1. PTRPG部
  2. 部活動150『カタシロ Case.た..
2023-12-26 2:22:47

部活動150『カタシロ Case.たぬー、』

Podcastで繋がった仲間たちとクトゥルフ神話TPRGを遊んでみました! シナリオ:カタシロ シナリオ制作者:ディズム様 https://booth.pm/ja/items/2274429 キーパー↓ 朔夜(https://twitter.com/sakuya_naniwadu) プレイヤー↓ たぬー、(https://twitter.com/ausdertiefen) キャラクター:佐倉 きりか https://iachara.com/view/6914261 (敬称略) 背景絵 さっぱ様 (https://twitter.com/sappa_trpg) 表紙画像 canva様 (https://www.canva.com/) キャラクター立ち絵 いらすとや様 (https://www.irasutoya.com/) NPC立ち絵 だう様 (https://twitter.com/namelessyue) BGM DOVA-SYNDROME様(https://dova-s.jp) ■■■注意■■■ ・上記のシナリオのネタバレを含みますので、プレイ予定の方などはご視聴をお控えください。 ・視聴いただいた皆様で感想等をTwitterなどでつぶやいていただく場合は、ふせったーなどを使用してネタバレ防止対策をしていただくようお願いいたします。 ・ハウスルール有 ※本チャンネルは収益化を行っていないため、金銭は発生しません。 本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。 Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」 メールアドレス podcast.trpg@gmail.com Twitter: https://twitter.com/PodcastTrpg​

00:01
これがね、時差がなかなかありまして。
あ、でも旅行が来たかな。本人確認。
え、なに、こんなの今までなかった。
ちょっと待って、ちょっと待って。こんなの今までなかったよ。
今の化け役に何か反応してるのかもしれん。
え、なんか本人確認とか出てきた。
よいしょ。よいしょ。あ、オッケーかな。
たぬきが化けてないかどうか確認が入ったのだ。
え、これをいただけませんってどういうこと。
そんなそんないただけませんって遠慮してるのだ。
え、あ、来た。じゃあ押しまーす。
開始。え、なんでなんで。
なんかまたなってる。
54でしょ。え、なに。
お亡くなった。再送信。
はい、私です。
あ、出た。出ました。
はい、すいません。パタパタしました。こんばんは。
こんばんは。はい、聞こえますでしょうか。
小丸さんがたぬーっておっしゃってますけども。
大丈夫かな。えっと。
あ、出たよ。はい。ありがとうございます。
今日はですね。シンクズルフ神話TRPGの片城です。
これまではPTRPG部ではサッパちゃんがキーパーをしてくれていたのですが、
サッパちゃんがタブを極めておるようなので代理で私が回しています。
今回のお客様はたぬーさんです。
自己紹介とキャラの紹介をお願いいたします。
はーい。えっと、かわいいたぬきでチヘドを吐かせるたぬーなのだ。
えっと、今回はね、あのー、さくらきりかさんというSF作家さんで遊ばせていただくのだ。
03:01
よろしくお願いするのだ。
お願いします。では、キャラの紹介をお願いしたいのですがね。
ちょっと待ってくださいね。配信が切れてるっぽいんですけれども。
タップの画面だとなんかちょっと読み込みでぐるぐるしてるのだ。
ですよね。ちょっとおかしいな。
なんか今日はちょっと調子悪いのだ。大丈夫かな?
これでいくかな?
読み込めたかな?
読み込めましたか?
入ってるのだ。
入ってるのだ。ちょっとくるっと変わったかな?
あ、両方になった。
今のピーエルたぬーが左にいて、キーパーさくやさんがあれ?またくるくるしてる。
え、また?今度は大丈夫かな?
あ、大丈夫かな?
こっちはね、いけてるっぽいんですよね。
大丈夫かな?動いたかな?
すいません。なんかね、いろんな設定が新しくなると変わってしまっているようで、大変申し訳ありません。
あ、来たって言うてる。
よかったよかった。
ありがとうございます。ちょっと仕切り直したほうがいいかな?
ポッドキャストようにもね。
仕切り直しまーす。
はーい。テイク2。
テイク2。
本日はシンクトル不神話TRPG片城です。
これまではPTRPG部ではサッパちゃんがキーパーをしてくれていたのですが、サッパちゃんが多忙を極めているようですので代理で私が回しています。
今回のお客様はたぬーさんです。
自己紹介とキャラクターの紹介をお願いします。
はい。プレイヤーのたぬーなのだ。
可愛い狸で知恵度を博せるのが特技なのだ。
キャラクターさんの方はさくらけいかさんという引きこもりの新人SF作家さんで参加するのだ。
よろしくお願いするのだ。
はい。さくらけいかさん、これは本名ですか?
えっとね、さくらけいかは本名で、えっと、あのー、あ、お寝起きありがとうなのだ。
えっとね、あのー、作家さん名、ペンネームの方はからきくさりさんと言います。
ほうほうほう。からきくさりさん。はい。
はい。
はい。えっと、かなりね、デックスが高いですよね。
そうだね。機能なのかな。
うんうんうん。
芸術文学50、心理学80、なかなか文系の作家さんですね。
うん。文系なのだ。
06:04
という間に、えっと、ちょっと重たいきりかさんの今を読んでいただいてるかな。
では、そんなきりかさんにこれからね、
はい。
記憶喪失になってもらうんですけど、
はい。
はい。私が回す時には片白舞台版に準拠して、何か一つだけ覚えていてもいいということにしています。
はい。
さくらさんは何を覚えているでしょうか。
えっと、あの、ドアの外からめっちゃドンドンドンドンって叩かれて、
はい。
なんか誰かがすごい大きな声で怒った感じで叫んでるっていう記憶にしたいかなと思ってます。
怖い怖い怖い。
病気かな。
病気かな。怖い怖い。
わかりました。
では、ちょっと講義を述べますので、ご静聴ください。
この片白というシナリオは、作者のディズムさんがいろんな方とおしゃべりをしたいという目的で作られました。
ということで、今回はぜひ田野さんは私とのおしゃべりを楽しんでいただけたら嬉しいです。
シナリオそのものはとても有名で、舞台化もされているほどですので、内容をよくご存知の方もいらっしゃると思います。
しかし、初めてご覧になる方もいらっしゃるかと思いますので、ネタバレになるようなコメントはご遠慮ください。
また、ツイッターなどで感想をつぶやかれる場合は、フセッターなどをご利用ください。
ご協力よろしくお願いいたします。
それでは、前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ始めましょうか。
心の準備はよろしいですか?
はい。
それでは、シンクドルフ神話TRPG、片城、始めていきます。よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
では、シーンを変えていきます。
シナリオが消えたよ。
ちょっと待って。シナリオが消えたよ。はい、お待ちしておりました。
あなたは目が覚めると病室のベッドにいた。いや、正確には手術室だ。
頭痛がひどい。体が思うように動かない。そこへ一人の男がやってきた。
気がついたようだね。
09:02
私は医者だ。君は落雷にあって病院に運ばれてきた。覚えているかい?
痛む頭を抑えて何とか答えようとするんだけれども、ちょっと口をパクパクってさせて、あれ?声が出ないなと一瞬思います。
はい。どうした?大丈夫かい?
ごめんなさい。落雷で記憶を探るんだけども出てこないように。
はい、ではアイデアを振ってください。
失敗。
じゃあ、えーとですね、特にこれを覚えてるっていうことがないです。
さっき決めた1個のことだけは覚えていてもいいんですけど。
あと、常識などの社会的に生きるための記憶以外を全て忘れていることに気がつきます。
あなた自身に関する記憶が抜け落ちているようです。
す、すみません。あの、私ちょっと思い出せなくて。
あー、そうか。名前は?どこに住んでいたかとかも覚えていないかい?
名前…私…名前…
あー、それもか。
えーとね、君の持ち物と一緒に運ばれてきたものがあってね。
持ち物はほとんど焼け焦げしてしまっていたんだけれど、これは残っていたんだよ。
と言って名刺のようなものを見せます。
そこにはさくらきりかと書いて…さくらきりかかな?どっちかな?
唐木さんの方でしょうかね、名刺だと。
えーと、職業だと唐木なのだけど、名刺持ってるかな?
一応作家さんだったら持ってるかも。
持ってないかもしれない。
何かしらの名前が書いてあるものが見つかるんですが。
はい。
はい。
えーと、持ち物の中だとクレジットカードの方に本名があって、
担当さんから戻ってきた赤字定制の入ってる原稿の方にはペンネームの方が入ってます。
12:01
あー、なるほどなるほど。
落雷なので、そうですね、ちょっと溶けかけたカードが見つかりますかね。
そっちにはさくらきりかと書いてあります。
さくらきりかって読むんでしょうか、これ。
あー、たぶんね、これを見てもピンとこないかい?
私の名前と言われればそうかもしれませんけど、そうかどうかは、た、でも私が持ってたんですよね。
うん、君の荷物と一緒にあったんだよね。
そうですか。で、なんとなくぼんやり見つめます。
うーん、君自身に関する記憶を失ってしまっているようだね。
検査がそっちには必要だな。
体も本調子でもないかもしれないけど、しばらくすればまあそっちは動けるようになるよ。
怪我もないみたいだしね。約束はできないけど記憶もそのうち戻るだろう。
数日は様子を見たほうがいい。
そうだね、まあ、3日間はここにいてもらうことになる。いいかな。
え、でも私、保険証もなくて。
ああ、まあ、それはいいよ、今はね。と言ってちょっとニヤッとします。
恐縮した要請でペコッと頭を下げるのだ。
はい。
ああ、あともう一つ申し訳ないことがあるんだけどさ。
ここは手術室なんだけど、他に部屋がなくてね、ものものしくって申し訳ないんだけど、ここで過ごしてもらうことになるんだ。
いいかな。
そんな、あの、入院、手術のないところなんですか?
