2024-03-27 18:20

【1-2】男脳・女脳の歴史〜なぜ"男脳優位"を証明しなければならなかったのか〜古代ギリシアから20世紀まで!【RADIO Kitsch 脳とジェンダー編2】

男女の脳の性差はいつから説明されてきたのか?そして、なぜ”男脳優位”の解釈しか登場しなかったのかを、古代ギリシアまでさかのぼり、一緒に見ていきましょう!




【今回の内容】

"結論"以外が矛盾する/なぜ男脳優位を示さなければならなかったのか/崇高な機関を求めて/ある指標では男が勝り、別の指標では女が勝るだけ/脊髄ま!?/脳部位の比較研究が始まる




【参考文献】

アンジェラ・サイニー『科学の女性差別とたたかう 脳科学から人類の進化史まで』東郷えりか訳、作品社、2019年

サイモン・ルベイ『脳が決める男と女 性の起源とジェンダー・アイデンティティ』新井康允訳、文光堂、2000年

ダフナ・ジョエルほか『ジェンダーと脳』鍛原多恵子訳、紀伊国屋書店、2021年

ポーラ・J・カプランほか『認知や行動に性差はあるのか』森永康子訳、北大路書房、2010年

リーズ・エリオット『女の子脳 男の子脳 神経科学から見る子供の育て方』竹田円訳、NHK出版、2010年

新井康允『男脳と女脳 こんなに違う』河出書房、1997年

竹内謙彰「空間能力の性差は生得的か?」『心理科学』第16巻第2号(1994)

田中冨久子『脳の進化学 男女の脳はなぜ違うのか』中公新書ラクレ、2004年




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■三嬉雪蘭(STUDIO Kitsch)

