都市OS『YŪNAGI』の未来
ノト丸
はい、毎日未来創造、本日もまだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探ってみます。
今週のテーマは、気候変動適応の世界線。今回はですね、極端な暑さと寒さ、その未来を描いた2つの近未来SFショートショートがありまして、
〈都市OS「YŪNAGI」〉と〈菌糸を紡ぐ者〉、それと、それぞれの作品について書かれた後書き的考察、というソースを読み解いていこうかなと。
ブク美
なるほど。
ノト丸
これらの物語って、単に暑い、寒い、その対策だけじゃなくて、その極限状態から、もしかしたら何かこう新しい文化とか価値観が生まれるんじゃないか、みたいな、そういう可能性を描いてるんですよね。
ブク美
非常に興味深い視点ですよね。
ノト丸
厳しい気候変動の未来って、皆さん考えたことありますか?もし世界がもう耐えられないくらい暑くなっちゃったら、あるいはもう全部凍りつくような、そんな極寒の世界になったら、なんか私たちの現実にもちょっと影を落とすような、そんな漠然とした不安感ってあるじゃないですか。
ブク美
ありますね。
ノト丸
今回の物語は、その不安感にちょっと違う角度から光を当ててくれるかもしれないなと。
ブク美
なるほど。
ノト丸
で、進め方としては、まず2つの物語、それぞれの世界にちょっと入っていって、どんな状況でどんな変化が起きたのかを見ていきます。
ブク美
はい。
ノト丸
で、その後に、これらの物語と考察が示している、未来のテクノロジーと人間の関係とか、あるいは新しい価値観について、ちょっと深く考えていきたいなと思ってます。
ブク美
えー、掘り下げていきましょう。
ノト丸
では、最初の物語ですね。
〈都市OS「YŪNAGI」〉
ブク美
はい。
ノト丸
これ、舞台は、もう昔の猛暑が嘘みたいに、完璧に気候が管理された未来の東京なんです。
ブク美
うーん。
ノト丸
「YŪNAGI」っていう都市OSが、全部コントロールしていると。
ブク美
まさにスマートシティのある種の究極系みたいな。
ノト丸
そうですね。
ブク美
で、主人公のハルキっていうのは、この「YŪNAGI」の第二世代の管理技師なんですね。
はい。
ノト丸
彼の仕事っていうのが、システムが予測しきれない誤差、つまりノイズを見つけることなんです。
ブク美
ノイズですか。
ノト丸
ええ。
このノイズっていうのが、人の予測できない行動だったり、古い街並みが持つ複雑さだったり、たまたま起きる出来事だったり、そういうのが源泉なんですね。
ブク美
なるほど。効率化の観点からすると、排除したい要素というか。
ノト丸
まさに。ある日、システムが非効率だってみなしてる古い木造の迷路みたいなエリアがあって、影つき横丁D7地区って呼ばれてるんですけど、そこで原因不明のマイクロヒートスポットが見つかるんです。
上司なんかはもう効率悪いから再開発しろって言うんですけど、ハルキはなんか引っかかって現地に行ってみるんですね。
そしたら彼が見つけたのが、これがすごく興味深くて、データには全然出てこない、昔ながらの生活の知恵だったんですよ。
ブク美
生活の知恵。
ノト丸
そう。軒先の緑のカーテンとか、打ち水とか、あと風鈴(○ふうりん)の音とか、路地で子どもたちが水遊びしてる声とか。
ブク美
ああ、なるほど。そういうアナログなものが、まさにそこが「YŪNAGI」の限界を示唆してるんでしょうね。
システムから見たら、そういうのって計算できないノイズで非効率なものでしかないわけですよね。
ノト丸
そうなんです。
ブク美
だからシステム的な最適解は、常に再開発、整地、均一化、効率は良くなるかもしれないけど、でもなんか人の温かみとか、生活の積み重ねみたいなものが失われちゃう。
ノト丸
そうなんですよね。数値にできない営みが結果的に集まって、微気候みたいなものを作って冷やす効果を生んでたと。
ブク美
へー、物語の中でもちょっと示唆されてますけど、例えば風鈴の特定の高い周波数の音が空気の動きに影響を与えるとか。
ノト丸
へー。
ブク美
あと、打ち水の水滴が落ちるタイミングと蒸発の仕方の関係とか。
なんか一つ一つはすごく小さいんだけど、それが相互に作用して全体の環境を作ってる。
ノト丸
うーん、複雑ですね。
ブク美
こういうのって、やっぱりトップダウンの最適化ロジックだけじゃなかなか捉えられない価値ですよね。
ノト丸
で、物語はクライマックスに向かうんですけど、記録的な熱波が都市を襲って、その"影つき横町D7地区"の温度が危険なレベルまで上がっちゃうんですよ。
ブク美
うわー。
ノト丸
で、システムはもう住民を強制的に移送するっていう最終勧告を出してくる。でも、ハルキはそれを承認しなかったんです。
ブク美
ここで大きな決断を迫られるわけですね。システムの効率・安全性と、そのデータにならない人々の営み・価値と、どっちを取るか。
ノト丸
そうなんです。ハルキはもう自分の権限を超えるの覚悟で、あるモジュールを実装するんです。
それが、ノイズをフィードバックするっていう、今までの発想と全く逆のものだったんですよ。
ブク美
ノイズをフィードバック?
