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2025-10-06 04:49

【1221】2025/10/06 変わらない月、変わる私たちの見方

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2025/10/06

サマリー

中秋の明月を迎える今日、月を楽しむ日本の文化とその変遷について話します。昔の風習から現代のお月見イベントまで、月に対する思いが込められた夜の過ごし方を紹介します。

中秋の明月の意味
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
今日は中秋の明月です。旧暦の8月15日、いわゆる十五夜にあたります。
中秋というのは旧暦で秋、つまり7月から9月の真ん中の月、旧暦8月を指す言葉です。
その15日に出る月が中秋の月というわけです。
特に美しいとされることから、中秋の明月と呼ばれてきました。
ちなみに十五夜は旧暦の毎月15日の夜を意味するんですが、
現在では十五夜といいますと、この中秋の明月を指すことが多くなっています。
旧暦は月の満ち欠けで成り立っていたので、今の暦に換算すると、年によって日にちが前後します。
必ず満月になるとは限らなくて、今年も実は満月は明日の夜だそうです。
でもたとえ少し欠けていても、湿度が低くて夜が長くなっているこの時期の月というのは、
格別に美しく感じます。
今夜の秋田は今のところ雨の心配は少なくて、雲の合間から月が見られるんじゃないかなと思います。
全国的には東海とか西日本では雨の予報が出ているんですけど、
関東から北の地域では雲の切れ間を待つお月見になりそうです。
晴れても曇っても今夜の月は同じ場所に昇りますからね。
たとえ雲の向こうでも光の気配を感じたいなと思います。
さて日本で月をめでる文化が始まったのは平安時代のことです。
中国の中州節の影響を受けて貴族たちは船を池に浮かべて水面に映る月を眺めたんです。
眺めながら詩を読むという、そしてその美しさを楽しんだと言われています。
後に室町とか江戸の時代になりますと、この風習は庶民の間にも広がっていくんです。
そして稲の収穫に感謝して翌年の豊作を祈る意味を込めてお団子だったり里芋、栗や豆、果物をお供えしたんです。
ススキを飾るのは稲穂に見立てたものだからです。
刈り取る前の稲を供える代わりにススキを立てて実りを願うというのは素朴で美しい風習だなって思います。
この中秋の明月を芋明月と呼ぶ地方もあります。
里芋を供えて神に感謝してその後でみんなで食べるということで、恵みを分かち合うという意味もありました。
こうやって月をめでるっていうのは、月を神格化する信仰心だったり、秋の収穫への感謝だったり、
そして祀とか宴を通じて自然をめでる文化だったり、
そのすべてが重なって中秋の明月っていうのは祈りと風流が混じり合うような夜になったんだろうなって思います。
現代のお月見
じゃあ現代ではどうなっているかというと、昔のようにススキを立ててお供えをする過程は少なくなりました。
というのも街の明かりが強くなりまして、空をゆっくり見上げる機会が減ったということもあるんだろうと思います。
でもお月見は今も形を変えながら続いています。
公園だったりお寺でお月見会という名のコンサートが開かれたりとか、
和菓子屋さんとかカフェではお月見スイーツが登場したりしています。
あとはマクドナルドではお月見バーガーもありますよね。
月の写真を撮るっていうのはなかなか難しいなと思うんですけど、
写真を撮ってSNSに残すという、そんな小さな行動の中にも月をめでる気持ちっていうのは日本人のDNAの中にあるだろうなって思います。
今日週の始まりで忙しいって思っている人も多いと思うんですが、
短い時間でも空を見上げる時間を持てたらいいなって思います。
どうやら今夜は秋田は見られそうなんですけど、
もし見られない地域の方でもその月の光の届く方向に静かに心を寄せて光を受け取れたらいいなって思います。
この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。
リッスンではこの配信のテキスト版も公開しています。
それではまた明日。
04:49

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