いや、手術はあるんだけどね、他にも手術室はあるから大丈夫だよ。
ああ、すみません。
ああ、いやいや、謝ることじゃない。むしろこっちが謝らなきゃいけないことだ。申し訳ないね。
いえ、あの、私なるべく頑張って早く直します。
ああ、そんなに急がなくてもいいよ、大丈夫だ。
もう視線をうろっとさせてそのまま黙り込んじゃいますね。
ああ、じゃあさ、んと、君の記憶を取り戻すためにちょっと僕とおしゃべりをしてくれないかな。
あ、はい、わかりました。
15:04
んーとね、問題?
いえ、えっと、先生は外科医の専門の方でいらっしゃるんですか?
ああ、僕の専門はね、脳外科医だよ。
ああ、って言ってコクコクうなずきます。
だから、君みたいな記憶を失った人とか、時々見るんだ。
ああ、そうなんですね。
あの、なんてお呼びすればって言って、ネームプレートとかなんか名札とかかけてないかなって見るけど、どうかな。
はい、ネームプレートには目黒と書いてあります。
うんうん、僕は目黒だよ。
目黒先生?
うんうん。
あ、えっと、角にいた目を落としてから、あの、さくらと申します。
うん、さくらさんね。
君の名前かどうかも僕はちょっとまだわからないけれど、そうやって呼ばせてもらっていいかな?
はい。
じゃあさ、君の記憶を取り戻すきっかけになる、ちょっとおしゃべりっていうかさ、思考実験をしてみよう。
そうすると、君の考え方とかパーソナルなことがちょっとでもわかるかもしれないから。
わかりました。よろしくお願いします。
うん。じゃあさ、と言って一つ絵を見せます。
君は囚人のジレンマという思考実験を知っているかな?
つまりは覚えているかな?
囚人のジレンマ?ゲーム理論ですよね、確か。
おお、すごいな、君はよく知っているね、本当に。こういうのは詳しいのかい?
え、あの、ど、どうなんでしょう?で、おろおろします。
それがすっと出てくるってことは、こういうことを考えるのが好きな人か、そうだな、こういうことを普段から何かに使っている人とか。
すみません、どっちか思い出せなくて。
うんうん、いいんだ。でも、君がこういうことを知っているっていうことがわかったよ。
そうですね、そうですよね。はい。
はい、じゃあこのゲームの内容は知っているかい?
えっと、本来協力した方がお互い利益になるはずなのに、協力しないケースがある、それはなぜかといったような話だった気がします。
18:15
そうだね。
ゲームのルールとしてはこの表の通り、2人の囚人、誰か悪い人たちがね、捕まって、
そして、その事件を黙秘するか自白するかで、それぞれが金庫にかかってしまう年月が変わってしまうよっていうルールの下で、同時に選ばせるというものだ。
なんか何度かやっていると、だんだん収束していくっていう話も聞いているけれど。
うんうん、はい。
じゃあ、やり方はもう省いてもいいかな?
あ、はい、大丈夫です。
そうだね。これはじゃあ、君と私で何か悪さをしたことにしよう。
そして、別々の部屋で事情聴取をされている。君とあなたは、桜さんは、黙秘をするか、自白をするか、せーので選択するんだ。
質問してもよろしいでしょうか?
もちろんだよ。
えっと、私と目黒先生が共犯で、それは、あの、例えば、私が目黒先生をこう、何かで脅して無理矢理協力させたとか、そういう感じなんでしょうか?
うーん、そうだね。その前提を先に決めておこうか、じゃあ。
す、すみません。何か余計なことを聞いてしまって。
いいんだよ。今の質問で、君がそういう前提を元に物を考えることができるってことが分かったからさ。
はい。
君はどうがいいかい?
例えば、僕が君を脅かして君に悪いことをさせた。もしくは、言葉巧みに君を騙して悪いことをさせた。もしくは、君がその可愛らしい顔で色仕掛けをして僕を騙した。
はい、答えになります。
色仕掛けなんてできません。
あ、あの、でも、目黒先生も他の人を騙してするような方には見えないので、お互い強引の上でっていうことが多分だと思います。
21:17
なるほど。じゃあ、君と僕は何かお互いの利益がある。それ、何かのウィンウィンの関係があるってことで合意して悪さをした。
はい。
そこに、そうだね、友情があったかどうかまでは知らない。ただ、今の君と僕はそんなに友情とか愛情とかがあるわけではないよね?
あ、そうだと思います。
割とビジネスライクな関係ってことでもいいんじゃないのかな。
ビジネスライクでお互い無理矢理強制されたとか、そういうわけではなく、自分の意思で協力を選んだっていうことですよね。
うん、そうだね。
分かりました。はい、決めました。
お、早いね。じゃあ、せーのでいくよ。
はい。
はい、せーの。
自白。
黙秘。
お、君は黙秘を選んだ。そして、僕は自白を選んだ。ということは、自白をした僕はそのままお役ごめん。君は10年の懲役だ。
今回、黙秘を選んだ理由を伺ってもいいかな。
あの、お互い納得してやってるんでしたら、自白はなんか裏切るようなことになる気がして。
おー、そうかい。
これ、お互いが黙秘すればお互いに一番利益があるはずなんです。
うんうん。
そういう前提のゲームです。
でも、悪いことをしたのかもしれませんけど、そうせざるを得ない事情があったか、そうしないと叶えられなかったか、事情は分かりませんけど、でもそれを決めたのは自分同士なので、仲間ですよね。
24:02
うんうん。
それなら裏切るくらいなら裏切られる方がいいなって思ったんです。
裏切るよりも裏切られる方がいい。
そうなのか。
君はもしかしたら裏切られることを怖いことだと思ってないかい?
誰だって裏切られたら傷つくと思います。
そうだよね。
それが、自分ならいいけれど、人がそうなるのは嫌だっていうことだよね。
そうかもしれません。
うん。
ということは、
裏切り?
うん。裏切り。
はい。
いえ、あの、裏切られたら結局、私なんかそんな価値がなかったってことなんで仕方ないと思います。
おぉ、それで納得してしまうのかい?
はい。
うん。
そうか。君はずいぶん人を傷つけるのを怖がるね。
どうでしょうか。
うん。
分かりません。
君が優しい人だってことだよ。
ほら、僕なんかさ、自白って、自分が悪いことしちゃったから、もうさっさと喋って逃げたいっていう気持ちしかなかったんだ。自分勝手だろ?
で、でも私と先生は違いますから。
そうなの?
先生は、あの、私は今何も覚えてなくて、例えば家でもしお腹を空かした私の子供が待ってるんだったら、もしかしたら自白したかもしれません。1秒でも早く家に帰るために。
あぁ。
先生には、で、ちょっと薬指の方を見てみるけどどうだろう。左手の薬指なんかはまってたりするかな。
はまってますね。
あぁ。先生には、たぶんご家族がいらっしゃいますよね。
あぁ。
結婚指輪なさってますし、それに患者さんも、もちろん病院のスタッフの皆様だっていらっしゃいますよね。そしたら、ゼロ年の可能性に欠けるのは仕方ないと思います。
27:18
そうか。それは僕の都合だって君は言ってくれたよね。
はい。
やっぱり君は優しい人だと僕は思うな。
えって優しいんでしょうか。
うん。
私が弱いだけじゃないでしょうか。
そうかな。僕は、弱い強いかどうかはよくわからないけど、君は優しい人だと思う。人の気持ちを自分よりも大切にする人だと思うよ。
ありがとうございます。
それが君にとって良いことか悪いことかっていうのは君自身の判断だけどね。
本当にお医者様なんですね。
そうかい。
あ、疑ってたわけじゃないんですけど、なんかそうおっしゃっていただけてすごく気が楽になったっていうか、やっぱりプロのお医者様ってすごいなって思いました。
ありがとうございます。
いえいえ、どういたしまして。
さあ、そろそろ僕は外来の患者を見なければならない時間なんだけど、そろそろ行っても大丈夫かな。
めっちゃになんかお時間いただいてしまって。すみません。大丈夫です。
いえいえ、大丈夫。まだ遅刻はしてないから。
でも、何かあったらすぐに呼ぶんだよ。ナースコールはあるからね。
はい。すみません。
じゃあね。
ひらひらと手を振って彼は出て行きます。
あなたは今、手術室のベッドの上にいる。体が重い。しかし、手の届く範囲であれば気になったものを調べることができそうだ。
今日はこの2カ所を調べることができます。
はい。
カーソルを当てると文字が出てきます。
うんうん。
どっちから行きましょうか。
えっと、ギグかベッドサイドモニターか。
はい、そうです。
えっと、この2カ所以外に例えば自分の今の様子とかをまず見ることってできるかな。
30:02
はい、それはできます。鏡などがないんですけれども。
うんうん。
あ、あってもいいかな。棚に自分が映るとか。
うんうん。
っていうのは見えるし、自分の体を見回すぐらいのことはできます。
じゃあ、さくらさんは女の子なので、一応自分の体に火傷がないかなとか、意識がないうちにお洋服脱がされてたらちょっと恥ずかしいなって思いながらチラッと見てみていいのだ?
はい、特に異常はないです。
ほうほう。
手術着とかでもない?
