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2025-04-20 05:32

【1052】 2025/04/20  「いろは歌」の美しさ #ことば

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2025/04/20

サマリー

イロハ歌の美しさやその意味を探求し、仏教的な無常の考え方が歌に宿っていることを解説しています。また、当時の日本語の姿が音の美しさとしてどのように表れているのかを紹介しています。

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おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。 この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
毎朝更新している声の日記です。 今日も最後までお付き合いください。
イロハ歌の探求
おととい1050回の配信で、「てふはなぜちょう?」というテーマでお話をしたんですが、 このことについて触れていたら、イロハニホヘトでおなじみのイロハ歌が気になりだしちゃったんです。
ということで、今日はイロハ歌について探っていこうと思います。 このイロハ歌、全文をすらすら言えるという人は、どのぐらいいらっしゃるでしょうか?
今はアイウェオ順が当たり前ですが、 昔はイロハ順で辞書だったり名簿を並べていた時代がありました。
全文を当時の表記のまま読み上げますと、 イロハニホヘトチリヌルオ
ワカヨタレソツネナラム ウイノオクヤマケフコエテ アサキユメミシエイモセス
これを現代語に近づけて読みますと、 イロハニホヘトチリヌルオ ワカヨタレソツネナラム
ウイノオクヤマケフコエテ アサキユメミシエイモセス
ニホヘトはニオエド ツネナラムはツネナラム
ケフコエテはキョウコエテと発音しました。 イロハウタはンを除いた当時の47文字の仮名を重複せずに一度ずつ使っています。
つまりすべての文字を使う詩パングラムです。 あれ、アユメオカキクケコって50音標って言いますよね。
今と比べると当時は3文字足りないのかなって思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは違います。
50音標ってアユメオカキクケコ50音って言ってますけれども、数えてみてください。46音です。
50というのは言わば差は読んでいるんですね。 アカサタナハマヤラワで10列あるんです。
10行っていうのかもしれませんが。アイウエオって5つですよね。
だから単純に5×10で50なんですけれども、ヤ行とワ行はそれぞれ2文字ずつ足りないのでマイナス4なんです。
つまり46音ということですよね。 イロハウタ時代は47文字です。
当時はンが使われていないので、ンを入れたとして48文字になっちゃいます。
日本語の音の美しさ
ということは差し引き2文字イロハ時代の方が多いことになります。 じゃあこの多い2文字は何かと言いますと、
ウイノオクヤマノイ。エイモセズノエです。 現在は使われていない表記です。
ウイノオクヤマノイっていうのは見た目はルっぽい文字なんですけど、発音はウイのような音でした。
英語の窓を表すウィンドウのウイと同じ音です。 現在のイとは違う唇をすぼめたウイという音でした。
Wの音が入るということです。 そしてもう一つエイモセズノエ。
これもルに似た形の文字なんですけど、音はウエのように発音されていました。
英語の天気を表すウエだのウエと同じ音です。 現在のエとは違ってやはり唇を丸めたWの形ウエという音でした。
じゃあ当時なぜンが使われていなかったのかというと、多くの場合ムとかヌというように表記されていて、発音も曖昧だったようです。
実際イロハウタが作られた時代、平安末期から鎌倉の初期頃と言われていますけれども、この時代はンというのは五重音図にも含まれていませんでした。
このイロハウタですが、意味をざっくりと訳しますと、花の色が美しく咲いてもやがては散ってしまう。
この世に変わらぬものなんてあるのだろうか。人生という険しい山を今日は越えていこう。
浅はかな夢を見たり、酔って心を惑わせたりしないように。 こういう意味なんですね。
つまりこのイロハウタは、この世は無常だというような仏教的な考え方が根底にある歌なんです。
いやーこのメッセージを全ての文字を使うパングラムにしたというのは天才だなと思います。
さらにこの音の美しさだったり、過去の日本語の姿を今に伝えているのがまた素晴らしいなぁとも思いました。
反省できるとちょっと自慢できるかもしれません。 この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。
それではまた明日。
05:32

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