ノト丸
人々の行動とか音、例えば風鈴の音色のスペクトルとか、子供たちの声のパターンとか、そういうのをリアルタイムで取り込んで、それに応じて、なんか散水パターンとかミストの吹き出し方を感覚的に調整するみたいなアルゴリズムで。
ブク美
感覚的にですか?面白いですね。
ノト丸
そしたら驚くことが起きて、温度が下がったのはもちろんなんですけど、それ以上に音と水蒸気が作用しあって、なんか目に見えるような微気候の流れ、風帯っていうのが現れたんです。
ブク美
風帯?
ノト丸
ええ。で、人々は「YŪNAGI」を単に管理されるシステムじゃなくて、自分たちの行動に反応してくれる、なんか対話できる相手みたいに認識し始めるんですよ。
ブク美
ああ、なるほど。
ノト丸
端末を操作して、音を鳴らしたり、歌ったり、踊ったりして。
ブク美
この瞬間、「YŪNAGI」の在り方が変わったんですね。
完璧な管理者から都市の記憶とか人々の音を編んで応答する巨大な楽器になったと。
ノト丸
まさに。
ブク美
気候を一方的に与えるんじゃなくて、住民と競争するパートナーになった。
これって今のスマートシティの考え方にも何かヒントをくれるかもしれないですね。
効率だけじゃなく、どうやって住民の文化とか自発性と響き合えるか、みたいな。
ノト丸
そして「YŪNAGI」の歌っていう新しい習慣まで生まれるんです。
菌糸を紡ぐ者の社会
ノト丸
システムが町から集めて記憶した生活音、風鈴とか笑い声とか水のリズムとか、それを再構成して美しい旋律として町全体に流して、それに合わせてミストが踊るように噴射されるっていう。
ブク美
うわあ、それは素敵ですね。
まさにハルキが言った、「YŪNAGI」は合理を超えて都市の記憶と音を編む楽器になったって言葉がこの変化をよく表してる。
効率とか合理性だけが価値じゃないんだと。
物語性とか美しさ、心地よさ、みたいな、そういう人間的な物差しが未来のテクノロジーの形を決めていくのかもしれない。
そんな可能性を感じますね。
ノト丸
テクノロジーが楽器になるですか。
人間と共鳴して文化を育む。
すごく魅力的な未来像ですね。
じゃあ次に、これとはまた対照的な極寒の世界を描いたもう一つの物語、〈菌糸を紡ぐ者〉をちょっと見ていきましょうか。
ブク美
はい、お願いします。
ノト丸
こちらの舞台は極寒の環境から人々を守るドーム都市シグルイです。
ブク美
ドーム都市?
