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こんばんは、サリーです。
「アパート3号室」へようこそ。
今日はね、ちょっと本の話を久しぶりにしてみようかなと思っています。
昨日の夜、読み終わったばかりの本なんですけど、中村文則さんの
『何もかも憂鬱な夜に』という小説を読みまして、
これがものすごく良かったんですね。
なのでちょっと今日は、そんな話をしたいと思っています。
この本はね、今月末に開催される、『今宵はここまでに』という読書会の課題本になっている本なんですね。
それで今回読むことができたんですけど、
中村文則さんってね、ずっと気になりつつ読んでなかったんですよ。
読みたいなぁと思ってたんだけど、なかなかちょっと実際に手に取る機会がなかったんで、
今回これ課題本じゃなかったら、きっと読まないまま通り過ぎていただろうなぁっていうふうに思うんですよね。
そう思うと、今回ね、こうやって読む機会をもらえて、本当にありがたかったなぁって思いました。
はい、で、読んでみてね、めちゃくちゃ良かったです。
すごく読んで良かったなっていうのが一番大きいですね。
そんなに長い小説ではないんだけど、ものすごく重たいテーマを扱っている小説でした。
本当にこう読みながらも、読んだ後も、心に何か大きくて重たいものがドスーンと投げ込まれたような感じがして、
読むときには、読んだ後に気がついてしまうような感じで、
読むときに、誰かとすぐに話したいっていうよりは、
これはすごいものを読んだなぁっていう余韻に浸っている、今ちょっとそんな感じで、
いろんなことを本当に考えさせられた小説だったんですね。
で、私の中で一番大きかったのは、やっぱりこの死刑ということについてですね。
自分全然その死刑制度についてね、全然知らなかったんだなーっていうことにも気づきましたね。
なんか改めて死刑制度っていうことについて考えました。
今、世界では死刑を廃止しているという国がかなり多いらしくて、特にヨーロッパでは、もうベラルー市を除いては、死刑が廃止されているらしいですね。
そういうことも今回初めてちゃんと知ることができたんですけど、なんかそういうことを知るきっかけにもなりましたね。
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で、この小説どういう話かというと、主人公はボクという青年ですね。
名前がちょっと出てこなかったかなと思うんですけど、ボクですね。このボクが刑務官をしているんですね。
刑務所に収容されている人たちと関わるお仕事ですね。刑務官。
で、このボクは親がいなくて、幼い頃から児童養護施設で育った人物なんですね。
小学校の時には、その施設のベランダから柵を乗り越えて飛び降りようとしたこともある。
その時に、その養護施設の施設長というおじさんがね、
その施設長との関わりがあって、少しずつ気持ちを取り戻していくというか、
人生を何とかこうやり過ごしていくというような感じになっていく。そういう過去を持つ人物なんですね。
そのボクが、その仕事を通して、20歳の死刑囚、ヤマイという男と関わることになるんですね。
そのヤマイという死刑囚は、18歳の時に殺人を犯しているんですね。
ヤマイが殺害した夫婦の遺族の気持ちとかを考えたら、
世の中的にもものすごく叩かれていて、自分が生きていることっていうのは絶対に許されることじゃなくて、
自分は死ぬことが役割なんだっていうふうに言うんですね。そういうふうに考えて、
拘束しようとしないんですね。
その拘束期限が迫っている時に、刑務官のボクがヤマイに拘束しろっていうふうに言うんですね。
なんで拘束しろっていうかって、別に死刑を免れるためとかじゃないし、
死刑になること自体は変わらないんだけど、事実を言って、それから死刑になれっていうふうに言うんですね。
ここだけ聞くとどういうことっていうふうに思うと思うんだけど、
このヤマイの追い立ちというか、罪を犯すまでの経緯とかを知ると、
この言葉がものすごく刺さるんですよ。
ヤマイはね、幼い頃から親がいなくて、いろんなところで暴力を受け続けて生きてきたという人なんですね。
暴力を受けることも、自分が暴力を振るうことにも何にも違和感がないというか、
暴力に慣れてしまっている、心が麻痺しちゃってるみたいなそういう人で、
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そういう過去も含めて、自分がなぜその夫婦を殺害したのかということを僕だけにトロするんですね。
それを聞いた僕はヤマイに、ちゃんと自分の真実を言って、それから死刑になれっていうことを言うんですね。
ちょっとこのあたりは実際に読んでもらわないと伝わりにくいかもしれないんだけど、
その中で私、ものすごく心に残ったセリフがあって、僕がヤマイに言うんですね。
人間とその人間の命は別のように思うからっていう風に言うんですね。
さらに、殺したお前に全部責任はあるけど、そのお前の命には責任はないと思ってるから。
お前の命というのは本当はお前とは別のものだからっていう風に言うんですけど、
ここを読んだ時に、ものすごいうわーってなって、思わずちょっと本を閉じて、ちょっと涙が出ました。