そうですね。それはね、どちらでも良いのですけど。
あ、はい。
はい。
じゃあ、なんかちょっと大きな火傷とかしてないでちょっとホッとしてから、えっと、今度は興味が。
えっと、じゃあ近くにある器具の方から見ようかな。器具の方に注意が向きます。
はい。では、器具の方を見てコメントを読み上げてください。
はい。器具。ベッドの傍にある台の上には器具が並べられている。刃物の類はない。
ということが分かります。
はい。
で、もうちょっと何か見たいなと思ったら、目星とかを振ることができます。
じゃあ、せっかくなので目星振るのだ。
はい。
お、よいしょ。
あ、失敗。
はい。
ちょっとまだ頭が痛い。
じゃあ、頭をちょっと押さえて、あの、目をパシパシさせます。
はい。
うーん。
えっと、そしたらどうしようかな。えっと、一箇所に付き目星は一回だよね。
そうですね。
じゃあ、次は。
でも、調べるのに相応しい技能、これでって言ってごねてもいいですよ。
おー。うーん。
じゃあ、どうしようかな。
うーん。
たぶん正しいのはアイディアとかの方の気がするけど、知識90にかけてみたい気もちょっとするのだ。
いいですよ。
並んでる器具に、自分の知識に何が引っかかるかなって感じで知識振ってみてもいいのだ。
はい、どうぞ。
じゃあ、振ります。
はーい。
おー、素晴らしい。
お、成功した。
はい。
そうするとですね、えっと、これ本当に手術に使うの?っていうような器具というよりは工具が置いてあります、ということに気が付きます。
33:21
えっと、じゃあ、そのことに気づいたさくらさんはちょっと面食らいますね。
はい。
で、あの、これここに置いといていいのかなーって感じで、こううろうろと視線をあたりにさまよわせます。
はい。
じゃあ、器具の方にはちょっと手をつけ、というか対応しあふれて、えっと、ベッドサイドモニターの方に目を移します。
はい。
では、ベッドサイドモニターを調べてみてください。
はい。えっと、これも読んだ方がいいかな?
はい。お願いします。
はい。ベッドサイドモニター。
ベッドのそばには患者の心拍数や血圧などの異常を教えてくれる装置がある。
このような機器が出されているということは非常に危ない状況だったのだろうか。
97と98という数字が画面に表示されている。その数字が何を意味するかはわからない。
はい。
こちらの方も何か調べたければ、それ相応の技能に成功すると情報が出るかもしれません。
うーん、何だろう。
えっと、じゃあ、この場合はアイディアの方になってくるのかな?
はい。どうぞ。
はい。
じゃあ、アイディア振るのだ。
おー、手目が高い。
ダメー。
え、知識でリトライしてもいいのだ?
いいですよ。
わー、いい。じゃあ、知識振る。
はい。
なんか、知識ちょっとずるい気がするけど振る。
あ、位置足りない。
位置足りない。妖怪位置足りない。
じゃあ、わかりません。
わからない。
少なくとも血圧にしては低すぎるから。
血圧ではなさそうだけど、何かしら。
で、ブツブツします。
36:00
では、そうブツブツつぶやいていると、隣の部屋から声が聞こえてきます。
ん?誰かいるの?
えっと、じゃあ、
そして、あのー、岐阜の乗ってる台のところに手をついて岐阜ガシャーンって音します。
あ、大丈夫?
ガシャーン。
あー、事故。事故が起きちゃった。どうしよう。どうしよう。
で、あのー、落ちたと聞くと声がかかってきた方の音の、声のした方を、こう、おろおろ交互に見ます。
はい。
えっと、大丈夫ですか?お怪我はありませんか?
あ、あれ?
これ聞こえてない?
あれ?あ、もしもーし。
あ、もしもーし。
大丈夫です。
あれ?
大丈夫ですか?
あ、聞こえてる?タヌは聞こえてるよ。
あ、ほんとですか?よかった。
えっとね、タヌは、あ、タヌはじゃなかった、さくらさんは、あのー、えっと、岐阜を置いてある、びっくりして、岐阜の置いてある台に手をついて岐阜を落とします。ガシャーン。
はい、はい。
で、えっと、大丈夫ですか?っていう声が聞こえてきます。
そしたら、あの、めちゃめちゃてんぱりながら、す、すみません。で、答えます。
あー、あの、お、お怪我は。
ちょっと待ってくださいね。高い声を出すとね、入らないみたいなんです。
あ、なるほど。
えっと、じゃあちょっと声をもう少し低い設定にしよう。
す、すみません。
あ、違うんです。えっとね、私の声が入らないみたいなんです。
あ、なるほど。えーっと。
どうしようかな。ちょっと、じゃあちょっと低めの女の子の声がします。
はい。
大丈夫ですか?お怪我はないですか?
あ、怪我は。
で、あの、自分の状態をちょっと考えてそのままフリーズしちゃいます。
あ、あの、あの、怪我は。
あ、えっと、今のではしてません。
はい、大丈夫です。ごめんなさい、うるさくして。
あ、いえ。ちょっと待って。やっぱりね、声が。
ちょっと待ってください。ちょっと一回、えーと、見事にします。
はい。
聞こえますか?
はい、聞こえるのかな?
はーい、すいません。
39:01
えーと、そうするとですね、ちょっとあわあわした感じで。
あ、あの、こちらで声をかけてしまって。ごめんなさい。
あ、そ、そんなとんでもないです。あの、私の方こそ隣で騒がしくしたり。
あの、ご気分は悪くないですか?
うん、全然。
えっと、私はここでずっと入院してるんだけど、暇で暇で。
だから隣から声が聞こえたからつい声かけてしまって。
え、そうなんですね。
あ、長く入院。それはその、なんて言ったらいいか。
あ、えっとね、気にしなくていいです。もう慣れちゃったから。
慣れるってそんな。
あ、うんと、私の名前は目黒明って言います。お姉さんの名前も聞いてもいいですか?
私、えっと。
で、カードを確認して。
たぶん、さくらきりかと。あ、いえ、あの、さくらと申します。
さくらさん?
はい。
かわいいお名前。
あの、目黒さんのお名前も素敵だと思います。
あきらって、なんかこう、周りの人まで明るくなるみたいな。
あきらさんもご両親もきっと素敵な方なんですね。
お姉さんすごい。
そうなの。お母さんがね、この名前つけてくれたんだって。
そうなんですか。
うん。
あとね、お父さんはね、名医だから。いい人なの。
あ、名医さん。変わったお名前ですね。
えっとね、お医者さん。お父さんはお医者さんなの。ここのお医者さんだよ。
え、目黒先生がお父様でいらっしゃる。
うん、そう。
あ、そうなんですね。
あの、いつもお世話になっております。
で、ふかふかと壁の方に、あの、頭を下げます。
あ、えっと、それは見えてないので気にせず彼女は喋ります。
はい。
お父さんがさくらさんを見てくれてるの?じゃあね、すぐ治るよ。
そうですね、私も早く、そうですね、お父さん名医ですもんね。
42:06
うん。あ、あとね、あとね。
はい、なんでしょうか。
失礼なこと聞いてしまってもいいかな。
え、ど、どうぞ。
ほんと、お姉さんお名前言うときに、ちょっとふわふわしてたでしょ。
あ、みません。
うん、あのね、謝ることではないんだけど、もしかしてさ、お姉さん、記憶が曖昧?
え、ええ、そんなにわかりやすいですか、私。
ううん、あのね、お姉さんだけじゃなくて、そのお部屋に入る人みんな記憶がないって言って入ってくるの。
そうなんですか。
うん、だからそういう人が入る部屋なんだって思ってた。
私、どこまで忘れちゃってるんでしょう。
ふーん。
あ、ご、ごめんなさい、こんなこと聞かれても困っちゃいますよね。
ううん、ほんとにね、ずーっと入院してて暇で暇でしょうがないから。
で、あと話し相手がお父さんしかいないからさ、こうやっておしゃべりできるの楽しいの。
え、あの。
ん?何?
めぐるさんは、えっと、あ。
え、あの、私もちょっと、記憶がぼんやりしてる時にめぐるさんに話しかけてもらえて、少し嬉しいですし安心しました。ありがとうございます。
あ、ほんと?よかったー。迷惑じゃない?大丈夫?
迷惑なんて、とんでもないです。
あの、私で良ければ、お話しさせてください。
わー、私がお願いしようと思ってたの。やったー、嬉しい。
よかった。あの、じゃあ何かお話ししましょう。えっと、じゃあめぐるさんの好きなものは何ですか?
私の好きなものか。んーとね。
あ、あの、言いづらかったら全然。
45:03
あ、んーとね、ここに入院して5年ぐらいになるんだけどさ。
5年?
えっと、ずっとね、動けないし、目も見えないからさ。
でもね、事故起こす前はね、お花好きだった。
お花、いいですよね。
うん。だからね、お姉さんのお名前聞いて、さくらとかさ、あと、んーとね、お花のお名前、つゆくさとかさ、大好きなの。
つゆくさが好きなんて、すごく洒落てますね。
本当?だって色が綺麗で可愛いでしょ。
えぇ、すごく綺麗で可愛いです。夏になったなって思いますよね。
あ、えっと、で、あの、外に出れない人に無神経なこと言っちゃったなってちょっと落ち込みます。
んー、お姉さん、落ち込みやすい?
あ、い、いえ、すいません、ちょっと考え事してしまって。
んーとね、あたしね、さっきお母さんに名前つけてもらったって言ったでしょ?
はい。
うん。だからさ、明るくしてるの。私の仕事だと思ってるの。
つらい仕事じゃないのよ。
はい。
だから、私が何を言われても明るくしてるから、お姉さんは心配しないで。
なんか、うげばされちゃってますね、私。
ありがとうございます。
こちらこそありがとうございます。
そんな話をしていると、強烈な眠気があなたを襲う。
まだ体力が戻りきっていないようだ。
泥のように眠りに落ちる前、隣の部屋から、
おやすみ、という声が聞こえた気がする。
2日目。
目が覚めると相変わらずあなたは手術室にいる。
だが様子がおかしい。
48:00
視界が白黒になったり、ちらついたりと正常ではない。
一体どうなっているんだと心配していると、医者がやってくる。
医者の顔もうまく認識はできない。
医者がやってきます。
やあ、おはよう。調子はどうだい?
おはようございます、目黒先生。
あの、って言って、ちょっとあの、視界がおかしいことを話そうかどうか悩んで。
はい。
大丈夫です、ってうつむきます。
うーん、大丈夫には見えないけど。
あの、ほんと大したことじゃないんです。
なんか、ちょっと視界にちらつきがある感じで。
視界にちらつき?
でも、全然、あの、すぐ収まると思います。すみません。
いや、謝ることじゃないし。
ここは病院だ。調子が悪いことがあったらすぐに言ってくれないと、僕が困っちゃうかな。
申し訳ありません。勝手な素人判断で。
うんうん、いいんだ。君が教えてくれることが僕の役に立つから。
何かあったら教えてくれる?
