世界から見る日本へ、ようこそ!
グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、皆さんは日本の世界にどう見られていると思いますか?
この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、各国はどうなのかといったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有していきます。
番組のお相手は、海外在住歴30年以上、現在オランダに住むゆきです。
今回のテーマは、海外に住みながらにして、子供の日本語教育に取り組む多くの親御さん達への応援歌。
そして、海外に住みながら、自分の子供に日本語を教えることがいかに大変か。
そして、海外で日本語教育を取り巻く環境はどのようなものがあるか、という点を日本にいる皆さんにも知っていただきたいと思い、
題して、娘よ、日本語を話してくれてありがとう、全編ということでお話ししていきたいと思います。
私は現在オランダに住んでいて、国際結婚をしています。
長女が17歳の高校3年生で、次女が11歳の小学校5年生です。
うちの旦那さんはオランダ人です。
私は子供と話すときは徹底して日本語を話していて、旦那さんと話すときはオランダ語です。
家族4人で話すときは、私と子供たちは日本語で話し、私や子供たちが彼と話すときにはオランダ語という基本の形で、
彼が私と子供たちの日本語会話についていけなさそうなときにはオランダ語で補足するみたいな形です。
旦那さんは日本に住んでいたこともあるので、簡単な日本語のやりとりはできます。
私はですね、妊娠したときに絶対自分の子供とは日本語で話したいという強い願望がありました。
でも現実として住んでいる国はオランダで、周りの家族や友達はほとんどオランダ語で話しています。
私たち家族は今のところ日本に移住する予定はないので、子供たちはオランダの保育園、学校に通うことになるし、子供たちの生活基盤はオランダという現状です。
そういう中で子供が日本語を話せるようになるかどうかは、私の努力次第、私の画家にかかっているという感覚がすごくあったのを覚えています。
これは人それぞれ考え方が違いますし、もちろん国際結婚をしている日本人全てが子供と日本語を話しているわけではないと思います。
これについては子供と日本語を話したいという私のようなケースの方もいれば、
例えば英語圏に住んでいる方は、英語が世界の共通語なので子供との会話も英語でもいいとか、
あるいはお子さんに何か障害などあってその負担が大きいため、あえて言語については日本語教育を目指すわけではなく、
現地の言葉を使ってコミュニケーションをとるとか、また他にも自分は日本語で子供たちに話し、
子供たちも日本語は理解できるけど、その子供たちから発せられる言葉はオランダ語だとか、
本当に様々なケースがあって、当然ながらこれが正解というものが全くない世界です。
私は言葉はツールだと思っているので、どの言語であってもしっかりと一つの言語をマスターして、
色々な情報を理解できて、自分の意見、考えなどを構築して発信できる言語があることが大切で、
あれもこれも全て習得しなければならないということは思ってはいません。
特に今はやっぱりAIの発達によって英語ができなくても、AIを使って簡単に翻訳したり、
自分の考えを世界に発信することも問題なくできます。
将来はもしかしたらAIとかテクノロジーの発達によって自分が悲しいなと思ったら、
その気持ちを言語化する必要もなく、何らかの気持ちの波動なんかで、
あえて悲しいという気持ちが勝手に伝わるという世の中になるかもしれません。
なので、そんなに日本語にこだわる必要もないのかなという気持ちもあります。
そういうことがいろいろ頭ではわかっていても、純粋な感情論でしかないのですが、
私個人は自分の子供とは日本語で話したいという気持ちが強くあったし、
私が親として子供たちに与えられるのは日本語、日本文化しかないとも思っていました。
考えてみれば、もちろん他にいろいろ与えることはできると思うんですね。
例えば人に礼儀正しくとか優しくせするとか、自己肯定感を高めるとか、失敗を恐れないで挑戦するとか、いろいろなことがあると思うんですけれども、
このオランダという環境の中で、親として私しかできないことって言われたら、
やはり日本語、日本文化を子供たちに伝えることだと私は思ったんですね。
ここまでの話を聞いて、なんでユキさんそんなに力んでいるの?みたいな。
ユキさんがお母さんとして日本語を話せば、子供は自然と日本語ができるようになるでしょう?って考える方もいらっしゃるかもしれません。
でも違うんです。そんな簡単じゃないんです。
うちの子供たちのように、オランダという国で生活をしながら、私以外からはほとんど日本語を聞かない。
日本語を目にすることもほとんどないんです。
こういった多言語環境、父親はオランダ人、母親は日本人、今大きくなったので、長女なんかは英語やドイツ語、フランス語などを習っていますが、
こういった多言語環境で育つ子供は、母親がいくら母国語である日本語を話しても、必ずしも日本語は習得できるわけではありません。
だって想像してみてください。
日本という国で見るもの聞くものすべて日本語、基本通う学校も日本語、その中で家族一人だけがフランス語を話し続けたら、その子供はフランス語を話せるようになると思いますか?