罪を犯した人間とその人間の命、それは別なんじゃないかっていうことなんですよね。
もちろん、その罪の責任はその人間が負わなければならないんだけど、
その人間が持っている命まで、その罪と一緒に扱ってしまっていいのかということだと思うんですけど、
それが死刑について考えるっていうことなんですよね。
私もこれまで、この間のシマさんとの雑談の配信でも話してたんだけど、
ずっとね、いろんな本を読んだり自分で考えたりするにつけ、
命って誰のものなんだろうっていう問いをずっと抱えているんですよね。
ずっと自分の中にある問い。命は誰のものなのかっていう。
そのことをちょっと話すと長くなっちゃうんで、今日はちょっとそこは置いておくんだけど、
ずっと自分の中にあった問いに対して、
この本を読んだことで、一つの考え方を示してもらったような気がしました。
もちろんこれが答えだっていうことじゃないんだけど、
人間とその人間の命は別のものという考え方に救われたというか、
そういうふうに考えることもできるんだなぁって、そんな感じでしたね。
そこからがまたものすごくいいんだけど、
僕がね、ヤマヤにこういうふうに言うんですね。
お前はクズと言われている。大勢の人間に死ねと言われている男で最悪かもしれない。
でもその後に、お前はどんな人間だろうと、
俺はお前の面倒を見る。話を聞くし、この世界についていろいろ知らせる。
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生まれてきたお前の世話を、お前が死刑になるまで最後までやる。
お前の全部を引き受ける。っていうふうに言うんですね。
もうここで私泣いちゃいました。本当に。
このセリフに。お前は悪くないって言うんじゃないんですよね。
その病が犯した罪をなかったことにするわけでも、そこを許すわけでも、
死刑になることを否定するわけでもないんだけど、
それでもお前の全部を引き受けるっていうふうに言うんですよ。
それを聞いて、病がなぜだって言って泣くんですよね。
それに対して、僕がそうしたいからだ。
俺たちは刑務官だって答えるんですね。
このそうしたいからだっていう言葉がものすごく支えました。
こうしなければならないとかではなく、
お前は悪くないからとかでもなく、そうしたいからっていう。
そこがすごくいいなと思ったんですね。
ここで僕の過去が出てくるんだけど、
さっき話したように、僕は児童養護施設で育っていて、
小学生の時に命を断とうとしたこともある。
そんな僕に、施設長が本とかレコードとか、
いろんな芸術を教えてくれたんですね。
自分の枠を物語とか芸術に触れることで広げろっていうふうに、施設長は言うんですね。
自分以外の人間が考えたことを味わって、自分でも考えろ。
そして、考えることで人間はどのようにでもなることができる。
世界に何の意味もなかったとしても、
人間はその意味を自分で作り出すことができるっていう言葉を、
僕に対して言うんだけど。
その言葉をずっと心に刻んで、僕は生きてきたんですね。
大人になって刑務官になった僕が、今度はその病に手渡していくんですね。
その言葉というか、
お前は生きてきたんだろう?命は使うもんなんだって話して。
で、その僕が施設長から渡してもらったもの、本だったり音楽だったり、
そういうものを今度は僕が病に手渡していくんですね。
例えばシェイクスピアのハムレットとかね、
あとバッハの目覚めよと呼ぶ声が聞こえ、
音楽が入っているCDを貸したりとかっていう、
そういうことだと思うんです。
そういう感じなんですけど。
最後、結末どうなったかっていうのは描かれてはいないんだけど、
この小説の最後に病という死刑囚が、
僕に手紙を初めて書いたって、生まれて初めて書いたって手紙を。
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僕に当てて書いた手紙で、この小説は終わるんだけど、
その手紙が本当にすごく良くて。
いろいろCD貸してもらったり、本貸してもらったり、
それをね、一生懸命難しくて分からないところもあるけど、
読んでいる!みたいなことが書かれていて、
そこもすごく胸を打たれましたね。
なんか、本当に。
かなりネタバレしちゃってるから、今から読む人はごめんなさいっていう感じなんだけど。
本当にいろいろ考えましたね。
だからこの小説って、死刑に賛成ですか反対ですかみたいな、
そういう単純な話ではないんですよね。
人を殺した人間を私たちはどう見るのか。
罪を犯した人間の命を私たちはどう考えるのか。
人間を見捨てないってどういうことなんだろうとかね。
生きるってどういうことなんだろう?みたいなことをずっと考え続けながら読むような、そんな読書体験でした。
いやー、本当にすごいですね。
よかったな、読めて!と思っていました。
今、中村文則さんの別の作品も読んでみようと思って、
今、スリーという本と、あと教団Xを図書館で借りてきたので、
早速読み始めているんですけど、
この小説、他の人がどんな感想を持ったのか聞くのもすごく楽しみなので、
読書会が非常に待ち遠しいですね。
ということで、今日は最近読んだ本、中村文則さんの
何もかも憂鬱な夜についてお話ししてみました。
最後までお聞きくださりありがとうございました。
アパート3号室のサリーでした。
それではまた。