ネアンデルタール人の虫歯治療の発見
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この時間はZoom Up。毎週木曜日は科学です。
ネアンデルタール人。
はい。
皆さん、習いましたよね?
昔、習いましたね。
ネアンデルタール人が小型の石器を使って虫歯を治療したとみられる化石を見つけたと、
ロシアなどの研究チームがアメリカの科学誌プロスワンに発表しました。
その歯はおよそ5万9千年前のもので、チームは本格的な虫歯治療を施した最古の最も古い事例だとしているんですね。
今日はこのネアンデルタール人の虫歯にZoom Upしていきます。
毎日新聞客員編集委員の本村幸子さんです。
本村さん、おはようございます。
おはようございます。
ネアンデルタール人に虫歯があって、それを治療したのか?というニュースなんですね。
本当?って思いますけどね。
本当?っていくつもハテナが出てきますよね。
科学雑誌にロシア科学アカデミーの研究チームの論文が載って話題になっているんです。
シベリアの洞窟から出土したネアンデルタール人の奥歯を試作に調べたら、
虫歯の治療跡と強く推定されるものがあったということで、
このストーリーをお話ししたいんですが、ちょっと興味津々ですよ。
どんな治療なのか。
この洞窟はシベリアの南西部にあるチャギルスカヤ洞窟という洞窟なんですけども、
ネアンデルタール人はアフリカからユーラシア大陸に出てきて、ユーラシア大陸に幅広く住んでたんですが、
このシベリアというのはちょうどその生息域、暮らしてたところの一番東の端ぐらいにあたるんですね。
この洞窟で集団で住んでいたネアンデルタール人の骨とか歯とかいろんなものが化石がたくさん見つかっています。
その中には数十本の歯があって、その中には虫歯もあったということはこれもすでに分かっているんです。
その標本を詳しく調べていた研究チームの人がちょっと不自然な加工跡を見つけるんですね。
いわゆる奥歯の一番上から下まで貫通するような深い穴が開いていたと。
当時は風化とかで起きたのかなと思われていたんですが、顕微鏡とかCTスキャンを使って詳しく調べると、
人工的に加工したひっかき傷みたいなものがあると。
これは硬く尖った石器をドリルのように回転させて、穴を開けたんじゃないかと想定されたんだそうです。
これは聞いてみるわけにもいかないので、研究チーム再現を試みました。
洞窟の周辺でよく採れるジャスパーと呼ばれる石があるんですけれども、
それを原料にして古代の石器加工技術を忠実に再現して、尖った道具を作ったんですね。
その道具を今の生きている人の歯にドリルのように使って穴を開けてみたと。
この歯が誰のものかも気になりますよね。
しかも麻酔もしたのかな、どうなるかな。
大丈夫、そのままだと死んじゃいそうなんで。
研究チームのメンバーが最近抜いた親知らず提供して、安全に行いました。
再現した穴は標本が示していたものと特徴がかなり一致したということで、
きっとこれは虫歯の治療跡でしょうという結論に至ったというんですね。
この歯の持ち物はネアンデルタール人の大人で、
5万9千年前のものという特定をされています。
6万年近く前に生きていたネアンデルタール人が虫歯を治療していたということになるわけですが、
今まで人類の虫歯の治療の後の最古のものは、
ホモサピエンス、私たちが治療を受けた1万4千年前のものが最古でした。
それでも1万4千年前?
