃することができる。
そういう逆転現象が起きてしまい、重力を持つ人間の優位性が危うくなってしまった。
そのため重力を持つ人間の優位性を維持するために、
重力を持たない人間に裸デバネズミの遺伝子を組み込んで落としめることで、
重力を持った人間から見て同族とは認識できないようにして、
騎士機構の発動を回避し、重力を持った人間が持たない人間を
引き続き支配できるようにしたかったのではないか。
そういうサトルの見解が述べられるんです。
ここに至るまでにサキやサトルは多くの化けネズミを重力によって葬ってきました。
正当防衛であり、やむを得ずという状況下でのことだったんですが、
化けネズミを殺めたことによってサキたちの騎士機構は発動することはありませんでした。
それは化けネズミが元々は人間であったということを聞いても信じられないほど
人類とは違う異様な姿をしていたからだったんですね。
1:33:02
ヤコマルが仕掛けた戦いは、重力を持つ人間にとっては化けネズミの反乱ということになるんですが、
化けネズミの側からすれば、重力という悪魔の力を使って自分たちを支配しもてあそぶ人間への復讐であり、革命だったわけです。
マリアの子供のことを化けネズミたちはメシア、つまり救世主と呼んでたんですが、
その呼び方にはそういう思いが込められていたんですね。
物語の最後にサキはスクイーラの元を訪れます。
スクイーラは重力によって体を変形させられ、永遠の苦しみの中で生き続ける無限地獄の刑に落とされていたんですが、
サキは重力によってスクイーラを安楽死させました。
サキの両親もスクイーラが仕掛けた戦いの中で命を落としているんですが、それでもサキはスクイーラを解放するんです。
今かかっているこの曲、ドヴォルザークの新世界よりという曲の第二楽章で、日本では家路、遠き山に日は落ちてという歌詞付きの相性化として多くの人に愛されてきました。
今回ご紹介してきた新世界よりという作品のタイトルもこの曲から来てるんですよね。
作品中この家路は前人学級の下校のテーマとして流れることになります。
原作小説の最終章であり、アニメ版第24話のサブタイトルでもある、
闇に燃えし篝火は、という言葉もこの家路、遠き山に日は落ちての歌詞から引用されていたりもします。
作品の要所要所、印象的な場面でこの曲が流れるんですよね。
愛切な響きを持った心に染みる名曲ですよね。
1:36:01
長時間に渡り、新世界よりについてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。
強大な力である重力に振り回され、それでも懸命に生きる人々の姿を描いたこの作品。
平穏な世界のためにといって異分子とされた人を社会から排除したり、
重力を持たない人間をバケネズミに変えてしまうという、
人間の罪深さ、愚かさが非常に鋭くえぐり出すように描写されていました。
アニメ版と原作小説を読んでみて、深い感銘を受けました。
そしてまた、新世界よりではボノボノ作る愛の社会とか、裸でバネズミとか、
いろんな生き物の生態や生物学に関するトピックが作品のスパイスとして盛り込まれていて、
これは作者の岸祐介さんが、生物学について深い知識と関心をお持ちということから来ているんですが、
この辺りも面白く読むことができるかと思います。
新世界よりについて、増坊さんが工業高校農業部でお話しされていたことをきっかけに、
今回の特集に至ったわけなんですが、
一人でも多くの方にこの作品の魅力を伝えたい。
できれば実際に新世界よりを見たり読んだりしてもらえたら嬉しいなぁと思って特集をさせていただきました。
増坊さんから受け取ったバトンを今回の特集を通じて、
一人でも多くの方に受け取ってもらえたら嬉しいです。
アニメ版はDEアニメストアなど各種配信サービスで見ることができますので、
ぜひぜひチェックしていただければと思います。
そして今回の収録中にちょうど増坊さんがXのアカウントで、
ご自身の農園のために建設を進められていたビニールハウスが完成したというポストをされてまして、
いやぁ増坊さん本当にビニールハウス完成改めておめでとうございます。
お疲れ様でした。
ヘルプに行かれていた牛若さんも本当にお疲れ様でした。
このビニールハウスに関しては工業高校農業部の方で何度かエピソードとしてお話しされていたんですが、
工期が短い中2月末までに完成させなければいけないということで、
牛若さんもお手伝いされていてお二人の関係性にほっこりさせてもらってたんですが、
1:39:03
その完成のタイミングにかぶせようという意図はなかったんですが、
結果的には増坊さんのビニールハウス完成お祝いとして、
このリクエスト回をお届けできたかなぁなんて勝手に思ったりしています。
セミラジオではお便りを募集しています。
Xのハッシュタグセミラジオや概要欄のフォームからお送りいただけると嬉しいです。
また今年はトキメキメモリアル30周年ということでお便りを募集しております。
30周年への思いやトキメキメモリアルや派生作品に関することでしたら、
何でも結構ですのでお送りいただけると嬉しいです。
今日は1000年後の未来を描いたSF超大作、新世界よりについてお話しさせていただきました。
長時間のご視聴ありがとうございました。
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