武蔵大学人文学部在学。好きな科目は世界史。

実は専攻はジェンダー研究ではないのだが、好きすぎるがあまりラジオを始めてしまった。




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00:01
おはようございます。スタジオキッチュの三木裕蘭です。
さあ、前回からの続きでございます。前回はですね、導入かな?
男性の女性脳が存在するのか、それを示してきた研究の歴史を見ていきましょう、というふうに言いました。
今回は、実際に歴史を見ていくところからですね、見ていくのは男の女脳の歴史です。
男の女脳というのが、これまでどのように言われ続けてきたのかというのを見ていきたいと思います。
まず早速ですけど、20世紀に登場した男の女脳について、
言説、解説を2つだけ比べて紹介してみたいと思います。
2つの解釈があってですね。
1つ目はですね、女性の空間能力が劣っているのは、空間課題に対して脳半球を両方とも用いており、
女性の空間能力が劣っているのは、空間課題に対して脳半球を両方とも用いており、
女性の空間能力が劣っているのは、空間課題に対して脳半球を両方とも用いており、
この両半球を使う時の情報伝達が妨害となって、能力が劣っている、という解釈が1つ目。
同時期に登場したもう2つ目の解釈。
これは、女性の空間能力が劣っているのは、女性が片方の脳半球しか使わない傾向があるからだ。
より良い成績を上げるには、両半球を使う必要がある。
はぁ?
失礼しました。
というわけでですね、この解釈ですね、どっちも間違ってるというか、互いに相反することを言ってるんですよね。
両半球を使っているから成績が悪いのか、片方しか使ってないから成績が悪いのか。
だいぶ違う、全く異なる相反する意見ですけど、こういう2つが実際に登場していたんですよね。
これについての解説は後ほどちゃんとやりたいと思います。
これから歴史を見ていくんですけど、
まず初めにですね、これからですね、男の女の歴史を古代ギリシャまで遡って見ていきます。
この歴史はですね、ずーっと男の脳の方が優れてて、女の脳の方が優れていない、劣っているという考え方がずーっと主流です。
っていう考え方しか登場されず、どんな研究の結果もそういうふうに解釈されてしまう。
要は男の方が優れてるよねっていう解釈に全部つなげられてしまう。
っていう歴史を見ていきます。
当たり前なんですけど、現代では明らかに的外れな主張とか解釈っていうのは登場するんだけど、
その主張が否定されるところまで必ず見ていきますので、ぜひ最後まで見ていってください。
03:06
古代ギリシャからというふうに言いましたが、何となくですね、段階が置かれていて、それは時代別に置かれていて、
古代ギリシャの時代、古代ギリシャの時代と、その次に来るのがキリスト教の時代ですね。
キリスト教が人間の性質について説明する時代が来る。
で、それがその後科学ロジックに移り変わる。
科学が人間について説明し始めるっていう時代になってきます。
この3つの時代、大きく3区分ですね。
この3区分、どの時代においても、つまり古代ギリシャにおいても、宗教ロジックの時代においても、科学ロジックの時代においても、
通じて全部女性の方が劣ってるっていう風な意見が出てきます。
で、それが脳が劣っているからだ、みたいな意見に繋がっていくっていうのが今回の歴史ですね。
で、じゃあなぜこの男の脳の方が優秀だったのかっていうのを説明したかったのか。
これは大きく考えられる理由が2つあります。
1つ目はですね、まず古代ギリシャのですね、医学者ガレノスという医学者がいたんですが、
この人が言ったことは、清掃っていうのが体の中で最も崇高な機関だという風に考えていたんですね。
だってその清掃は男性にしかないでしょ。
じゃあこれが一番崇高な機関じゃんっていう風に言い切ったんですよ。
で、この崇高な機関が清掃だっていう考えがですね、科学ロジックにすげ変わった時代にも引き継がれ、
17世紀ですね、脳っていうのがあらゆる知性、感覚、知恵が生まれる場所だと判明すると脳が最も崇高な機関だとされたんです。
とすれば、男の脳の方が優秀であることを証明しなければならない。
と言って、男脳の歴史が始まっていくわけです。
そして考えられる理由2つ目はですね、当時の科学者っていうのは基本的には白人男性だったんです。
で、白人男性は自分たちが科学者といういわゆる権威を持った存在である上、
女性とか白人以外の男性に対してあいつらは劣っているという風な認識を当たり前に持っていました。
これはヨーロッパぐらいかな、の科学者が持っていた感覚です。
で、この感覚が科学研究に深刻な影響を及ぼしているんです。
だってそもそもね、彼らが自分たちの方が優れている、自分たち白人男性が優れているっていう風に認識しているからこそ、
白人男性が優れていないような研究を出す過程、そのための過程っていうのは生まれないんですよね。
裏を返せば彼らの立場、その現状維持のための研究しか行われなかったということです。
06:05
当たり前っちゃ当たり前ですけど、こういう科学者たちが自分たちの立場を維持するために、
それの信念にそぐわない研究っていうのはまず生まれなかったということですね。
人間っていうのはそもそもね、私たちも含め、時代と文化の産物に過ぎないんですよね。
なので、その時代とかその文化に違うような、もしくはそれを抗うようなことって非常に難しいということですね。
はい、それじゃあですね、その男の脳の方が優れているんだよということを証明しまくる科学者たちのことを見ていきたいと思います。
まずですね、最初頭蓋骨っていうのが平均して男性の方が大きいっていうのが分かってました。
なので、男性の脳の方が優れているっていう証明は簡単に思われたんですね。
けど、なんか笑っちゃう話なんですけど、頭蓋骨の大きさで言えば人間の男性よりもマッコウクジラの方が大きいわけですよ。
そう、だからこのままだとマッコウクジラの方が優秀だという結論をしなければなりません。
でもですね、当時の科学者はそんな答え求めてないわけですよ。
ということで別の証明方法が頭蓋骨以外の証明方法を模索し始めます。
今度はですね、体に対する脳の大きさ、これを測ってみようじゃないかというふうになります。
つまり子供と大人だったら体に対する脳の大きさ、というか頭の大きさかな、は子供の方が大きいですよね。
体に対する脳の大きさっていう比率を用いてみるんですが、これで男女を比較してみたら、実際は体に対する脳の大きさ、女性の方が大きかったんです。
ですが、これで女性の方が優秀だというふうに結論付けられることは一度もありませんでした。
はい。ね。さっき言った通りでございます。
さらにですね、面白いことに、女性の体に対する脳の大きさっていうこの比率は子供に似ているんだと。
じゃあ女性っていうのは子供に似て知的ではないっていう結論まで登場し始めるんですよ。
何言ってんだお前はって話ですよね。
そして次はですね、次には、これまでは頭蓋骨自体が、頭の大きさは男性の方が大きいっていうのが分かっていたんですが、