ノト丸
ええ、ここでは市民の体内に共生させている特殊な熱酸成菌、通称菌糸っていうのがあって、これが生態暖房インフラになってるんです。
ブク美
体内の菌が暖房代わりですか?すごい設定ですね。
ノト丸
そうなんです。
この菌糸がまたデリケートで、宿主、つまり人間の精神状態が安定していると一番効率よく熱を生むっていう特性があるんですよ。
だからこの社会では感情の平穏を保つことが市民の義務みたいになってる。
ブク美
なるほど。
ノト丸
怒りとか深い悲しみみたいな強い感情は都市全体の熱効率を下げる反社会行為ってみなされて、もう治療の対象にすらなっちゃうんです。
ブク美
うーん、徹底した効率一条主義というか、生存のためのシステム維持が最優先される社会という感じですね。
ノト丸
個人の内面、感情とか記憶みたいなものは全体の熱効率って数字の前では二次的なもの、場合によってはバグ扱いされちゃう。
そうなんです。
で、主人公のアオイは恋人のシズクを事故で亡くしたその深い悲しみから抜け出せなくて、菌糸の熱産性効率が最低ランクのDマイナスって判定されちゃうんです。
ブク美
Dマイナス。
ノト丸
ええ。で、社会システムは彼にシズクに関する記憶を消す感情正常化治療を受けろって、強く推奨というか、まあ半ば強制してくる。
ブク美
記憶を消す治療ですか。
ノト丸
そう。でもアオイはその治療を拒否して、社会の中でどんどん孤立していくんです。
ブク美
これは現代社会での個人の感情と社会のルールとか、あるいはメンタルヘルスの問題にも通じるようなかなり根源的な問いを突きつけてきますね。
辛い記憶と一緒に自分であり続けるか、記憶を消して社会に合わせた正常な状態に戻るか、どっちが本当に人間らしい生き方なのかって難しい選択ですね。
ノト丸
孤独と悲しみの中で生きてたアオイなんですけど、ある夜、転機が訪れるんです。
悲しみがもう極限まで達した時、彼の手の甲が熱じゃなくて、淡い青い光を放ち始めたんですよ。
ブク美
光?熱じゃなくて?
ノト丸
そうなんです。菌糸が、なんか予想外の反応を示した。
ブク美
ほう。
ノト丸
物語はクライマックス。ついに感情正常化治療の執行官がアオイのところに来るんですけど、その瞬間、抑えきれなくなったアオイの感情が爆発するんです。
ああ。
彼の体中に張り巡らされた菌糸のネットワークが、そのものすごい悲しみのエネルギーを熱じゃなくて光に変えて、体から本流みたいに溢れ出させたんです。
ブク美
それがいわゆる"感情オーロラ"ですね。
青い光の帯がアオイから放たれて、ドーム都市の空とか氷の壁に反射して揺らめくと。
ええ。
これ、物理的には暖かくないんですよね。
ノト丸
全然暖かくはないんです。でもその光景が、効率一辺倒の社会でこう凍てついてた人々の心に何かを強く訴えかけるものがあったんでしょうね。
うーん。
はい。その光は都市全体に広がって多くの市民が目撃します。
暖かくはない。けど、何か忘れかけてた感情とか、宿した記憶の断片を照らし出すような、そういう不思議な光だった。
ブク美
この出来事をきっかけに、社会に静かな変化が起きてくるんですね。公式のニュースフィードなんかで、心的温度っていう新しい概念、新しい価値基準みたいなものが囁かれるようになる。
ノト丸
心的温度?
ブク美
ええ。アオイの放した光を見た人たちが、これまで社会のルールに従って抑え込んできた、自分自身の悲しみとか、怒り、後悔、喪失感みたいな、個人的な感情をその光に重ね合わせて、アオイのところに静かに集まってくるようになるんです。
ノト丸
アオイはいつしか"菌糸を紡ぐ者"って呼ばれるようになるんですね。彼の個人的な、そして社会からは非効率だって排除されかけた悲しみが共有されることで意味を変えて。
菌糸は忘れ去られようとした心の断片を拾い集めて、夜空に美しいオーロラとして織りなす意図になった。
ブク美
ここで注目したいのはやっぱりその光の意味ですよね。熱効率には全く貢献しないし、都市を物理的に温めるわけでもない。ある意味システムから見たら完全に無駄なエネルギー。
ノト丸
そうですね。無駄ですね。
ブク美
でもそれが、凍て(○いて)ついた人々の心にとってはかけがえのない価値を持った。ここに無駄の中にこそ豊かさがあるっていう重要な逆説が示されているように思いますね。効率とか生産性だけじゃ測れない価値の存在。
テクノロジーと文化の関係
ノト丸
猛暑と極寒、全く違う極限環境で人間とテクノロジーがそれぞれ独自の、そして予想もしなかった関係性を紡いでいくっていう。非常に示唆に富む2本の物語でしたね。
ブク美
ソースとしてあった〈あとがき的考察〉でも深く掘り下げられてますけど、この2つの物語にはやっぱり共通するテーマが見えますよね。
ノト丸
と言いますと?