はい、次からそうします。
視界がちらちらするの?
えっと、
で、あの、自分の片目図図をちょっと覆ってみるけど、見え方変わったりする?
変わらないです。
えっと、どこを見て近くを見てもやっぱり変わらない?
はい、変わらないです。
白黒ですね。ピントを合わせるスピードは特に問題ないかな。
えっと、なんて言ったらいいんでしょう。
あの、古いテレビのブラウン管が調子が悪くなってるみたいな。
ああ、懐かしい名前だね。
そうですね、私なんで結構覚えてるのかしら。
見た目はとても若そうなんだけど、ブラウン管にお世話になったような年には見えないんだけどさ。
いろんな知識がある人なのかな。
51:00
そうなんでしょうか。そんな感じなんです。
えっと、色がうまく判別できない。
もしくは、視神経との脳のつながりに何か問題があるんでしょうか。
ああ、なるほど。そうかもしれない。
わかった、じゃあそちらを中心に後で検査をしてみるよ。
心配しなくても良くなるから大丈夫だよ。
ありがとうございます。よろしくお願いします。
君は結構、なんていうのかな、病気や体の作りとかにも詳しいね。
詳しいでしょうか。
うん、そんな気がする。
ありがとうございます。
で、はてなマークを浮かべます。
普通の人は視神経がとかってあまり出てこないからね、言葉が。
私、医療関係なんでしょうか。
そうかもしれないね。
目の見えるのって、あの、四季角細胞ですよね。赤と緑と青と。
でも昨日までは見えていたので、落雷の影響でそこの細胞に影響があったって考えるのはちょっと無理があるかなって思ったんです。
そしたらやっぱり脳の方のダメージかなって。
すごいね、君は本当に。知識が深いんだな。
でも、あの、学校で多分習うくらいにしかわからないと思います。
学校で習うことを全部きちんと覚えてる人っていうのは少ないから、しっかり勉強してやるんだね。
ありがとうございます。で、ちょっとだけ照れます。
そうだね、じゃあ今日も君の記憶を取り戻す手伝いをしたいんだけど、その前に聞き忘れたんだけれど、記憶はどうかな?何か戻ってる?
えっと、しばらく目をうろうろさせて、それから最後に焼け焦げたカードを見て、あまり思い出せないです。
そこの棚に写ってる私の姿を見ても、なんだか自分なのかそうなのかよくわからなくて。
54:04
そうか。
私の私物って全部燃えちゃったんですか?
そうなんだよ、ほとんど黒焦げでね。
あ、あの、焦げててもいいので、何か後で見せていただくことってできますか?
ああ、わかった。じゃあ後で受付に行っておくね。
すみません、わがままを申し上げて。
いいえ、それはわがままじゃないから大丈夫だよ。
はい、私、なるべく早く思い出せるように頑張ります。
うん、じゃあそのお手伝いを今日もおしゃべりでさせてもらおうかな。
はい、お願いします。
うん、じゃあ君はテセウスの船というパラドックスの話を知っているかな、つまりは覚えているかな?
えっと、おぼろげに?
確か少し前にドラマになってましたよね。私、ドラマ見てた。
ああ、いいね、記憶が戻ってきたね。
そうだね、僕はあのドラマは見てなかったんだけれど、テセウスの船っていうタイトルのドラマがあったことは知っている。
はい、やってましたよね。
ああ、私、今少し思い出せてきてますよね。
うん、すごいすごい。じゃあこの調子で行こう。
はい!
じゃあこのテセウスの船っていうパラドックスだから矛盾することなのかな?
そうですね。
話は知っているかい?
えっと、元の船とパーツがすべて置き換わった時に、それは…何でしたっけ?
確かパーツがどうのって話だったと思いますけど。
そうそう、その通りだ。テセウスっていうギリシャ神話の登場人物がいるんだけどさ。
テセウスが乗った船は、乗っていた船だね。古いパーツを徐々に置き換えていった。
結果、すべてのパーツが置き換えられた時、その船は同じテセウスの船と言えるのかどうかっていうパラドックスだ。
なるほど。
君はどう思うかい?
え?私ですか?
うん、そう。
そうですね…ポイントは2つだと思います。
57:03
ほうほう。
これ1つの質問に見えますけど、実は2つの質問がくっついてますよね。
ほう。というのは?
同じ船であるか、テセウスの船であるか。
ほうほう。
同じ船であるか、というところについては、同じではない。
ふんふん。なるほど。
パーツが変わってしまってます。
ああ、そうだね。
えっと、もう少し厳密に言うと、パーツが同じであっても、同じ船ではなくなってしまってますよね、物質的には。
まあ、そうだね。
私たちは、ここにある限りはずっと何かの影響を受けているので、1秒前の自分と1秒後の自分が違うように、同じ船であり続けることはできないんです。
なので、そうですね、ポイントはテセウスの船かどうか、というところになってくるんでしょうか。
ああ、なるほどね。
そうですね。そうなってくると、そこは認識の話、ということなんですかね。
うん、そうです。ね、認識だと思います。
認識か。じゃあ、質問をテセウスの船だけに絞ろう。
はい。すべてのパーツが置き換わった船は、同じテセウスの船と言えるだろうか。
えっと、テセウスの船と認識している人にとっては、テセウスの船だと思います。
うんうん。
あ、そうです。えっと、例えばですけれども、先生が赤ちゃんなところと、今の先生は、細胞的にはほとんど同じではないですよね。
そうだね。かなり頻繁に変わるからね。
そうですよね。あの、血液も骨も、確か7年経ったかしら。それくらいの周期でどんどん変わっていっちゃいますから。
それに、細胞も入れ替わってますし、できることも増えてますし、逆に赤ちゃんだけにある、手の中に指を入れるとギュッと握るような反応、
1:00:03
ああいったものは失われてしまうわけですし、でも先生はずっとご自身を先生だと思ってらっしゃいますよね。
そうだね。
これって先生自身が一つのテセウスの船だと思うんです。
じゃあ、僕は成長すると、というか年を取ると、細胞が全部置き換わって、すべてのパーツが変わってしまう。
じゃあこれは、僕を僕と認識するのは僕かい?他の人かい?
どちらもあると思います。逆に言うと、全く何も変わってなくても認識が違えば、それは別のものです。
例えば、フェルメールの有名な絵に、真珠の耳飾りの少女というのがありますけど、あれを青いターバンの少女で覚えている方もいらっしゃると思うんです。
そうだね、あの青は印象的だからね。
はい、フェルメールブルーですよね。すごく綺麗なラピスラズリの色で。
それでそちらが印象に残っている方にとっては、同じ絵でもあれは真珠の耳飾りの少女の絵ではなく、青いターバンの少女の絵なんです。
なので、そうですね、先生をもしテセウスの船に例えたとすると、
同じものを指しているかどうかはわからないけれども、例えば私にとっては、目黒先生は目黒先生です。
目黒先生ご自身にとっては、目黒先生ご自身という認識だと思います。
僕を僕たらしめる認識っていうのは、どこにあるんだろうね。
何でしょう、記憶、いえ、そこに連続性があると思っているかどうかでしょうか。
連続性か。
そうですね、もしくは物語でしょうか。
物語。
例えば先生は、お嬢さんいらっしゃいますよね。
よく知っているね。
昨日お隣から声をかけていただいて、目黒明さん。
1:03:02
そうか、明と話をしてくれたんですか。
それはどうもありがとうございます。迷惑かけませんでしたか。
いえ、そんな、私の方こそ騒がしくしちゃって、
それでも明るくすることが自分の名前に込められた願いであって仕事だからって、
きっとご自身も不安でしょうに、私のこと励ましてくださったんです。
そうか。
ごめんなさい、脱線して。
それでですね、例えば、お嬢さんがレゴのパーツを組み立てて、
初めて設計図通りにお城を完成させたとしますよね。
それを目黒先生のところに持ってきて、これをお父さんにあげるっておっしゃったとしますよね。
そこに、例えば全然顔見知りでもなんでもない私が、
同じレゴのお城を完成させて持ってきたとして、
これとこれは全く同じパーツだから交換しますねって、
お嬢さんの作品と交換しようとしたら、先生何か思われませんか。
そうだね、それはあきらが作ったお城ではない。
そうなんです。材料が同じで出来上がったものの同じでも、
そこにどんな物語があるか、
それって先ほどのご質問の答えになりませんでしょうか。
なるほどね。
それを作り上げたというか、
このテセウスの船であれば、船が冒険をした歴史であったり、
っていうのがあるかないかってことなのかな。
まあそうですね、そういう意味で言うと、
もう冒険したパーツではないんですけど、
でもその物語を引き継いできた人たちにとっては、
テセウスの船なのかもしれませんね。
なるほどね。
いやあ、僕はさあ、今君の知識の深さと、それから文学性に感動しているんだよ。
そうですか、よろしくです。
フェルメールから四神経からいろんな言葉が飛び出てくる。
フェルメール・ブルーとか、ラピス・ラズリとか本当によく知っている。
そういうのが好きだったのかもしれない。
それから、アキラが組み立てたレゴを物語と表現してくれた。
1:06:00
僕だったら、アキラがただ作ったっていう事実だけなんだけど、
それを物語っていう言葉で表現してくれるっていうのがさ、
君が本当に、なんだろうね、一昔前の言葉で言うと文学少女っていうのかい?
そんな感じに見えたんだ。
さあ、さくらさんは目をちょっとうろちょろってさせた後、顔を赤くしてうつむきます。嬉しそうです。
可愛いなってちょっとニコニコ見てます。
あ、おっと、そろそろ僕は外来の時間になってしまった。
君の知識が深すぎて、おしゃべりしているのが楽しくて、ついつい時間を過ごしてしまった。
そんな、すみません。お時間いただきありがとうございました。
いえいえ、こちらこそ君の知識をたくさんありがとう。
じゃあ、目の検査の材料っていうか機材はさ、今外来で使っちゃってるから、後で必ず持ってくるから。
何かあったらすぐナースコールで呼んでおくれ。
あの、せ、先生すみません引き止めてしまって。
なんだい?