そうなんですよ。イタリアで発見された1万4千年前の治療跡が最古だったので、
今回は5万9千年前ですから、4万年以上遡るということですね。
そうですね。
さらに話題を呼んでいるのは、そんな技術をネアンデルタール人が持っていたのかという驚きですよね。
治療方法の再現と考察
なんとなくネアンデルタール人はホモサピエンスよりちょっと前の人だから、
こんぼを持って走り回って洞窟に住んでいる人みたいなイメージがあるんですけども。
全くそんなことはないんじゃないかと、高度な加工技術を持って、
しかもこの歯の持ち主は治療後も健康で生き続けたんじゃないかと言われているんですね。
つまり、穴を開けた後、爪ものはさすがにしていないのかもしれませんけれども、
その後にその歯を使って、溝が摩耗したりしているのですよ。
何かを噛んで。
なので研究チームの分析は、その場しのぎで虫歯の痛みを止めるということだけでなく、
長期的な利益のために、目の前の痛みに耐える覚悟があったと。
すごい読み解きだな。
つまり、ちゃんと先を見越して、自分が健康な生活を送るために仲間に虫歯を治療させると。
そのために痛みに耐えるっていうね。
そういう知恵まであったということを裏付けているって言うんですね。
虫歯自体の痛みもすごい痛いですからね。
ネアンデルタール人の食生活と歯のケア
ただ、やっぱり虫歯は虫歯になるんだって思ったかもしれません。
確かに。
砂糖とか糖分とか取ってなさそうじゃないですか。
チョコレート食べるわけでもないしね。
だけど、これまでのこの洞窟の歯の分析で、
死跡から澱粉の痕跡が検出されています。
つまり、彼らが澱粉質だから植物を食べていたっていうことが分かってるんですけども、
澱粉って糖分含んでますよね。
そうですよね。
だから、歯のケアとかをあんまりしてなければ、
虫歯は起きるでしょう。
ただね、ネアンデルタル人は歯のケアもしてたらしいです。
本当ですか?
本当ですかって聞かれるとちょっと分からないんですけども。
どういう根拠でそういうふうな話が出てくるんですか。
2013年に発表された論文によると、
スペインに住んでいたネアンデルタル人が、
歯の間に挟まった食べかすを幼児を使って取り除いていたと。
誰か見たんですか?
シーッてしながらね。
本当?
それも分かるんですか?何か根拠?
根拠ある程度のデータを集めたんでしょうね。
多分幼児って言っても、そこら辺の木の枝を削って作ったりしてたんでしょう。
それによって歯茎の痛みを和らげていたんじゃないかという報告もあってですね。
割と私たちに近い食生活というか、
健康維持を試みていたんじゃないかということがますます濃厚になってまいりました。
ネアンデルタール人と現代人のDNA
へぇー。
面白いですね。
結構な文明の高さですよね。
そうですよね。
割と知られていることとして、近年の研究でね、
ネアンデルタル人のDNAが私たちにも引き継がれているというのがありますよね。
それこそ洞窟に住んでいた昔の旧人みたいなイメージでありますけれども、
実はネアンデルタル人がユーラシア大陸に住んでいる頃に、
後発のホモサピエンスがアフリカから歩いて出て、
それでネアンデルタル人と出会って恋に落ちているんですよ。
それも何か残っているんですか?
残っています。
現代人のアフリカに住んでいる人たちじゃない、ヨーロッパとかアジアの人たち、私たちですよね。
私たちのDNAを詳しく調べて由来を調べると、
日本人を含むアジア人だと2、3%はネアンデルタル人由来なんです。
へぇー。
もっと最近のデータでは、恋に落ちたカップルは、
ネアンデルタル人の男の人とホモサピエンスの女の人だろうと言われているんですよ。
どっちが男女かというのも分かっているんですか?
そういう意味では一番近い親戚みたいな存在でもあったと。
ちょっとだけ親しみが湧きましたね。
5万年くらい前にいらっしゃった。
そのネアンデルタル人から受け継いだDNAというのは、今の私たちの生命活動のうち、
体内時計、24時間周期でね、体内時計って回ってますね。
あれとか、それから免疫機能、そして一部の人の痛みの感じ方などに影響していると考えられていると。
今回の論文には、ネアンデルタル人は現代人、私たちよりも痛みに対して敏感だったんじゃないか説が書かれていて、
麻酔のない時に歯に石器で穴を開けるということの痛みの程度。
遠いですよ。
でもそれを乗り越えて健康な生活を送りたいと思っていたネアンデルタル人の心境に迫る研究成果とも言えるわけですね。
まとめと現代への教訓
面白い。
そんなことまでわかるんだ。
ちょっと驚きでしたね。
身近に感じますね。ネアンデルタル人。
虫歯のケア、私たちも麻酔があるからとかしないで、
ちゃんと日常的なケアを怠らないようにしましょう。
そうですね。
ネアンデルタル人も歯が命だからかもしれませんね。
そうですよ。美味しいものはずっと食べたいし。
非常に興味深いお話でした。
本村さん、どうもありがとうございました。