フランス語が話せるようになる子もいるとは思いますが、それは努力なしで自然と自動的にそうなっていくということとはわけが違います。
そう考えると、私が週5日でフルタイムで働いていたら、子供たちはオランダ語の保育園に朝から晩まで通うことになって、
唯一日本語を話せる私から日本語を聞く時間は圧倒的に少なくなると思ったこともきっかけで、私は授業を始めることにしました。
自分で授業を立ち上げることで、仕事や働く時間などの選択の自由が実現したという部分もあります。
でも授業を立ち上げる前は、私は2年間専業主婦をしていたんですね。
というのも、長女が生まれた最初の2年間は、日本にいる母の病気もあって、日本とオランダを何度も自然に往復する必要があったことに加えて、
当時勤めていた会社がドイツに移転することもあって、会社を辞めて専業主婦をしていました。
だから最初の2年間は、子供と私で日本に行ったりなどをして、ある意味日本語にあふれた日常を過ごしていました。
じゃあこの期間、長女が通えた日本語幼稚園がオランダにあるかというと、あるんです。
チューリップ学園という日本語の幼稚園がオランダには1つあります。
うちは先ほども言ったように、当時母の病気があり、日本とオランダの往復で忙しかったので、長女はこちらにはお世話にならなかったのですが、
2、3歳児が9時15分から1時40分まで、月間、木、金の週4日通える幼稚園があります。
これがチューリップ学園なんですけれども、このチューリップ学園では他にも3、4、5歳児が全日制、週5日で朝9時15分から午後2時15分ぐらいまで通えるコースもあって、
その他、この全日制とは別に、現地の幼稚園に通っているけれども、日本語にも少し触れさせたいという親御さんの子供たちのために、週1回登園できるコースも提供しています。
またその他にも、このチューリップ学園の入園を希望されている未就学児のプレイグループ、これはチューリップ学園の多目的ルームだったかな?
を使って、保護者次第で週1回、月曜日、9時半から11時まで活動するといったプレイグループもあります。
このように、オランダでたった一つしかないんですけれども、日本語幼稚園があるのは、日本語で子育てをしたいという保護者にとってはすごく大きいと思います。
世界では日本語幼稚園がある国は、調べたところ、ヨーロッパではオランダの他に、ドイツ、イギリス、ハンガリーなどがあり、アジアではシンガポール、インドにもあるようで、
もちろん、アメリカにもこのような幼稚園が週によってはあるということです。
だから、小さいお子様を抱えて旦那さん、あるいは奥様の駐在に帯同する場合には、このような幼稚園がある国に駐在する場合には、少し心強いということもあるかと思います。
そしてこのチューリップ学園は、日本政府からの直接的な補助金はないものの、在オランダ日本大使館、在オランダ日本商工会議所、オランダの公的機関から補助などがあるようです。
こういう点においても、改めて世界の小国ではなく、日本という国に生まれて、それなりの経済力がある国で、日本企業が世界中にあり、日本以外でも日本語教育が受けられるという状況に感謝の気持ちがあります。
そういうわけで、当時長女が2歳になる頃まで、日本に例えば3ヶ月長女と行って、その後オランダに帰ってきたりと、母が膵臓癌を患っていたので、その心配と初めての子育てなど、いろいろな不安を感じながら、当時日々を過ごしていました。
でもそんな中でも、娘と過ごす時間は多くとれたので、必死に日本語で語りかけ、歌を歌ったり、本を読んだりと頑張っていました。
しかし、その際、オランダ人の義理の母から、ユキ、そんな日本語で子供に話しかけていたら、子供はオランダ語を話せなくなっちゃうんじゃない?オランダにいるのだから、オランダ語で話しかけた方がいいと思う。