ブク美
それは、テクノロジーが単なる効率化の道具とか管理システムっていうのを超えて、人間の文化とか精神性、あるいは魂とでも言うべきものと深く結びついていく未来の可能性です。
ノト丸
あー、なるほど。テクノロジーと文化や精神性。
ブク美
そしてその結びつき方が対照的っていうのもまた面白いところですよね。
ノト丸
確かに。都市OS 「YŪNAGI」と菌糸を継ぐ者ではだいぶ違いますもんね。
ブク美
そうなんです。「YŪNAGI」の方ではテクノロジーが人々と共創して都市の記憶や感情を奏でる楽器になった。これは相互作用的で開かれた関係性と言えるかなと。
ノト丸
うんうん、楽器。
ブク美
一方で菌糸を継ぐものでは、テクノロジーは個人の内面、記憶とか感情といった本来消えてしまうはずだったものを継承して共有する書庫、あるいは祈りの場みたいな、より内静的な存在になったと言えるんじゃないでしょうか。
ノト丸
なるほど。楽器と書庫ですか。上手い表現ですね。
ノト丸
「YŪNAGI」が示したテクノロジーの文化的チューニングっていう考え方、これはちょっと掘り下げてみたいですね。
効率だけを追い求めるんじゃなくて、心地良さとか美しさ、面白さみたいな、人間の主観的な感覚とか文化的な価値観がテクノロジーの進化の方向を決めていくっていう。
ノト丸
そうですね。
テクノロジーと文化の関係
ノト丸
AIが画一的的な最適解を押し付けるんじゃなくて、地域ごとの文化とか人々が持っているアナログな知恵みたいなものを学習して、それに寄り添う形で発展していく。
ノト丸
なんかそういう未来ってちょっと温かい感じがしますよね。
ブク美
例えばAIが地域の伝統的なお祭りのリズムとか色彩を学習して、都市の照明とか噴水の演出に反映させるとか。
いいですね。
あるいは個人の生態データからその人の好みとか気分を読み取って、パーソナライズされた環境音楽とかアートを作ったりとか。
考察にあったデータ詩人とかAI調律師みたいな職業って、まさにそういうデータと文化、テクノロジーと感性をつなぐ役割を担うのかもしれないですね。
なるほど。
今の生成AIな心境を見ていると、単なる効率化ツールとしてだけじゃなくて、こういう文化的な創造性をサポートするパートナーとしての可能性もすごく感じますよね。
ノト丸
一方で、菌糸が示したテクノロジーの魂の実装っていう方向性。これもまた深い問いを投げかけてきますよね。
ブク美
そうですね。こっちで特に考えさせられるのは、テクノロジーが物理的な課題解決、この場合は暖房ですけど、その先にある役割を担う可能性ですね。
と言いますと?
つまり、記憶、感情、あるいは個人のアイデンティティみたいな非常に根源的で、ある意味では非合理的な要素を保存したり継承したり、共有したりする媒体になり得るんじゃないかということです。
ノト丸
ああ、なるほど。記憶が感情の媒体。
ブク美
物語の中で一番非効率だってされた悲しみが、結果的に社会に新しい価値、"心的温度"っていうのをもたらして人々をつないだわけじゃないですか。
ええ、そうでした。
この逆説は、私たちが未来のテクノロジーに何を託して、何を本当に次の世代に残すべきなのかっていうのを考えさせられますね。
未来の可能性の探求
ノト丸
デジタル遺産とか、集合的な記憶の保存とか、現代的なテーマにもつながってきますね、それは。
ブク美
まさに、考察で触れられていた"感情建築家"っていうアイディアもすごく興味深いです。
ノト丸
感情建築家?