これ、お忘れじゃないですか?
で、あの、例の工具みたいな器具を指します。
おお、ほんとだ。こんなもの出しっぱなしにして僕は悪医者だね。
そんな、あの、お嬢さんのためにもあまり無理しないでくださいね。
ありがとう。君は本当に優しいね。
こうやってまたひらひらーっと手を振って出ていきます。
はい、なんとなくはーって息をつきます。
あなたは今、手術室のベッドの上にいる。
相変わらず体は重いが、昨日よりも動けそうだ。
少し歩いて、気になったものを調べることができるだろう。
今日は、えー、ちょっと歩いて、この2つを見ることができます。
はい。
おお、結構歩ける距離増えてるのだ。
じゃあ、ちょっと待ってね。
よしよし。
えーと、資料と加湿装置。
はい。
えーと、じゃあどうしようかな。
えー、じゃあ、今日は左から。
左から。
加湿装置から見たいのだ。
はい。
えーとね、これは実は過温装置です。
おお、ほんとだ。
おお、ほんとだ。
1:09:00
はい。
よくね、みんな間違うんですよね。
はい、じゃあ読み上げお願いします。
はい。
加温装置。
えー、ベッドから少し離れた位置に、
温風で体温を適温に維持するための装置がある。
はい。
こちらも何かふさわしい技能がある、成功すると分かることがあるかもしれません。
おお。
あー。
えーと、加温装置の機能。
ふふふ。悩みますよね、これね。
そうだねー。
おー。
えーと、とりあえず操作パネルの所をちょっと見に行くのだ。
はい。
特になんということはない。
オンとオフとか、プラスとマイナスとかがありますね。
ふんふんふん。
えーと、ミカの名前とかもどっかに書いてあるかなって。
あ、その辺は目星になってくるのか。
そうですね。
ほうほう。えーと、じゃあ、目星振るのだ。
はーい。
ナイス成功。
やったー。
はい。そうするとですね、温風を出すはずなんですが、
何かひんやりと冷気を出していることに気が付きます。
また、冷気と一緒に何か別の気体も発しているようですが、それが何かは分かりません。
ふんふんふん。
怪しいの極みですね。
色が付いているかどうかはこの状態じゃ分かんないか。
ん?あ、機材にですか?
あ、なんか別の気体が出てるってなんで思ったのかなーと思って。
それがね、色はさすがに出てないと思うんですけど。
ふんふんふん。
なんかそんな気がするって感じですかね。
気がする。インスピレーション。
はい。ほうほうほう。
えーと、じゃあ、ちょっと匂いを嗅いでみる場合ってどうすればいいのだ?
匂いはですね、利き耳技能で振ることができます。
あ、ナナハンでも利き耳なんだ。
はい。
はーい。じゃあ、利き耳振るのだ。
はーい。成功。
あ、できたー。
素晴らしい。
特に匂いはないですね。
むしろなんで別の気体が出てるんだろうって思ったかなっていうぐらい。
ほうほうほう。
えーと、じゃあ送服服のところに順々に手を当ててって温度の変化とかなんかあるかな?
あ、ないです。冷風が出てます。
ほうほうほう。
1:12:01
じゃあ、ちょっと首をひねって。
あ、でも手術室ですから無菌状態にするものかしら?
で、あの、ぶつぶつつぶやきます。
はい。
で、えーと、そのあと資料の方に行きまーす。
はーい。
よいしょ。
じゃあ、資料を読み上げます。
はい。
はい。
資料。少し歩いた先にある棚は、以下のような患者の名簿と覚えつき資料が収められている。
はい。お名前はですね、大変なのでいいですよ。
あ、大丈夫?
はーい。
じゃあ、名前と適正率1、それから適正率2という感じの名簿リストなのだ。
えーと、これには何か、あの、機能は振った方がいいのだ?
そうですね。これもね、目星が振れるかな?
目星が振れる。はい。
じゃあちょっと、一応目星振ってみるのだー。
はーい。
あ、いいかな?
あ、大丈夫ですよ。
失敗。
あー、失敗。
えーと、そしたらちょっと、どうしようかな。
タロッとしては、
はい。
ん?
ん?
あ、うん。えーと、なんで一番上だけ名前空欄なのかなーと思って。
あ、ええ、ええ、ええ、ええ。
うん、うん。
で、えーと、94、13、名前。
えーと、昨日見たモニターのところをちょっと見に戻ってもいいのだ?
はい、大丈夫です。
はい、はーい。
じゃあ、よいしょ、よいしょ。
あ、ありがとうございます。
うん、うん。
97、98。
はい。
はい。
うん。
これって、患者さんの情報よね。
こんなところに出しておいて、私、見ちゃいけないもの見ちゃったんじゃないかしら。
って言って、あの、ちょっとナースコールの方を見て、
いやいや、こんなことにナースコールをしてはいけないって、ちょっと自分今、締めます。
はい。
じゃあ、ちょっとナースコールのボタンを持って首をプルプルって振っていると、また隣の部屋から声が聞こえてきます。
1:15:01
もしもーし。
あ。
えっと、めぐろさん?ですよね、昨日の。めぐろあきらさん。
はーい、あきらでーす。お姉さん、調子はどう?
あ、えっと、昨日よりいいですよ。
あ。
ありがとうございます。
うん、なんか昨日より声が元気そう。
あきらさんに隠し事はできませんね。
ん?何か隠してることあるの?
あ、そういうわけじゃないんですけど、昨日も私の気持ちとかすごく壁越しなのに、すごく丁寧に汲み取ってくださったので、すごいなって。
ふふふ。あのね、私お父さんみたいな名義になりたいから、お父さんみたいにこういう人、こういう人って言うようになっちゃったの。真似してごめんなさい。
そんな謝ることじゃないです。すごいですね。
そうかな。
なんか、昔からお父さんみたいなお医者さんになりたかったんですか?
昔はね、アイドルとかプリキュアになりたかったんだけど、事故をして、もう5年も経つんだけどさ、一生懸命お父さんが毎日治そうとしてくれるから、そういうお医者さんになりたいなって思うようになったの。
そうなんですね。そうですよね。お父さんって、いろんな患者さんとかとお話しされて、きっといろんな方を救ってらっしゃいますし、それでいて、あなたのこともすごく大切に思ってくれるいいお父さんでもあって。
うん。
あの。
何?
あきらさんは、私、こんなこと言っていいのかわからないですけど、お父さんに、頑張ってるお父さんには言いづらいことでも、私には言っても大丈夫ですから。
1:18:04
こう見えて、で、壁越しですから見えないですけど、私、たぶん結構口固いですから。
本当?
本当です。たぶん。
じゃあね、お父さんちょっとチャラーいって思ってる。
あー。
で、ちょっと反応に困ります。そうだなーっていうのもちょっとあれだなーっていう。
え、えっと、そうですね、あの、モテそうですよね。
モテそうっていうかさ、なんかね、昔の記憶なんだけど、おやすみーって言いながら手をひらひらーって振るの。
それ、今日も昨日もやってらっしゃいましたよ。
えー、まだやってんのお父さんも。
でもそういうのが様になるのがかっこいいんでしょうね。
そうなのかなー。あ、そうだ、お姉さんちょっと聞いてもいい?
あ、はい、何でしょうか。
今日もお話いっぱいできてとっても嬉しいんだけど、頭がボーっとするとかない?
えっと、なんて言ったらいいんでしょう、あの、そうですね。
でも昨日よりは調子本当にいいんですよ。少し歩けましたし。
あー、そうなんだ。
あのね、今までもそっちのお部屋に記憶なくした人がいっぱい入ってきたって言ったでしょ?
うい、これまでね、頭がボーっとするとか、急にお話が通じなくなっちゃって、
ウチャウチャウチャーって何か変なこと言い始める人が多くて、ちょっとお姉さんがそうならないかなって怖かったの。
そうなんですか。あの、大丈夫でしたか?
うん、めっちゃ怖かった。ピンクのマモスが何とかって叫んでて。
なんかすみません。
え、いや、お姉さん叫んでないよ。
あ、いえ。だって、何もっていうことは、昨日の時点で私がそうなるかもしれないって思いながらも話しかけてくださったってことですよね。
うん、だって暇だったんだもん。
でも、怖くなるかもしれないし、それなのに私を不安にさせないように話しかけてくださったんですね。
1:21:07
あ、話しかけてくださったのは、あの、めぐろさんのお話したいなって思ってらっしゃったんだと思うんですけど、
昨日の時点で私がもしかしたら、
そうですね、紫のライオンが食べに来たぞーとか言い出すかもしれなかったんですよね。
あ、そうそうそうそう。
そういうことを言って不安にさせるっていうか、そういう私を怖がらせるようなことは言わないで楽しくおしゃべりしてくださったんですよね。
あきらさんってやっぱりすごいなって思います。
そうかな。なんかおかしくなるの2日目だけだったからさ。
2日目だけですか。3日目になると治っちゃうってことですか?
そうなの。急に治るの。で、みんなそして出てっちゃうの。
あの、その方々ともおしゃべりなさって、お名前も聞いてるんですよね。
そうだね。
えっと、いぶきまいさんって方いらっしゃいました?
いぶきま…えー、もう覚えてない。
覚えてない。
そうですよね。
印象にあった人なら1人いるかも。お名前。
どんなお名前だったんですか?
えっとね、とうさん。
とうさん?
おじさんだけどとうさんって笑った。
とうさんが2人になっちゃいますね。
確かに私も一度聞いたら忘れられそうな名前です。
ねー。ねー。
なんかお姉さんと話してると元気出る。
そう言っていただけると嬉しいです。
あきらさん。
なんだかちょっとこんなこと言ったら失礼かもしれないですけど、
自分が明るくしなきゃって頑張ってるみたいな感じがして少し心配だったので。
じゃあ、先に言うけど、これはお姉さんのせいじゃないからね。
1:24:00
はい。
あのさ、私事故で怪我をして、体が動かなくなっちゃって、目も見えなくなっちゃって、
あとね、その事故でお母さん死んじゃったの。
あ、お姉さんのせいじゃないからね。
だからお父さん、私を治そうと一生懸命なんだけど、やっぱりどっかで泣いてると思うんだよね。
だからさ、私が泣かないほうがいいかなって思って。
ほんと?
