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  2. 白雪姫③/グリム兄弟
2025-05-23 18:48

白雪姫③/グリム兄弟

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作品名:白雪姫
著者:グリム兄弟
訳:菊池寛

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BGMタイトル: そりのこし
作者: もっぴーさうんど
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7・15・23・31日更新予定

#青空文庫 #朗読 #podcast

サマリー

白雪姫が七人の小人の家に逃げ込んだ後、小人たちは彼女を優しく迎え入れ、彼女は家の仕事を手伝います。しかし、悪い女王は白雪姫が生きていることを知り、再び彼女を殺そうと計画を立てます。

小人たちの発見
日が暮れて、あたりが真っ暗になった時に、この小さなうちの主人たちが帰ってきました。
その主人たちというのは、七人の小人でありました。
この小人たちは、毎日山の中に入り込んで、金や銀の入った石を探して、
より分けたり、掘り出したりするのが仕事でありました。
小人は、自分たちの七つのランプに火をつけました。
すると、家の中がぱっと明るくなりますと、誰かがその中にいるということがわかりました。
それは、小人たちが家を出かけた時のように、いろいろのものがちゃんと置いてなかったからでした。
第一の小人が、まず口を開いて言いました。
誰か、わしの椅子に腰をかけたものがあるぞ。
すると、第二の小人が言いました。
誰か、わしのお皿のものを少し食べたものがあるぞ。
第三の小人が言いました。
誰か、わしのパンをちぎったものがあるぞ。
第四の小人が言いました。
誰か、わしの野菜を食べたものがあるぞ。
第五の小人が言いました。
誰か、わしのフォークを使ったものがあるぞ。
第六の小人が言いました。
誰か、わしのナイフで切ったものがあるぞ。
第七の小人が言いました。
誰か、わしの杯で飲んだものがあるぞ。
それから、第一の小人が方々を見回しますと、
自分の寝床がくぼんでいるのを見つけて、声を立てました。
誰か、わしの寝床に入り込んだのだ。
すると、他の小人たちが寝床へ駆けつけてきて、騒ぎ出しました。
わしの寝床にも誰かが寝たぞ。
けれども、第七番目の小人は自分の寝床へ行ってみると、
その中に入って眠っている白雪姫を見つけました。
今度は第七番目の小人がみんなを呼びますと、
みんなは何が起こったのかと思って駆け寄ってきて、
びっくりして声を立てながら、
小人は七つのランプを持ってきて白雪姫を照らしました。
おやおやおやおや、なんてこの子はきれいなんだろう、と小人は叫びました。
それから小人たちは大よろこびで白雪姫を起こさないで、
寝床の中にそのままそっと寝させておきました。
そして七番目の小人は一時間ずつ他の小人の寝床に寝るようにして、
その夜を明かしました。
女王の恐ろしい計画
朝になって白雪姫は目を覚まして、七人の小人を見て驚きました。
けれども小人たちは大変親切にしてくれて、
お前さんの名前は何というのかな、と尋ねました。
すると、
私の名前は白雪姫というのです、とお姫様は答えました。
お前さんはどうして私たちの家に入ってきたのかね、と小人たちは聞きました。
そこでお姫様は、
ママ母が自分を殺そうとしたのを狩人がそっと助けてくれたので、
一日中駆けずり回ってやっとこの家を見つけたことを小人たちに話しました。
その話を聞いて小人たちは、
もしもお前さんが私たちの家の中の仕事をちゃんと引き受けて煮た気もすれば、
男も延べるし洗濯も縫い物も編み物もきちんときれいにする気があれば、
私たちはお前さんを家に置いてあげて何にも不足のないようにしてあげるんだが、
と言いました。
どうぞお願いします、とお姫様は頼みました。
それからは白雪姫は小人の家にいることになりました。
白雪姫は小人の家の仕事をきちんとやります。
小人の方では毎朝山に入り込んで金や銀の入った石を探し、
夜になると家に帰ってくるのでした。
その時までにご飯の支度をしておかねばなりませんでした。
ですから昼間は白雪姫はたった一人で留守をしなければなりませんので、
親切な小人たちはこんなことを言いました。
お前さんのママハハさんに用心なさいよ。
お前さんがここにいることをすぐ知るに違いない。
だから誰もこの家の中に入れてはいけないよ。
こんなことは少しも知らない女王様は、
狩人が白雪姫を殺してしまったものだと思って、
自分がまた第一の美しい女になったと安心していましたので、
ある時鏡の前に行って言いました。
鏡や鏡、壁にかかっている鏡よ、
国中で誰が一番美しいか言っておくれ。
すると鏡が答えました。
女王様、ここではあなたが一番美しい。
けれどもいくつも山越した七人の小人のうちにいる白雪姫は、
まだ千倍も美しい。
これを聞いた時の女王様の驚きようと言ったらありませんでした。
この鏡は決して間違ったことを言わないということを知っていましたので、
