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2025-09-16 08:23

56 エル・グレコ「オルガス伯の埋葬」

世界の名画ランキング第56位 エル・グレコ「オルガス伯の埋葬」のご紹介

サマリー

エル・グレコの名作『オルガス伯の埋葬』は、地上と天国の二つの世界を一つの絵に描き出し、生命と死、信仰を表現しています。マリアはtomyにこの絵の背後にある物語を丁寧に説明し、その深いメッセージを伝えています。

オルガス伯の葬儀
ボイスドラマ エル・グレコ オルガス伯の埋葬
美術館の静かで草原な雰囲気に包まれた 人々が行き交う足音がかすかに響く
ここはプラド美術館。tomyは視覚を持つ友達のマリアに手を取られ、一つの絵の前に立っていた。
その絵はエル・グレコが描いたオルガス伯の埋葬。 マリアはtomyのためにその絵の細部までを丁寧に言葉で紡ごうとしていた。
マリア、この絵は確かエル・グレコっていう画家が描いたんだっけ? そうよ、tomy。
エル・グレコ、本名ドメニコス・テオトク・プーロス。 彼はクレタ島出身だけどスペインで活動した画家よ。
この絵は彼の最高傑作の一つと言われているの。 へぇ、そうなんだ。
どんな絵なんだろう? マリアはtomyの腕を優しく引き寄せ、絵の正面へと誘導する。
じゃあ説明するね。この絵は大きく2つの部分に分かれているの。 上下にね。
上下か。 そう。
下の部分はオルガス伯という人物のお葬式を描いた現実の世界。 そして上の部分は天国へと昇天していく魂を描いた非現実的で幻想的な世界なの。
この二つがまるで一つの物語のようにつながっているのよ。 なるほど。
一つの絵の中に地上と天井が描かれているんだね。 その通り。
まず下の部分から見ていこうか。 マリアはtomyの手にそっと触れ、絵の左から下から右下へと。
そして中央へと導くように言葉を続ける。 この下の部分にはたくさんの人々が描かれているわ。
みんな黒い服を着てオルガス伯のお泣き柄を囲んでいるの。 オルガス伯はこの絵の真ん中に横たわっていて金色に輝く甲冑を身につけているわ。
甲冑か。 彼の泣き柄を抱えているのは聖ステファノと聖アウグスティヌスという二人の聖人なの。
彼らの服はとても鮮やかで聖ステファノは緑と金色の豪華な服を着ていて、 その服には純鏡の象徴である石の模様が描かれている。
聖アウグスティヌスは金色の布の上に赤と白の装飾が施された包囲を身につけているわ。
ああ色彩が豊かなんだね。
そしてその二人の聖人の後ろにはずらりと並んだ人々がいる。 彼らはみんな表情がとても静かで原則。
ほとんどの人が黒い服を着ていて、この絵の重々しい雰囲気を醸し出しているの。 この人たちの視線はほとんどが下、つまり亡くなったオルガス伯の方を見ているわ。
みんなオルガス伯の死を悼んでいるんだね。 うん。
でも一人だけ私たちを見ている人がいるの。 トミーが立っている場所から見て左側にいる小さい男の子。
天国の描写
この子はエルグレコの息子ホルヘマヌエルなのよ。 彼は私たちをじっと見つめているわ。
それは面白いね。 それから絵の右側には一際目を引く人物がいるわ。
彼は黒い服を着て左手を高く上げている人物。 エルグレコ本人だと言われているの。
彼の顔はとても長くて細く少し神経質そうな表情をしているわ。
画家自身も描かれているのか。 そうなの。そしてその背景には何本ものロウソクが灯されているの。
炎の揺らめきがまるで命の儚さを表現しているみたい。 マリアは今度はトミーの腕を少し上げ絵の上天国の世界へと思いを馳せるように語り始める。
じゃあ次は絵の上天国の部分に目を向けてみて。 ここは地上の原則な雰囲気とは一転してまるで夢の中にいるかのような幻想的な世界なの。
雲に満ちた空にはたくさんの天使や聖人たちが描かれている。 雲の空か。
そう、真ん中にイエスキリストが座に座っていて、その周りを聖母マリアと洗礼者ヨハネが囲んでいるわ。
聖母マリアはとても優しい表情でトミーから見て左側にいるわ。 キリストと聖母マリアがいるんだね。
ええ、そしてこの天国の中心には一筋の光が差し込んでいる。 その光の先をたどっていくと小さな半透明な魂が見えるの。
その魂はまるで煙のようにふわりと上昇していて、天使が両手でその魂をキリストのもとへ運ぼうとしているわ。
これがオルガス博の魂なのよ。 ああ、下の現実の世界から上の天国の世界へと魂が昇っていく様子を描いているんだね。
その通り。 そしてこの天国の部分は全体的にとても明るくて、黄色や金色、そして青や白といった色が使われている。
下の暗い部分と対照的で、まるで希望の光を表しているみたい。
この絵全体が生と死、そして信仰の物語を語りかけてくるの。
なんだか不思議な気持ちになるね。 下は原則で、上は幻想的。
でもそれが一つの絵の中で見事に飽和しているんだね。 そう、エルグレコは現実と幻想、生と死を一つの画面に描き出すことで、私たちに深いメッセージを伝えようとしたのかもしれないわ。
トミー、どうだった?少しでもこの絵の雰囲気が伝わったかな?
うん、すごくよくわかったよ。 マリアが言葉で描いてくれたおかげで、
僕の心の中にもこのオルガス博の埋葬が鮮やかに浮かび上がってきた気がする。 ありがとう。
どういたしまして。 また別の絵も一緒に見ようね。
二人は静かに絵の前を離れ、美術館の廊下をゆっくりと歩き始める。 言葉という光を通して、二人の間に新たな世界が広がっていた。
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