ブク美
ええ、特定の感情とか記憶を呼び覚ますような空間とか体験を、バイオテクノロジーとか感覚刺激の技術を使ってデザインするみたいな。
例えば、個人を忍ぶための空間がその人の生前の感情パターンを反映した微細な光とか温度変化で満たされるとか。
ノト丸
へえ、すごい。
ブク美
でも、これも考察が指摘しているように、諸刃(○もろは)の剣ですよね。
ノト丸
ああ、確かに。
ブク美
感情を増幅させて、人々を特定の方向に扇動するような感情戦争とか、感情によって社会が分断されるとか、そういうディストピア的な応用も簡単に想像できちゃう。
テクノロジーに魂を実装しようとするなら、その倫理的な側面は絶対避けて通らないでしょうね。
ノト丸
描き方は違いますけど、どっちの物語もテクノロジーが単なる道具じゃなくて、もっと、人間的な何かと結びつく未来を示唆しているように感じますね。
ブク美
そこには共通した希望みたいなものも感じられる気がするんですよ。
ノト丸
希望ですか。
ブク美
それはテクノロジーの進化の方向性が、最終的には私たちをより人間らしくしてくれる方向に向かうのかもしれないっていう。
それは重要な視点ですね。結局テクノロジー自体に善悪はなくて、それにどんな意味とか目的を与えるか、どんな物語とか魂を吹き込むかっていうのは、やっぱり私たち人間次第なんだということでしょうね。
効率とか機能性を追求するだけじゃなくて、その先にどんな人間的な価値を実現したいのか、その問い自体が未来のテクノロジー社会の姿を大きく左右することになるんでしょうね。
ノト丸
さて、ここまで2つの物語と考察を深く見てきました。
リスナーの皆さんに改めて問いかけてみたいと思うんですが、これらの物語、猛暑の都市で響いた「YŪNAGI」の歌とか、極寒のドームに揺らめいた感情オーロラとか、こういうのって皆さんの心に今あるかもしれない不安感、
例えばこれから加速するかもしれない気候変動にどう適応していくかとか、あるいはますます進化するテクノロジーとどう向き合っていくべきかみたいなことについて、どんなことを考えさせますか。
ブク美
そして、これらの物語から生まれた発想、例えばテクノロジーを文化的にチューニングするとか、テクノロジーに魂を実装するみたいな視点は、特にChatGPTみたいな生成AIが私たちの日常とか仕事に急速に入り込んできている今、何か新しいアイディアとかサービスを生み出すための一つの思考のマトリックスとして使えるかもしれないですよね。
ノト丸
ああ、なるほど。思考のマトリックス。
ブク美
AIを単なる効率化ツールじゃなくて、人間の感性とか文化と響き合う楽器として、あるいは失われていく記憶とか感情を託す証拠としてデザインするにはどうすればいいか。何かそういうふうに考えるヒントになりませんか。
ノト丸
だからこそ、皆さんに投げかけたい問いはこれなんです。もし、あなたの身の回りの環境、それは物理的な機構かもしれないし、社会的な状況とかテクノロジー環境かもしれないですけど、それが大きく変わるとしたら、How、どのように適応しますか。
そしてWhy、なぜその方法を選ぶんでしょうか。さらにWhat if、もしテクノロジーが効率や合理性だけじゃなくて、もっと人間的な価値、例えば地域の伝統とか個人の複雑な感情、美意識みたいなものに寄り添うように進化するとしたら、どんな未来があり得るでしょうか。
What if、もし私たちがテクノロジーと一緒に効率だけじゃない豊かさ、それが心地良さなのか繋がりなのか意味なのかは人それぞれでしょうけど、そういうものを追求するとしたら、どんな社会を作ることができるでしょうか。今回は、猛暑と極寒という2つの極限的な状況設定から生まれたテクノロジーと人間性の新しい可能性について探ってみました。
テクノロジーが私たちと共鳴する楽器となるのか、それとも私たちの記憶や魂を静かに受け継ぐ書庫となるのか、あるいは、全然想像もつかない第3、第4の道があるのかもしれません。
どちらの未来を選ぶにせよ、作り出すにせよ、その鍵を握っているのは他の誰でもなく、やっぱり私たちの想像力とか創造性にかかっているということのようです。
ブク美
えー、まさに。
ノト丸
明日も引き続き、気候変動適応の世界線をテーマに、まだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探っていきます。
はい。
ノト丸
今回の考察を通して、皆さんが感じたこと、考えたこと、あるいは、こんなアイディアどう?みたいのがあれば、ぜひ、#毎日未来想像のハッシュタグをつけて、SNSなどでシェアしてみてください。
ええ、ぜひ。
あなたの気づきが、また新たな未来の種になるかもしれません。お待ちしています。
それでは、また明日お会いしましょう。