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こんにちは。 今回はですね、送ってくださった方からの資料をもとに深掘りをしていくんですが。
はい、よろしくお願いします。 テーマが、福島県の菅川市出身の漫画家、
斎谷梅太郎氏についてなんです。 現在、Kindle Unlimitedなんかでも結構たくさんの作品が読めるようになっていますよね。
そうなんですよ。私、いただいた資料を見て本当にびっくりしたんですけど、
スポーツ漫画から本格的なグルメ漫画、はってはSFまで、本当に描いているジャンルがバラバラで。
そうですね。確かにパッと見るとそう思いますよね。
なので、一人の作家さんがこんなにいろいろと描けるなんて、まるで何人ものゴーストライターがいるんじゃないかっていうくらいで、これ一体どういうことなんでしょうか。
最初はそう疑っちゃうのも無理ないですよね。
でも、流行りのジャンルをただつまみ食いしているとか、そういう薄い話では全くないんですよ。
違うんですね。
全然違います。
かねの作品の根底に共通しているのは、ものすごく徹底した取材力と、現実の社会とのリンクなんです。
取材力ですか。
そうです。
例えば初期の作品で、2011年に連載が始まったガズリングっていう女子高生のバドミントン漫画があるんですけど、
このタイトル、シャトルの羽根に使われるガチョウの子を意味しているんですが、ここで重要なのは福島県が現実にもバドミントン王国であるっていう背景と、
あと、連載が始まったのが東日本大震災の年だったという点なんです。
震災直後の地元を舞台にしているわけですね。
そういうことです。だからこそ、ただのスポーツ漫画の枠を超えた、すごく血に足のついた人間ドラマになっているんですよね。
なるほど。続く2013年のファイヤーガールっていう作品も、女性のレスキュー隊員のお話でしたよね。これもやっぱり。
命を救うっていうシリアスなテーマが、当時の社会情勢と強烈にリンクしているんです。
深いですね。
そうやって、現実を重みを背負ったテーマを綿密な取材で描き切る。この対象を徹底的に解剖するっていうジャーナリスティックなアプローチが彼の持ち味なんです。
なんですけど、そこからの急展開が私としてはちょっと一番の謎でして。
と言いますと。
命に関わるシリアスなドラマを描いていたのに、そこから一転してハンバーガーですかって。
本日のバーガーですね。
はい。あれハンバーガーについてだけで、全18巻も続くじゃないですか。ちょっと異常な熱量というか。
まあ確かに驚きますよね。でも実は表面的なジャンルが変わっただけで、彼がやっている根幹のアプローチは同じなんですよ。
同じですか。
ええ。彼はハンバーガーをただの美味しい食べ物として描いているわけじゃないんです。
というと。
その食材の歴史とか、どうやって流通しているのかっていうプロセス。さらにはその国の文化といった社会の構造自体を取材へ解き明かしているんですよね。
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ああ、なるほど。つまり、厨房でいろんな料理を作るシェフのお話というよりは、目の前にあるハンバーガーという完成品を一旦分解して、その背景にある歴史や文化の歯車がどう動いているのかを見るっていう、なんかリバースエンジニアリングに近い感覚なんですね。
まさにその通りです。すごく的確な見立てですね。パスタの流儀っていう別のグルメ作品でも同じような深掘りがされています。
へえ。
そして、その対象を分解して別の角度から光を当てるっていう強固なリサーチの手法があるからこそ、彼は既存の巨大な作品世界、つまりガンダムのようなSFの世界でも全く新しい切り口を見せることができるんです。
ああ、機動戦士ガンダムピューリッツァーのことですね。でもガンダムって歴史も設定もガチガチに完成されているじゃないですか。
そうですね。
そこにそのハンバーガーの時のように構造を解き明かす手法ってどう生きるんですか?
これが面白いところで、彼はアムロ・レイっていう誰もが知る英雄のいわゆる戦闘シーンを直接描くことはしなかったんです。
え?描かないんですか?
え。代わりにかつて子供だったキッカというキャラクターを大人に成長させて、彼女の視点から周りの人間がアムロをどう見ていたかっていうのを証言として集めさせていくんです。
ああ、なるほど。証言記録ですね。
そうです。
英雄の姿をあえて周辺の人たちのインタビューから再構築していくっていうドキュメンタリー的な構成なのか?
そうなんです。これなら既存のファンも今まで見たことのないアムロの裏側が浮かび上がってきますよね。
確かにすごく骨太ですね。
さらに最新作の子連れオークっていう異世界ファンタジーがあるんですけど、ここでも同じ手法が光っています。本来なら人間を侵す怖い魔族であるオークが人間の子供をかわわって育てるんです。
へー、逆なんですね。
そう。逆に人間側が悪、非道な存在として描かれるという。
立場の逆転ですね。
なるほど。オークをただのモンスターじゃなくて一つの文化とか立場を持った存在として再定義しているわけだ。
つまりジャンヌがバラバラに見えていたのは錯覚で、常に物事の裏側とか別視点を炙り出すっていうすごく強力なエンジンを持った作家さんなんですね。
そういうことです。常識を覆し多角的な視点があるからこそ、どのジャンルを描いても表面的な設定にとどまらないんです。
いやー、納得です。これだけ多角的な視点を持っているなら、今、Kindle Unlimitedみたいなデジタル空間を通じてたくさんの人に読まれているのも頷けますね。
へー、本当にそうですね。
ただ、送ってくださった方の資料にちょっと笑えるというか、すごく考えさせられるエピソードがあって。
地元の図書館の一軒ですよね。
そうなんですよ。これだけ多彩な作品があるなら、地元の菅川市の図書館には佐渡市特設工側があるだろうって。
思いますよね。
カリルっていう蔵書検索サービスで調べてみたそうなんです。そうしたらまさかの蔵書ゼロだったと。
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それは驚きますよね。
で、慌てて購入リクエストを出したらしいんですが、後日図書館から電話がかかってきて、紙の本は売り切れていて入荷できませんでしたって言われたそうなんです。
なるほど。デジタルでは世界中からこれだけ簡単にアクセスできるのに、彼を生んだ地元という物理的な空間では、まるで透明人間のように見過ごされていたっていう。
そうなんですよ。
デジタルとフィジカルのギャップを象徴するような、現代ならではの出来事ですよね。
でも、そのリクエストの電話一本で、少なくとも図書館の人は確実に地元の才能に気づいたわけじゃないですか。
ええ、間違いありませんね。
カタログに載っていなかった才能を一人の読者が可視化したんですよね。
そうです。図書館員に地元の才能を認知させる確実な一歩になったと言えますね。
私たち、遠くの面白い作品には指先一つですぐアクセスできる時代に生きていますけど、もしかしたら毎日歩いている地元の見慣れた風景の中にも、まだ分類や認知がされていないだけで、とんでもない才能が隠れているのかもしれないですね。
本当にそうですね。
リスナーの皆さんも次に地元の図書館に行った時、どんな強度のクリエイターの作品があるか調べてみると、意外な発見があるかもしれませんよ。
ええ、ぜひ想像しながら探してみてほしいですね。
それでは次回の配信もお楽しみに。さようなら。