というような趣旨で、具体的な言葉は覚えていないんですけど、そんなようなことを言われて、私はえーって、何?みたいな思って、こんなに今は自分の母親が亡くなるかもみたいな時で、私はとても不安な気持ちを抱えているのに、義理のお母さんはどうしてこのタイミングでそんなこと言うの?みたいな気持ちが発生して、
彼女の言葉にびっくりしたんですね。えっとね、それじゃあ、私は自分の子供にオランダ語を話せってこと?って、そんなの嫌だ?みたいな。それは自分で想像できないと。
自然に日本語が出るし、私が日本語を教えなかったら、誰が教えるんだ?みたいな怒りみたいのもあって、うーん、そうですね。その後、この出来事を冷静に振り返れば、義理の母にとって私の長女は初孫だったんですね。
で、たまたまギリの母とそのような話があった時は、こういう時に限って旦那さんがいなくて、彼が帰ってきた時に私は自分の気持ちをこんなこと言われたみたいな悔しいみたいなことを彼にぶつけて、
幸いにも彼は私のさっき言った気持ちとかも理解しているので、そうだよねって、自分の母親はそういう文化が異なる人と深く付き合ったことがないから、知らないからそういう発言になったんだろうねって。
その通りですよね。知らないですよね、確かに。日本でも最近少しずつ外国人が増えてきていると思います。
語に入れば語に従いという言葉がある通り、その国に移住することを選んだのであれば、その国の文化、言葉などを学んだ方が理解が深まることは間違いありません。
日本に住む外国人も日本語を話せたら、日本での生活を味わうことができるのですが、だからといって彼らが同胞の人たちと母国語を話すことをけむたがったり、
彼らが自分たちの文化を維持しながら生活していることに迷いを潜めたりというのは、気持ちはわからないでもないのですが、それは自分たちがその立場に立ったことがないから、どんな気持ちで生活しているのか知らないということだと思います。
例えば、なんだか最近、うちの近くではインド料理屋ばかりできて、インド人が多くて、インド人に家を貸したらスパイスの匂いがしみついて大変とか、いろいろそういう外国人に対する何気ないコメントがあると思います。
その一方、日本人は日本を離れて外国に行くと、日本食材店を求め、お米や味噌や醤油やみりんが買いたいと、日本語教育をしてくれる幼稚園がないと駐在しにくいとか、周りに日本人が多く住んでいる場所はどこだろうとか、探すと思うんですね。
それと同じことを外国人が日本ですると、あの外国人がとなるのもちょっと筋違いかなって私は思います。
これはやっぱり私の義理の葉と同じで、知らないことによる何気ない一言や反応であり、もし自分がその立場であったらっていう想像力が足りないのかなと思います。
話を元に戻すと、その後残念ながら母は亡くなって、私もそう長い滞在でオランダと日本化を行き来することができなくなって、長女もオランダの保育園に週2日、3日預けて仕事を始めました。
子供が3、4歳とかになると、ベネッセコーポレーション、ベネッセがとりあえず扱っている幼児教材、シマジロウなどを購入して、シマジロウのDVDと教材、毎月ついてくるおまけなんかで遊んだりしながら、できるだけ日本語に触れる時間を作っていました。
当時は日本特有のお友達と遊ぶときは、滑り台もブランコも順番待ちねっていうしつけから、3月にはひな祭り、単語の節句には恋のぼり、などなかなか自分一人では伝えきれない日本の季節の行事なども、シマジロウとベネッセ教材、プラスDVDに随分お世話になりました。
この間、今まで子供たちが使ったベネッセのシマジロウの教材を、日本人がよく来るフル本市で出したんですが、あっという間に売れました。やはりそれだけ海外に住む日本人家庭に需要があるんだなって思いました。