狩人が自分を騙したということも、
白雪姫がまだ生きているということもみんなわかってしまいました。
そこでどうにかして白雪姫を殺してしまいたいものだと思いまして、
また新しくいろいろと考え始めました。
女王様は国中で自分が一番美しい女にならないうちは、
妬ましくてどうしても安心していられないからでありました。
毒の串の事件
そこで女王様はおしまいに何か一つの計略を考え出しました。
そして自分の顔を黒く塗って、
年寄りの駒物屋のような着物を着て、
誰にも女王様とは思えないようになってしまいました。
こんなふうをして七つの山を越えて、
七人の小人のうちに行って、
トン、トン、トンと叩いて言いました。
良い品物がありますが、お買いになりませんか。
白雪姫は何かと思って窓から首を出して呼びました。
こんにちは、おかみさん。何があるの。
上等な品できれいな品を持ってきました。
いろいろ変わった締め紐があります。
と言って、いろいろな色の絹糸で編んだ紐を一つ取り出しました。
白雪姫は、この正直そうなおかみさんなら、
うちの中に入れても構わないだろうと思いまして、
戸を開けてきれいな締め紐を買い取りました。
お嬢さんにはよく似合うことでしょう。
さあ、私が一つよく結んであげましょう。
と年寄りの駒物屋は言いました。
白雪姫は少しも疑う気がありませんから、
そのおかみさんの前に立って、新しい買い立ての紐で結ばせました。
すると、その婆さんは素早くその締め紐を白雪姫の首を巻きつけて、
強く締めましたので、息ができなくなって、死んだように倒れてしまいました。
さあ、これで私が一番美しい女になったのだ。
と言って、ママ母は急いで出て行ってしまいました。
それから間もなく日が暮れて、七人の小人たちが家に帰ってきましたが、
かわいがっていた白雪姫が地べたの上に倒れているのを見たときには、
小人たちの驚きようと言ったらありませんでした。
白雪姫はまるで死人のように、息もしなければ動きもしませんでした。
みんなで白雪姫を地べたから高いところに連れて行きました。
そして、喉のところが固く締め付けられているのを見て、
小人たちは締め紐を二つに切ってしまいました。
すると少し息をし始めて、だんだん元気づいてきました。
小人たちはどんなことがあったのかを聞きますと、
姫は今日あった一切のことを話しました。
その小魔物うりの女こそ、鬼のような女王に違いない。
よく気をつけなさいよ。
私たちがそばにいないときには、
どんな人だって家にいれないようにするんですよ。
と、悪い女王の方では家に帰ってくると、
すぐ鏡の前に行って尋ねました。
鏡や鏡、壁にかかっている鏡よ、
国中で誰が一番美しいか言っておくれ。
すると鏡は正直に前と同じに答えました。
女王様、ここではあなたが一番美しい。
けれども、いくつも山越した七人の小人のうちにいる白雪姫は、
まだ千倍も美しい。
と、このことを女王様が聞いたときには、
体中の血がいっぺんに胸に寄ってきたかと思うくらい驚いてしまいました。
白雪姫がまた生き返ったということを知ったからです。
だが、今度こそはお前を本当に殺してしまうようなことを工夫してやるぞ。
そう言って、自分の知っている魔法を使って、
一つの毒を塗った串をこしらえました。
それから女王様は身なりを変え、前とは別なおばあさんの姿になって、
七つの山を越え、七人の小人のところに行って、
トントンと戸をたたいて言いました。
良い品物がありますが、お買いになりませんか。
白雪姫は中からちょっと顔を出して、
さあ、あっちに行ってちょうだい。
誰もここにいれないことになっているんですから。
でも、見るだけならかまわないでしょう。
おばあさんはそう言って、毒のついている串を箱から取り出し、
手のひらにのせて高く差し上げて見せました。
ところが、その串が馬鹿に白雪姫の沖に入りましたので、
その方に気を取られて、思わず戸を開けてしまいました。
そして、串を買うことが決まったときに、おばあさんは、
では、私がひとつ、いい具合に髪をといてあげましょう。
と言いました。
かわいそうな白雪姫は、何の気なしに、
おばあさんの言うとおりにさせました。
ところが、串の歯が髪の毛の間に入るか入らないうちに、
恐ろしい毒が姫の頭に染み込んだものですから、
姫はその場で気を失って倒れてしまいました。
いくらお前がきれいでも、こんどこそおしまいだろう。
と、心のまがった女は、きみの悪い笑いを浮かべながら、
そこを出て行ってしまいました。
けれども、ちょうどいい具合に、すぐ夕方になって、
七人の小人が帰ってきました。
そして、白雪姫がまた死んだようになって、
地べたに倒れているのを見て、すぐ、
ママハハの仕業と気づきました。
それで、方々姫の体を調べてみますと、
毒の串が見つかりましたので、
それを引き抜きますと、すぐに姫は息を吹き返しました。
そして今日のことを、すっかり小人たちに話しました。
小人たちは、白雪姫に向かってもう一度、
よく用心して、決して誰が来ても、
扉をあけてはいけないと注意しました。
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