1. 青空文庫朗読する人
  2. 鶴と鶯 /槇村浩
2024-01-26 08:47

鶴と鶯 /槇村浩

spotify apple_podcasts youtube
作品名:鶴と鶯
著者:槇村浩

図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/001585/card54236.html

青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html

ブンゴウサーチ for Kids:https://bungo-search.com/juvenile
00:04
鶴とうぐいす 槇村浩
よく昔から 梅にうぐいす
松に鶴と申します。 これはあるところのお話です。
近頃は日本付近にあまり鶴がいないので 珍しいものです。
これは朝鮮とシナとの境の山奥に 珍しくも狩人などの手を逃れて
命をつないでいる一羽の鶴があります。 一度は日本見物をしたいという考えで
早速用意に取り掛かり 花の都の東京
さして 東海道をまいちもんじに
東の方へと飛んでいったが 地図で見ると小指でつぶせるが狭いようでも広いところ
とうとう道を踏み違えて 東京へ行くはずであったのが
わらぶきの家の並んでいる 田舎の奥の山また山のところへまで来てしまった
ではこの山で少し休もう
と 中へ中へと登っていくと
今まで聞いたこともない微妙な音楽が耳に入ってくる
はてな おかしいぞ
よく見れば 古事記のようなみすぼらしい姿をした
一人の鳥がバイオリンを弾いていた 鶴は
あなたは非常にバイオリンがお上手だ 名前は何と言われます
03:04
ウグイスは恥ずかしげに いいえ
下手で仕方がありません 名は
ウグイスと申します では
あなたは噂に聞いたウグイスさんですか 私は朝鮮とシナの山奥から
日本は花の都の東京見物に来て 道を踏み迷ってこんなところへ来たのでございます
どうかこれからお心安く とうとう二人は大の仲良しになって
ウグイスは梅を言えとし 鶴は松を飼って住んでいました
ある日 ウグイスは
時に鶴さん 私は東京見物に行きたいんだが
噂に聞けば東京はここから南へ30里 すれば
8日か9日で行き来もできる なんと鶴さん
一緒に行かないかい と言います
鶴はすぐに ああ
良いとも良いとも では早く支度に取り掛かろう
と この二羽は
南へ差して 3日4日で
とうとう東京へ着きました ところが
鶴は体が大きいので 来るとすぐに
捕まえられてしまいました 捕まえた人は
鶴を庭の木へ吊るして その家の人と
翌朝は鶴を料理して食べようと相談しています さても一方
ウグイスは 鶴が捕らえられたのを見て
こっそり後をつけて行き これを見届けて
06:07
家とは言うばかりの巣に 一人痛める胸の中
やがて旗と膝を打ち 何を持ったか夕方の
鐘が鳴るのを合図とし 彼の家の庭に
こっそり忍び込み 方法家居
方法家居 鶴はめでたい今自分
これを殺して食べるとは 情を知らぬ人々だ
鶴は許してやるがいい 殺せば三代たたるぞよ
と 繰り返して何遍も歌いました
これを聞いたのは この家の下難
急いで主人へ告げると 主人も驚き
耳を澄まして聞いてみれば 何ほどその通り
これはいかぬ なるほど
わしが悪かった 鶴はめでたい今自分
ああそうだ 鶴は許してやるがいい
鶴にはちょうど似合う 鶴の一声
鶴はめでたく許されて 家に帰って
ウグイスの友情写真 東京見物はコリコリだと
元の田舎の山へ帰り 二人仲良く暮らしましたが
鶴はいつも 人に語りました
良い友達を持っているものは 幸福である
08:47

コメント

スクロール