中学校生活の困難
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日のタイトルは、今年度末の最後の学級の締めはアカデミー賞主演女優賞だった話、というタイトルでお届けしたいと思います。パチパチパチパチー。
まず、私は今年何の因果か、中学校2年生の担任をすることになりました。中学生は、付属中学校・高等学校勤務時代に担当したことはあるんですけど、その時は副担任になったんですね。
なので、担任は初めての担任をやりました。中学生って本当に難しい年代だなと思いましたね。教室に入って接するんですけど、一年間、去年付き合ってきた人たちなんだけど、改めて担任としてこの人たちを見て、うわぁ、宇宙人だなと思いました。
だって考えてみたら、よく考えてみたら、幼稚園みたいな感じの子もいるんですよ。とにかく何も考えていなくて、好きなことだけして、好きなように動いて、所為のことはあまり目に入っていないような幼稚園の子もいれば、小学校の低学年の子もいれば、中学年の子もいれば、高学年の子もいれば、ちゃんとした中学校2年生もいるわけですよ。
さまざまな発達段階の生徒が、カオスになった状態で教室にいるっていうのが、学級経営をしてみて、改めて分かりましたね。
とにかくね、私の話が高校生にずっと話すように話してたっていうところもあるんですけれども、通じにくいなって思いました。女性の声質っていうのも関係するんじゃないかなと思ったんだけれど、話が通じにくい。
とにかく話を聞いてないんですよ。これは男の子の特性じゃないかなと思うんだけど、後で男性教員の若い先生に、中学校時代どうだったって聞いたら、この先生が名言中の名言をくれてました。思い出しながら、何も覚えてないですって言うんですよ。どういうこと?何も考えてなかったと思います。
それ聞いた時、私ね、だからなんだってめちゃくちゃ思い当たりました。何もこの人たちは考えてないんですよ。深いこと。ただただ元気でエネルギーがあって、今の目の前の面白いことにものすごくエネルギーを使って盛り上がり、後も先も考えてなくて、今この瞬間に生きてるから、その先生も何も考えてないし、何も覚えてないわけなんです。
これは男の子の特性じゃないかと思うんですよ。すごい元気があって、エネルギーがあって、ものすごい勢いで成長してるもんだから、今っていうことへの反応が過剰で、前後っていうのがまだ考えられてないんじゃないかなって思いましたね。
そこで私は、短い文章でズバズバ言うようにしたし、大事なことに絞って言うようにしました。私は女性としては、わりかしそういう簡潔に言うっていうことが好きなタイプなんで、クドクドクドクド言わないようにずっとしてたんだけど、それでもいろんなことに気付くから、ついクドクド言ってたんじゃないかなと思うんですよね。
彼らにとって言うならば、家でもグダグダ言うお母さんがいるんだけど、学校でもグダグダ言うお母さんがいるっていうね、そういう感じだったんじゃないかと思います。おまけに彼らの興味関心っていうものには全然共感できないような、そういう女性が目の前にいるし、話がなかなか会いにくいし。
私は私で一回言っても聞かないし、細かいこといろいろ注意するけど全然聞いてないし、忘れ物は多いし、連絡事項を聞いてないから、後でちゃんとケアしないといけないし、何より整理整頓もできないし、ちょっと言うなれば、あちこち汚して汚くするしっていうことで、なかなか彼らと私のペースが合わない感じをずっと持ってました。
学級の締めの準備
私からしたら、毎日離乳食作って毎日おむつを変えてるような感覚がしてたんですよね。これいつ終わるんだろう、このお世話状態って思いながらずっとやってたし、彼らは彼らで、この話の通じないおばさんの口うるささっていうかね、愛情を感じてたと思うんだけれど、うるせーなーとか思いながら聞いてたと思うんですよね。
で、最後の学級の締めの日がやってきました。私は時間がなかなか取れない中、4分か5分で振り返りのビデオをiMovieで作成することができて、1年間取りためた写真とか動画とかを彼らに見せるように支度をし、
で、学級の締めどうしようかなーと思って、すごい時間がないから、単文で終わる2、3分のスピーチにしようと考えていました。