ほんと?
もうプリキュアは子供っぽいからいやー。
もう大人ですもんね。
そうそう。怪我してなかったら中学生になってるんだから。
中学生ですか。それは確かにお姉さんですね。
うん。あ、じゃあさ、お姉さんお姉さん。
はい。
あとね、お姉さんが元気になって、私も元気になって、お外で行けるようになったらさ、一緒に会って遊んでくれる?
うーん、それは元気になる前じゃダメですか?
なる前?
あの、もちろん目黒先生の許可を得てということになると思うんですけど、ずっとお父さんだけお話しするとか、お隣の患者さんだけってなると、やっぱりちょっと退屈ですよね。
うん。めっちゃ退屈。
あの、私、外からお見舞いに行きます。
え、本当?会いに来てくれるの?
はい。
わー。あ、え、でも私、えっと、5年間ずっと動けなかったから、もしかしたらお父さんすごいいい加減に服とか着せてるかも。大変。
あ、そしたらそれは、私と一緒にお父さんにちょっと抗議しましょう。怒るってことです。
本当?やった。もし私が変な格好とかいい加減な格好とかしてたらお父さん怒ってね?
1:27:00
怒りますよ。あと、そうですね、じゃあ、見えなくったっておしゃれはしたいですよね。
うんうん。
私、もし退院していろいろ動き回れるようになったら、そうですね、好みのアクセサリーとかそういうの教えてください。お土産に持ってきます。
やったー。あ、お金はお父さんに払わせるからね。
え、そうですかね。あの、あきらさんってすごくしっかりしてるって言われません?
そうかな?
あ、ごめんなさい。私、ついうっかりあきらさんなんて慣れ慣れしくて。
いいの。さっきからね、あきらさんって呼ばれててね、すっごい嬉しかったの。
ああ、私ったら。
えっと、でも、お嫌じゃなかったらあきらさんってお呼びしてもいいですか?
お願いしたーい。
じゃあ、私のことも、えっと、どっちがいいのかしら。
さくらさん?きりかさん?どっちがいいですか?
え、むしろお名前呼んでもいいの?
そうですね。あの、ほら、私だけ呼ぶなんて不公平じゃないですか。
でも、昨日さ、お名前言って私がさくらさんって言った時に、ちょっと、ん?っていう雰囲気だったから。
さっきからずっと呼んでなかったの。
そうですよね。あの、正直まだ自分の名前かどうかわかってなくて、よその人の名前だったらどうしようかなって。
でも、あの、そうですね。あの、あきらさんがお花が好きっておっしゃってくださったので、さくらって名前もいいかなって。
うん、私さくら大好き。
じは残念ですけど、実は、あの、お花のさくらじゃなくて、さとうのさにそうこのそうって言ってわかります?
うん、わかるよ。
そっちのさくらなんですけど、それでもよかったらさくらと呼んでください。
わかった。じゃあ、ひろちゃんとさくらと呼んでください。
はい。
うん、わかるよ。
そっちのさくらなんですけど、それでもよかったらさくらと呼んでください。
わかった。じゃあ、ひらがなでさくらおねえちゃんって呼ぶ?
ダメ?
あ、いえ。私、あの、かわいいなって、あきらさんが。あの、全然ダメじゃないです。ありがとうございます。
やった。ありがとうございます。
はい、そんな話をしていると、また強烈な眠気があなたを襲います。
1:30:03
歩けるようになったとはいえ、まだ体力が戻りきっていないようだ。
泥のように眠りに落ちる直前、隣の部屋から、
おやすみ、さくらおねえちゃん。
という声が聞こえた気がする。
はい、3日目です。
3日目です。
えーと、目が覚めた。あなたは相変わらず手術室にいる。
視界はクリアになっている。体の調子も昨日より良くなっているようだ。
そこへ、また昨日の医者がやってきた。
おはようございます。調子はどうだい?
おはようございます、めぐる先生。
えっと、
何度か目の調子を確かめてから、
目の方は様子が戻ったみたいです。
良かった良かった。体の調子もどうだい?
そうですね、良くなっていると思います。
良かった。じゃあ、視神経が元に戻ってきたのかな?
はい。
あ、えっと、
昨日、検査していただいたんでしょうか?
あ、ごめんね。遅くなってしまって。
検査の器具を持ってここに来たら、君がぐっすり眠ってたから、
ちょっと失礼させてもらって、寝てる間に、ちょっとね。
あの、あとすみません。
ああ、なんだい?
え、セクハラで訴えられる?
え、セクハラで訴えられる?
いえ、そんな、医療行為というか、
医行為はお医者様でないとできないことですから。
そうではなくて、
えっと、あちらの資料って、ここに置いたままでいいんですか?
おっと、僕としたことが本当に失礼なことをしているね。申し訳ない。
もしかして見ちゃった?
あ、すみません。
すみません。あ、でも、私、忘れるのは得意みたいなので。
そうなんだ。
うーんと、じゃあ、僕と共犯ってことで許してくれる?
その質問ですと、私、最終的に先生に自白っておっしゃられるような気がするんですけど。
そうだね。病院側に怒られちゃったら、僕はビロッと自白しちゃうかもね。
まあまあまあ、それはいいじゃない。
1:33:05
記憶はどうだい?
えっと、
で、いってもう一回、自分の名前の焼け焦げたカードを見てみるけど、どうだろう?
なんかピンとくる感じ?
は、ないですね。
ない。
じゃあ、
すみません。いまだに自分の名前に実感がないと言いますか?
ああ、そうか。
じゃあ、今日ももうちょっとだけ、僕とおしゃべりに付き合ってくれる?
はい、お願いします。
と言ってね、女性にするような話じゃないなって思いながら毎回準備してるんだけどさ、と言いながらボードを出してきます。
君は臓器くじという話を知っているかな?
つまりは覚えているかな?
臓器くじですか?
いえ、たぶん、今は思い出せないです。
お、やっと君の知らない話を持ってこれた。
そうだね。臓器くじっていうのは、ある人間を一人積極的に殺して、それより多くの人間を助けることは良いことだろうか、という思考実験だ。
ただし、思考実験だからルールがある。
1.公平なくじを健康な人に引いてもらう。当たりが出たらその人は殺される。
2.殺された人の臓器をすべて取り出して、臓器移植が必要な人々に配る。
3.移植は必ず成功するものとする。
4.くじに不正行為は起きないものとする。
5.人を殺す以外には臓器を得られないものとする。
ここまではいいかい?
口の中でブツブツと条件を繰り返した後、こっくりうなずきます。
これは思考実験だからさ、いろいろ物申したいこともあるだろうし、現在の医療とかシステムとかとは違うんだけど、このシステムについて、君はどう思うかい?
そうですね。えっと、ポイントとしては、より多くを救うために積極的に人を殺すことを問いている問題かなと思います。
さすがの里さんだね。
1:36:13
ただ、なんて言ったらいいんでしょう。
えっと、本題じゃないところがちょっといくつか気になると言いますが。
うん、何だい?
いえ、思考実験にこういうことを言うのは部粋なんでしょうけど、仮にこのシステムが採用されたとして、それって多分うまくいかないんじゃないかなって気がするんです。
それはどうしてだい?
えっと、これってクジで殺されないための抜け穴がありますよね。
そうかい?クジに当たったら必ず殺されるんだけど。
ええ、でもそれって健康であればですよね。
ああ、そうだね。
つまり、死にたくなかったら健康じゃなくなればいいんです。
なんか昔の兵役流れのようだね。
ああ、まさしくそんな感じだと思います。
つまり、これが採用されてしまうと健康な人数が相対的に減っていく可能性があるってことになると思うんです。
死にたくない人は自分から不健康な状態になって、クジの中線から逃れようとするでしょうし、そうすると、結局のところ、健康だった人は健康を害するようになり、健康のままの人は死亡率が上がり、臓器を提供される側はドナーの数が相対的に減っていく。
そういうことを考えると、うまく回らないんじゃないかなって気がしませんか?
なるほどね。
いや、僕はこれを試行実験として持ってきたからさ。
このシステムそのものがいいとか悪いとかっていう話ではないんだろうけど、どう思うかなって君に問いたかったんだけど。
1日目の時もそうだったけど、君はその前提条件が結構気になるみたいだね。
そうかもしれないですね。これ、えーと、トロッコ問題ですよね。
1:39:00
あー、そうだね。
1人を殺さないと5人が助からないっていう問題だったら、またちょっと違ったと思うんですけど。
うん。
これはそういう、なんて言ったらいいんでしょう。
抜け道のある問題なので、そうですね。なんでこんな形にしたのかなって思います。
ふんふんふん。なるほどね。
そうか。
うーんと、そうなってしまうとこの試行実験ができないので、
じゃあそこは無しで。
そうですね。無しで考えるとすると、つまり積極的に健康な1人1人を殺すことによって、5人の病人が助かる他に方法はないということになってきますよね。
そうだね。
で、えーと、これは試行実験なので、例えば1人殺したことによって、肺のドナーは実はその時には必要な人はいなかったというようなケースはないものとして考えるということでいいですよね。
ちょっと考えて。
私はそうですね。それでもやっぱりちょっと無理のある話の気がします。
そうかい?
って言います。
それはどうしてだい?
多分、そうですね。先生にこのお話をするのはすごく残酷なことかもしれないんですけど、大事な方を亡くす時にそれが誰かのせいであったとしたら、その誰かを恨まないでいることってできますか?