長女が4歳になると、彼女はオランダの小学校に通い始めました。オランダは日本でいう幼稚園の年中と年長さんと小学校の6年間が合体している8年生で、長女は4歳からオランダの小学校に通い始めました。
そうすると日本語と触れる機会は主に、私と私が読む長崎の童話館からの絵本とシマジロウと、たまに私が日本人のお友達とそのお子さんとのプレーデートっていう感じの日本語での日々が続いていました。
この時点で長女はもちろんオランダ語も同じ年齢のオランダ人の子供と遜色がない形で話せましたし、日本語って言うとどうだったんだろうな、日本人の4歳ほどではなかったかもしれませんが、私が日本語で話したことはしっかり日本語で返してきてくれるっていう感じでした。
したがって、先ほど切りの母親の心配であったオランダ語が話せなくなるんじゃないかっていうことは全くなかったっていうことです。
そして5歳になると月曜日から金曜日までのオランダ小学校に加えて土曜日に日本語補習授業校プリクラスっていうものがあって、確か当時は9月頃からそれを受けるようになったのかな。
このプリクラスっていうのは、やっぱり子供たちが海外に住んでいるため、小学校1年生を前にしっかり日本語で聞く、話す、読む、書くを学習して、日本のいろいろな行事に触れて日本文化を体験する教室ということで、
小学生に必要な学習態度、学校生活、決まりとかを身につけるということに重点が置かれて、小学部への進学はスムーズに進むように指導を受ける、小学生活と学習になれるプリ機関っていう感じですかね。
うちの子供たちはアムステルダム日本語補習授業校に通いました。小学校5年生の次女はまだ通っていて、オランダではアムステルダムの他にデンハーグロッテルダム校、ティルブルグ校、マーストリッヒット校と全部で4つの補習授業校があります。
この日本語補習授業校っていうのは、平日にオランダの学校、またはインターナショナルスクールに通う子供が日本語を学ぶために通っている学校で、日本語が理解できることが入学の前提となっていて、
いずれの日本語補習授業校でも多少時間差はあるものの、毎週土曜日朝9時半から15時半頃まで通うという感じです。
やはり週1回土曜日の授業で日本の年間学習をすべて網羅するのは無理なので、授業は主に国語と算数が中心で、社会が少しって感じかな。理科なんて教科書を開くこともありません。
したがってこちらの日本語補習校に通う子供は、週6日学校に通い、日曜日だけが休みという状況です。だから本当に子供たちにとっても結構大変で負担が大きいです。
幸いにもオランダの学校というのは、6週間ごとに1週間あるいは2週間の休みがやってくるんですね。その他に長い夏休みがあるといった感じです。
だから6週間頑張っていれば少しは平日は落ち着く時間が来るんですけれども、土曜日の補習校はオランダの6週間ごとに休みがやってくるとかそういうのとは全く関係なく、夏休みと冬休み以外は毎週あります。
子供たちにとっては土曜日っていう日は、お友達の誕生日パーティーや習い事の試合、発表会などがあったりで、それに参加できず、学校に通わなければいけない日本語を学ぶ子供たちは本当に大変です。
日本語補習授業校で次の学年に進級するには一定の出席数が必要なので、何かあるたびに休むということもできませんし、休むと授業も週1回だけなのでどんどん進んでいって、それもかなり厳しいと。
それでも、うちの子供たちは大切なお友達の誕生日パーティーがある場合には補習授業校を早退させるとかしながら、子供たちが楽しみにしている土曜日のイベントはできるだけ活かせながら補習校にも通わせていました。
では、どのくらいの数の子供たちがこの週1の補習校というものに通っているかというと、アムステルダムの補習授業校の場合、小学部と中学部を合わせて生徒数が210名ほどです。