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ムンクの叫びの絵に関して、視覚障害者トミーとマリアの会話。
登場人物、トミー、男性、視覚障害者、ムンクの絵について知りたいとマリアに話す。
マリア、女性、美術に詳しい健常者、トミーにムンクの叫びを説明する。
シーン設定、とある美術館のカフェ。
展示室での鑑賞を終え、トミーとマリアはコーヒーを飲みながら会話している。
トミー、どうだった、今日の展示。
いつもありがとう、マリア。マリアの説明のおかげで、僕もずいぶん楽しめたよ。
特にムンクの絵について、もっと聞きたくなったな。
いいわよ。どの絵に興味がある?
あの有名な、叫びって絵だ。どんな絵なのか、詳しく教えてくれる?
わかったわ。じゃ、目を閉じて想像してみて。
まず、この絵はね、全体的にものすごく強烈な印象なの。
不安とか、絶望といった感情が、色彩と形を通して直接伝わってくるような感じ。
色彩か。
ええ、空の色が一番特徴的かな。
夕焼けなのか朝焼けなのか、とにかく真っ赤で燃え盛っているような不気味なオレンジ色なの。
まるで空が叫んでいるみたいに見える。
その赤色が空一面に渦を巻いていて、見ていると落ち着かない気分になるわ。
へえ、空が赤色。
そう、そして空の赤とは対照的に、手前の風景は深い青や暗い紫色が使われている。
フィオルドの海かな、湾になっているの。
その青が空の赤とぶつかり合って、さらに不安感を煽るような構図になっているのよ。
そして、絵の真ん中に立っているのが叫んでいる人物。
この人物がね、すごく印象的なの。
どんな人なんだい?
まず顔は卵みたいな形で、鼻はなくて口は大きく開いている。
叫んでいるというよりは、何か得体の知れないものに体を内側から押しくぶされているような苦しみに歪んだ表情をしているわ。
目は?
目はね、黒い小さな穴のように描かれているの。
ほとんど瞳がない、光を失った虚ろな目って感じ。
視線はどこか一点を見つめているというよりは、私たち鑑賞者の方を向いているような、そう、何かを訴えかけているような気がする。
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服装はなんだか黒くて、体にぴったりと張り付いているみたい。
性別ははっきりしないけれど、フードをかぶっているように見える。
髪の毛はなくてつるんとした頭、なんだか骸骨のようなあるいはミミロのような人間とは思えないような姿をしているわ。
人間じゃない?
ええ、この人物はこの世のものとは思えないような少し不気味な存在感があるの。
そしてその人物のすぐ後ろには二人組の人物が立っているわ。
二人組?
そう、この二人は帽子をかぶってまっすぐに立っている。でも顔はわからない。
ただ手前の叫んでいる人物には目もくれず、二人でどこか遠くを見ている。
もしかしたらこの叫び声に気づいていないかもしれないし、あるいは無視しているのかもしれない。
とても冷たい印象を受けるわ。
全体的に見るとこの絵は鮮やかな色彩で描かれているのに、どこか寒々しくて孤独な感情が詰まっているの。
空は燃えているように暑いのに、人物からは冷たさが感じられる。
ムンクが感じていた孤独や不安がこの絵全体から伝わってくるような気がするわ。
へえ、そうか。マリア、ありがとう。
どういたしまして。こうして言葉にしてみると、私自身もまた新しい発見があったわ。
今度は別の絵についても話しましょうか。
ああ、ぜひ。