誰かのせいかがはっきりしていたら、恨まないは難しいだろうね。
そうですよね。私、もしこのドナーの方の親族だったとしたら、多分やっぱり同じことを思うと思うんです。
1:42:09
9時は公平で、そこに何も作意はないとしたら、そしたら多分、移植された側の方々を恨んでしまうんじゃないかなって。
そうだね。
移植された側の方々も、同じことを考えてしまうんじゃないかって思うんです。
自分が、もし肺が片方元気だったら、自由に走れる足があったら、あの人は9時にあたって死なずに済んだのかもしれないって。
人の命と残された人たちの気持ちを背負って生きていくっていうのは、すごく辛いんじゃないかしらって。
なるほどね。本当に君は視野が広いというか、多角的にものを考えられるというか、本当に素晴らしいな。
僕はね、この質問を結構何人にもしてきてるんだ。
だけど、殺される側の立場とか、あと殺される人の家族とかに及んだ人はいたんだけどさ。
移植される側の気持ちがちょっとモヤモヤするって発言した人は、君が初めてだよ。
そうですか。私、ちょっと変なんでしょうか?
いやいや、違う。変って言ったら、そうだな、普通じゃないとは言おうか。
本当に視野が広いというか、視点が他人にあるんだ。
視点が他人?
自分の、じゃあ君の言葉を借りて、物語の主人公が君じゃないんだよ。
そうかもしれません。
うーんと、2日目くらいからちょっと僕は危惧していたんだけど、君は人のことを気にしすぎる傾向がある。
今までに深く傷ついたことがある人なのかもしれない。
1:45:05
そうじゃないといいんだけどね。
多分、ろくな人間じゃなかったんです、私。
いや、それは君がろくな人間じゃないんじゃないんだ。周りだよ。
先生もお気づきだと思うんですけど、私、結構ひどい見た目してますよね。
そうかい?
僕は本当に君が可愛いと思うけど。
そういうことをおっしゃるから、お嬢さんにチャラいって言われるんですよ。
え?
あ、あきらはそんなことを…。
え、ご、ごめんなさい。やだ私、これ内緒にしてって言われてたんだっけ。
そうか、もう娘にチャラいって言われる年になってしまったか。
え、あ、えっと…。
えっと…。
そのうち、お父さん、私には好きな人ができましたって言う日が…。
えっと…。
うるうるしまーす。
ああね、なんてね。
だけど、君の人生は君のものだ、本当はね。
これから先どんな記憶を思い出すかわからないけれど、
僕からのアドバイスとしては、君は君のことを考えて行動した方がいいと思うよ。
先生も先生もそうしてくださいね。
うん、そうだね。
いや、初日に言ったじゃないか。僕は自己中心的なんだ。
じゃあ、そろそろ今日も患者を見なければいけない時間だ。
明日には退院だ。記憶も、まあ、近々戻るだろう。
じゃあ。
はい。
と言ってまたひらひらーっと手を振りながら彼は出て行きます。
キラさんとのことをお願いするのは忘れちゃったけど、退院の時に行った方がいいのかしら。
えー、あなたは今日はとても元気になってきています。
部屋の中もうろつけるでしょう。
1:48:01
今日はここを見に行くことができます。
おー、行けるよ。
何だろう。
お、隣の部屋に続いている扉。今の体の調子ならあの子に会いに行ける。
はい、会いに行きます。行けますが、どうしましょうか。
えーと、そしたらじゃあ、今日はこっちから声をかけてみようかな。
キラちゃん。
あきらさん。
あきらさん、起きてますか。
はーい。こちら、あきらでーす。起きてまーす。
こちら、さくらでーす。起きてまーす。
あ、おはようございます。さくらお姉ちゃん。
おはようございます。あきらさん。
今日も元気そう。
え、おかげさまで。
多分、そうですね。メイのお父さんのおかげでずいぶん元気になりました。
ほんと?よかったー。
それでですね、あきらさん。
うん。
ここだけの話なんですけど。
うん。
私、あきらさんの部屋に行けちゃいそうなんです。
え、ほんと?そんなに元気になったんだ。よかったー。
え、大丈夫かな。
はい、大丈夫です。
でも、あきらさん、会いに行ったらご迷惑じゃないですか。
全然全然。私の方が、えっとえっと、お目汚し失礼します。
難しい言葉してるんですね。
うーん、そうだな。
えっと、じゃあ、って言って、あの扉をコンコンってノックして。
はい。
お邪魔してもいいですか。
はい、いらっしゃいませ。どうぞ。
えっと、じゃあ、どうしようかな。
じゃあ、扉開けるのだ。
はい。隣の部屋は薄暗い。部屋の中央がぼんやりと光っている。
そこにはベッドがあった。
そして、そのベッドに横たわっていたのは、あなた自身だった。
もちろん、あなたはベッドのそばに立っている。立って横たわる自分を眺めている。
では、ベッドで出ている自分は誰なんだろうか。どうして自分が二人いるんだろうか。
1:51:03
異様な光景に正気度を失います。成功1、失敗1D10です。
おー。
はい。
じゃあ、まず正気度ロールを振るのだ。
お、失敗。
お、失敗。
1D10はどれだ。
はい、1D10振ります。
はい。
3。あ、よかった。3で済みました。
ただし、3値がもともと低い。
3値だからね。
引き下げすぎたかな。
こうだね。
はい、ありがとうございます。
混乱しているあなたに、彼女が話しかけてくる。
あれ?桜お姉ちゃん?
あれ?大丈夫?
え?あ、大丈夫…なんでしょうか?
え?え、私そんなひどい格好してるの?おー、お父さん。
あ、ち、違います。えっと…あ、部屋が消灯されてたんです。
それで、今ドアのそばでスイッチを探してるんですよ。
あ、え、そうだったんだ。ごめんね、目が見えないから全然知らなかった。
そりゃ。
スイッチありそう?
多分、こういうのってドアのそばに大体あるのがセオリーなので、少し待ってくださいね。
気づかないようにそーっと深呼吸して、ちょっと気持ちを整えます。
はい。
で、大体、扉開けてすぐ手の届くところに明かりのスイッチがあると思うのだけど、どうだろう?
はい、ないんです。
ない!?
おー。
そしたらちょっと何回か手探りして、えっと、これはなんか目星とかいるのかな?
いえ、目星はいらないんですけど、今見られるものとしては自分の横たわっている体か、あとはアキラの方に向かっていくかです。
んーと、じゃあ、自分の体をまずちょっと見てみます。
はい。
あなたにそっくりの体が眠っています。
えっと、首のところに手を当てて脈を測ってみるのだ。
んー、ひーやりしてます。
触り心地は人間の皮膚。
1:54:00
はい。
ほうほう。えっと、ちょっと混乱してから。
えっと、アキラさん?
はい。
呼びかけるけど、その体から声はしない。
ですね、もうちょっと向こうの炎明るいところから声がします。
えっと、ごめんなさい、私なんか電気のスイッチ見つけられないみたいで、ちょっと探り足でそっち行きますね。
うん、じゃあ声出すね。桜お姉ちゃん、こっちだよー。
あ、はい、ありがとうございます。
なんなんだろう、この部屋。
では彼女の方に進みます。
はーい。
すると、彼女の声が聞こえてくるのは、ベッドの脇に置いてあった機械が付随したシリンダーからだった。
そのシリンダーは緑色の液体で満たされており、中には脳みそが浮かんでいた。
彼女の声は、このシリンダーに付随した機械から聞こえてきている。
あれ、わかった?私のこと見えた?
え、あの、あきらさんですか?
あ、ほんとだ、桜お姉ちゃんの声が近くから聞こえる。あきらだよー。
あ、え、私、桜です。えっと、体動かないんでしたっけ?
うん、そうなの。目も見えなくて、本当にごめんなさい。
うん、大丈夫、大丈夫です。
でも、握手してもわからないのはちょっと寂しいですね。
ほんとだよね。早くお父さんに治してもらわなくっちゃ。
と言っていると、そこに医者がやってきます。
もうそんなに動けるようになってたんだね。
ビクッとしてから、先生、って呟きます。
いや、もうここまで歩いてこれるとは思ってなかったよ。
お嬢様の病室に勝手に入ったことは申し訳なく思います。
1:57:00
うん、いや、それはいいんだ。
と言って、シリンダーの方に彼は向き直ります。
あ、あきら、桜さんとちょっとお話したいから、眠っててもらえるかい?
え?私は桜お姉ちゃんとお話してたのに、お父さんひどい。私だってもっとお話し…
あきらさん?あきらさん?
ちょっとスイッチを切らせてもらったよ。
スイッチ…じゃあ、やっぱりこの姿があきらさんなんですね?
ああ、そうだ。あきらはね、体の原型がとどめられないほどの重症を事故で負ってしまった。
なんとか脳だけは保存しようと試みてね。
幸い僕は交流があったんだ。そういったことができる種族との交流が。
そして、ベッドにいるのも見たんだろう?
はい。
あれはね、君自身の元の体だ。
待ってください、何をおっしゃってるんですか?
そうだよね。順番に自白させてもらうよ。今の君の体は作り物だ。
人形にね、君の脳みそを移し変えたんだよ。
本当はあきらを助けたかった。あきらに似せた人形を作って、だけどうまく接続できなかったんだ。
人形に移し変えるには時間が経ちすぎていたらしい。うまく順応してくれなかった。
あ、ごめんなさい。間違えた。
あきらとの適正率98%の君の体なら、きっとこの子に馴染んでくれる。
そして、その人形の体も君に馴染んでいるだろう?
ちょっと機能調整は必要だったけど、適正率98%の君の体なら、きっとこの子に馴染んでくれる。
そこで、僕は君にお願いがある。
あきらのために、君の体が欲しい。君にはその機械の体をあげよう。
あきらとの適正率98%の君の体なら、きっとこの子に馴染んでくれる。
そして、その人形の体も君に馴染んでいるだろう?
2:00:05
ちょっと機能調整は必要だったけど、適正率97%だったからね。
お願いだ。君の体を譲ってくれないか。
ただ、君が嫌だと返事をすれば、もちろん君に体を返す。
僕は100%失敗せずに戻すことができる。
いくつか確認をさせてください。
ああ、もちろんだ。
先生がおっしゃったことは、信じがたいですけど、
事実なんだと思います。これを見ましたので。
でも、それが全部ではないですよね。
全部ではない?
