モネの印象日の出
ボイスドラマモネ印象日の出 静かで心地よい空間に2人の声が響く
ここは美術館の特別展示室 世界的に有名なクロードモネの印象日の出が飾られている
マリアは親友のトミーの腕をそっと引いて作品の前に立つ トミーの肩に優しく触れながら
マリアここだよこれがモネの印象日の出
マリアありがとう ついに来たんだね
どんな絵なんだろう この絵はね一言で言うと日の出の瞬間を描いた風景が
でも写真みたいにリアルじゃないんだ モネが感じたその瞬間の印象をそのまま描いた
ちょっと不思議な絵だよ 印象か
風景って聞くと光とか水の匂いとか音とか そういうのが感じられるのかな
そうその感覚すごく大事 じゃあ絵の構図から説明するね
この絵は画面の真ん中に朝の靄の中にぼんやり浮かぶ 赤い太陽が描かれているんだ
太陽の下には光の道がまっすぐ水面に伸びている マリアはトミーの手を取り作品の前にそっと誘導する
トミーは絵の放つ静かな空気を感じ取ろうとじっと耳を澄ませる 画面全体はね
もやがかかった港の風景 色もはっきりとした原色ではなくて全体的に青みがかったグレーや紫色
淡い水色なんかが使われていてすごくぼんやりしているんだ まるで夢の中の景色みたいにね
朝の冷たい空気とまだ眠っている水の色かな そうまさにそんな感じ
左手前には暗くぼんやりとした船が2隻シルエットみたいに浮かんでいるんだ それからその右側には少しだけ色がはっきりした
3人の人物が乗った小舟が描かれているよ 人が乗っているんだね
どんな様子 洋服や髪肌の色までは細かく描かれていないんだ
彼らの存在もあくまでその風景の一部として溶け込んでいる ただ彼らの姿勢から港を静かに進んでいることが伝わってくるわ
マリアは言葉を紡ぎながら トミーがその情景を頭の中で描けるように丁寧に説明を続ける
トミーはマリアの言葉を股間を通して受け止めていく そしてねこの絵の主役はやっぱり太陽
港の靄の中に燃えるようなオレンジ色の丸い太陽が浮かんでいて その色が水面に反射して淡いオレンジ色の光の帯を作っているんだ
この光がまるで絵全体に暖かさをもたらしているんだ 太陽の色
暖かさ
なんだか その光が僕の方にも届いてくる気がする
うんきっと届いてるよ この絵は視覚で見るだけじゃなくてモネが感じた光や空気の匂い
港の静けさ日の出の温かさそういうものが全部詰まっているんだ だからトミーにはきっとその印象が伝わっている
マリアのおかげで僕もこの日の出を見ることができたよ ありがとう
トミーは静かに微笑みマリアは彼の腕をそっと握り返す 2人はしばらくの間言葉もなく
モネの作品の放つ静かな光の中に身を置いていた その港の朝焼けは言葉を超えて2人の心に温かく響いていた