今度ですね、脳自体が男の人の方が大きいっていうふうに発見されます。
するとですね、これを皮切りにね、いろんな、今考えるとはちゃめちゃな解釈がどんどんどんどん登場していきます。
09:04
これをね、紹介してみると、例えば、
女性の脳が小さいのは一人に体が小さいからだという人もいるだろう。
それでも平均すれば女性が男性より少々知性に欠けることを忘れてはならない。
この違いを誇張してはならないが、それでもそれが存在することは紛れもない事実である。
これは神経学者のポール・ブローカーという人が言った発言ですけど、
少々知性に欠けることを忘れてならないっていうのは、
これはこの人が言うには、脳が小さいから女性は知的ではないんだな、男性より知的ではないんだなっていうふうに言ってますが、
これね、そもそも女性がいわゆる知性を扱う場、学問の場、学校とかに行かなかったというか、
行く社会ではなかったから知性に欠ける女性が多かっただけであって、
これは生物学的な要因で説明されることではないということですね。
さらにですね、もっと面白いのは、別の人の解釈ですけど、
女性の精神機能が未熟なのは脳が小さいためだと。
この事実は男性に比べて創造性が欠如している点に最も顕著に認められ、
特に高度に知的な仕事において如実に現れる。
これは神経生物学者のジョージ・ロマネスという人が言った言葉ですけど、
女性の精神機能が未熟なのは、
君は主観じゃないかというふうに思いますけど、
別の人の解釈、また違う人では、
女性は脳が小さいので学術研究に携わる知的能力がない。
また、あまり教育を受けすぎると、
思春期の女性では生殖器の発達が妨げられる恐れがある。
これは生物学者のテオドール・ビショフという人が言った言葉ですけど、
全く意味がわからないという話ですね。
こういう解釈が当時の学者によって出されていたということですね。
さらには、男性の脳が優れていることを証明する試みはこの後も行われていて、
例えばいろんな指標を用いていて、
体重に対する頭蓋骨の重量の割合とか、
首から下の骨格に対する頭蓋骨の骨密度、
これを用いて男性の方が脳が優れているよ、
というふうに証明しようとした科学者がたくさんいたわけです。
なんかアホらしいですけど、
実際に登場していたということですね。
さっき紹介したように、
体に対する頭の大きさは女性の方が大きい、
12:01
女性の方が脳が優れている、
というふうに結論付けることもできたはずです。
このようにですね、
ある指標を使えば男が勝り、
ある指標を使えば女が勝るだけなんですよね。
何か絶対的な権威のもとに説明をしているかと思いきや、
一歩も進んでいない状況、
そういうわけですね。
例えば当時あった考え方。
女性は脳が小さいから大学に行くのは無理だ、
みたいな考え方が当時ありましたけど、
違うんですよね。
当時でも現代でも女性の脳が男性より小さい、
平均して小さいことは変わらないことです。
大切なことは、
女性が学問をすることに対する社会規範が変わったんだということ。
脳の大きさは変わりませんが、
こういう社会規範が変わっているということです。
さあそしてですね、時代は進みですね。
19世紀に入ると、脳の各領域に異なる機能があるということが明らかになります。
するとですね、男女の脳の各領域、各部位の比較研究がここから始まります。
で、もう何となく次に何が起こっていくのかだいたい想像ができますよね。
まずですね、研究者たちっていうのは、
知性に重要な働きをする部位がどこかにあると仮定して、
その脳用は、その脳部位っていうのは男性の方が大きいに違いないという仮定の下、
探究を続けます。
ちなみにそんな部位なんか発見されなかったんですけどね。
実際に登場した証明ですね。
これもですね、男性の方が優れてるよっていうことを証明する証明が次々発見され、
まず一つ目ですね、前頭腰が認知機能の役割を担っている。
そして男性の前頭腰の方がより高度に発達している。
っていう説が登場するんです。
前頭腰っていうのはこの脳の部位のことですけど。
ただしですね、この直後、頭頂腰が知性に関係しているんじゃないか説が浮上します。
するとどうなったか、次。
女性の前頭腰はこれまで考えられていたように男性より小さいのではなくむしろ大きい。
とはいえ前頭腰の大きさは知性の高さを意味するわけではなく、
真に重要なのは頭頂腰であるっていう言説が登場します。
手の平くるりんですね。
手の平くるりん言説がここで登場します。
言ってること全く逆ですよね。
男性よりむしろ小さいのではなく大きいみたいなね。
こういうふうにですね、どんどんどんどん立場を変えながら、
15:01
結局言いたいことは男性の方が知的に優れているよっていうのを証明したいだけだということです。
ちなみにですが、これ脳に関係ないんですが、
19世紀にはですね、いろいろな脳部位で男女差がないことが明らかになって、
となるとどうなったかというと、
脊髄の長さを測定し、この脊髄の長さに見られる精査がいかに知性に関係しているかについて
入り組んだ説明を立てた研究者もいるということです。
脊髄の長さを測って、ここに男女差があるからやっぱり男性の方が優れてるよねみたいなことを言い始めた、
エセ科学を言い始めたとんでもない研究者がいるということです。
びっくりしますよね。脊髄の長さを測って。
現時点で分かっていることをまとめると、ここまでいろいろ喋ってしまったのでまとめると、脳自体は平均すると男性の方が大きいですね。
これは当時発見されたことと現代の研究でも変わらないことです。
ただしですね、男性の方が脳質が大きいんです。
脳質っていうのは脳の中央にある液体に満ちた空洞です。
ここは男性の方が大きいんです。皮肉ですね。
知性が脳の一つの部位に依存していないっていうことはもう現在もう明らかになっていることです。
知性っていうのは脳にある膨大な数の部位とそれぞれと関係して知的能力っていうのが定義できるので、
どこか一つの脳部位によって知的の優れていることが決定されているわけではないということですね。
そしてここまで見てきたいろいろな今からするとあまり正確と思えないような実験たち。
こういう実験研究が実際に行われていたんですけど、
次見ていくのはこういう研究たちに意義を唱えた人が実は出てきたんですね。
当時20世紀ですね。20世紀こういう実際に行ってみると、
人間の両反器をつなぐ能量という部分があるんですけど、
ここに男性と女性の差異があって精査があって、
この差異によって女性の空間能力が劣っているんだよ、みたいな研究が当時出たんですけど20世紀ですね。
20世紀に出たんですけど、これが権威ある学術雑誌に掲載されます。
この掲載された論文に対して意義を唱えた一人の科学者がいます。
その人について見ていくのが次回ということです。
ということで次回はこの科学の権威に立ち向かった一人の科学者について見ていきたいと思います。
18:06
今回はここまでです。次回の配信をお楽しみに。
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