自白する。事情を説明する。
そのようにおっしゃってくださいましたけど、全部は話してないですよね。
そうか。じゃあ、君にまだ聞きたいことがあるなら、聞いてくれ。
俺は間違って言ったら申し訳ないんですけど、
お嬢さんに、秋田さんに、私と同じような症状の方が何人か、
あの手術室に通されたと聞いています。
ああ、2日目に必ず精神的な混乱の状態を見せて、3日目になると突然それが元に戻る。
患者さんのリストも、すいません、うっかりでしたけど見てしまいました。
2つの数字と適合率。
お名前の脇に2つ数字があって、つまり、私が初めてじゃないんですね。
ああ、そうだ。僕はね、5年間ずっと探し続けてきたんだよ。
たくさん、たくさん、やっと会ったのが君だったんだ。
そうですか。私が雷に撃たれてここに運ばれたというのは嘘ですよね。
2:03:10
ああ、すまない。
いえ、うすうすおかしいと思ってたんです。
所持品のカードは焦げてるのに、私の体に火傷の跡がなかったので、眼鏡も無事ですし。
さすがの里沙だ。その通りだ。
私にした質問は、記憶を戻すためではなく、今日のためだったんですね。
そうだね。君に、なんて言えばいいんだろう。
僕はね、あきらの体を元に戻したいんだ。
そうすれば、あきらはきっと幸せになれる。
だけどね、だからといって、人を犠牲にして人の命を奪うのは、医者としての矜持が許せない。
だから、いろんな方法を探したんだよ。
体は返せる。そのための考える材料を、3日間君に話した。
そしてどういうふうに説得したら、私が一番お嬢さんに体を自主的に差し出せるか、それを探っていたんですね。
最初はそのつもりだったんだけどね。君にはきっとバレてしまうだろう。
だからね、言っただろう。君が君の物語を紡ぐために、選ぶような話をしたんだよ。
先生。
目黒先生。
なんだい?
あきらさんのお父さん、あなたがしようとしていることは、私を共犯者に選ぼうとしていることだと思っていらっしゃるかもしれません。
違うのかい?
違います。
先生。
先生はご自身が自分勝手だっておっしゃったのに、どうしてあきらのためってお嬢さんを理由にするんですか?あきらさんの幸せのためっておっしゃいましたよね。
2:06:14
ああ、そうだ。
あなたはそうやっておっしゃることによって、あきらさんを共犯者にしてるんです。
そうかもしれないね。
先生はお医者様としての教授とおっしゃいましたけど、私がレシピエントなら、それを委嘱されるお嬢さんにどうして説明をしないんですか?
言えるわけがないだろう。あの幼い子に。そして、あの悟い子に。
本当に悟いお嬢さんですよね。
ああ。
私、壁越しだったのに、落ち込むのも、動揺したのも、心細いのも、みんな拾い上げてくれました。
だから話せないんだよ。
彼女を明るく言うのが自分の仕事だって言ってたんです。お父さんしか話し相手がいなくて退屈だって言ってたんです。
そうだね。
で、ため息をついてから。
私の体はお好きになさってください。ただ、その前に、お嬢さんにちゃんと選択肢を挙げてください。
親御さんとして、先生として、私、子供がいるかどうかわからないですけど、きっとどこかに親はいると思うんです。
子供に親を裏切らせたり、親に裏切られたり、そういう思いをさせないであげてください。
大丈夫です。あきらさんはとても強くて優しい子です。
こんな状態で5年間いて、それでも目黒先生のこと、お父さんのことを名医だってみんなに紹介して、明るく振る舞って、あなたをこんな体でずっと守ってきてるんです。
2:09:21
一言だってお父さんの悪口なんて言いませんでした。
チャラくてもかい。
そんなお父さんが好きだって、わかる言葉でしたよ。
先生が出て行かれる時のあの手を振る仕草をずっと大事に、真っ暗な何も見えない、こんな中でそれを覚えてたんですよ。
そんなの好きに決まってるじゃないですか。
そうだね。でもね、だからこそ言えないんだよ。
僕の望みを彼女は悟ってしまう。
彼女はね、僕の言うことを聞いてしまうんだ。
だから何も知らず、あの子に何も知らせず、僕はあの子の体を戻すと誓ったんだ。
私の体、確かあきらさん今年で中学に入ってるはずって言ってましたけど、
明らかにサイズが違うんですけど、合わせられるんですか?
いや、合わせられはしない。機械じゃないからね。そこから先は僕の説得の番だ。
わかりました。
じゃあ、あきらさんがもし、そうですね、一つ物語をさせてください。
ああ、お願いするよ。
私が今回の件で先生を恨んだとします。あきらさんがそれを知ったとします。
それで、あきらさんがお父さんを守るため、お父さんのやったことがバレないようにするため、こっそり私を刺して殺したとします。
もちろん、あきらさんはとても頭のいいお嬢さんなので、そんなことは先生には言わないでしょう。
2:12:08
うん。
先生はそれに感謝するんですか?
いいや、それは悪いことだよって叱らなければ。君をね…
あなたが…
ん?なんだい?
いえ、どうぞお先に。
僕はね、君を亡き者にしたいわけじゃない。同じ顔、同じ体の人がいたとしても、それを亡き者にしようなんて思っていないし、
あきらがそうしないように、そこも話はするつもりだ。
そうじゃないです、そうじゃないです先生。
自分のためをもって誰かが、大事な人が、そんなことをして知らなければいいなんて、どうして言えるんですか?
あなたはそれを悪いことだってお嬢さんには止めるんですよね?
あ、お嬢さんが同じ立場だったら、同じことを思うと思わないんですか?
そうかもしれないね。
私たち、私もあきらさんも子供です。親のいる子供です。
でも、彼女はもうプリキュアに憧れてた小さな女の子じゃないんです。
そうだね。
私の結論は出てます。体は好きに使ってください。でも、その前に、お嬢さんをもっと信じてあげてください。
あなたは一人で戦ってるんじゃないんです。
そうだね。君が君の体を好きに使ってくれというのは、君の物語のための結論かい?
わかりません。正直、記憶のせいか、自分の体があまり欲しいと思わないのかもしれないです。
2:15:17
正直、適合率の話がないのでしたら、あきらさんに差し上げるのも申し訳ないかなって思ったかもしれないです。
そうか。
私の体はお預けします。なので、そんなにすぐは痛まないと思いますので、お嬢さんとよく話し合ってあげてください。
寂しがってましたよ。
そんなところまで。
私では、お父さんの代わりにはなれませんから。
そんなところまで、君たちは似てるんだな。
医者は寂しそうに笑い、そして真面目な顔をしてあなたを見て、あなたの顔の前に手を掲げます。
あなたの意識は遠くなっていきます。
え?
あなたは気がつくと、自分の家に戻っていた。
失われた記憶も戻っている。
病院での出来事も覚えている。
あれは夢だったのか、現実だったのか。
ふと、体のある部分が、よく見るとわかることだが、他の部分とは違う色になっていることに気がつく。
果たしてその体は本物なのか、偽物なのか。
それがはっきりするのは、もう少し後のことだろう。
それでは、この後の桜さんの物語を少し紡いで、終わりにしていきましょう。
何日後とかでも、何ヶ月後とかでも構いません。
さくらさんは、基本的にお昼の時間帯はあまりお外に出ないお姉さんだったのですが、
ちょっと勇気を出して、お昼の外に出てみます。
2:18:05
で、あきらさんのイメージに似合いそうな、お花の髪にパチってつけるタイプのアクセサリー。
パチンピン。
はい、わかります。
あれをちょっと勇気出して買いに行くのだ。
たぶん、めっちゃザワザワしているところの人とゴミとか、ものすごい久しぶりなのでめっちゃキョドリながら。
はい。でも、久しぶりに自分の声出して、人間の店員さんから物を買うのだ。
はい。
そんな感じでお願いします。
はい。では、シンクドルフシーマTRPG、片城。
これにて終幕です。
おつかれさまでした。
おつかれさまでした。
ばいばーい。
わがまま放題をありがとうございます。
いや、めっちゃ暴れたのだ。大丈夫だった?
大丈夫です。もう楽しかったから喋りすぎてしまいました。
あ、よかったのだ。
たのさんはどうでしたか?
楽しかった。
あと、たの怖いなってなってないといいなって思った。
怖いことは何にもなかったんですよ。
よかったです。
たのさんの知識が畳まれてましたね。
ちょっとだけお話しておくと、お目の向こうの皆様にお話しておくと、たのは片城を一度他の方のプレイで拝見しておりまして、
どんな質問来るかとかその辺知ってたので、ちょっと事前準備の時間をいただいております。
なので、たのの知識のいくらかは、ウィキペディアからいただいております。
なるほど。
でもね、雑記くじのときのシステムエラーに関しては、本当に私何も考えてなくてびっくりしちゃいました。
そうなんだ。
そういえばそうだなって。
ああいうところで細かいところに引っかかって脱線するのはたのだなって思い出してた。
2:21:03
なるほど。
本当にそっちじゃねえぞっていう。
本当にありがとうございます。
最後みんなお医者さん相手に、目黒ドクター相手にイチャモンつけてたけど大丈夫かな?
大丈夫です。今までもあの程つけてます。
しょうがないね。
自分がしたいくせに誰かのためって言ってたらそれがなるよね。
そうなんですよね。毎回このクソ親父って思いながらやってます。
自己中って言いながら、あまり自己中の自覚がないんだね。
天然自己中なんでしょうね、きっとね。
そういうところがお医者さん向きなのかなとか。
では、もう2時間半近くなってしまいました。ありがとうございました。長時間とっても楽しかったです。
こちらこそ長い時間ありがとうございますなのだ。
見てくださった方々もありがとうございました。
ありがとうなのだ。
配信を終わりたいと思います。お疲れ様でした。
お疲れ様でした。
はい、では終わりました。ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
02:22:47

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