そうしたら、私の同僚で、今年退職される女性の先生がめちゃくちゃ褒め上手で、先生の退職される時のコメントとかを思い出して、これは褒めた方がいいだろうということで、不本意ながら褒めることにしました。
その私の褒め方がズバリ刺さったので、今日はご披露したいと思います。
まずビデオを見せたんですけど、これで彼らは非常に嬉しそうで懐かしそうで、友達との思い出の日々を回想して、とてもとてもこうジーンと来ている様子もありました。
こんなのを見ると、中学生って人間のすごくダークな部分と、めちゃくちゃ子供として純粋な部分、それが同居しているような感じを受けました。
私、高校生よりも中学生はものすごい純粋なんだなと、ちょっとしたことに感動したり、ちょっとしたヒューマニズムあふれるようなことについては、ものすごいハートフルに反応してくれるんですね。
高校生にはないようなそういう純粋さを持っている。その反面、ものすごくダークなところも消化できないまま持っているということで、とても危うい。
とてもどっちに転ぶか分からないような、そういう多感な時期が中学生なんだなということが、ムービーを見せてよく分かりました。
日頃は、辛口批評の子たちもすごく嬉しそうだった。
これが良かったのかな、この流れで私が皆さんに、今日は学校最後だから皆さんと1年過ごしてきて思ったことを言います。
最初、皆さんと対面した時には、幼稚園児はいるし、小学生はいるし、一体このクラスどうなることなんだろうと心配でした。
そりゃそうだと声が上がりましたけれど、1年間過ごしていくと体も大きくなったし、知恵も働くようになったし、少しずつ少しずつ整理整頓もできるようになってきて、
今日なんか皆さんを見ていると、とても体も大きくなったし、落ち着きも少しだけだけど出てきたし、だんだん成長しているなって思いました。
特に昨日は掃除時の時間に教壇を立てかけて移動するっていうところがあったんだけど、もう私が教壇のちょっとした隙間を押しても押しても動かなかった重たい教壇を、丸々くんはスッとやってきて、ポーンと教壇を押してくれて、きちっと位置を整えてくれました。
もうその時、力が強いし、何も言わないでもスッとやってくれたし、なんてかっこいいんだろう。素敵と思ってしまいました。
アカデミー賞、主演女優賞ですよ。と言ったら生徒はうおーって大拍手。そしてなんとかくんはすごい嬉しそうでしたね。やるのお前とかなんとか言いながらめちゃくちゃ拍手が起きるわけですよ。
その次のネタが、そして遠足の時には高い山に登るのに息を切らしてゼーゼーゼーゼー言っている私が、あーもうダメみんなと一緒に登れないとかって愚痴をこぼしたら、これもなんとかくんが、先生それなら僕が奢ってあげるよって言ってくれた。
男女の特性と成長
なんてかっこいいメンズなのって思ってしまいました。って言ったらそこでもうおーってやるのとか言いながらかっこいいとか言いながら大拍手が起きるわけですよ。アカデミー賞、主演女優賞ですよ。
それを見て、男の子って男性一般なのかもしれませんけれど、そういう男らしさって言ったら語弊があるかもしれませんけれど、男性としての魅力を認めて褒めてあげる。
そしてそういうところで感謝するっていうことにものすごい喜びを覚える生き物なんだなっていうふうなことがわかったし、それを認めてあげることで彼らも自己肯定感が生まれてもっとより良くなろうとするっていうことがわかりました。
私はこのラストの言葉で、学級の締めの言葉で一つバージョンアップしたかなって思うんですよ。女性と男性っていうのがね、ジェンダーの問題でいろいろ偏見があってはならないと思うけど、やっぱり特性を生かした指導っていうのが大切なんだなっていうふうに改めて思いました。
というように、なんとか学級の締めがいい感じに終わりまして、私は春休みの間にいろんな仕事を片付けつつ、ちょっと気分をリフレッシュしてまた来年頑張っていきたいと思います。
それでは今日はアカデミー賞主演女優賞だった話をいたしました。皆さん聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。